好評だった文豪ことサーモン ◆pdlO7HZYuoさんの創作物をログとして勝手にまとめさせてもらいました。問題がありましたらご連絡下さい。
10 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 10:51:27.00 ID:aC1RQrcn0.net
北海道、自宅の玄関前。
さやや母「さや~どこ行くの?」
さやや「ダンスの練習!」
靴紐を結ぶさやや。
母「またAKB?いい加減にしなさい。そんな暇あるなら牛の世話……」
さやや「終わった、宿題も、掃除も全部やったよ」
母「そう……」
さやや「じゃ、行くね」
立ち上がり、玄関の戸に手をかける。
母「夕飯までには帰ってきなさい」
さやや「うん!」
さややを見送った後、玄関に佇む母。寂しそうな目で戸を見つめる。そんな母の肩に後ろから手を置く父。
父「応援してあげよう」
母「……アイドルになんか、なれるわけないのよ」
父「分からないじゃないか」
母「東京は遠すぎる。私達には…遠すぎるのよ」
15 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 11:14:40.88 ID:aC1RQrcn0.net
舞台「おらさ東京へ行くだ」
主演 川本紗矢吉幾三
21 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 11:35:17.36 ID:GF1UTEpb0.netダンス習ってたって言ってたけどそんな場所あるんだな
30 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 12:31:10.77 ID:aC1RQrcn0.net
>>21
母「この辺りにダンス教室なんてないじゃない、いったい誰に教わってるの?」
さやや「いるよ、先生」
母「会わせなさい」
さやや「いいよ、私に付いてきて」
母はさややの後を追った。のどかな田舎道を歩き、林の中へと入っていく。
母「どこに行くの?近道?」
さやや「いいから」
延々と続く山道を歩くさややと母。
母「はぁはぁ」と疲労する。
母「ちょっと待ちなさい…どこまで歩くの?」
さやや「もうすぐ着くよ」
しばらくすると、母の目に一本の大木が映る。
さやや「いた、先生」
母「え……」
さやや「先生が、私にダンスを教えてくれるの」
大木の下に、一匹の日本狼がいる。
母「……オオカミ」
さやや「違う、先生だよ」
狼のもとへいくさやや。
母「だから言ったのよ……アイドルになんかなれないって」
おおかみと戯れるさややを見つめる母。
母「狼の血を引くあの子には……」
~おおかみこどものサヤとメグ~
71 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 12:34:23.59 ID:TVF8x5440.net
>>10 続き
公民館の外。夜。
入口のガラスドアに自分の姿を映し、イヤホンを付けて踊るさやや。彼女を照らす月の光は、まるでスポットライト。満天の星空は、サイリウムのよう。街灯は無くとも、決して暗くはない。ふと腕時計を見る。
さやや「……もう帰らなきゃ」
イヤホンを外す。
さやや「どうだった?私のダンス」
後ろを振り返る。一匹のキタキツネが、しっぽを丸めて地面に寝そべっている。目を開けるキタキツネ。
さやや「ゴン、おいで」
ゴン、と名付けられたキタキツネが、さややのほうへと歩いていく。
さやや「いい子だね」
ゴンの頭を撫でる。
さやや「何か番犬みたいだね、違うか、番狐?」
ゴンは尻尾をゆらゆらと揺らす。
さやや「明日ね。私、東京に行くの。AKBのオーディション受けるんだ。三次審査だよ、凄いでしょ?」
ゴンは視線を落とし、さややの周りをゆっくりと歩く。
72 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 12:48:04.14 ID:TVF8x5440.netさやや「内緒だよ、学校の皆にも言ってないんだから」
足を止め、顔を上げるゴン。さややを見て、応えるように鳴く。
さやや「応援してくれるの?ありがと」
しゃがみこんでゴンの頬に手を添える。ゴンの顔を、じっと見つめる。
さやや「私が小さい頃からずっと、こうやって……ゴンは、私の味方でいてくれたもんね」
ゴンに微笑みかける。さややの胸元へとスッと身を寄せるゴン。まるで、甘えているように。
さやや「私のファン、第一号だね」
ゴンを抱きしめる。
さやや「大好き」
ゴンは嬉しそうに、また尻尾を振った。
さやや「帰ろっか」
ゴンは太い尻尾をくるりと巻いた。元気よく走り出す。
さやや「置いてかないで~!」
80 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 19:25:08.97 ID:TVF8x5440.net――5月13日、東京。夕。オーディション会場・父兄待合室。
