―――最初は、ただの、普通の、優しいセンパイだった。

でも、いつのまにか。
その、声が。
その、笑顔が。
その、手のひらが。
その、背中が。

その、ぜんぶが。

私の中に住み着いて、離れなくなって。

・・・でも、そのことに、私自身が、気付いた時には。

その人の隣には、

もう、私の一番大切な友達が、いて。

だから、諦めたの。

諦められると、思ってた。

みなみちゃんとなら、許せる、って。

みなみちゃんを好きになったなら、しょうがないや、って。

そうして、胸の中にしまいこんで。

いつか、二人を素直に祝福できるようになる、って。

そんな、胸の痛みと戦い続けている間に、ふと、気づいてしまった。

・・・醜い、自分。



許せる?
しょうがない?
素直に祝福?



なんて、汚い自分。何様のつもりだろう。

やっぱり、こんな自分を、先輩が好きになってくれるわけが、ない。

・・・みなみちゃんに、勝てるわけがない。

こんな私、消えてなくなっちゃえばいいんだ。

・・・でも、そんな私にも、先輩は笑いかけてくれて。

やっぱり、想いを捨てることはできなくて。

だから、私はここにいる。

先輩の隣に。

想いを伝えるつもりはないけど。

ただ、横にいるだけだから。

だから。



いいよね?みなみちゃん―――

 

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最終更新:2008年04月09日 16:54