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民事訴訟法
(平成8年6月26日法律第109号)

最終改正:平成17年10月21日法律第102号

(最終改正までの未施行法令)
平成16年6月9日法律第88号 (未施行)
平成17年5月25日法律第50号 (未施行)
平成17年10月21日法律第102号 (未施行)

 第一編 総則
  第一章 通則(第1条―第3条)
  第二章 裁判所
   第一節 管轄(第4条―第22条)
   第二節 裁判所職員の除斥及び忌避(第23条―第27条)
  第三章 当事者
   第一節 当事者能力及び訴訟能力(第28条―第37条)
   第二節 共同訴訟(第38条―第41条)
   第三節 訴訟参加(第42条―第53条)
   第四節 訴訟代理人及び補佐人(第54条―第60条)
  第四章 訴訟費用
   第一節 訴訟費用の負担(第61条―第74条)
   第二節 訴訟費用の担保(第75条―第81条)
   第三節 訴訟上の救助(第82条―第86条)
  第五章 訴訟手続
   第一節 訴訟の審理等(第87条―第92条)
   第二節 専門委員等
    第一款 専門委員(第 92条の二―第92条の七)
    第二款 知的財産に関する事件における裁判所調査官の事務等(第92条の八・第92条の九)
   第三節 期日及び期間(第93条―第97条)
   第四節 送達(第98条―第113条)
   第五節 裁判(第114条―第123条)
   第六節 訴訟手続の中断及び中止(第124条―第132条)
  第六章 訴えの提起前における証拠収集の処分等(第132条の二―第132条の九)
  第七章 電子情報処理組織による申立て等(第132条の十)
 第二編 第一審の訴訟手続
  第一章 訴え(第133条―第147条)
  第二章 計画審理(第147条の二・第147条の三)
  第三章 口頭弁論及びその準備
   第一節 口頭弁論(第148条―第160条)
   第二節 準備書面等(第161条―第163条)
   第三節 争点及び証拠の整理手続
    第一款 準備的口頭弁論(第164条―第167条)
    第二款 弁論準備手続(第168条―第174条)
    第三款 書面による準備手続(第175条―第178条)
  第四章 証拠
   第一節 総則(第179条―第189条)
   第二節 証人尋問(第190条―第206条)
   第三節 当事者尋問(第207条―第211条)
   第四節 鑑定(第212条―第218条)
   第五節 書証(第219条―第231条)
   第六節 検証(第232条・第233条)
   第七節 証拠保全(第234条―第242条)
  第五章 判決(第243条―第260条)
  第六章 裁判によらない訴訟の完結(第261条―第267条)
  第七章 大規模訴訟に関する特則(第268条―第269条の二)
  第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則(第270条―第280条)
 第三編 上訴
  第一章 控訴(第281条―第310条の二)
  第二章 上告(第311条―第327条)
  第三章 抗告(第328条―第337条)
 第四編 再審(第338条―第349条)
 第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則(第350条―第367条)
 第六編 少額訴訟に関する特則(第368条―第381条)
 第七編 督促手続
  第一章 総則(第382条―第396条)
  第二章 電子情報処理組織による督促手続の特則(第397条―第402条)
 第八編 執行停止(第403条―第405条)
 附則
  第一編 総則

   第一章 通則

(趣旨)
第1条  民事訴訟に関する手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(裁判所及び当事者の責務)
第2条  裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。

(最高裁判所規則)
第3条  この法律に定めるもののほか、民事訴訟に関する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

   第二章 裁判所

    第一節 管轄

(普通裁判籍による管轄)
第4条  訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2  人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
3  大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人が前項の規定により普通裁判籍を有しないときは、その者の普通裁判籍は、最高裁判所規則で定める地にあるものとする。
4  法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は、その主たる事務所又は営業所により、事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
5  外国の社団又は財団の普通裁判籍は、前項の規定にかかわらず、日本における主たる事務所又は営業所により、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
6  国の普通裁判籍は、訴訟について国を代表する官庁の所在地により定まる。