最終審査を終えた少女たちが、待合室に戻ってくる。その殆どが泣いている。親の姿を見て、また涙を流している。夢を掴むことができなかった哀しみの声が、室内に響き渡る。不安そうに娘の姿を探すさややの母。そして、父。
母「いた?」
父「いないなぁ」
母「……受かったのかしら?」
父「……まさか」
母「どうするの?受かったら」
父「………」複雑な表情を浮かべる。
母「さやと離れて暮らすことになるのよ」
父の目に、不合格になった少女たちの姿が映った。辛そうに目を背け、視線を落とす父。
父「見てられないな……」
母「お願いだから泣かないでよ」
父「……分かってるよ」
母はつま先を立て、ぞろぞろと出てくる少女達の中から、娘の姿をまた探す。
母「いた!」
父「泣いてるか?」
母「分からない、下向いてるから」
さややがゆっくりと歩いてくる。顔を上げるさやや。涙は流れていない。
82 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 21:23:52.54 ID:b/pzwpRi0.net
>>80
また新たな才能が!
84 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 22:16:31.68 ID:TVF8x5440.net母「……どうだった?」
無理に微笑むさやや。
さやや「……落ちちゃった」
父と母は互いに顔を合わせる。2人は、視線をまた娘に戻す。娘の顔から少しずつ、笑顔が消えていく。
さやや「……ごめんね」
母「何で謝るの……?」
さやや「…一緒に来てくれたのに…」
父は娘の頭にそっと手を置く。娘の頬に涙が伝っている。ツゥーと零れ落ちた涙。
父「帰ろう、北海道に。ゴンも待ってるよ」
父の胸に飛び込むさやや。
わんわんと声をあげて泣いた――。
翌日、自宅前・夜。
車から降りる両親とさやや。玄関前には、祖母とゴンがいる。
祖母「おかえり」
さやや「おばあちゃん!ただいま!」
笑顔を見せるさやや。祖母は少し目を丸くした後、にっこりと微笑みかける。さややはゴンの頭を撫でる。孫の背中をじっと見つめる祖母。
さやや「ちょっと散歩行ってくるね」
祖母「こっだら遅くにか?」
さやや「大丈夫!ゴンがいるから!」
さややとゴンは父と母の横を通り過ぎる。
母「すぐ帰ってきなさいよ」
90 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 16:47:34.23 ID:QiWokwtP0.net続きはよ涙が止まらん
91 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 19:39:56.88 ID:H4HEstgB0.netさややとゴンの姿が、草原のほうへと消える。とぼとぼと父と母に歩み寄る祖母。
祖母「……無理してんべ、さや」
父「ずっとあの調子だよ」
母「さやが会場で泣いた時、どうしていいか分からなかったわよ」
父「正直さ、落ちたって聞いた時…俺はホッとしたんだ……。“これで、さやと離れなくて済む”ってさ」
母「……私だってそうよ」
父「もうたくさんだよ」
祖母「……何がだ?」
父「あんな顔はもう見たくない」
母「……そうね」
祖母「まぁ、いい経験になったんじゃねぇか」
父「普通の人生がいい……。分かってくれるといいんだけど……」
父の目に、小さな三輪車が映った。幼き日の娘の姿と一緒に。
92 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 21:11:23.47 ID:1eruFDP20.net真っ直ぐ伸びる道を歩くさややとゴン。ほんの少し顔を上げて、満天の星空に視線を送るさやや。
さやや「全然違うね……東京の空と」
ゴンはさややの歩幅に合わせて、ゆっくりと歩いている。
さやや「……オーディションにさ、小嶋真子ちゃん、って子がいたんだけどね。笑顔がすっごいキラキラしてた。一緒に、踊りたかったなぁ……」
ゴンがふと立ち止まった。いつもダンスの練習をしていた公民館の前だ。
さやや「………?」
ゴンは公民館のほうに顔を向けると、寂しそうな声で鳴いた。
さやや「もういいんだよ、練習しなくても」
ゴンはじっとさややの顔を見つめる。困った顔をするさやや。踵を返し、その場から去ろうとする。ゴンがさややの歩みを止めるように、道を塞ぎ、じっと見ている。
さやや「もういいの、帰ろう」
ゴンは動こうとしない。何かを訴えるように、見据えてくる。
さやや「……私の夢は終わったの」
ゴンはさややのズボンの裾を噛み、引っ張っている。公民館のほうへと顔を向けるゴン。
切ない目をするさややは、静かにしゃがみこみ、ゴンと同じ視線の高さで話しかける。
さやや「東京ってね、すっごく遠いの。行くのにお金だってかかる。あれが、最後のチャンスだったの。だから……私は………」
