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そろそろ冬にさしかかる頃になってきた。既に朝起きれば肌に突き刺すような寒さを感じる。 気温からの攻撃にアヴァロンにも匹敵する究極の宝具・布団を持ってして対抗していた遠坂凜はついにこの心地よい楽園から追放される時が来た事を悟った。 しぶしぶベッドから芋虫のようにもそもそ這い出たのではあるが、未だ脳の活動は半分以上停止していて彼女はどう見ても寝ぼけている。 まぶたは9割以上閉じたままで前など見えているようには見えないが、そこは勝手知ったる衛宮邸。 既にどう歩いたらいいかは体が覚えており、目をつぶっていてもいつもの居間まで迷わず行ける。 冷たい廊下を歩きながら、誰にも見せられないような大あくびを一つ。 次いで、頭をぽふぽふ叩いて櫛代わりに手で髪をすく。 その手を凜はぴたりと止めた。 髪が何となく短くなっているような気がしたからだ。 だが、それも何となくの感覚だ。 この長さで合っているような気もする。 さして気にするようなものでもないと、まぶたの重さの方を気にして居間のドアの前にたどり着いた。 反射的にノブを掴んでくるりと回す。 「ノブ?」 いつもと同じように体が覚えた行動だ。間違えるわけがない。 だが、扉を開けた遠坂凜はいつもの居間にいつもとは違う物を見つけていた。 そろそろ冬にさしかかる頃になってきた。既に朝起きれば肌に突き刺すような寒さを感じる。 ぬくぬくした布団と室内の寒さのコントラストを楽しんでいた八神はやてもこの至福の朝の一時をついに諦めなければならない時が来たことを悟った。 しぶしぶベッドから芋虫のようにもそもそ這い出たのではあるが、未だ脳の活動は半分以上停止していて彼女はどう見ても寝ぼけている。 まぶたは9割以上閉じたままで前など見えているようには見えないが、そこは勝手知ったる自分の家。 既にどう歩いたらいいかは車椅子に乗っていた時から体が覚えており、目をつぶっていてもダイニングまで迷わず行ける。 廊下を歩くと足の裏が冷たくなるが、それもはやてにとっては嬉しいことだ。 自分の足で歩ける楽しさに比べたらこれくらいどうって事はない。 歩きながら頭をぽふぽふ叩いて櫛代わりに手で髪をすく。 その手をはやてはぴたりと止めた。 髪が何となく長くなっているような気がしたからだ。 だが、それも何となくの感覚だ。 この長さで合っているような気もするし。 さして気にするようなものもないと、まぶたの重さの方を気にしてダイニングの引き戸の前にたどり着いた。 反射的に取っ手に手をかけて横に引く。 「引き戸?」 いつもと同じように体が覚えた行動だ。間違えるわけがない。 だが、扉を開けた八神はやてはいつものダイニングにいつもとは違う物を見つけていた。 その光景は凜に、まだ夢を見ているのではないかと考えさせるような物だった。 まず、そこは居間ではなかった。 畳ではなくフローリングの床。 座布団ではなく椅子。 机のかわりに椅子に合わせたテーブル。 そこは居間ではなくダイニングキッチンといった方がいい部屋だった。 そして、そこにいるのは3人の女と1人の男。 性別と人数の組み合わせはあり得るが明らかにおかしい。 まず一人目 ピンクの髪の長身の女。切れ長の目が凜を見ている。 その姿勢には1本線の入ったような所があり、スポーツかなにかをしているような健康的な体つきをしていた。 二人目 背は一人目の女の半分もない赤毛の女の子。 勝ち気な青い眼が凜を見るとにこりと笑った。 それはいいのだが、その女の子が持っているウサギのぬいぐるみはなんなのだろう。 赤一色の目と縫い合わされた口。魔術儀式に使う人形です、と言われても納得してしまうそうな雰囲気がある。 三人目 台所に立つ金髪の女性。 前の2人はアクティブな感じがしたがこの女はそれとは違う感じがする。 どちらかと言えばおっとりと言った方がいいだろう。 ただ、そのおっとりさがフライパンとフライ返しを持つ手にも出ているのはどうかと思う。 四人目 背の高い筋肉質で銀髪の男だ。 肩を出した服は道着かなにかだろうか。 この男だけ普段着ではないところを見ると、朝練でもしていたのかも知れない。 それはそれとして凜は激しく悩んだ。 この男の姿は彼女の持つあらゆる魔術的、あるいは現実的知識を持ってしても計り知れない物があったからだ。 なんで獣耳? おかしい、どう考えてもおかしい。 夢としか思えない。 「主、おはようございます」 一人目の女性の挨拶に返事もせず、凜はドアをガチャリと閉めた。 その光景ははやてに、まだ自分は夢を見ているのではないかと思わせるような物だった。 まず、そこはダイニングキッチンではなかった。 