創作

「創作」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

創作」(2015/07/01 (水) 03:39:33) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p>好評だった文豪こと<strong>サーモン ◆pdlO7HZYuo</strong>さんの創作物をログとして勝手にまとめさせてもらいました。<br /> 問題がありましたらご連絡下さい。</p> <p><span style="color:#FF0000;">10 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/29(水) 10:51:27.00 ID:aC1RQrcn0</span></p> <p>北海道、自宅の玄関前。</p> <p>さやや母「さや~どこ行くの?」</p> <p>さやや「ダンスの練習!」</p> <p>靴紐を結ぶさやや。</p> <p>母「またAKB?いい加減にしなさい。<br /> そんな暇あるなら牛の世話……」</p> <p>さやや「終わった、宿題も、掃除も全部やったよ」</p> <p>母「そう……」</p> <p>さやや「じゃ、行くね」</p> <p>立ち上がり、玄関の戸に手をかける。</p> <p>母「夕飯までには帰ってきなさい」</p> <p>さやや「うん!」</p> <p>さややを見送った後、玄関に佇む母。<br /> 寂しそうな目で戸を見つめる。<br /> そんな母の肩に後ろから手を置く父。</p> <p>父「応援してあげよう」</p> <p>母「……アイドルになんか、なれるわけないのよ」</p> <p>父「分からないじゃないか」</p> <p>母「東京は遠すぎる。私達には…遠すぎるのよ」</p> <p><span style="color:#FF0000;">15 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/29(水) 11:14:40.88 ID:aC1RQrcn0</span></p> <p>舞台「おらさ東京へ行くだ」</p> <p>主演 川本紗矢<br /> 吉幾三</p> <p><span style="color:#0000FF;">21 名前:47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/29(水) 11:35:17.36 ID:GF1UTEpb0</span><br /> ダンス習ってたって言ってたけどそんな場所あるんだな</p> <p><span style="color:#FF0000;">30 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/29(水) 12:31:10.77 ID:aC1RQrcn0</span></p> <p>&gt;&gt;21</p> <p>母「この辺りにダンス教室なんてないじゃない、<br /> いったい誰に教わってるの?」</p> <p>さやや「いるよ、先生」</p> <p>母「会わせなさい」</p> <p>さやや「いいよ、私に付いてきて」</p> <p>母はさややの後を追った。<br /> のどかな田舎道を歩き、林の中へと入っていく。</p> <p>母「どこに行くの?近道?」</p> <p>さやや「いいから」</p> <p>延々と続く山道を歩くさややと母。</p> <p>母「はぁはぁ」と疲労する。</p> <p>母「ちょっと待ちなさい…どこまで歩くの?」</p> <p>さやや「もうすぐ着くよ」</p> <p>しばらくすると、母の目に一本の大木が映る。</p> <p>さやや「いた、先生」</p> <p>母「え……」</p> <p>さやや「先生が、私にダンスを教えてくれるの」</p> <p>大木の下に、一匹の日本狼がいる。</p> <p>母「……オオカミ」</p> <p>さやや「違う、先生だよ」</p> <p>狼のもとへいくさやや。</p> <p>母「だから言ったのよ……<br /> アイドルになんかなれないって」</p> <p>おおかみと戯れるさややを見つめる母。</p> <p>母「狼の血を引くあの子には……」</p> <p><br /> ~おおかみこどものサヤとメグ~</p> <p><span style="color:#FF0000;">71 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/30(木) 12:34:23.59 ID:TVF8x5440</span></p> <p>&gt;&gt;10 続き</p> <p>公民館の外。夜。</p> <p>入口のガラスドアに自分の姿を映し、<br /> イヤホンを付けて踊るさやや。<br /> 彼女を照らす月の光は、まるでスポットライト。<br /> 満天の星空は、サイリウムのよう。<br /> 街灯は無くとも、決して暗くはない。<br /> ふと腕時計を見る。</p> <p>さやや「……もう帰らなきゃ」</p> <p>イヤホンを外す。</p> <p>さやや「どうだった?私のダンス」</p> <p>後ろを振り返る。<br /> 一匹のキタキツネが、しっぽを丸めて<br /> 地面に寝そべっている。<br /> 目を開けるキタキツネ。</p> <p>さやや「ゴン、おいで」</p> <p>ゴン、と名付けられたキタキツネが、<br /> さややのほうへと歩いていく。</p> <p>さやや「いい子だね」</p> <p>ゴンの頭を撫でる。</p> <p>さやや「何か番犬みたいだね、違うか、番狐?」</p> <p>ゴンは尻尾をゆらゆらと揺らす。</p> <p>さやや「明日ね。私、東京に行くの。<br /> AKBのオーディション受けるんだ。<br /> 三次審査だよ、凄いでしょ?」</p> <p>ゴンは視線を落とし、さややの周り<br /> をゆっくりと歩く。</p> <p><span style="color:#FF0000;">72 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/30(木) 12:48:04.14 ID:TVF8x5440</span><br /> さやや「内緒だよ、学校の皆にも言ってないんだから」</p> <p>足を止め、顔を上げるゴン。<br /> さややを見て、応えるように鳴く。</p> <p>さやや「応援してくれるの?ありがと」</p> <p>しゃがみこんでゴンの頬に手を添える。<br /> ゴンの顔を、じっと見つめる。</p> <p>さやや「私が小さい頃からずっと、<br /> こうやって……ゴンは、私の味方でいてくれたもんね」</p> <p>ゴンに微笑みかける。<br /> さややの胸元へとスッと身を寄せるゴン。<br /> まるで、甘えているように。</p> <p>さやや「私のファン、第一号だね」</p> <p>ゴンを抱きしめる。</p> <p>さやや「大好き」</p> <p>ゴンは嬉しそうに、また尻尾を振った。</p> <p>さやや「帰ろっか」</p> <p>ゴンは太い尻尾をくるりと巻いた。<br /> 元気よく走り出す。</p> <p>さやや「置いてかないで~!」</p> <p>80 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/30(木) 19:25:08.97 ID:TVF8x5440 [3/4]<br /> ――5月13日、東京。夕。<br /> オーディション会場・父兄待合室。</p> <p>最終審査を終えた少女たちが、待合室に戻ってくる。<br /> その殆どが泣いている。<br /> 親の姿を見て、また涙を流している。夢を掴むことができなかった哀しみの<br /> 声が、室内に響き渡る。<br /> 不安そうに娘の姿を探すさややの母。<br /> そして、父。</p> <p>母「いた?」</p> <p>父「いないなぁ」</p> <p>母「……受かったのかしら?」</p> <p>父「……まさか」</p> <p>母「どうするの?受かったら」</p> <p>父「………」複雑な表情を浮かべる。</p> <p>母「さやと離れて暮らすことになるのよ」</p> <p>父の目に、不合格になった少女たちの<br /> 姿が映った。<br /> 辛そうに目を背け、視線を落とす父。</p> <p>父「見てられないな……」</p> <p>母「お願いだから泣かないでよ」</p> <p>父「……分かってるよ」</p> <p>母はつま先を立て、ぞろぞろと出てくる少女達の中から、娘の姿をまた探す。</p> <p>母「いた!」</p> <p>父「泣いてるか?」</p> <p>母「分からない、下向いてるから」</p> <p>さややがゆっくりと歩いてくる。<br /> 顔を上げるさやや。<br /> 涙は流れていない。