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自分が、駄目な人間だということは知っていた。

家族以外とは、マトモに会話が出来なくて。
いつも孤立して、独りでいて、いつしか、そんな自分にも慣れてしまって。


・・・それでも、少しは変われたと思う。
友達ができたから。守りたいと思える、大事な友達が。
ゆたかが、いてくれたから。

ゆたかのおかげで、私は少しだけ前に進めた気がする。
何人か、友達も増えた。優しい先輩たちとも知り合えた。


そして、・・・恥ずかしいのだけれど、その・・・好きな・・・人も、できた。


自分の世界が、瞬く間に広がって・・・まるで自分の体じゃなくなってしまったみたい。



だから、知ってしまった。
自分が知らなかった自分を。

知らなかった。

こんなにも、自分は、弱くて、・・・醜い人間なのだと言うことを。

そうして、先輩は私の隣に立って歩き出した。
近すぎず、遠すぎず。今の私と先輩を現しているかのような、曖昧な距離。
今はまだ、これでいい、とも思う。また、もう少し近づきたいな、とも思う。

どうしたいのかはよくわからないけど、不快ではない、恥ずかしいけど、心地よい悩み。





それが、ちくりと刺すような痛みに変わったのは、最近の話。

変わったのは私でもなければ、先輩でもなく。




ただ、ゆたかの居場所が変わっただけ。
今、ゆたかは・・・先輩の隣に。私の、反対側にいる。

会話も、先輩の周りが、大半を占めるようになった。




並びが変わった事に戸惑っているわけでも、中心から外れた事を寂しがっているわけでもない。


ただ、見えてしまっただけ。
今までは左右に見ていた二人を、同時に視界に入れた時に。



その中で、ゆたかが先輩を見ている眼を。







・・・私と、同じ眼で・・・先輩を見つめるゆたかを。

いつからだろう。知ってしまったのは。

ゆたか「あ、先ぱーい!」
「あ、小早川さん、岩崎さん、こんにちは。」

優しい声。私の心を包み込んでくれるような、暖かい声。

みなみ「・・・こんにちは。」
ゆたか「こんにちは。今お帰りですか?」
「ああ、日直でね。こなたさんたちはもう帰ってるよ」

そう言って苦笑いするあの人の顔も、たまらなく愛しくて、つい見つめてしまう。

ゆたか「そうなんですかー。じゃあ一緒に帰りましょうか。
・・・って、当たり前ですね。愛するみなみちゃんがいるんですしねっ」
「はは、そうだね」

時折交わす冗談は、私があわてるのを完全に分かっていて。何度言っても止めてくれなくて。

みなみ「ゆ、ゆたか・・・///」
ゆたか「あー、みなみちゃん照れてるー」

みなみ「//////」
「行こうか、岩崎さん」
みなみ「・・・はい。」

それでも、いや、だからこそ恥ずかしいくらいに、私はこの人が好きなのだと思う。