(財産権上の訴え等についての管轄)
第5条  次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
一  財産権上の訴え
     義務履行地
二  手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え
     手形又は小切手の支払地
三  船員に対する財産権上の訴え
     船舶の船籍の所在地
四  日本国内に住所(法人にあっては、事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え
     請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地
五  事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
六  船舶所有者その他船舶を利用する者に対する船舶又は航海に関する訴え
     船舶の船籍の所在地
七  船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え
     船舶の所在地
八  会社その他の社団又は財団に関する訴えで次に掲げるもの
     社団又は財団の普通裁判籍の所在地
イ 会社その他の社団からの社員若しくは社員であった者に対する訴え、社員からの社員若しくは社員であった者に対する訴え又は社員であった者からの社員に対する訴えで、社員としての資格に基づくもの
ロ 社団又は財団からの役員又は役員であった者に対する訴えで役員としての資格に基づくもの
ハ 会社からの発起人若しくは発起人であった者又は検査役若しくは検査役であった者に対する訴えで発起人又は検査役としての資格に基づくもの
ニ 会社その他の社団の債権者からの社員又は社員であった者に対する訴えで社員としての資格に基づくもの
九  不法行為に関する訴え
     不法行為があった地
十  船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償の訴え
     損害を受けた船舶が最初に到達した地
11  海難救助に関する訴え
     海難救助があった地又は救助された船舶が最初に到達した地
12  不動産に関する訴え
     不動産の所在地
13  登記又は登録に関する訴え
     登記又は登録をすべき地
14  相続権若しくは遺留分に関する訴え又は遺贈その他死亡によって効力を生ずべき行為に関する訴え
     相続開始の時における被相続人の普通裁判籍の所在地
15  相続債権その他相続財産の負担に関する訴えで前号に掲げる訴えに該当しないもの(相続財産の全部又は一部が同号に定める地を管轄する裁判所の管轄区域内にあるときに限る。)
     同号に定める地

(特許権等に関する訴え等の管轄)
第6条  特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(以下「特許権等に関する訴え」という。)について、前二条の規定によれば次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有すべき場合には、その訴えは、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。
一  東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所
     東京地方裁判所
二  大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所
     大阪地方裁判所
2  特許権等に関する訴えについて、前二条の規定により前項各号に掲げる裁判所の管轄区域内に所在する簡易裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
3  第一項第二号に定める裁判所が第一審としてした特許権等に関する訴えについての終局判決に対する控訴は、東京高等裁判所の管轄に専属する。ただし、第20条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る訴えについての終局判決に対する控訴については、この限りでない。

(意匠権等に関する訴えの管轄)
第6条の二  意匠権、商標権、著作者の権利(プログラムの著作物についての著作者の権利を除く。)、出版権、著作隣接権若しくは育成者権に関する訴え又は不正競争(不正競争防止法 (平成5年法律第47号)第二条第一項 に規定する不正競争をいう。)による営業上の利益の侵害に係る訴えについて、第四条又は第五条の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
一  前条第一項第一号に掲げる裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所
二  前条第一項第二号に掲げる裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所

(併合請求における管轄)
第7条  一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第38条前段に定める場合に限る。

(訴訟の目的の価額の算定)
第8条  裁判所法 (昭和22年法律第59号)の規定により管轄が訴訟の目的の価額により定まるときは、その価額は、訴えで主張する利益によって算定する。
2  前項の価額を算定することができないとき、又は極めて困難であるときは、その価額は140万円を超えるものとみなす。

(併合請求の場合の価額の算定)
第9条  一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。
2  果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。

(管轄裁判所の指定)
第10条  管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより、決定で、管轄裁判所を定める。
2  裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより、決定で、管轄裁判所を定める。
3  前二項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(管轄の合意)
第11条  当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2  前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3  第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(応訴管轄)
第12条  被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判所は、管轄権を有する。