</p> <p><span style="color:#0000FF;">82 名前:47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/30(木) 21:23:52.54 ID:b/pzwpRi0</span></p> <p>&gt;&gt;80</p> <p>また新たな才能が!</p> <p><span style="color:#FF0000;">84 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/04/30(木) 22:16:31.68 ID:TVF8x5440</span><br /> 母「……どうだった?」</p> <p>無理に微笑むさやや。</p> <p>さやや「……落ちちゃった」</p> <p>父と母は互いに顔を合わせる。<br /> 2人は、視線をまた娘に戻す。<br /> 娘の顔から少しずつ、笑顔が消えていく。</p> <p>さやや「……ごめんね」</p> <p>母「何で謝るの……?」</p> <p>さやや「…一緒に来てくれたのに…」</p> <p>父は娘の頭にそっと手を置く。<br /> 娘の頬に涙が伝っている。<br /> ツゥーと零れ落ちた涙。</p> <p>父「帰ろう、北海道に。ゴンも待ってるよ」</p> <p>父の胸に飛び込むさやや。</p> <p>わんわんと声をあげて泣いた――。</p> <p>翌日、自宅前・夜。</p> <p>車から降りる両親とさやや。<br /> 玄関前には、祖母とゴンがいる。</p> <p>祖母「おかえり」</p> <p>さやや「おばあちゃん!ただいま!」</p> <p>笑顔を見せるさやや。<br /> 祖母は少し目を丸くした後、<br /> にっこりと微笑みかける。<br /> さややはゴンの頭を撫でる。<br /> 孫の背中をじっと見つめる祖母。</p> <p>さやや「ちょっと散歩行ってくるね」</p> <p>祖母「こっだら遅くにか?」</p> <p>さやや「大丈夫!ゴンがいるから!」</p> <p>さややとゴンは父と母の横を通り過ぎる。</p> <p>母「すぐ帰ってきなさいよ」</p> <p>さやや「うん!」</p> <p><span style="color:#0000FF;">90 名前:47の素敵な(茸)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/01(金) 16:47:34.23 ID:QiWokwtP0</span><br /> 続きはよ<br /> 涙が止まらん</p> <p><span style="color:#FF0000;">91 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/01(金) 19:39:56.88 ID:H4HEstgB0</span><br /> さややとゴンの姿が、草原のほうへと消える。<br /> とぼとぼと父と母に歩み寄る祖母。</p> <p>祖母「……無理してんべ、さや」</p> <p>父「ずっとあの調子だよ」</p> <p>母「さやが会場で泣いた時、どうしていいか分からなかったわよ」</p> <p>父「正直さ、落ちたって聞いた時…<br /> 俺はホッとしたんだ……。<br /> “これで、さやと離れなくて済む”ってさ」</p> <p>母「……私だってそうよ」</p> <p>父「もうたくさんだよ」</p> <p>祖母「……何がだ?」</p> <p>父「あんな顔はもう見たくない」</p> <p>母「……そうね」</p> <p>祖母「まぁ、いい経験になったんじゃねぇか」</p> <p>父「普通の人生がいい……。<br /> 分かってくれるといいんだけど……」</p> <p>父の目に、小さな三輪車が映った。<br /> 幼き日の娘の姿と一緒に。</p> <p><span style="color:#FF0000;">92 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/01(金) 21:11:23.47 ID:1eruFDP20</span><br /> 真っ直ぐ伸びる道を歩くさややとゴン。<br /> ほんの少し顔を上げて、<br /> 満天の星空に視線を送るさやや。</p> <p>さやや「全然違うね……東京の空と」</p> <p>ゴンはさややの歩幅に合わせて、<br /> ゆっくりと歩いている。</p> <p>さやや「……オーディションにさ、<br /> 小嶋真子ちゃん、って子がいたんだけどね。<br /> 笑顔がすっごいキラキラしてた。<br /> 一緒に、踊りたかったなぁ……」</p> <p>ゴンがふと立ち止まった。<br /> いつもダンスの練習をしていた公民館の前だ。</p> <p>さやや「………?」</p> <p>ゴンは公民館のほうに顔を向けると、<br /> 寂しそうな声で鳴いた。</p> <p>さやや「もういいんだよ、練習しなくても」</p> <p>ゴンはじっとさややの顔を見つめる。<br /> 困った顔をするさやや。<br /> 踵を返し、その場から去ろうとする。<br /> ゴンがさややの歩みを止めるように、<br /> 道を塞ぎ、じっと見ている。</p> <p>さやや「もういいの、帰ろう」</p> <p>ゴンは動こうとしない。<br /> 何かを訴えるように、見据えてくる。</p> <p>さやや「……私の夢は終わったの」</p> <p>ゴンはさややのズボンの裾を噛み、<br /> 引っ張っている。<br /> 公民館のほうへと顔を向けるゴン。</p> <p>切ない目をするさややは、<br /> 静かにしゃがみこみ、<br /> ゴンと同じ視線の高さで話しかける。</p> <p>さやや「東京ってね、すっごく遠いの。行くのにお金だってかかる。<br /> あれが、最後のチャンスだったの。<br /> だから……私は………」</p> <p><span style="color:#0000FF;">93 名前:47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/01(金) 21:30:47.69 ID:9oGFTVVZ0</span><br /> 勝手俺が思ってるだけだけど二曲目。<br /> 初日にたどり着いても終わらないで欲しい。</p> <p><span style="color:#0000FF;">94 名前:47の素敵な(茸)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/01(金) 22:48:26.44 ID:3feE/XVy0</span><br /> 切ねぇ…<br /> ゴン。さややを頼むぞ</p> <p><span style="color:#FF0000;">95 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/02(土) 00:23:21.32 ID:Kqu4Lfw10</span><br /> ゴンは裾から口を放すと、心の道に迷うさややの顔を見て鳴いた。</p> <p>さやや「私は……」</p> <p>ゴンが公民館の敷地にある一本の<br /> 桜の木の前へと歩いていく。<br /> 寝そべるようにしゃがみ、<br /> 太い尻尾をくるりと巻いたゴン。<br /> さややがガラスドアの前でダンスの練習をする時は、<br /> ゴンは決まって、その桜の木の下で待っている。<br /> ゴンに見守られながら、<br /> この場所で練習してきたこれまでの日々が、目に浮かぶ。</p> <p>さやや「まだ……」</p> <p>目に涙を浮かべている。</p> <p>さやや「……諦めたくない」</p> <p>前へと足を踏み出すさやや。<br /> ゴンはその姿をじっと見ている。<br /> いつものように。</p> <p>さやや「…また応援してくれる?」</p> <p>ガラスドアの前に立つさやや。<br /> ゴンは鳴いて応えた。<br /> さややは涙をゴシゴシと拭う。</p> <p>さやや「……聴いて、ゴン」</p> <p>歌を口ずさむさやや。<br /> ひょこっと顔を上げるゴン。<br /> 押し花のような決心を抱えたさやや<br /> は、満天の星空の下、<br /> 一匹のファンのために歌を歌った。<br /> それは、AKB48の「桜の木になろう」という歌だった。</p> <p><span style="color:#0000FF;">98 名前:47の素敵な(WiMAX)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/02(土) 08:37:18.12 ID:N2vyeLdS0</span><br /> 泣ける</p> <p><span style="color:#0000FF;">99 名前:47の素敵な(北海道)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/02(土) 10:40:01.68 ID:eKBXrTuE0</span><br /> いいぞ早く続きを!