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次元の狭間にて
鈍色の光沢を放ちながら、たゆたい胎動する
此度の神の遊戯の心臓部となるであろう揺り篭

その大広間にて――

「うおおおおおッ! ぶわあああああッ!! くあああああああああああッッ!!!」

今、超特大の雷が落ちた

「!!?? ~~~~~~~~~~~~~~~……」

顔をしかめ、両の耳を手で塞いで
人口の鼓膜がクラッシュするのを何とか防御したのは戦闘機人の5番目の姉妹
個体名・チンクである

ただでさえ隻眼の彼女の
空洞になった眼穴に響く眼鏡女の春雷

脳を直撃した音撃のダメージで暫くうずくまっていた彼女であったが
そのまま、落雷の主を憮然とした表情で睨みつける

目の前のメガネが他ならぬ、強制転送にてセイバーとの果し合いに文字通り水を差した張本人である
その怒りはこんな一喝程度では到底晴れるものではない

再び、二人の姉妹は睨み合う
それはまるで毛を逆立たせた猫同士のケンカのようだった

「前から言おうと思ってたんだけど……お前さ、、
 普通に姉みたいな態度とってるけど、稼動年数は私の方が若干長い事を忘れてないか…?」

「あら、いえいえ……なら、、
 駒にいらない事をベラベラベラベラ漏らしまくって挙句いきなりケンカふっかけて
 これをバカと言わずして何て言えば良いのか……
 若干長い稼動年数で学んだ知識で、是非とも教えて頂きたいものですわねぇ♪」

激哮したかに見えた眼鏡少女は、再び憎憎しげな表情を取り戻し
いつもの人を食った言い回しに戻る

「ふざけるなよ……肝心なところで横やり入れて、言いたい事はそれだけか?
 もう少しで―――」

「もう少しでガジェットの部品にもならない小っこいスクラップの出来上がりでしたわねぇ
 あのね…チンクちゃん――あそこで私が拾わなかったら、どうなっていたか分かりますわよね?」 

「聞き捨てならないな……私が簡単にやられると思うのか?」

「――はぁ?」

静かな怒りを抱いている5女に対し
奇妙なモノを見るような目で、一つ下の妹を見るクアットロ

「いや、やられるでしょ……しかも瞬殺」

「なんだとぉぉぉおおおおおおお!!!!」

躊躇いなく言い放つ4女である

「あの、、チンクちゃん? ついには計算も出来なくなったのかしら? 
 あの英霊の馬鹿げたスペックを見て、何をどうすればそんな寝言が――」

「…………!」

クアットロの言葉に対し、何ともいえない顔を作るチンク
それは恨みとか怒りとかではなく――何とも言えない、複雑な表情であった

「――――――あ……」

それを受けて、思い出したように頷く姉なのである

「そっか、、そうでした………
 ――――そういえば <見てない> のでしたわね貴方は♪」

「悪いかッッッッ!!!」

図星を突かれ、切ない叫びをあげるチンク

そう、、この悲劇こそ英霊に無謀な戦いを吹っかけた真実
正確なデータが備わっていれば――いかに少女とてあそこまで無謀な事はしなかっただろう

チンクは―――見ていないのだ

あのSランク魔道士と剣の英霊の凄まじい激戦を――
その後に行われた最強の英霊を絡めた神代の光景を――


「ああ、そうだよッ!!! お前らがモニターと睨めっこしてた時、、、
 私は 豆 腐 と睨めっこしてたんだよッ!」

プルプルと震えだすチンク
可哀想なモノを見るような4女の目に晒され
身も心も寒さが止まらない

「豆腐と、、、睨めっこしてたんだよぅ……」

大事な事なので二回言った

あの戦いで設置させたモニターのどれもが音をも置き去りにする英霊は元より
それに追随する空戦魔道士の姿すら全く捕らえきれず
英雄王襲来の暁には、フィールド全体に降り注ぐ宝具が設置モニターの全てを焼き払ってしまい
結局、微塵の記録も残らなかったというオチである

