―――翌日、昼休み屋上。
ゆたか「・・・で、あっさり断ってきちゃったんだ。」
みなみ「うん。」
・・・さっき、告白の返事をしてきた。
返事は、ただ二言。
『・・・好きになってくれてありがとう。でも、ごめんなさい。』
・・・相手は、本当に、辛そうな、悲しそうな顔で、去っていった・・・
ゆたか「・・・ええと、私と先輩との会話はどこにいっちゃったの?」
みなみ「・・・それは、ゆたかだもの・・・。先輩だって、他の人ならちゃんと断ると思う」
ゆたか「・・・優しさ、は?」
みなみ「優しいから、断るの」
ゆたか「・・・ぇええ・・・」
・・・ちなみに、ゆうべのことも、ゆたかには話した。
ゆたかも、あの日、先輩に話したのだし。
ゆたか「・・・なんか、みなみちゃん、図太くなった?」
みなみ「・・・そうかも・・・」
いろいろな気持ちを知る度に、なんだか少しずつ変わっていってる。
もちろん、一度には変われない。変わった気になってはいても、すぐに元に戻る。
・・・でも、確実に。
前には進んでいるはず―――
ひより「・・・あ、岩崎さーん!小早川さーん!」
ゆたか「・・・あれ、田村さんだぁ」
みなみ「・・・うん」
田村さんが駆け寄ってくる。かなり走ってきたらしく、息が荒い。
ひより「・・・っ、ハアハア、岩崎さん岩崎さんっ」
みなみ「・・・お、落ち着いて・・・どうしたの?」
田村さんが詰め寄ってきた。目には、怪しい光を携えて。
そして。
ひより「聞いたよ、聞いたっスよ~。告白されたんだって?」
みなみ「・・・ぇ、えっ?誰から?」
何故?私なんかの話題が、こんなに早く広まるの?
ひより「もうクラス中のウワサだよー。岩崎さんが、一年のアイドルを振った、って」
みなみ「・・・アイ、ドル・・・?」
・・・何、それ。
ひより「知らないの?相手の人、1年で一番カッコいいって、クラスでも有名なんだよ?」
・・・いや、そんなこと知るわけが・・・たしかに、いい人だとは思ったけど・・・
ひより「狙ってる子も多くて、平和協定なんかも結ばれてるくらい。学園の王子様だね。」
ゆたか「お、王子様・・・?」