</p> <p><span style="color:#0000FF;">100 名前:47の素敵な(茸)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/02(土) 11:56:47.20 ID:BrWGQapO0</span><br /> やべぇよ…文豪現る!!</p> <p><span style="color:#0000FF;">101 名前:47の素敵な(大阪府)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/02(土) 13:29:10.12 ID:7beCjs1X0</span><br /> 是非続きお願いします!!<br /> できるだけ長くお願いします!</p> <p><span style="color:#FF0000;">102 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/02(土) 19:49:25.60 ID:59uAPOKt0</span><br /> それから、さややとゴンは、<br /> これまで通り公民館に通い続ける。<br /> ガラスドアの前で、踊るさやや。<br /> 桜の木の下で、それを見守るゴン。<br /> ひたすら、次のチャンスを待ち続ける。<br /> そして、1年が過ぎた。</p> <p>2013年、8月13日。<br /> 自宅の台所。</p> <p>さやや「お母さん!」</p> <p>母「どうしたの?そんな大声出して」</p> <p>母は包丁で野菜を切っている。<br /> 娘に背を向けたまま。<br /> トントン、と野菜を切る音が続く。</p> <p>さやや「“ドラフト候補生”だって!!AKBのオーディションだよ!」</p> <p>トントンという音が止まる。<br /> 手を止める母。</p> <p>母「……そう」</p> <p>さやや「受けてもいい?」</p> <p>母の背中を見つめるさやや。</p> <p>母「……ダメよ」</p> <p>さやや「……なんで?なんでダメなの?」</p> <p>母「分かってるでしょ。<br /> 東京に行くのにどれだけのお金がかかると思ってるの?<br /> そんな余裕……ないわよ」</p> <p>さやや「お金なら返す!働いてちゃんと返すから!!」</p> <p>母「……ダメなものはダメよ」</p> <p>さやや「……私、諦めたくない。<br /> アイドルに……なりたい」</p> <p>母「……大人になりなさい」</p> <p>トントン、野菜を切る音がまた続く。</p> <p>さやや「大人になるって…夢を忘れることなの?<br /> 私……違うと思う……。<br /> そんなの……絶対違う」</p> <p>母「……」</p> <p>さやや「ごめんなさい…」</p> <p>母「……」</p> <p>母「これ、置いとくね……」</p> <p><span style="color:#FF0000;">103 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/02(土) 19:51:48.33 ID:59uAPOKt0</span><br /> さややはそう言って、台所から去っていく。<br /> 振り返る母。<br /> 娘の影を切なそうに見つめる。<br /> 机に置かれた紙を手に取る。<br /> 『AKB48 ドラフト候補生 募集』<br /> オーディションの概要が書かれた<br /> 紙に、目を通す母。<br /> 祖母が台所に入ってくる。<br /> 祖母の手にも同じ紙がある。</p> <p>祖母「あたしのとこにも来たよ」</p> <p>母「おばあちゃんは何て言ったの?」</p> <p>祖母「そりゃあ反対したさ」</p> <p>母「私……間違ってるのかしら」</p> <p>祖母「……どうだかわかんね。<br /> けど、ありゃあ簡単には諦めねぇさ。<br /> さやは、根性ある子だ」</p> <p>母「なにそれ、自分だって反対したくせに。<br /> さやを応援してるみたいな言い方じゃない」</p> <p>祖母「そりゃあ応援してるに決まってるさ。<br /> 可愛い孫だ。<br /> いつだって応援してる」</p> <p>母「じゃあ、何で反対したのよ」</p> <p>祖母「……1年前、東京から帰って来た時のあんた達の顔。<br /> あれ思い出したら、<br /> 簡単には“いいよ”なんて言えねぇさ。<br /> 親の気持ちは…よく分かってるつもりだ」</p> <p>母「……」</p> <p>祖母「まぁ、さやとあんた達の我慢比べだな」</p> <p>祖母は笑いながら台所から去る。<br /> 祖母の影を見送った後、<br /> 再び紙に目をやる母。</p> <p>母「……もう見たくないのよ…。<br /> さやの…あんな顔……」</p> <p>母の瞼の裏には、1年前、<br /> オーディションに落ちた時の娘の姿が映っている。<br /> わんわんと泣いた娘の顔が、<br /> 目に浮かんでいた―――。</p> <p>それから毎日、さややは母に、<br /> オーディションを受けたいと訴え続ける。<br /> 頑なに拒み続ける母。<br /> 何度も何度も懇願するさやや。<br /> 刻々と、受付の締切日が近付いてくる。<br /> 時間だけが過ぎていく。</p> <p>―――締切日の4日前。</p> <p><span style="color:#0000FF;">105 名前:47の素敵な(北海道)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 00:53:46.27 ID:NymYAiE50</span><br /> このスレは落とさないようにしよう</p> <p><span style="color:#FF0000;">106 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 01:15:36.23 ID:8nHUhKMW0</span><br /> 公民館。夕。</p> <p>ガラスドアの前で踊るさやや。<br /> 両膝に手をついて、「はぁはぁ」と<br /> 肩で息をする。<br /> 首にかけたタオルで汗を拭う。<br /> ガラスドアに映る自分の姿を、<br /> じっと見据えるさやや。</p> <p>さやや「もう、間に合わないかも…。<br /> ……今回はダメだったけれど、<br /> 次のオーディションの時には、皆を説得する。諦めない。<br /> だから、心配しなくていいよ。<br /> 私は………大丈夫」</p> <p>さややは後ろを振り返る。</p> <p>さやや「……あれ?」</p> <p>桜の木の下にいたはずの、ゴンの姿がない。</p> <p>さやや「……先に帰ったのかな」</p> <p>自宅前、同時刻。</p> <p>牛の世話を終えた母が、<br /> 玄関の戸に手をかける。<br /> すると、ズボンの裾が何かに引っ張られる。</p> <p>母「……?」</p> <p>足もとを見ると、ゴンが裾を咥えている。</p> <p>母「ゴン、どうしたの?」</p> <p>縁側にいた祖母が、それに気付いた。</p> <p>祖母「“こっちに来い”って言ってんじゃねぇか?」</p> <p>母「……私に?」</p> <p>祖母「……行ってあげなさい」</p> <p>母「分かったわよ……」</p> <p>裾から口を放したゴン。<br /> 一度、祖母のほうへ顔を向ける。<br /> 祖母はゴンを見て、小さく頷く。<br /> ゴンは祖母に太い尻尾を向けると、<br /> 道のほうへと歩いていく。<br /> ゴンの後をついていく母。</p> <p>祖母「……」</p> <p>道に出たゴンは、立ち止まり、<br /> 後ろを振り返る。<br /> 遠くから、祖母を見つめるゴン。<br /> 月の光がぽぅーとゴンを照らす。</p> <p>祖母「……優しい狐だ」</p> <p><span style="color:#0000FF;">107 名前:47の素敵な(茸)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/03(日) 02:56:52.64 ID:YExrnJQQ0</span><br /> ゴンよ、さややはお前に託した…</p> <p><span style="color:#0000FF;">110 名前:47の素敵な(富山県)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 07:09:36.14 ID:H8UeQV9S0</span><br /> これは傑作だ</p> <p><span style="color:#0000FF;">111 名前:47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 13:30:04.15 ID:VmSOPEhc0</span><br /> 文豪期待あげ</p> <p><span style="color:#FF0000;">112 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 14:19:08.94 ID:BTWcURt20</span><br /> ゴンはまた前を向くと、<br /> 戸惑う母をどこかへと導く。