文字通り、幻の一戦を見逃したチンク
データもソースも無い状態では正確な英霊と自分の戦力差など測れる筈もなかったのだった、、

「くっそーーーーー!! 何で私ばっかりこんな目に!??
 だいたい英霊の懐柔が上手く行かなかったのもあの神父の爆裂オーダーのせいだぞ!
 無茶ばっかり言いやがって!! 何だよ決め手はスーって!? 
 意味わかんねーよ! 私に分かる言葉で書けよ!」

手に持っていた 「綺礼スペシャル中華の極意」 と
日本語で記された手書きの読本を床に叩きつける少女

「チンク……言峰様が―――」

盛大に毒を吐いていたチンクの肩がビクンと震える

「――――お呼びよ……首を長くして待っていた、と伝えてくれって……チンク?」

部屋の中央で盛大に猛り狂っていた小型独眼竜が
途端、隅っこで小さくなり頭を抱えてガタガタ震えている

――外道神父、影となってもチンクを走らす


「ウ、ウーノ……言峰は?」

「いえ、ここにはいないわ。 中心部で博士と談話中……
 博士もよっぽどあの方が気に入ったのね、、あと――お帰りなさいチンク」

「うう……ただいまぁ、、」

それを聞いて胸を撫で下ろす5女を見て溜息交じりに皮肉るクアットロである

「情けないですわねぇ……仮にもナンバーズの一人があんな人間に振り回されて」

「言ってろ……お前はあいつと話した事がないからそういう事が言えるんだ」

血色の良いはずの幼女の顔に青い線が二本、三本、、
ゲンナリしながら語りだす悲劇の眼帯

「あいつと話してるとな……敵の懐だったミッドチルダでさえ優しい世界に思えてくる、、
 一言一言が泥のように絡み付いてきて、そりゃあ心を削るんだ―――
 いつぞや食らった振動破砕の百倍は足に来る、、私、案外限界近いかも知れないハハ、、ハ…」

言ってるうちに死にたくなってくるチンクであった

「ああ、、、ああ、、、やだよぅ……行きたくないよぅ……
 誰か代わってくれよぅ、、日替わりでもいいからぁ、、」

「私はシステム周りとか色々あるから」

「右に同じですわ♪」

「薄情者ぉぉぉぉおおおッッ!!!」

だー、、と片目から滝のような涙が止まらない少女…

かといって、あまり待たせると
それこそ無限の言葉責めで昇天させられかねない

フラリフラリとおぼつかない足取りで厨房へ消えていく5女
途中、ガンという盛大な音は、ラボの取っ手に頭をぶつけた音である

その哀愁漂う後姿を見送る長女と四女

「あんな無礼な客――殺してしまえばいいのですわ」

「博士の客人よ…勝手な手出しは出来ないわ」

「あらぁ バレなければオーライだと思いますけどぉ♪」

「貴重な情報源よ、まだ消すには惜しいわ――」

長女がそう言い終わる時

パタパタと通路から再び誰かが駆けてくる音がした
やがてヒョイっと出入り口から顔を出したのは厨房へ向かったはずのチンク

「言うの忘れてた」

「……何ですの?」

「トーレに伝えておいてくれ――あまり一人で抱え込むなって」

その一言で、、
場が何とも言えない神妙な空気になる

それはドッグで未だ眠る、先のミッションで大破した三女と七女に向けた言葉――

「戦闘機人の先陣、私とお前でツートップだ!
 今までも、そしてこれからも………だから―――」

「早く行きなさいよ、おちび」

シッシッという視線を投げつけるメガネ姉に対し
べーと舌を出して足早に駆けて行く隻眼少女である

「まったく、あの子と来たらいつまで立っても、、」

「ふふ、、」

「笑い事ではありませんわ……
 また前回と同じ鉄を踏むところでしたのよ?あのおバカは」



――前回

クアットロの指す前回とは言わずと知れた――JS事件での、機人と機動6課の最終決戦の事であった

ナンバーズの5番目と銘打たれの少女は、戦闘機人の中でも古参組に入る
性格は戦闘時の冷徹さと裏腹に、気さくでちょっとお茶目で人情に厚い典型的な姉気質
同期の、少し恐くて取っ付きにくい三女トーレとはまさに対照的な姉であり
故に計画の都合上、矢継ぎ早にロールアウトされた妹たちの世話役として奔走する事となる