93 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 21:30:47.69 ID:9oGFTVVZ0.net勝手俺が思ってるだけだけど二曲目。初日にたどり着いても終わらないで欲しい。
94 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 22:48:26.44 ID:3feE/XVy0.net切ねぇ…ゴン。さややを頼むぞ
95 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 00:23:21.32 ID:Kqu4Lfw10.netゴンは裾から口を放すと、心の道に迷うさややの顔を見て鳴いた。
さやや「私は……」
ゴンが公民館の敷地にある一本の桜の木の前へと歩いていく。寝そべるようにしゃがみ、太い尻尾をくるりと巻いたゴン。さややがガラスドアの前でダンスの練習をする時は、ゴンは決まって、その桜の木の下で待っている。ゴンに見守られながら、この場所で練習してきたこれまでの日々が、目に浮かぶ。
さやや「まだ……」
目に涙を浮かべている。
さやや「……諦めたくない」
前へと足を踏み出すさやや。ゴンはその姿をじっと見ている。いつものように。
さやや「…また応援してくれる?」
ガラスドアの前に立つさやや。ゴンは鳴いて応えた。さややは涙をゴシゴシと拭う。
さやや「……聴いて、ゴン」
歌を口ずさむさやや。ひょこっと顔を上げるゴン。押し花のような決心を抱えたさややは、満天の星空の下、一匹のファンのために歌を歌った。それは、AKB48の「桜の木になろう」という歌だった。
98 :47の素敵な(WiMAX)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 08:37:18.12 ID:N2vyeLdS0.net泣ける
99 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 10:40:01.68 ID:eKBXrTuE0.netいいぞ早く続きを!
100 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 11:56:47.20 ID:BrWGQapO0.netやべぇよ…文豪現る!!
101 :47の素敵な(大阪府)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 13:29:10.12 ID:7beCjs1X0.net是非続きお願いします!!できるだけ長くお願いします!
102 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 19:49:25.60 ID:59uAPOKt0.netそれから、さややとゴンは、これまで通り公民館に通い続ける。ガラスドアの前で、踊るさやや。桜の木の下で、それを見守るゴン。ひたすら、次のチャンスを待ち続ける。そして、1年が過ぎた。
2013年、8月13日。自宅の台所。
さやや「お母さん!」
母「どうしたの?そんな大声出して」
母は包丁で野菜を切っている。娘に背を向けたまま。トントン、と野菜を切る音が続く。
さやや「“ドラフト候補生”だって!!AKBのオーディションだよ!」
トントンという音が止まる。手を止める母。
母「……そう」
さやや「受けてもいい?」
母の背中を見つめるさやや。
母「……ダメよ」
さやや「……なんで?なんでダメなの?」
母「分かってるでしょ。東京に行くのにどれだけのお金がかかると思ってるの?そんな余裕……ないわよ」
さやや「お金なら返す!働いてちゃんと返すから!!」
母「……ダメなものはダメよ」
さやや「……私、諦めたくない。アイドルに……なりたい」
母「……大人になりなさい」
トントン、野菜を切る音がまた続く。
さやや「大人になるって…夢を忘れることなの?私……違うと思う……。そんなの……絶対違う」
母「……」
さやや「ごめんなさい…」
母「これ、置いとくね……」
103 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 19:51:48.33 ID:59uAPOKt0.netさややはそう言って、台所から去っていく。振り返る母。娘の影を切なそうに見つめる。机に置かれた紙を手に取る。『AKB48 ドラフト候補生 募集』オーディションの概要が書かれた紙に、目を通す母。祖母が台所に入ってくる。祖母の手にも同じ紙がある。
祖母「あたしのとこにも来たよ」
母「おばあちゃんは何て言ったの?」
祖母「そりゃあ反対したさ」
母「私……間違ってるのかしら」
祖母「……どうだかわかんね。けど、ありゃあ簡単には諦めねぇさ。さやは、根性ある子だ」
母「なにそれ、自分だって反対したくせに。さやを応援してるみたいな言い方じゃない」
祖母「そりゃあ応援してるに決まってるさ。可愛い孫だ。いつだって応援してる」
母「じゃあ、何で反対したのよ」