(専属管轄の場合の適用除外等)
第13条  第四条第一項、第五条、第六条第二項、第六条の二、第七条及び前二条の規定は、訴えについて法令に専属管轄の定めがある場合には、適用しない。
2  特許権等に関する訴えについて、第七条又は前二条の規定によれば第六条第一項各号に定める裁判所が管轄権を有すべき場合には、前項の規定にかかわらず、第七条又は前二条の規定により、その裁判所は、管轄権を有する。

(職権証拠調べ)
第14条  裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。

(管轄の標準時)
第15条  裁判所の管轄は、訴えの提起の時を標準として定める。

(管轄違いの場合の取扱い)
第16条  裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。
2  地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合は、この限りでない。

(遅滞を避ける等のための移送)
第17条  第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

(簡易裁判所の裁量移送)
第18条  簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。

(必要的移送)
第19条  第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。ただし、移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき、又はその申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるときは、この限りでない。
2  簡易裁判所は、その管轄に属する不動産に関する訴訟につき被告の申立てがあるときは、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない。ただし、その申立ての前に被告が本案について弁論をした場合は、この限りでない。

(専属管轄の場合の移送の制限)
第20条  前三条の規定は、訴訟がその係属する裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合には、適用しない。
2  特許権等に関する訴えに係る訴訟について、第17条又は前条第一項の規定によれば第六条第一項各号に定める裁判所に移送すべき場合には、前項の規定にかかわらず、第17条又は前条第一項の規定を適用する。

(特許権等に関する訴え等に係る訴訟の移送)
第20条の二  第六条第一項各号に定める裁判所は、特許権等に関する訴えに係る訴訟が同項の規定によりその管轄に専属する場合においても、当該訴訟において審理すべき専門技術的事項を欠くことその他の事情により著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を第四条、第五条若しくは第11条の規定によれば管轄権を有すべき地方裁判所又は第19条第一項の規定によれば移送を受けるべき地方裁判所に移送することができる。
2  東京高等裁判所は、第六条第三項の控訴が提起された場合において、その控訴審において審理すべき専門技術的事項を欠くことその他の事情により著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を大阪高等裁判所に移送することができる。

(即時抗告)
第21条  移送の決定及び移送の申立てを却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(移送の裁判の拘束力等)
第22条  確定した移送の裁判は、移送を受けた裁判所を拘束する。
2  移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない。
3  移送の裁判が確定したときは、訴訟は、初めから移送を受けた裁判所に係属していたものとみなす。

    第二節 裁判所職員の除斥及び忌避

(裁判官の除斥)
第23条  裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
一  裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は事件について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。
二  裁判官が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
三  裁判官が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四  裁判官が事件について証人又は鑑定人となったとき。
五  裁判官が事件について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。
六  裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。
2  前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。

(裁判官の忌避)
第24条  裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。
2  当事者は、裁判官の面前において弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

(除斥又は忌避の裁判)
第25条  合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、決定で、裁判をする。
2  地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。
3  裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。
4  除斥又は忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5  除斥又は忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(訴訟手続の停止)
第26条  除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。

(裁判所書記官への準用)
第27条  この節の規定は、裁判所書記官について準用する。この場合においては、裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。

   第三章 当事者

    第一節 当事者能力及び訴訟能力

(原則)
第28条  当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法 (明治29年法律第89号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。

(法人でない社団等の当事者能力)
第29条  法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

(選定当事者)
第30条  共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。
2  訴訟の係属の後、前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、当然に訴訟から脱退する。
3  係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる。
4  第一項又は前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定した者(以下「選定者」という。)は、その選定を取り消し、又は選定された当事者(以下「選定当事者」という。)を変更することができる。
5  選定当事者のうち死亡その他の事由によりその資格を喪失した者があるときは、他の選定当事者において全員のために訴訟行為をすることができる。

(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)
第31条  未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。