戦闘においての彼女は、後発の姉妹と比べても
出力や火力の面では決して秀でているとは言い難かった
だが、この姉の特筆すべきはそのIS(機人の持つ特殊能力)にある

ランブルデトネイター(金属に爆発属性を付加する特殊能力)と
スティンガー (チンクの愛用する投げナイフ 忍者の使うクナイに近い)

それを遠隔操作にて範囲内の至る所に出現させ投擲するオーバーデトネイションは
虚空より出でて敵の急所に直撃させ爆砕する、、
ナンバーズ内でも最強の殺傷能力を誇る、まさに必殺の技なのだ

先の言葉である「ツートップ」に偽り無し

トーレが戦闘力で随一ならば
敵を仕留める事にかけては、このチンクが文句なしのトップキラー
まさに二人はナンバーズ戦闘部隊での双璧だったのだ

「チンクは――あれでいいのよ」

「お姉さまはチンクちゃんに甘すぎです」

本来なら嗜めなければいけない場面で長女にチンクの肩を持たれ
不満げに鼻を鳴らすクアットロであった

戦闘能力でなく殺傷能力に秀でた5女の力
もし彼女をサーヴァントのクラスに当て嵌めるなら間違いなくアサシンに該当するだろう

そして肉弾戦や出力の低い彼女は、戦闘では前線に出るより
突破力に秀でたノーヴェやトーレの後ろに控え、奇襲を行う戦法がベストと言えた

――にも関わらず、彼女はそれを……
姉妹を盾にする戦法を良しとしなかったのである

前線に赴き、時には妹の盾となり
率先してしんがりすら務める姿はおおよそ暗殺者のそれとは程遠い

その性能ゆえに、戦闘方法――特に一騎打ちにおいてはまさに捨て身だった
小柄で、肉弾戦では絶望的な彼女が、薄いコート一枚を頼みに敵の前に姿を晒し
自らをエサにして必殺の間合いに敵を踏み込ませてのオーバーデトネイション――

まさに肉を斬らせて、刃を急所に叩き込む
トーレやセッテと比べ、危うく安定感の欠片もない…まさに綱渡りのような戦いだった

だが、ハイリスクな賭けは当然、そのリターンもデカい


自分達機人が、ミッド世界において最強足りえるという事、、
誰と並んでも決して劣らず、という事実を真っ先に証明して見せたのは他ならぬ彼女であった
そう、幾多の次元世界を統べるミッド世界
その最強の存在として真っ先に挙げられるのがオーバーSランク魔道士

これは一つの揺るがぬ指標にして、超えなければいけない壁だった

そのオーバーSランク――ゼスト・グランガイツに彼女は戦いを挑み、、
これを死闘の末、見事撃破したのが遠い昔の話である

自分たち機人がオーバーSランクを倒し得る事を身体を張って証明して見せたチンク
その片目と引き換えに、博士の正しさと機人の優秀さを証明して見せた5女は
妹たちから、戦闘の筆頭であったトーレに勝るほどの信頼と尊敬を集める事となったのだ

理論だけでは推し量れない愚直なまでの前進
知勇の欠片もない蛮勇が道を切り開く事もある
長女は、チンクがその役割を担うものであると言いたいのだろう

「たいした美談ですわ……まあ、そこまでは私も認めております―――でも、、」

だがその彼女と、ほぼ同時期に稼動した四女・クアットロはこうして何かと対立する事が多々あった
仲が悪い、というわけではないのだが……
信条の違い、、そして微かにライバル心もあったかも知れない

「その後がよろしくありません。 戒めだか何だか知らないけれど、敢えてその片目を治さないという選択…
 戦力の減少を考慮においてなお、断行する――その行為に何の意味が?」

智謀を旨とするクアットロにとっては奇跡の勝利、予定外の偶発的な金星など扱いにくいだけだった
求められるのは己が手で掌握しうる堅実で確実な勝利のみ

「そしてその向こう見ずな戦法で6課の下っ端を相手に大破
 隊長陣を倒せる武器を持つあの子が、結局最終決戦には出撃できないという無様を晒し……」

我が身を省みぬ勝利も自己犠牲も蛮勇も
彼女からしてみれば匹夫の勇に過ぎない

「その二の舞を……今回、また起こす所でしたのよ? あの子は」


現にチンクは前回の最終決戦に出撃できず
2翼の片方を欠いた姉妹が、どれほど無様に負けたかなど今更言うまでもない
クアットロの頭の中に思い描かれていたシミュレーション――