祖母「……1年前、東京から帰って来た時のあんた達の顔。あれ思い出したら、簡単には“いいよ”なんて言えねぇさ。親の気持ちは…よく分かってるつもりだ」
祖母「まぁ、さやとあんた達の我慢比べだな」
祖母は笑いながら台所から去る。祖母の影を見送った後、再び紙に目をやる母。
母「……もう見たくないのよ…。さやの…あんな顔……」
母の瞼の裏には、1年前、オーディションに落ちた時の娘の姿が映っている。わんわんと泣いた娘の顔が、目に浮かんでいた―――。
それから毎日、さややは母に、オーディションを受けたいと訴え続ける。頑なに拒み続ける母。何度も何度も懇願するさやや。刻々と、受付の締切日が近付いてくる。時間だけが過ぎていく。
―――締切日の4日前。
105 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 00:53:46.27 ID:NymYAiE50.netこのスレは落とさないようにしよう
106 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 01:15:36.23 ID:8nHUhKMW0.net公民館。夕。
ガラスドアの前で踊るさやや。両膝に手をついて、「はぁはぁ」と肩で息をする。首にかけたタオルで汗を拭う。ガラスドアに映る自分の姿を、じっと見据えるさやや。
さやや「もう、間に合わないかも…。……今回はダメだったけれど、次のオーディションの時には、皆を説得する。諦めない。だから、心配しなくていいよ。私は………大丈夫」
さややは後ろを振り返る。
さやや「……あれ?」
桜の木の下にいたはずの、ゴンの姿がない。
さやや「……先に帰ったのかな」
自宅前、同時刻。
牛の世話を終えた母が、玄関の戸に手をかける。すると、ズボンの裾が何かに引っ張られる。
母「……?」
足もとを見ると、ゴンが裾を咥えている。
母「ゴン、どうしたの?」
縁側にいた祖母が、それに気付いた。
祖母「“こっちに来い”って言ってんじゃねぇか?」
母「……私に?」
祖母「……行ってあげなさい」
母「分かったわよ……」
裾から口を放したゴン。一度、祖母のほうへ顔を向ける。祖母はゴンを見て、小さく頷く。ゴンは祖母に太い尻尾を向けると、道のほうへと歩いていく。ゴンの後をついていく母。
祖母「……」
道に出たゴンは、立ち止まり、後ろを振り返る。遠くから、祖母を見つめるゴン。月の光がぽぅーとゴンを照らす。
祖母「……優しい狐だ」
107 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 02:56:52.64 ID:YExrnJQQ0.netゴンよ、さややはお前に託した…
110 :47の素敵な(富山県)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 07:09:36.14 ID:H8UeQV9S0.netこれは傑作だ
111 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 13:30:04.15 ID:VmSOPEhc0.net文豪期待あげ
112 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 14:19:08.94 ID:BTWcURt20.netゴンはまた前を向くと、戸惑う母をどこかへと導く。真っ直ぐに伸びた道を歩く母。そして、ゴン。
母「……分かってるのよ」
ゴンは振り返らずに、ただ静かに歩いている。
母「あなたが私をどこに連れて行こうとしてるのか……」
歩み続けるゴン、太い尻尾をゆらゆらと振る。
母「ゴン、あなたには感謝してるの。あなたがいてくれたから、さやは寂しがることはなかった。小さい頃からずっと……一緒にいてくれたから。これからも、あの子の味方でいてあげてね」
ゴンがふと立ち止まる。顔を上げ、母を見つめている。小さな声で鳴くと、また歩き出す。しばらくして、公民館が見えてくる。
母「私ね。さやが踊ってるとこ……一度も見たことがないのよ。いいえ……見ようとしなかった。……どうしてか分かる?」
ゴンは公民館の敷地に入っていく。道の上で、立ち止まる母。
母「怖いのよ、あの子が遠くに行ってしまいそうで」
母の目に、娘の姿が映る。ガラスドアの前で踊る娘の姿。月の光が、スポットライトのように、娘を差している。
母「綺麗……」
桜の木の下に戻ったゴン。地面に寝そべり、太い尻尾をくるりと巻く。ふと、後ろを振り返るさやや。ゴンの姿に気付く。
さやや「あれ……?先に帰ったのかと思った」
ゴンのもとへと歩むさやや。母の姿に気付く。
さやや「お母さん……どうして」
113 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 15:47:11.15 ID:y1k3UT6oO.net方言や訛りに慣れてないなら、使わない方が違和感は少ない
頑張れ文豪!