(被保佐人、被補助人及び法定代理人の訴訟行為の特則)
第32条  被保佐人、被補助人(訴訟行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項及び第40条第四項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が相手方の提起した訴え又は上訴について訴訟行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。
2  被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる訴訟行為をするには、特別の授権がなければならない。
一  訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第48条(第50条第三項及び第51条において準用する場合を含む。)の規定による脱退
二  控訴、上告又は第318条第一項の申立ての取下げ
三  第360条(第367条第二項及び第378条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意

(外国人の訴訟能力の特則)
第33条  外国人は、その本国法によれば訴訟能力を有しない場合であっても、日本の法律によれば訴訟能力を有すべきときは、訴訟能力者とみなす。

(訴訟能力等を欠く場合の措置等)
第34条  訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは、裁判所は、期間を定めて、その補正を命じなければならない。この場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、一時訴訟行為をさせることができる。
2  訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
3  前二項の規定は、選定当事者が訴訟行為をする場合について準用する。

(特別代理人)
第35条  法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
2  裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
3  特別代理人が訴訟行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。

(法定代理権の消滅の通知)
第36条  法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。
2  前項の規定は、選定当事者の選定の取消し及び変更について準用する。

(法人の代表者等への準用)
第37条  この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。

    第二節 共同訴訟

(共同訴訟の要件)
第38条  訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

(共同訴訟人の地位)
第39条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

(必要的共同訴訟)
第40条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4  第32条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

(同時審判の申出がある共同訴訟)
第41条  共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2  前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3  第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

    第三節 訴訟参加

(補助参加)
第42条  訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

(補助参加の申出)
第43条  補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2  補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。

(補助参加についての異議等)
第44条  当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2  前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3  第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

(補助参加人の訴訟行為)
第45条  補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2  補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3  補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4  補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

(補助参加人に対する裁判の効力)
第46条  補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一  前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二  前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三  被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四  被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。

(独立当事者参加)
第47条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2  前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3  前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4  第40条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第43条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

(訴訟脱退)
第48条  前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等)
第49条  訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第47条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

(義務承継人の訴訟引受け)
第50条  訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3  第41条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第51条  第47条から第49条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

(共同訴訟参加)
第52条  訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2  第43条並びに第47条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

(訴訟告知)
第53条  当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2  訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3  訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4  訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第46条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

    第四節 訴訟代理人及び補佐人

(訴訟代理人の資格)
第54条  法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2  前項の許可は、いつでも取り消すことができる。

(訴訟代理権の範囲)
第55条  訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
2  訴訟代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。
一  反訴の提起
二  訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第48条(第50条第三項及び第51条において準用する場合を含む。)の規定による脱退
三  控訴、上告若しくは第318条第一項の申立て又はこれらの取下げ
四  第360条(第367条第二項及び第378条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意
五  代理人の選任
3  訴訟代理権は、制限することができない。ただし、弁護士でない訴訟代理人については、この限りでない。
4  前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。

(個別代理)
第56条  訴訟代理人が数人あるときは、各自当事者を代理する。
2  当事者が前項の規定と異なる定めをしても、その効力を生じない。

(当事者による更正)
第57条  訴訟代理人の事実に関する陳述は、当事者が直ちに取り消し、又は更正したときは、その効力を生じない。

(訴訟代理権の不消滅)
第58条  訴訟代理権は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一  当事者の死亡又は訴訟能力の喪失
二  当事者である法人の合併による消滅
三  当事者である受託者の信託の任務終了
四  法定代理人の死亡、訴訟能力の喪失又は代理権の消滅若しくは変更
2  一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの訴訟代理人の代理権は、当事者の死亡その他の事由による資格の喪失によっては、消滅しない。
3  前項の規定は、選定当事者が死亡その他の事由により資格を喪失した場合について準用する。

(法定代理の規定の準用)
第59条  第34条第一項及び第二項並びに第36条第一項の規定は、訴訟代理について準用する。

(補佐人)
第60条  当事者又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
2  前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
3  補佐人の陳述は、当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。