<br /> 真っ直ぐに伸びた道を歩く母。<br /> そして、ゴン。</p> <p>母「……分かってるのよ」</p> <p>ゴンは振り返らずに、<br /> ただ静かに歩いている。</p> <p>母「あなたが私をどこに連れて行こうとしてるのか……」</p> <p>歩み続けるゴン、太い尻尾を<br /> ゆらゆらと振る。</p> <p>母「ゴン、あなたには感謝してるの。<br /> あなたがいてくれたから、<br /> さやは寂しがることはなかった。<br /> 小さい頃からずっと……<br /> 一緒にいてくれたから。<br /> これからも、あの子の味方でいてあげてね」</p> <p>ゴンがふと立ち止まる。<br /> 顔を上げ、母を見つめている。<br /> 小さな声で鳴くと、また歩き出す。<br /> しばらくして、公民館が見えてくる。</p> <p>母「私ね。さやが踊ってるとこ……<br /> 一度も見たことがないのよ。<br /> いいえ……見ようとしなかった。<br /> ……どうしてか分かる?」</p> <p>ゴンは公民館の敷地に入っていく。<br /> 道の上で、立ち止まる母。</p> <p>母「怖いのよ、あの子が遠くに行ってしまいそうで」</p> <p>母の目に、娘の姿が映る。<br /> ガラスドアの前で踊る娘の姿。<br /> 月の光が、スポットライトのように、<br /> 娘を差している。</p> <p>母「綺麗……」</p> <p>桜の木の下に戻ったゴン。<br /> 地面に寝そべり、太い尻尾をくるりと巻く。<br /> ふと、後ろを振り返るさやや。<br /> ゴンの姿に気付く。</p> <p>さやや「あれ……?先に帰ったのかと思った」</p> <p>ゴンのもとへと歩むさやや。<br /> 母の姿に気付く。</p> <p>さやや「お母さん……どうして」</p> <p><span style="color:#0000FF;">113 名前:47の素敵な(北海道)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 15:47:11.15 ID:y1k3UT6oO</span><br /> 方言や訛りに慣れてないなら、使わない方が違和感は少ない</p> <p>頑張れ文豪!</p> <p><span style="color:#FF0000;">114 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 17:24:52.49 ID:BTWcURt20</span><br /> 優しく微笑む母。</p> <p>母「ご飯よ。家に帰りましょう」</p> <p>さやや「……うん」</p> <p>ゴンに視線を送る母。<br /> ゴンがひょこっと顔を上げ、<br /> 母に視線を送る。<br /> ゴンに微笑みかける母。</p> <p>さやや「……なに、どうしたの?」</p> <p>母「…なんでもないわよ」</p> <p>母はそう言って笑う。<br /> 帰り道、真っ直ぐ伸びた道を歩くさややと母、そしてゴン。</p> <p>母「……ご飯食べたら、履歴書書きなさい」</p> <p>さやや「…え?」</p> <p>母「オーディション、受けるんでしょ」</p> <p>さやや「いいの?」</p> <p>母「……2人だけの秘密よ」</p> <p>さやや「秘密?」</p> <p>母「お父さん、反対してるから。<br /> もし書類審査が受かって、<br /> 東京に行くことになったら……<br /> 話せばいいわ。<br /> その時は、私も一緒に説得する」</p> <p>さやや「お母さん……」</p> <p>足を止めたさややが微笑む。<br /> さややの足もとにいるゴン。</p> <p>さやや「ありがとう」</p> <p>母は、そんな2人の姿を見て、<br /> 優しい笑みを浮かべている。<br /> 前を向いて、また歩き出すさややとゴン。</p> <p>母「あの子を守ってね…ゴン」</p> <p>1週間後、一次審査合格の通知が届く。<br /> 二次審査の面接は東京で行う。<br /> 9月15日が、面接の日。<br /> 母と一緒に、さややは父を説得しようとする。<br /> だが、東京に行く許可を貰えぬまま、<br /> 日々が過ぎていく。</p> <p><span style="color:#FF0000;">115 名前:47の素敵な(庭)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 17:28:32.64 ID:BTWcURt20</span><br /> 9月13日、自宅。夜。</p> <p>父「ダメだって言ってるだろ」</p> <p>さやや「お願い!東京に行かせて!」</p> <p>父「諦めなさい」</p> <p>さやや「……やだ、諦めない」</p> <p>父「そんなに家を出たいのか?」</p> <p>さやや「そんなこと言ってないじゃん……」</p> <p>涙ぐむさやや。<br /> 父はテーブルに置かれた、<br /> オーディションの概要が書かれた<br /> 紙を手に取る。</p> <p>父「受かったら、そうなるんだ。<br /> お前は東京で暮らすことになる。<br /> けれど、未成年のお前にまだそんな力はない。<br /> 母さんも一緒に住むことになるだろう。<br /> そうなった時の母さんの気持ち、<br /> 考えたことあるか?故郷を離れる母さんの気持ちだ」</p> <p>さやや「………なら、私1人で……」</p> <p>視線を母に向ける。<br /> さややは戸惑いの色を浮かべている。</p> <p>母「そういうわけにはいかないわよ。<br /> あなたは学生だもの。<br /> 事務所の人だって、許さないわよ」</p> <p>さやや「………お父さんとおばあちゃん、置いてくことになるの?」</p> <p>父「………俺は北海道が好きだし、仕事だってある。<br /> だからこの町を離れるわけにはいかない。<br /> おばあちゃんだってそうだ。<br /> 東京で、新しい生活を始めるなんて無理だ」</p> <p>父が険しい顔をする。<br /> 俯くさやや。<br /> テレビを見ていた祖母がお茶を啜る。</p> <p>祖母「あたしのことは気にしなくていい。<br /> さやのやりたいようにやれ。<br /> それが、1番だ」</p> <p>父「……かぁさん」</p> <p><span style="color:#0000FF;">116 名前:47の素敵な(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 17:30:26.21 ID:phuZyxzi0</span><br /> 良スレ見つけた</p> <p><span style="color:#0000FF;">117 名前:47の素敵な(dion軍)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/03(日) 18:35:30.48 ID:cE5LVN+F0</span><br /> 文豪、頑張ってるね<br /> 楽しみにしてる</p> <p><span style="color:#0000FF;">118 名前:47の素敵な(茸)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/05/03(日) 20:24:47.73 ID:YExrnJQQ0</span><br /> あのばぁあやの訛りがえーんじゃないか!!<br /> ゴン。引き続き頼むぞ</p> <p> </p> <p> </p> <p><span style="color:#0000FF;"><span style="font-size:20px;"><strong><span style="background-color:rgb(240,255,240);">―一旦スレ落ちる―</span></strong></span></span></p> <p><span style="font-size:20px;"><span style="color:rgb(0,0,255);"><span style="background-color:rgb(240,255,240);">続きは<a href="http://www9.atwiki.jp/sayaya/pages/22.html">こちら</a></span></span></span></p>