フローリングではなく畳の床。 椅子ではなく座布団。 テーブルのかわりに足の短い机。 そこはダイニングキッチンではなく居間といった方がいい部屋だった。 そして、そこにいるのは3人の女性と1人の男性。 性別と人数の組み合わせはいつもと同じだが明らかにおかしい。 まず一人目 金髪の小柄な少女。白いブラウスと青いスカートの彼女はよほどお腹がすいているのか机の上のおかずをじっと見ている。 だが、その姿勢には1本線の入ったような所があり、はやての家族の1人を思わせるところがある。 二人目 背も歳も一人目の女性より少し上の紫がかった髪の女性。 物静かで優しそうな人だ。 それはいいのだが、その女性の胸のはなんなんだろうか。 驚天動地、吃驚仰天。何か、うらやましくなるくらい大きい。 三人目 台所に立つ赤毛の男性。 割とかっちりした体格にエプロンを着けて台所に立つ様は端から見ても生き生きしている。 手際のいい彼の様子は台所に立つために生まれてきたと言っても過言ではないかも知れない。 四人目。 ここにいる中ではたぶん一番年上の成人女性だ。 だが、その人の落ち着きのなさと青空のような笑顔は一番子供っぽくも見える。 それにしても、この人を見た時の第一印象が虎なのはどう言うわけなのか。 緑と黄色の虎縞模様の服を着ているせいかもしれない。 「遠坂さん。おっはよー」 そのほっとするような挨拶に、はやては自分が呼ばれたわけでもないのに思わず返してしまった。 「あ、おはよう」 はやてはいつものように西日本のある地域特有のイントネーションをつける。 直後、場が凍っていた。 はやては引き戸を静かに閉め、廊下を駆け出した。 洗面所に飛び込んだ凜はまず蛇口を全開に回した。 洗面台に水を貯めて手を突っ込む。 切るような冷たさが脳を急速に覚醒させていった。 さらに頭をはっきりさせようと、手に貯めた水を思いっきり顔にたたきつけ、顔をごしごし擦る。 顔を洗うと言うよりも顔に冷たさをすり込むように何度も何度も擦る。 それから、息を思いっきり吸い込んで貯めた水に顔を突っ込んだ。     あれ、だれ? ダイニングにいた4人。全く見知らぬ人間だ。 言葉を交わしたことはもちろん、会ったことすらない。 そしてもう一つ、     ここ、どこ? 洗面所に迷わず走り込んで言うことではないが、凜が今いるこの家には全く見覚えがない。 第一、凜が今寝泊まりしている衛宮邸は完全無欠の日本家屋。日本庭園に白塗りの倉まである念の入りようだ。 間違ってもこの家みたいに洋風ではない。 じゃあ、何故ここにいるかについては全く返答不能だ。 そろそろ息が苦しくなった凜は顔を上げ、鏡を見る。 実は凜は薄々感づいていた。 階段がやけに高いような気がしたし、ドアのノブも高いところにあった。 それに、ここに来るまで歩幅が何となく小さくなったような気がしていた。 だけどそれはあんまり認めたくなくて、洗面所に来てもあえてすぐに鏡は見なかった。 だが、とうとう鏡を見てしまった以上、認めないわけにはいかない。 そこには10代後半の黒髪の遠坂凜ではなく、10代になりたてくらいの茶色いショートカットの女の子が鏡に映っていた。 洗面所に飛び込んだはやてはまず蛇口を全開に回した。 洗面台に水を貯めて手を突っ込む。 切るような冷たさが脳を急速に覚醒させていった。 さらに頭をはっきりさせようと、手に貯めた水を思いっきり顔にたたきつけ、顔をごしごし擦る。 顔を洗うと言うよりも顔に冷たさをすり込むように何度も何度も擦る。 それから、息を思いっきり吸い込んで貯めた水に顔を突っ込んだ。     あれ、だれなん? 居間にいた4人。全く見知らぬ人間だ。 言葉を交わしたことはもちろん、会ったことすらない。 そしてもう一つ、     ここ、どこなん? 洗面所に迷わず走り込んで言うことではないが、はやてが今いる家には全く見覚えがない。 第一、はやての家は洋風建築であり、間違ってもこの家みたいに純和風ではない。 じゃあ、何故ここにいるかについては全く返答不能だ。 そろそろ息が苦しくなったはやては顔を上げ、鏡を見る。 実ははやては薄々感づいていた。 階段がやけに低いような気がしたし、ドアのノブも低いところにあった。 それに、ここに来るまで歩幅が何となく広くなったような気がしていた。 だけどそれはあり得そうにないので、まだ寝ぼけていると思ってすぐに鏡は見なかった。 だが、とうとう鏡を見てしまった以上、認めないわけにはいかない。 そこには10才になったばかりでまだ子供の八神はやてではなく、10代後半の黒髪の女性が鏡に映っていた。

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