   第四章 訴訟費用

    第一節 訴訟費用の負担

(訴訟費用の負担の原則)
第61条  訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。

(不必要な行為があった場合等の負担)
第62条  裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。

(訴訟を遅滞させた場合の負担)
第63条  当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。

(一部敗訴の場合の負担)
第64条  一部敗訴の場合における各当事者の訴訟費用の負担は、裁判所が、その裁量で定める。ただし、事情により、当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる。

(共同訴訟の場合の負担)
第65条  共同訴訟人は、等しい割合で訴訟費用を負担する。ただし、裁判所は、事情により、共同訴訟人に連帯して訴訟費用を負担させ、又は他の方法により負担させることができる。
2  裁判所は、前項の規定にかかわらず、権利の伸張又は防御に必要でない行為をした当事者に、その行為によって生じた訴訟費用を負担させることができる。

(補助参加の場合の負担)
第66条  第61条から前条までの規定は、補助参加についての異議によって生じた訴訟費用の補助参加人とその異議を述べた当事者との間における負担の関係及び補助参加によって生じた訴訟費用の補助参加人と相手方との間における負担の関係について準用する。

(訴訟費用の負担の裁判)
第67条  裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。
2  上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、訴訟の総費用について、その負担の裁判をしなければならない。事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。

(和解の場合の負担)
第68条  当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

(法定代理人等の費用償還)
第69条  法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対し、その費用額の償還を命ずることができる。
2  前項の規定は、法定代理人又は訴訟代理人として訴訟行為をした者が、その代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権があることを証明することができず、かつ、追認を得ることができなかった場合において、その訴訟行為によって生じた訴訟費用について準用する。
3  第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(無権代理人の費用負担)
第70条  前条第二項に規定する場合において、裁判所が訴えを却下したときは、訴訟費用は、代理人として訴訟行為をした者の負担とする。

(訴訟費用額の確定手続)
第71条  訴訟費用の負担の額は、その負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより、第一審裁判所の裁判所書記官が定める。
2  前項の場合において、当事者双方が訴訟費用を負担するときは、最高裁判所規則で定める場合を除き、各当事者の負担すべき費用は、その対当額について相殺があったものとみなす。
3  第一項の申立てに関する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
4  前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
5  前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
6  裁判所は、第一項の規定による額を定める処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、訴訟費用の負担の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
7  第四項の異議の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(和解の場合の費用額の確定手続)
第72条  当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担を定め、その額を定めなかったときは、その額は、申立てにより、第一審裁判所(第275条の和解にあっては、和解が成立した裁判所)の裁判所書記官が定める。この場合においては、前条第二項から第七項までの規定を準用する。

(訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱い)
第73条  訴訟が裁判及び和解によらないで完結したときは、申立てにより、第一審裁判所は決定で訴訟費用の負担を命じ、その裁判所の裁判所書記官はその決定が執行力を生じた後にその負担の額を定めなければならない。補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げがあった場合も、同様とする。
2  第61条から第66条まで及び第71条第七項の規定は前項の申立てについての決定について、同条第二項及び第三項の規定は前項の申立てに関する裁判所書記官の処分について、同条第四項から第七項までの規定はその処分に対する異議の申立てについて準用する。

(費用額の確定処分の更正)
第74条  第71条第一項、第72条又は前条第一項の規定による額を定める処分に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその処分を更正することができる。
2  第71条第三項から第五項まで及び第七項の規定は、前項の規定による更正の処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
3  第一項に規定する額を定める処分に対し適法な異議の申立てがあったときは、前項の異議の申立ては、することができない。