それを広間の機器に次々と打ち込んでモニターに出す

もし、聖王とカチ合ってる最中のエースオブエースに――
トーレとセッテに手こずるフェイト嬢に――
前線に出た妹の部隊に――

数十、数百のIF
あらゆる可能性を示唆し

どこでもいい、彼女をサポートにおけたなら……
確実に敵の一角を崩していたであろう事を示す

そこから開ける突破口によっては結果は全くの逆になっていた――
4女の示したデータは、それを裏付けて余りある十分すぎるものだったのだ

「――――、、」

驚きを隠せないウーノであった

腕を組んで、眼鏡をくいっと直し超然と立つ4女は
まるで自分に代わって妹の指揮を任せても遜色ないほどの威厳があった

そして長女である自分に臆する事無く示したこれらのデータには
一切の穴が無く、反論の余地もない

(ああ、、そうか…)

その態度、思考、理論共に堂々たる物で……
この何通りもの戦術は昨日今日考えたものではないだろう

長女の顔に微笑が浮かぶ

(この子はこの子で、あの堀の中でイヤというほど反芻してたのね……
 あの負けを、、敗北の原因と改善策を何度も何度も、、)

「貴方も……変わったわ」

「え?」

優しく笑いながらそんな事を言う長女に対し
素っ頓狂な声をあげてしまう眼鏡の少女

続いて、拳を握り、熱っぽく語っていた自分の姿が急に恥ずかしくなり
そのレンズの下の頬が赤く染まる

どんな憎憎しげな風体を装ってもクアットロは、この長女だけに逆らえない

眼鏡で隠した、赤くなった顔をあらぬ方向に向けて言う4女

「ね、姉さま 私だってバカではございません
 遊べるものならいくらでも遊びますけど……状況がそれを許さぬ以上
 シビアにならざるを得ない――そういう事ですわ」

「うふふ、、」

「も、もう……笑わないで下さいな、、」

十分だ――
長女が満足気に頷く

密かに心配していた
心の隅で懸念していたこの妹、、
ナンバーズ4の仕上がり具合を


―― クアットロの後遺症 ――


前回、一番酷くやられたのはトーレでもチンクでもなく、、他ならぬこの四女だった
そのダメージやトラウマやショック
どのくらい残っているかが心配だったのだが――

この決意、この充実ぶり
変わらぬ不遜の表情を見て取ったウーノは、

「じゃあここ、お願い出来る? 私もやり掛けのプラン作成あるから戻るけど――」

「あら、監視くらい片手間に出来ますわ
 姉さまこそ、私に何か手伝える事はございますか?」

「大丈夫よ ありがとう」

そう言って、上の管制室に戻っていくウーノを
お疲れです~と手を振って送り出す4女


チンクとの言い合いで騒然としていた広間に静寂が戻る
この人数で使うにはあまりにも広すぎる母艦

残された4女が、一人思慮に耽るのを―――

邪魔するものは何も見受けられなかった


――――――

――――明らかに出しゃばり過ぎでしたわ


ああいった戦術や表の問題はむしろウーノ姉様の管轄
自分が出すぎた進言をするべきではありません、、、

姉が戦略と戦術を駆使する、ジェイルスカリエッティの表の頭脳なら
自分は謀略と撹乱を旨とする、裏の頭脳なのですから


故に私はもっと、こう、、
傲岸不遜でなければいけません

常に余裕と嘲笑を絶やさず
命が踊り跳ねる戦場にて虚と実を遊ばせる

―― 自分は幻惑の策士 ――

敵を嵌め、クモの巣に絡まった蝶をいたぶり殺すが如き残虐さと陰湿さを以って
相手を弄ぶ事だけを考えていれば良い、、

姉妹にそれぞれ与えられた役割の中で
それが自分に与えられた役目なのですから

ナンバーズ・クアットロは……死番を任されし悪の華

姉妹の中で最も狡猾で、最も冷酷で
最も人から嫌悪されなくてはならない、、

、、、・・・・・・・・・・・・……………

「ふ、、、、、、」

確かに……承知しています

そう、考えられませんわ

自分の役割から大きく逸脱してまでウーノ姉様の領域を犯し
あのように必死に食い下がる自分など、、

だけど………今回は、その度を越してでも―――

――― 勝ちたい ―――


負けたくないのです……自分は

