九頭原きよみプロローグ
プロローグ『九頭原きよみの大爆笑スーパーダイナマイトギャグ劇場(おもしろいよ!)』
★春は出会いの季節、そして鰹の美味しい季節
「我が名は九頭原きよみ」
「へえ、きよみちゃんね。私、遠藤美津子! よろしくね」
「残像だ」
「初対面から!?」
★九回裏二死満塁国士無双十三面待ち
「フフフ……剋目せよ、そして死ね! 我が必殺の魔球……『砲丸投げ』!!」
「うおおおおおおおキャッチャーの気持ちを考えろおおおおおお!!!」
★温泉旅館はす向かいのさびれた売店伝説殺人事件
「きよみ! ……死んでる。ひどい、一体誰がこんな」
「許せませんね……何としても私が犯人を捕まえてみせましょう」
「きよみ」
「さあ、容疑者をここに集めてください」
「せめて頭の包丁抜いてから探偵帽かぶれよ」
「悲しいですが、私たちが語り継いでいくしかないのです……。
きよみさんは神の人格を持つ聡明な美女でミス太陽系を三年連続で受賞していると」
「盛るなよ」
★この夏、アナタのハートを焼き土下座
「あっしまった、このテント穴が開いてる」
「なんだって、そいつあてぇへんだ」
「ログハウスが出来てる」
「出来てねえよ、まだ2階までだよ」
「最低でも3階以上はあるんだ」
★真夏のビーチのエンジェルと堕天使ルシファー
「げっ、水着忘れた……」
「美津子はァ~ん」
「嫌な予感がする」
「ゲッヘッヘ、ここにバカには見えない水着ってのがあるんですがね」
「普通の競泳水着が見える」
「えッ、ウソ、見える??? あっしには何にも見えないのに」
「本物かよ」
★私のIQは53万です
「うう、3日ぶりの学校だと授業についていけないわ」
「問題ない! この腕を見るんだ!」
「その腕のドリルがどうかしたの」
「こいつを使えば、ホラこの通り!」
「ノートがバラバラに消し飛んだんだけど」
「フハハハハ! 何が宿題だ! 科学の前には無力!」
「後で弁償な」
★何を聞いても『バカめ』としか答えない医者
「ほら、お見舞いだ。たんと喰うといい」
「メロンを女体盛りにすんな。あと病院に女体盛りで来んな」
「点滴に媚薬入れていい?」
「殺すぞ」
【オノレ……だが我を倒しても必ずや第二第三の女体盛りが現れるであろう……】
「禍々しいガス状の体になってまで言う事か」
★酸素ってないと死んじゃうし本当に偉いと思う
『シュコー』
「じゃあわかったよ。私が光合成するから、そのぶん美津子はんは呼吸していい。そんなんでどうだ」
『シュコー』
「見てくれこの見事な緑色の肌」
『シュコー』
「このままだと世界樹にまで成長するぞ。誰も私を止められない」
『シュコー』
「お願い、世界を救えるのは貴女しかいないの」
『シュコー』
★起きるって本当に本当に、大変な事なんだよ。わかってくれよ母さん
「聞いてくれよ。今朝、なんかすげえ変な夢を見たんだ。どんな夢かって?」
「………………。」
「忘れちゃった」
「………………。」
「てへぺろ☆」
「………………。」
「あれ、舌でおでこをコツンってやるいつものやつができねえ」
「………………。」
「今度な。今度見せてやるからな」
「………………。」
「グスッ」
体をまっぷたつに割いて、二人に分裂してみせる。
人々が驚き逃げまどう。
ついでに口から炎なんか吹いてみる。
人々はいよいよ絶叫し、あたりは大混乱となる。
おっかしいなあ。
違うよ。そうじゃないだろう。
「これはどうした事だろうねえ、右半身くん」
「君と同じくらい聡明な私にもわからないよ、左半身くん」
分裂した二人で漫才などしてみる。ひどくむなしい気持ちになった。
どうして君は戻ってこないんだい。
自分自身なら何度消し飛んでも完全に復活してみせるのに、
君の事になると涙で視界がにじんで、どういうわけか上手くいかない。
涙なんて邪魔なのに。笑わなければならないのに。
なぜ現実は、大好きな漫画のようにならないんだろう。
あそこでは人が死のうが、バラバラになろうが、最後には皆が笑っているんだ。
笑うための世界なんだ。
昨日、変な夢を見た。
ボケたくて「忘れちゃった」なんて言ったけれど、忘れられる筈もない。
「勝てば、好きな夢を好きなだけ見ることができる」
確かに理解した。だったら、欲しいものは決まってる。
どうしても見たい夢があるんだ。
火を吹いたまま五十人に分身してみる。
あたりはサイレンが鳴り響き、車両の近づく音が聞こえる。
そのまま五十人で巨大化する。
人々の絶望的な叫びは止まない。
なんで泣いているんだい。笑おうよ。笑ったほうが楽しいよ。
どうして君は戻ってこないんだい。どうして。どうして。