<p>好評だった文豪こと<strong>サーモン ◆pdlO7HZYuo</strong>さんの創作物をログとして勝手にまとめさせてもらいました。<br /> 問題がありましたらご連絡下さい。</p> <p><span style="color:#FF0000;">10 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 10:51:27.00 ID:aC1RQrcn0.net</span></p> <p>北海道、自宅の玄関前。</p> <p>さやや母「さや~どこ行くの?」</p> <p>さやや「ダンスの練習!」</p> <p>靴紐を結ぶさやや。</p> <p>母「またAKB?いい加減にしなさい。<br /> そんな暇あるなら牛の世話……」</p> <p>さやや「終わった、宿題も、掃除も全部やったよ」</p> <p>母「そう……」</p> <p>さやや「じゃ、行くね」</p> <p>立ち上がり、玄関の戸に手をかける。</p> <p>母「夕飯までには帰ってきなさい」</p> <p>さやや「うん!」</p> <p>さややを見送った後、玄関に佇む母。<br /> 寂しそうな目で戸を見つめる。<br /> そんな母の肩に後ろから手を置く父。</p> <p>父「応援してあげよう」</p> <p>母「……アイドルになんか、なれるわけないのよ」</p> <p>父「分からないじゃないか」</p> <p>母「東京は遠すぎる。私達には…遠すぎるのよ」</p> <p><span style="color:#FF0000;">15 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 11:14:40.88 ID:aC1RQrcn0.net</span></p> <p>舞台「おらさ東京へ行くだ」</p> <p>主演 川本紗矢<br /> 吉幾三</p> <p><span style="color:#0000FF;">21 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 11:35:17.36 ID:GF1UTEpb0.net</span><br /> ダンス習ってたって言ってたけどそんな場所あるんだな</p> <p><span style="color:#FF0000;">30 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/29(水) 12:31:10.77 ID:aC1RQrcn0.net</span></p> <p>&gt;&gt;21</p> <p>母「この辺りにダンス教室なんてないじゃない、<br /> いったい誰に教わってるの?」</p> <p>さやや「いるよ、先生」</p> <p>母「会わせなさい」</p> <p>さやや「いいよ、私に付いてきて」</p> <p>母はさややの後を追った。<br /> のどかな田舎道を歩き、林の中へと入っていく。</p> <p>母「どこに行くの?近道?」</p> <p>さやや「いいから」</p> <p>延々と続く山道を歩くさややと母。</p> <p>母「はぁはぁ」と疲労する。</p> <p>母「ちょっと待ちなさい…どこまで歩くの?」</p> <p>さやや「もうすぐ着くよ」</p> <p>しばらくすると、母の目に一本の大木が映る。</p> <p>さやや「いた、先生」</p> <p>母「え……」</p> <p>さやや「先生が、私にダンスを教えてくれるの」</p> <p>大木の下に、一匹の日本狼がいる。</p> <p>母「……オオカミ」</p> <p>さやや「違う、先生だよ」</p> <p>狼のもとへいくさやや。</p> <p>母「だから言ったのよ……<br /> アイドルになんかなれないって」</p> <p>おおかみと戯れるさややを見つめる母。</p> <p>母「狼の血を引くあの子には……」</p> <p><br /> ~おおかみこどものサヤとメグ~</p> <p><span style="color:#FF0000;">71 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 12:34:23.59 ID:TVF8x5440.net</span></p> <p>&gt;&gt;10 続き</p> <p>公民館の外。夜。</p> <p>入口のガラスドアに自分の姿を映し、<br /> イヤホンを付けて踊るさやや。<br /> 彼女を照らす月の光は、まるでスポットライト。<br /> 満天の星空は、サイリウムのよう。<br /> 街灯は無くとも、決して暗くはない。<br /> ふと腕時計を見る。</p> <p>さやや「……もう帰らなきゃ」</p> <p>イヤホンを外す。</p> <p>さやや「どうだった?私のダンス」</p> <p>後ろを振り返る。<br /> 一匹のキタキツネが、しっぽを丸めて<br /> 地面に寝そべっている。<br /> 目を開けるキタキツネ。</p> <p>さやや「ゴン、おいで」</p> <p>ゴン、と名付けられたキタキツネが、<br /> さややのほうへと歩いていく。</p> <p>さやや「いい子だね」</p> <p>ゴンの頭を撫でる。</p> <p>さやや「何か番犬みたいだね、違うか、番狐?」</p> <p>ゴンは尻尾をゆらゆらと揺らす。</p> <p>さやや「明日ね。私、東京に行くの。<br /> AKBのオーディション受けるんだ。<br /> 三次審査だよ、凄いでしょ?」</p> <p>ゴンは視線を落とし、さややの周り<br /> をゆっくりと歩く。</p> <p><span style="color:#FF0000;">72 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 12:48:04.14 ID:TVF8x5440.net</span><br /> さやや「内緒だよ、学校の皆にも言ってないんだから」</p> <p>足を止め、顔を上げるゴン。<br /> さややを見て、応えるように鳴く。</p> <p>さやや「応援してくれるの?ありがと」</p> <p>しゃがみこんでゴンの頬に手を添える。<br /> ゴンの顔を、じっと見つめる。</p> <p>さやや「私が小さい頃からずっと、<br /> こうやって……ゴンは、私の味方でいてくれたもんね」</p> <p>ゴンに微笑みかける。<br /> さややの胸元へとスッと身を寄せるゴン。<br /> まるで、甘えているように。</p> <p>さやや「私のファン、第一号だね」</p> <p>ゴンを抱きしめる。</p> <p>さやや「大好き」</p> <p>ゴンは嬉しそうに、また尻尾を振った。</p> <p>さやや「帰ろっか」</p> <p>ゴンは太い尻尾をくるりと巻いた。<br /> 元気よく走り出す。</p> <p>さやや「置いてかないで~!」</p> <p><span style="color:#FF0000;">80 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 19:25:08.97 ID:TVF8x5440.net</span><br /> ――5月13日、東京。夕。<br /> オーディション会場・父兄待合室。</p> <p>最終審査を終えた少女たちが、待合室に戻ってくる。<br /> その殆どが泣いている。<br /> 親の姿を見て、また涙を流している。夢を掴むことができなかった哀しみの<br /> 声が、室内に響き渡る。<br /> 不安そうに娘の姿を探すさややの母。<br /> そして、父。</p> <p>母「いた?」</p> <p>父「いないなぁ」</p> <p>母「……受かったのかしら?」</p> <p>父「……まさか」</p> <p>母「どうするの?受かったら」</p> <p>父「………」複雑な表情を浮かべる。</p> <p>母「さやと離れて暮らすことになるのよ」</p> <p>父の目に、不合格になった少女たちの<br /> 姿が映った。<br /> 辛そうに目を背け、視線を落とす父。</p> <p>父「見てられないな……」</p> <p>母「お願いだから泣かないでよ」</p> <p>父「……分かってるよ」</p> <p>母はつま先を立て、ぞろぞろと出てくる少女達の中から、娘の姿をまた探す。</p> <p>母「いた!」</p> <p>父「泣いてるか?」</p> <p>母「分からない、下向いてるから」</p> <p>さややがゆっくりと歩いてくる。<br /> 顔を上げるさやや。<br /> 涙は流れていない。