この新しい母艦に来てから
自分で認識出来るほどの、体内のAIの微細な変化…

恐らくそれをさせているのは、、、


……………・・・・・・・・・・・・・・

―――――ウーノ姉さまは優しい

私に何かの後遺症がないかと、、
ああして気を使ってくれています

戦闘部隊に比べ、地味な縁の下の力持ちに徹している貴方ですが
ウーノ姉さま無くして戦闘機人は動かない……
これは今回の戦いでも変える事の出来ない事実でしょう

博士の思考を受け、最適な戦術を立て、機人を指揮するのは
やはり姉さま以外には出来ない事

そう、、貴方はとても優秀です
そしてよく気がつく―――

心配しないで下さいな

「は、、ふふ」

姉さまの懸念は―――――見事、、、、


――― 的中です ―――


――― 私はもう、、、、、、、壊れていますの ―――

「はは、あはははは……」

脳裏に浮かぶは最後の光景――


―― 見つけた ――

ひ、、、あああああああ、、、、


―― ディバイィィィン バスタァァァァァァ!! ――

い、、、、いやあああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???


「ふ、、ふふふ………あははははは、、はははははは………」

ズキン、ズキン、と傷む頭を抑えながら
私はおかしくっておかしくってしょうがなくて――

――無人の広間で一人哂う

最も人から恐れられ、忌み嫌われなくてはならない自分は
恐怖と絶叫にその身を支配され、、悪魔の砲撃の一薙ぎで――陥落した

「ママ、、、なのはママ………くく、く―――ふふ……
 いい気なものですわね、、アクマの分際で
 気まぐれに拾った過去の残骸相手に家族ごっこ―――」

この広い宇宙での逃亡生活
もう二度と会えないかと思った…

お早いサイカイ、嬉しく思いますわ

働き者で大変結構、、ふふ、、あはは

そう、、あれほどの絶望を受けて――
どうして笑っていられましょうか? 遊んでなどいられましょうか?

勘違いしないで下さいな

あの悲鳴は――あの無様な悲鳴は――

我が身を憚ってのものではございません

あれは―――

貴方の魔砲で焼き殺された、、

「――――博士と私の子供を殺しておいて――――」

私のお腹の中の―――


この憎悪、、、、、
この殺意、、、、、

溢れて狂ってしまいそうな負の感情
これを昇華するためならば、己が役割など、己がスペックなど
いくらでも逸脱して見せましょう
姉妹の絆すら犠牲にいたしましょう

封印しなくてはいけません
遊びなど一切介入しないシビアな心を持たなければ――

でなければ

――― この復讐は果たせない ―――


英雄王との対戦では、あの悪魔の
あまりの不甲斐無さについ声援などを送ってしまったけれど――

他の姉妹は、こちらの世界の最強が簡単にやられて欲しくないなどという
誇り云々を刺激されての行為だったのでしょうが―――

―― 私は違う ――

「あんな得体の知れないモノにあっさりと殺されるなんて……
 そんな事が許されるはずがありませんわ――うふふ、ふふふ、、」

一人でいると、、

情欲と狂気に駆られた妄想に身を焦がす時間が長くなってしまいます


さて――今日はアクマをどんな方法で殺しましょうか♪

――頭から刻みましょうか

――足の指から落としましょうか

――長い時間をかけて一寸刻みの肉片にした後

――栗色の毛髪に塗れた肉塊を貴方の娘に見せて

――これがママよぉって言ってあげましょうか


「アクマが苦痛と絶望に泣き叫ぶ声――早く聞きたいわぁぁ♪
 く、、ふふ―――アハハハハハハハハハ、アハハハハハハハ……」

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

………………………………

――――――

少女の歪む口元から独りでに漏れ出る哂いは
抑え切れぬ狂気によるもの――

初めは静かに
やがては耳を削るように
ヤスリで魂を削られているかのような狂笑となって、、

大広間にいつまでも、、、、、、


―― 静かに響き渡っていた