    第二節 訴訟費用の担保

(担保提供命令)
第75条  原告が日本国内に住所、事務所及び営業所を有しないときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟費用の担保を立てるべきことを原告に命じなければならない。その担保に不足を生じたときも、同様とする。
2  前項の規定は、金銭の支払の請求の一部について争いがない場合において、その額が担保として十分であるときは、適用しない。
3  被告は、担保を立てるべき事由があることを知った後に本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、第一項の申立てをすることができない。
4  第一項の申立てをした被告は、原告が担保を立てるまで応訴を拒むことができる。
5  裁判所は、第一項の決定において、担保の額及び担保を立てるべき期間を定めなければならない。
6  担保の額は、被告が全審級において支出すべき訴訟費用の総額を標準として定める。
7  第一項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(担保提供の方法)
第76条  担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は裁判所が相当と認める有価証券(社債等の振替に関する法律 (平成13年法律第75号)第129条第一項 に規定する振替社債等を含む。次条において同じ。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。

(担保物に対する被告の権利)
第77条  被告は、訴訟費用に関し、前条の規定により供託した金銭又は有価証券について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

(担保不提供の効果)
第78条  原告が担保を立てるべき期間内にこれを立てないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。ただし、判決前に担保を立てたときは、この限りでない。

(担保の取消し)
第79条  担保を立てた者が担保の事由が消滅したことを証明したときは、裁判所は、申立てにより、担保の取消しの決定をしなければならない。
2  担保を立てた者が担保の取消しについて担保権利者の同意を得たことを証明したときも、前項と同様とする。
3  訴訟の完結後、裁判所が、担保を立てた者の申立てにより、担保権利者に対し、一定の期間内にその権利を行使すべき旨を催告し、担保権利者がその行使をしないときは、担保の取消しについて担保権利者の同意があったものとみなす。
4  第一項及び第二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(担保の変換)
第80条  裁判所は、担保を立てた者の申立てにより、決定で、その担保の変換を命ずることができる。ただし、その担保を契約によって他の担保に変換することを妨げない。

(他の法令による担保への準用)
第81条  第75条第四項、第五項及び第七項並びに第76条から前条までの規定は、他の法令により訴えの提起について立てるべき担保について準用する。

    第三節 訴訟上の救助

(救助の付与)
第82条  訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
2  訴訟上の救助の決定は、審級ごとにする。

(救助の効力等)
第83条  訴訟上の救助の決定は、その定めるところに従い、訴訟及び強制執行について、次に掲げる効力を有する。
一  裁判費用並びに執行官の手数料及びその職務の執行に要する費用の支払の猶予
二  裁判所において付添いを命じた弁護士の報酬及び費用の支払の猶予
三  訴訟費用の担保の免除
2  訴訟上の救助の決定は、これを受けた者のためにのみその効力を有する。
3  裁判所は、訴訟の承継人に対し、決定で、猶予した費用の支払を命ずる。

(救助の決定の取消し)
第84条  訴訟上の救助の決定を受けた者が第82条第一項本文に規定する要件を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったときは、訴訟記録の存する裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、決定により、いつでも訴訟上の救助の決定を取り消し、猶予した費用の支払を命ずることができる。

(猶予された費用等の取立方法)
第85条  訴訟上の救助の決定を受けた者に支払を猶予した費用は、これを負担することとされた相手方から直接に取り立てることができる。この場合において、弁護士又は執行官は、報酬又は手数料及び費用について、訴訟上の救助の決定を受けた者に代わり、第71条第一項、第72条又は第73条第一項の申立て及び強制執行をすることができる。

(即時抗告)
第86条  この節に規定する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

   第五章 訴訟手続

    第一節 訴訟の審理等

(口頭弁論の必要性)
第87条  当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
2  前項ただし書の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。
3  前二項の規定は、特別の定めがある場合には、適用しない。

(受命裁判官による審尋)
第88条  裁判所は、審尋をする場合には、受命裁判官にこれを行わせることができる。

(和解の試み)
第89条  裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。

(訴訟手続に関する異議権の喪失)
第90条  当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。

(訴訟記録の閲覧等)
第91条  何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
2  公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
3  当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
4  前項の規定は、訴訟記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
5  訴訟記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。

