私は、叫んでいた。
泣き叫んでいた。
もう、言葉になんか、ならなかった。
みなみ「・・・ゆた・・・違っ・・・わたっ・・・」
ゆたか「み、みなみちゃ・・・っ・・・みなみちゃんっ」
私は、ゆたかを抱き締めて。ぎゅっと抱き締めて。
ゆたかも、最初は驚いたけど、でも、強く抱き締め返してくれた。
何分か、それとも、何時間か。
二人、ずっと抱き合って泣いていた。
しばらくして、落ち着いて。
最初に口を開いたのは、ゆたか。
ゆたか「みなみちゃん」
みなみ「・・・何?ゆたか」
ゆたか「ごめんね」
みなみ「・・・私こそ、ゴメン」
ゆたか「ううん、そうじゃないの」
みなみ「・・・?」
『ゴメン』に対して『そうじゃない』?
何だろう。何が言いたいのかな。
ゆたか「今、言ったこと。先輩を諦める、って」
みなみ「・・・」
もしかして。
ゆたか「・・・やっぱり、無理かも。」
みなみ「・・・」
ああ、やっぱり
ゆたか「あっ、大丈夫!もう絶対、みなみちゃんを不安にさせるようなことはしないから。」
ゆたか「ただ、やっぱり、好きだから。今すぐ忘れるのは無理かも。」
ゆたか「・・・舌の根も乾かないうちに、こんな調子良いこと言って、ごめんなさい。」
みなみ「・・・ううん」
不思議な、気分。
みなみ「良いよ。ゆたか。」
ゆたか「みなみちゃん・・・」
こんなにも、優しい気持ち。
みなみ「逆の立場なら、きっと私もそうだから。」
ゆたか「・・・・・・」
みなみ「それで、また、嫌な気持ちになるの」
ゆたか「・・・いいの?」
たぶん、止められない。
きっとまたゆたかに嫉妬する。
でも、きっと、これが。
人を、好きになると言うこと。
みなみ「そうしたら、またこうして話そう。」
みなみ「嫌な気持ち、嫌な自分、全部伝え合おう。」
みなみ「だから、大丈夫」
みなみ「だって」
みなみ「だって、」
みなみ「私たちは、友達だから。」
ゆたか「・・・み・・・な・・・み・・・ちゃん」