</p> <p><span style="color:#0000FF;">82 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 21:23:52.54 ID:b/pzwpRi0.net</span></p> <p>&gt;&gt;80</p> <p>また新たな才能が!</p> <p><span style="color:#FF0000;">84 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/04/30(木) 22:16:31.68 ID:TVF8x5440.net</span><br /> 母「……どうだった?」</p> <p>無理に微笑むさやや。</p> <p>さやや「……落ちちゃった」</p> <p>父と母は互いに顔を合わせる。<br /> 2人は、視線をまた娘に戻す。<br /> 娘の顔から少しずつ、笑顔が消えていく。</p> <p>さやや「……ごめんね」</p> <p>母「何で謝るの……?」</p> <p>さやや「…一緒に来てくれたのに…」</p> <p>父は娘の頭にそっと手を置く。<br /> 娘の頬に涙が伝っている。<br /> ツゥーと零れ落ちた涙。</p> <p>父「帰ろう、北海道に。ゴンも待ってるよ」</p> <p>父の胸に飛び込むさやや。</p> <p>わんわんと声をあげて泣いた――。</p> <p>翌日、自宅前・夜。</p> <p>車から降りる両親とさやや。<br /> 玄関前には、祖母とゴンがいる。</p> <p>祖母「おかえり」</p> <p>さやや「おばあちゃん!ただいま!」</p> <p>笑顔を見せるさやや。<br /> 祖母は少し目を丸くした後、<br /> にっこりと微笑みかける。<br /> さややはゴンの頭を撫でる。<br /> 孫の背中をじっと見つめる祖母。</p> <p>さやや「ちょっと散歩行ってくるね」</p> <p>祖母「こっだら遅くにか?」</p> <p>さやや「大丈夫!ゴンがいるから!」</p> <p>さややとゴンは父と母の横を通り過ぎる。</p> <p>母「すぐ帰ってきなさいよ」</p> <p>さやや「うん!」</p> <p><span style="color:#0000FF;">90 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 16:47:34.23 ID:QiWokwtP0.net</span><br /> 続きはよ<br /> 涙が止まらん</p> <p><span style="color:#FF0000;">91 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 19:39:56.88 ID:H4HEstgB0.net</span><br /> さややとゴンの姿が、草原のほうへと消える。<br /> とぼとぼと父と母に歩み寄る祖母。</p> <p>祖母「……無理してんべ、さや」</p> <p>父「ずっとあの調子だよ」</p> <p>母「さやが会場で泣いた時、どうしていいか分からなかったわよ」</p> <p>父「正直さ、落ちたって聞いた時…<br /> 俺はホッとしたんだ……。<br /> “これで、さやと離れなくて済む”ってさ」</p> <p>母「……私だってそうよ」</p> <p>父「もうたくさんだよ」</p> <p>祖母「……何がだ?」</p> <p>父「あんな顔はもう見たくない」</p> <p>母「……そうね」</p> <p>祖母「まぁ、いい経験になったんじゃねぇか」</p> <p>父「普通の人生がいい……。<br /> 分かってくれるといいんだけど……」</p> <p>父の目に、小さな三輪車が映った。<br /> 幼き日の娘の姿と一緒に。</p> <p><span style="color:#FF0000;">92 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 21:11:23.47 ID:1eruFDP20.net</span><br /> 真っ直ぐ伸びる道を歩くさややとゴン。<br /> ほんの少し顔を上げて、<br /> 満天の星空に視線を送るさやや。</p> <p>さやや「全然違うね……東京の空と」</p> <p>ゴンはさややの歩幅に合わせて、<br /> ゆっくりと歩いている。</p> <p>さやや「……オーディションにさ、<br /> 小嶋真子ちゃん、って子がいたんだけどね。<br /> 笑顔がすっごいキラキラしてた。<br /> 一緒に、踊りたかったなぁ……」</p> <p>ゴンがふと立ち止まった。<br /> いつもダンスの練習をしていた公民館の前だ。</p> <p>さやや「………?」</p> <p>ゴンは公民館のほうに顔を向けると、<br /> 寂しそうな声で鳴いた。</p> <p>さやや「もういいんだよ、練習しなくても」</p> <p>ゴンはじっとさややの顔を見つめる。<br /> 困った顔をするさやや。<br /> 踵を返し、その場から去ろうとする。<br /> ゴンがさややの歩みを止めるように、<br /> 道を塞ぎ、じっと見ている。</p> <p>さやや「もういいの、帰ろう」</p> <p>ゴンは動こうとしない。<br /> 何かを訴えるように、見据えてくる。</p> <p>さやや「……私の夢は終わったの」</p> <p>ゴンはさややのズボンの裾を噛み、<br /> 引っ張っている。<br /> 公民館のほうへと顔を向けるゴン。</p> <p>切ない目をするさややは、<br /> 静かにしゃがみこみ、<br /> ゴンと同じ視線の高さで話しかける。</p> <p>さやや「東京ってね、すっごく遠いの。行くのにお金だってかかる。<br /> あれが、最後のチャンスだったの。<br /> だから……私は………」</p> <p><span style="color:#0000FF;">93 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 21:30:47.69 ID:9oGFTVVZ0.net</span><br /> 勝手俺が思ってるだけだけど二曲目。<br /> 初日にたどり着いても終わらないで欲しい。</p> <p><span style="color:#0000FF;">94 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/01(金) 22:48:26.44 ID:3feE/XVy0.net</span><br /> 切ねぇ…<br /> ゴン。さややを頼むぞ</p> <p><span style="color:#FF0000;">95 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 00:23:21.32 ID:Kqu4Lfw10.net</span><br /> ゴンは裾から口を放すと、心の道に迷うさややの顔を見て鳴いた。</p> <p>さやや「私は……」</p> <p>ゴンが公民館の敷地にある一本の<br /> 桜の木の前へと歩いていく。<br /> 寝そべるようにしゃがみ、<br /> 太い尻尾をくるりと巻いたゴン。<br /> さややがガラスドアの前でダンスの練習をする時は、<br /> ゴンは決まって、その桜の木の下で待っている。<br /> ゴンに見守られながら、<br /> この場所で練習してきたこれまでの日々が、目に浮かぶ。</p> <p>さやや「まだ……」</p> <p>目に涙を浮かべている。</p> <p>さやや「……諦めたくない」</p> <p>前へと足を踏み出すさやや。<br /> ゴンはその姿をじっと見ている。<br /> いつものように。</p> <p>さやや「…また応援してくれる?」</p> <p>ガラスドアの前に立つさやや。<br /> ゴンは鳴いて応えた。<br /> さややは涙をゴシゴシと拭う。</p> <p>さやや「……聴いて、ゴン」</p> <p>歌を口ずさむさやや。<br /> ひょこっと顔を上げるゴン。<br /> 押し花のような決心を抱えたさやや<br /> は、満天の星空の下、<br /> 一匹のファンのために歌を歌った。<br /> それは、AKB48の「桜の木になろう」という歌だった。</p> <p><span style="color:#0000FF;">98 :47の素敵な(WiMAX)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 08:37:18.12 ID:N2vyeLdS0.net</span><br /> 泣ける</p> <p><span style="color:#0000FF;">99 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 10:40:01.68 ID:eKBXrTuE0.net</span><br /> いいぞ早く続きを!