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―――それから、数日後。

駅ビルのスイーツショップにて行われる、ケーキバイキングの席に、私たちはいた。
「峰岸さん、かがみさん。今回は本当にありがとう。今日は俺が奢るからさ、好きなだけ食べてってよ」
ゆうきくんが、今回のお礼ということで招待してくれたのだ。
「好きなだけって…定額のバイキングで言われてもねぇ」
と言いつつ、柊ちゃんはさっきから頬が緩みっぱなしだ。
もちろん、かくいう私もだけれど。



「それでさ、それでさ。ゆうきがこーやってぎゅーってしてさ。『不安にさせて、ごめん。俺は、みさしか見えてないから』ってゆったんだっ。なんてゆーかさ、すげー嬉しくてっ、すげー暖かくってっ」
「はいはいわかったわかった。てゆーか日下部、あんたその話題これで10回目よ」
とろけそうな笑顔で先日の一件を報告するみさちゃんに、あの日の悲痛な面影はカケラも見当たらない。
その隣ではゆうきくんがはにかんだ、困ったような笑みを浮かべている。
恥ずかしいけど、嬉しいって感じかしら。

ふと足元をみると、みさちゃんの鞄に、私がプレゼントしたマスコットがぶら下がっている。
ゆうきくんのとふたり分、仲良く手を繋いで。

「雨降って地固まる…ね」
「固まりすぎよ…まったく」
渋い顔をしながらも、目元は笑ってる。柊ちゃんも、内心では嬉しいのだろう。

親友である二人が、幸せである事が。

「…あ、イチゴもーらいっ!」
「ちょ、みさ! それ最後の楽しみに取っといたのに!!」
「えー、端にやってるからいらないのかと思ったじゃん」

…あ、あれ?

「せめて聞こうとしろよ!」
「あーもー、うっさいなー。大体最後の楽しみ~なんて女々しいじゃん。美味しいものは先に食うもんだろー?」
「いーや、最後に取っとくべきだっ」

…また、雲行きが…?

「後で!」
「先で!」
「あーと!」
「さーき!」

…ああ、なんかにらみ合ってる……





「「………ぷっ」」

…え?

「「あははははははははっ」」
二人して大笑い。

「なんかバカみたいだな、これ」
「はは…まったくだ」
こいつぅ、とみさちゃんの頭をなでるゆうきくん。

「…な、ゆうき」
「ん?」
「もっとケンカして、もっと仲直りしよーな」
そのほうが、前よりもっと仲良くなれるから。
そう言って、みさちゃんが笑う。
「…できれば、あんまりしたくないけど」
前より仲良くなれるんなら、それもいいかな。
そういって、ゆうきくんも笑う。

「…やれやれ、一生やってろバカップル」
溜息混じりに柊ちゃんが呟く。

そう、ね。
みさちゃんとゆうきくんには、一生こんな風にいっしょにいて欲しいな。



“親友”からの、ささやかな…お願いです。



-fin-