114 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:24:52.49 ID:BTWcURt20.net優しく微笑む母。
母「ご飯よ。家に帰りましょう」
さやや「……うん」
ゴンに視線を送る母。ゴンがひょこっと顔を上げ、母に視線を送る。ゴンに微笑みかける母。
さやや「……なに、どうしたの?」
母「…なんでもないわよ」
母はそう言って笑う。帰り道、真っ直ぐ伸びた道を歩くさややと母、そしてゴン。
母「……ご飯食べたら、履歴書書きなさい」
さやや「…え?」
母「オーディション、受けるんでしょ」
さやや「いいの?」
母「……2人だけの秘密よ」
さやや「秘密?」
母「お父さん、反対してるから。もし書類審査が受かって、東京に行くことになったら……話せばいいわ。その時は、私も一緒に説得する」
さやや「お母さん……」
足を止めたさややが微笑む。さややの足もとにいるゴン。
さやや「ありがとう」
母は、そんな2人の姿を見て、優しい笑みを浮かべている。前を向いて、また歩き出すさややとゴン。
母「あの子を守ってね…ゴン」
1週間後、一次審査合格の通知が届く。二次審査の面接は東京で行う。9月15日が、面接の日。母と一緒に、さややは父を説得しようとする。だが、東京に行く許可を貰えぬまま、日々が過ぎていく。
115 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:28:32.64 ID:BTWcURt20.net9月13日、自宅。夜。
父「ダメだって言ってるだろ」
さやや「お願い!東京に行かせて!」
父「諦めなさい」
さやや「……やだ、諦めない」
父「そんなに家を出たいのか?」
さやや「そんなこと言ってないじゃん……」
涙ぐむさやや。父はテーブルに置かれた、オーディションの概要が書かれた紙を手に取る。
父「受かったら、そうなるんだ。お前は東京で暮らすことになる。けれど、未成年のお前にまだそんな力はない。母さんも一緒に住むことになるだろう。そうなった時の母さんの気持ち、考えたことあるか?故郷を離れる母さんの気持ちだ」
さやや「………なら、私1人で……」
視線を母に向ける。さややは戸惑いの色を浮かべている。
母「そういうわけにはいかないわよ。あなたは学生だもの。事務所の人だって、許さないわよ」
さやや「………お父さんとおばあちゃん、置いてくことになるの?」
父「………俺は北海道が好きだし、仕事だってある。だからこの町を離れるわけにはいかない。おばあちゃんだってそうだ。東京で、新しい生活を始めるなんて無理だ」
父が険しい顔をする。俯くさやや。テレビを見ていた祖母がお茶を啜る。
祖母「あたしのことは気にしなくていい。さやのやりたいようにやれ。それが、1番だ」
父「……かぁさん」
116 :47の素敵な(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:30:26.21 ID:phuZyxzi0.net良スレ見つけた
117 :47の素敵な(dion軍)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 18:35:30.48 ID:cE5LVN+F0.net文豪、頑張ってるね楽しみにしてる
118 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 20:24:47.73 ID:YExrnJQQ0.netあのばぁあやの訛りがえーんじゃないか!!ゴン。引き続き頼むぞ
―一旦スレ落ちる―
続きはこちら
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