</p> <p><span style="color:#0000FF;">100 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 11:56:47.20 ID:BrWGQapO0.net</span><br /> やべぇよ…文豪現る!!</p> <p><span style="color:#0000FF;">101 :47の素敵な(大阪府)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 13:29:10.12 ID:7beCjs1X0.net</span><br /> 是非続きお願いします!!<br /> できるだけ長くお願いします!</p> <p><span style="color:#FF0000;">102 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 19:49:25.60 ID:59uAPOKt0.net</span><br /> それから、さややとゴンは、<br /> これまで通り公民館に通い続ける。<br /> ガラスドアの前で、踊るさやや。<br /> 桜の木の下で、それを見守るゴン。<br /> ひたすら、次のチャンスを待ち続ける。<br /> そして、1年が過ぎた。</p> <p>2013年、8月13日。<br /> 自宅の台所。</p> <p>さやや「お母さん!」</p> <p>母「どうしたの?そんな大声出して」</p> <p>母は包丁で野菜を切っている。<br /> 娘に背を向けたまま。<br /> トントン、と野菜を切る音が続く。</p> <p>さやや「“ドラフト候補生”だって!!AKBのオーディションだよ!」</p> <p>トントンという音が止まる。<br /> 手を止める母。</p> <p>母「……そう」</p> <p>さやや「受けてもいい?」</p> <p>母の背中を見つめるさやや。</p> <p>母「……ダメよ」</p> <p>さやや「……なんで?なんでダメなの?」</p> <p>母「分かってるでしょ。<br /> 東京に行くのにどれだけのお金がかかると思ってるの?<br /> そんな余裕……ないわよ」</p> <p>さやや「お金なら返す!働いてちゃんと返すから!!」</p> <p>母「……ダメなものはダメよ」</p> <p>さやや「……私、諦めたくない。<br /> アイドルに……なりたい」</p> <p>母「……大人になりなさい」</p> <p>トントン、野菜を切る音がまた続く。</p> <p>さやや「大人になるって…夢を忘れることなの?<br /> 私……違うと思う……。<br /> そんなの……絶対違う」</p> <p>母「……」</p> <p>さやや「ごめんなさい…」</p> <p>母「……」</p> <p>母「これ、置いとくね……」</p> <p><span style="color:#FF0000;">103 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/02(土) 19:51:48.33 ID:59uAPOKt0.net</span><br /> さややはそう言って、台所から去っていく。<br /> 振り返る母。<br /> 娘の影を切なそうに見つめる。<br /> 机に置かれた紙を手に取る。<br /> 『AKB48 ドラフト候補生 募集』<br /> オーディションの概要が書かれた<br /> 紙に、目を通す母。<br /> 祖母が台所に入ってくる。<br /> 祖母の手にも同じ紙がある。</p> <p>祖母「あたしのとこにも来たよ」</p> <p>母「おばあちゃんは何て言ったの?」</p> <p>祖母「そりゃあ反対したさ」</p> <p>母「私……間違ってるのかしら」</p> <p>祖母「……どうだかわかんね。<br /> けど、ありゃあ簡単には諦めねぇさ。<br /> さやは、根性ある子だ」</p> <p>母「なにそれ、自分だって反対したくせに。<br /> さやを応援してるみたいな言い方じゃない」</p> <p>祖母「そりゃあ応援してるに決まってるさ。<br /> 可愛い孫だ。<br /> いつだって応援してる」</p> <p>母「じゃあ、何で反対したのよ」</p> <p>祖母「……1年前、東京から帰って来た時のあんた達の顔。<br /> あれ思い出したら、<br /> 簡単には“いいよ”なんて言えねぇさ。<br /> 親の気持ちは…よく分かってるつもりだ」</p> <p>母「……」</p> <p>祖母「まぁ、さやとあんた達の我慢比べだな」</p> <p>祖母は笑いながら台所から去る。<br /> 祖母の影を見送った後、<br /> 再び紙に目をやる母。</p> <p>母「……もう見たくないのよ…。<br /> さやの…あんな顔……」</p> <p>母の瞼の裏には、1年前、<br /> オーディションに落ちた時の娘の姿が映っている。<br /> わんわんと泣いた娘の顔が、<br /> 目に浮かんでいた―――。</p> <p>それから毎日、さややは母に、<br /> オーディションを受けたいと訴え続ける。<br /> 頑なに拒み続ける母。<br /> 何度も何度も懇願するさやや。<br /> 刻々と、受付の締切日が近付いてくる。<br /> 時間だけが過ぎていく。</p> <p>―――締切日の4日前。</p> <p><span style="color:#0000FF;">105 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 00:53:46.27 ID:NymYAiE50.net</span><br /> このスレは落とさないようにしよう</p> <p><span style="color:#FF0000;">106 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 01:15:36.23 ID:8nHUhKMW0.net</span><br /> 公民館。夕。</p> <p>ガラスドアの前で踊るさやや。<br /> 両膝に手をついて、「はぁはぁ」と<br /> 肩で息をする。<br /> 首にかけたタオルで汗を拭う。<br /> ガラスドアに映る自分の姿を、<br /> じっと見据えるさやや。</p> <p>さやや「もう、間に合わないかも…。<br /> ……今回はダメだったけれど、<br /> 次のオーディションの時には、皆を説得する。諦めない。<br /> だから、心配しなくていいよ。<br /> 私は………大丈夫」</p> <p>さややは後ろを振り返る。</p> <p>さやや「……あれ?」</p> <p>桜の木の下にいたはずの、ゴンの姿がない。</p> <p>さやや「……先に帰ったのかな」</p> <p>自宅前、同時刻。</p> <p>牛の世話を終えた母が、<br /> 玄関の戸に手をかける。<br /> すると、ズボンの裾が何かに引っ張られる。</p> <p>母「……?」</p> <p>足もとを見ると、ゴンが裾を咥えている。</p> <p>母「ゴン、どうしたの?」</p> <p>縁側にいた祖母が、それに気付いた。</p> <p>祖母「“こっちに来い”って言ってんじゃねぇか?」</p> <p>母「……私に?」</p> <p>祖母「……行ってあげなさい」</p> <p>母「分かったわよ……」</p> <p>裾から口を放したゴン。<br /> 一度、祖母のほうへ顔を向ける。<br /> 祖母はゴンを見て、小さく頷く。<br /> ゴンは祖母に太い尻尾を向けると、<br /> 道のほうへと歩いていく。<br /> ゴンの後をついていく母。</p> <p>祖母「……」</p> <p>道に出たゴンは、立ち止まり、<br /> 後ろを振り返る。<br /> 遠くから、祖母を見つめるゴン。<br /> 月の光がぽぅーとゴンを照らす。</p> <p>祖母「……優しい狐だ」</p> <p><span style="color:#0000FF;">107 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 02:56:52.64 ID:YExrnJQQ0.net</span><br /> ゴンよ、さややはお前に託した…</p> <p><span style="color:#0000FF;">110 :47の素敵な(富山県)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 07:09:36.14 ID:H8UeQV9S0.net</span><br /> これは傑作だ</p> <p><span style="color:#0000FF;">111 :47の素敵な(チベット自治区)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 13:30:04.15 ID:VmSOPEhc0.net</span><br /> 文豪期待あげ</p> <p><span style="color:#FF0000;">112 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 14:19:08.94 ID:BTWcURt20.net</span><br /> ゴンはまた前を向くと、<br /> 戸惑う母をどこかへと導く。