(秘密保護のための閲覧等の制限)
第92条  次に掲げる事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。
一  訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。
二  訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法第二条第六項 に規定する営業秘密をいう。第132条の二第一項第三号及び第二項において同じ。)が記載され、又は記録されていること。
2  前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない。
3  秘密記載部分の閲覧等の請求をしようとする第三者は、訴訟記録の存する裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の決定の取消しの申立てをすることができる。
4  第一項の申立てを却下した裁判及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5  第一項の決定を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。

    第二節 専門委員等

     第一款 専門委員

(専門委員の関与)
第92条の二  裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の説明は、裁判長が書面により又は口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日において口頭でさせなければならない。
2  裁判所は、証拠調べをするに当たり、訴訟関係又は証拠調べの結果の趣旨を明瞭にするため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、証拠調べの期日において専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人質問の期日において専門委員に説明をさせるときは、裁判長は、当事者の同意を得て、訴訟関係又は証拠調べの結果の趣旨を明瞭にするために必要な事項について専門委員が証人、当事者本人又は鑑定人に対し直接に問いを発することを許すことができる。
3  裁判所は、和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の同意を得て、決定で、当事者双方が立ち会うことができる和解を試みる期日において専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。

(音声の送受信による通話の方法による専門委員の関与)
第92条の三  裁判所は、前条各項の規定により専門委員を手続に関与させる場合において、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、同条各項の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に同条各項の説明又は発問をさせることができる。

(専門委員の関与の決定の取消し)
第92条の四  裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、専門委員を手続に関与させる決定を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなければならない。

(専門委員の指定及び任免等)
第92条の五  専門委員の員数は、各事件について一人以上とする。
2  第92条の二の規定により手続に関与させる専門委員は、当事者の意見を聴いて、裁判所が各事件について指定する。
3  専門委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
4  専門委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。

(専門委員の除斥及び忌避)
第92条の六  第23条から第25条まで(同条第二項を除く。)の規定は、専門委員について準用する。
2  専門委員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その専門委員は、その申立てについての決定が確定するまでその申立てがあった事件の手続に関与することができない。

(受命裁判官等の権限)
第92条の七  受命裁判官又は受託裁判官が第92条の二各項の手続を行う場合には、同条から第92条の四まで及び第92条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第92条の二第二項の手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる決定、その決定の取消し及び専門委員の指定は、受訴裁判所がする。

     第二款 知的財産に関する事件における裁判所調査官の事務等

(知的財産に関する事件における裁判所調査官の事務)
第92条の八  裁判所は、必要があると認めるときは、高等裁判所又は地方裁判所において知的財産に関する事件の審理及び裁判に関して調査を行う裁判所調査官に、当該事件において次に掲げる事務を行わせることができる。この場合において、当該裁判所調査官は、裁判長の命を受けて、当該事務を行うものとする。
一  次に掲げる期日又は手続において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すこと。
イ 口頭弁論又は審尋の期日
ロ 争点又は証拠の整理を行うための手続
ハ 文書の提出義務又は検証の目的の提示義務の有無を判断するための手続
ニ 争点又は証拠の整理に係る事項その他訴訟手続の進行に関し必要な事項についての協議を行うための手続
二  証拠調べの期日において、証人、当事者本人又は鑑定人に対し直接に問いを発すること。
三  和解を試みる期日において、専門的な知見に基づく説明をすること。
四  裁判官に対し、事件につき意見を述べること。

(知的財産に関する事件における裁判所調査官の除斥及び忌避)
第92条の九  第23条から第25条までの規定は、前条の事務を行う裁判所調査官について準用する。
2  前条の事務を行う裁判所調査官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所調査官は、その申立てについての決定が確定するまでその申立てがあった事件に関与することができない。

    第三節 期日及び期間

(期日の指定及び変更)
第93条  期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2  期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の