「んぁ~むっ♪」
女の子にあるまじき大口をあけて、みさお…俺は“みさ”と呼んでいる…弁当のミートボールを放り込む。
まぁ、彼女の場合、それが魅力でもあるのだけれど。
「~♪」
もきゅもきゅと満面の笑顔で頬張る様を見ていると、思わず笑みがこぼれてしまう。
それは、一緒に食事をしている峰岸さんやかがみさんもいっしょらしい。
「…? あんだよ、やんねーぞ?」
そんな俺たちを見て、取られると思ったのか弁当箱を隠すみさ。
「いや、そうじゃなくて。…なんてか、さ。みさはいっつも幸せそうに食べてるなぁって」
「そーか? …まぁ、食べてるときは実際しあわせだしな~」
ちょっと照れたように、みさが笑う。
「だから…」
ひょいっとミートボールを咥えて、俺に近寄る。
「…んっ」
―――ちゅっ
「!!?」
俺の口にミートボールが転がり込む。
…っていうか、口移し!?
「えへへ…しあわせの、おすそわけってヤツだゼ♪」
照れ笑いを浮かべ、みさがそう言う。
多分、今俺、めっちゃ顔赤い。
「…あのさ、ゆうき」
「な、何?」
唇についたソースをぺロリとなめて、みさが俺を呼ぶ。
「おいしーもの食べてるときもしあわせなんだけどさ」
ええと…と口篭りながら、
「…今、こーやってゆうきといるときも、すっげー幸せなんだぜ。ホントのはなし」
耳まで真っ赤になりながらそう言うみさが、とてつもなく愛しい。
「…うん。俺も…幸せ」
これでもかってくらいに、想ってくれている人がいる。
それを幸せと言わず、なんと言うのか。
知ってるやつがいたら是非教えてくれ。
全力で否定してやるから。
「…柊ちゃん、一言」
「…自重しろバカップル」
完全に蚊帳の外の友人二人の視線が、ちょっとだけ痛かった。