<br /> 真っ直ぐに伸びた道を歩く母。<br /> そして、ゴン。</p> <p>母「……分かってるのよ」</p> <p>ゴンは振り返らずに、<br /> ただ静かに歩いている。</p> <p>母「あなたが私をどこに連れて行こうとしてるのか……」</p> <p>歩み続けるゴン、太い尻尾を<br /> ゆらゆらと振る。</p> <p>母「ゴン、あなたには感謝してるの。<br /> あなたがいてくれたから、<br /> さやは寂しがることはなかった。<br /> 小さい頃からずっと……<br /> 一緒にいてくれたから。<br /> これからも、あの子の味方でいてあげてね」</p> <p>ゴンがふと立ち止まる。<br /> 顔を上げ、母を見つめている。<br /> 小さな声で鳴くと、また歩き出す。<br /> しばらくして、公民館が見えてくる。</p> <p>母「私ね。さやが踊ってるとこ……<br /> 一度も見たことがないのよ。<br /> いいえ……見ようとしなかった。<br /> ……どうしてか分かる?」</p> <p>ゴンは公民館の敷地に入っていく。<br /> 道の上で、立ち止まる母。</p> <p>母「怖いのよ、あの子が遠くに行ってしまいそうで」</p> <p>母の目に、娘の姿が映る。<br /> ガラスドアの前で踊る娘の姿。<br /> 月の光が、スポットライトのように、<br /> 娘を差している。</p> <p>母「綺麗……」</p> <p>桜の木の下に戻ったゴン。<br /> 地面に寝そべり、太い尻尾をくるりと巻く。<br /> ふと、後ろを振り返るさやや。<br /> ゴンの姿に気付く。</p> <p>さやや「あれ……?先に帰ったのかと思った」</p> <p>ゴンのもとへと歩むさやや。<br /> 母の姿に気付く。</p> <p>さやや「お母さん……どうして」</p> <p><span style="color:#0000FF;">113 :47の素敵な(北海道)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 15:47:11.15 ID:y1k3UT6oO.net</span><br /> 方言や訛りに慣れてないなら、使わない方が違和感は少ない</p> <p>頑張れ文豪!</p> <p><span style="color:#FF0000;">114 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:24:52.49 ID:BTWcURt20.net</span><br /> 優しく微笑む母。</p> <p>母「ご飯よ。家に帰りましょう」</p> <p>さやや「……うん」</p> <p>ゴンに視線を送る母。<br /> ゴンがひょこっと顔を上げ、<br /> 母に視線を送る。<br /> ゴンに微笑みかける母。</p> <p>さやや「……なに、どうしたの?」</p> <p>母「…なんでもないわよ」</p> <p>母はそう言って笑う。<br /> 帰り道、真っ直ぐ伸びた道を歩くさややと母、そしてゴン。</p> <p>母「……ご飯食べたら、履歴書書きなさい」</p> <p>さやや「…え?」</p> <p>母「オーディション、受けるんでしょ」</p> <p>さやや「いいの?」</p> <p>母「……2人だけの秘密よ」</p> <p>さやや「秘密?」</p> <p>母「お父さん、反対してるから。<br /> もし書類審査が受かって、<br /> 東京に行くことになったら……<br /> 話せばいいわ。<br /> その時は、私も一緒に説得する」</p> <p>さやや「お母さん……」</p> <p>足を止めたさややが微笑む。<br /> さややの足もとにいるゴン。</p> <p>さやや「ありがとう」</p> <p>母は、そんな2人の姿を見て、<br /> 優しい笑みを浮かべている。<br /> 前を向いて、また歩き出すさややとゴン。</p> <p>母「あの子を守ってね…ゴン」</p> <p>1週間後、一次審査合格の通知が届く。<br /> 二次審査の面接は東京で行う。<br /> 9月15日が、面接の日。<br /> 母と一緒に、さややは父を説得しようとする。<br /> だが、東京に行く許可を貰えぬまま、<br /> 日々が過ぎていく。</p> <p><span style="color:#FF0000;">115 :47の素敵な(庭)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:28:32.64 ID:BTWcURt20.net</span><br /> 9月13日、自宅。夜。</p> <p>父「ダメだって言ってるだろ」</p> <p>さやや「お願い!東京に行かせて!」</p> <p>父「諦めなさい」</p> <p>さやや「……やだ、諦めない」</p> <p>父「そんなに家を出たいのか?」</p> <p>さやや「そんなこと言ってないじゃん……」</p> <p>涙ぐむさやや。<br /> 父はテーブルに置かれた、<br /> オーディションの概要が書かれた<br /> 紙を手に取る。</p> <p>父「受かったら、そうなるんだ。<br /> お前は東京で暮らすことになる。<br /> けれど、未成年のお前にまだそんな力はない。<br /> 母さんも一緒に住むことになるだろう。<br /> そうなった時の母さんの気持ち、<br /> 考えたことあるか?故郷を離れる母さんの気持ちだ」</p> <p>さやや「………なら、私1人で……」</p> <p>視線を母に向ける。<br /> さややは戸惑いの色を浮かべている。</p> <p>母「そういうわけにはいかないわよ。<br /> あなたは学生だもの。<br /> 事務所の人だって、許さないわよ」</p> <p>さやや「………お父さんとおばあちゃん、置いてくことになるの?」</p> <p>父「………俺は北海道が好きだし、仕事だってある。<br /> だからこの町を離れるわけにはいかない。<br /> おばあちゃんだってそうだ。<br /> 東京で、新しい生活を始めるなんて無理だ」</p> <p>父が険しい顔をする。<br /> 俯くさやや。<br /> テレビを見ていた祖母がお茶を啜る。</p> <p>祖母「あたしのことは気にしなくていい。<br /> さやのやりたいようにやれ。<br /> それが、1番だ」</p> <p>父「……かぁさん」</p> <p><span style="color:#0000FF;">116 :47の素敵な(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 17:30:26.21 ID:phuZyxzi0.net</span><br /> 良スレ見つけた</p> <p><span style="color:#0000FF;">117 :47の素敵な(dion軍)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 18:35:30.48 ID:cE5LVN+F0.net</span><br /> 文豪、頑張ってるね<br /> 楽しみにしてる</p> <p><span style="color:#0000FF;">118 :47の素敵な(茸)@\(^o^)/:2015/05/03(日) 20:24:47.73 ID:YExrnJQQ0.net</span><br /> あのばぁあやの訛りがえーんじゃないか!!<br /> ゴン。引き続き頼むぞ</p> <p> </p> <p> </p> <p><span style="color:#0000FF;"><span style="font-size:20px;"><strong><span style="background-color:rgb(240,255,240);">―一旦スレ落ちる―</span></strong></span></span></p> <p><span style="font-size:20px;"><span style="color:rgb(0,0,255);"><span style="background-color:rgb(240,255,240);">続きは<a href="http://www9.atwiki.jp/sayaya/pages/22.html">こちら</a></span></span></span></p>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: