――物心ついた頃から、そうだった。
――それを話すと、お父さんはいつも怪訝そうな……それから、ちょっと悲しそうな顔をした。
――だから……私は、心の奥に隠すことにした。
「あー、気にしないで。小さい頃の話だし」
――物心ついた頃から、見えていた。
――でもすぐに、それは他の人には見えないものだと知った。
――だから……私は見えないふりをした。
「行こ。……お母さんの姿は、この目にしっかり焼き付けたからさ」
――物心ついたころから、聞こえてた。
――でも、聞こえないお父さんがかわいそうだった。
――だから……二人だけの、秘密にした。
「だめだ……お母さん、どうしよっか?」
『うーん……ごめんなさいね、こなた』
――だから、私は寂しくない。
――お母さんは、いつもそばにいてくれてるから……ね。