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陵桜を卒業してもう何年経つだろう・・・俺、秋山ゆうきは大学の卒業式を終えたところ
講堂では、後輩との別れを惜しんで泣いてる奴もいる・・・
友人との別れを惜しみながら、俺は大学を出る。そして、呼び止められる。
「・・・先輩・・・」

俺の大好きな人、岩崎みなみ。世界でいちばん愛しい、俺の恋人。
「卒業・・・おめでとうございます・・・」
「ありがとうみなみ。ごめんな、長い時間、待たせて」
「いえ、じゃあ・・・行きましょうか・・・」
「ねぇ・・・本当に今日じゃなきゃダメ?」
「ダメです。今日逃したら・・・また、いつになるか分からない・・・」

車を走らせる事30分。ついに着いてしまった・・・
「やばい・・・緊張してきた・・・」
「先輩・・・落ち着いてください・・・」
「んなこと言われても・・・」
いま俺がいるのは、みなみの家。

実は今日は、みなみの両親へのあいさつに来たのだ。そう、ドラマでよく見るあれだ。
さっきから左の胸の鼓動がうるさい。それほど緊張していた。
「劇の本番より緊張してきた・・・・・・」

庭に入ると、勢いよく走ってきた犬に押し倒された。
チェリーだ。押し倒されたあと、顔中を舐められた。
「ちょっ、やめろって。ハハww」
「フフ・・・先輩、やっと笑いましたね・・・」
そこにはいつもの優しく、温かい笑顔があった。

気付くと、もう胸の鼓動は収まっていた。それほど緊張もしていないようだ。
「チェリーのおかげかな。ありがとう」
お礼を言うと、どういたしましてと言っているのかな?「ワン」と返事をしてくれた。

覚悟を決めて、俺はみなみの両親の待つ居間へ向かう・・・。

「お父さん、お母さん・・・連れてきたよ・・・・・」
そう言って、みなみが居間のドアを開ける。
そこには椅子に腰掛けるみなみのお母さん。そして腕を組んで目をつむっているお父さん。
実はみなみのお父さんに会うのは、今日が初めてだった・・・。

「いらっしゃい、ゆうき君。どうぞ腰掛けて」
みなみのお母さんが、柔らかい言葉で言う。言葉の通り、俺とみなみは椅子に腰掛ける。

もうどれくらい時間が経っただろう。時計を見ると、まだ5分しか経ってない。
我慢できず、俺は沈黙を破る・・・
「お父さん!!」
みなみのお父さんはゆっくりと目を開き、俺を見つめる。
「初めまして。みなみさんとお付き合いさせていただいてます、秋山ゆうきと言います。
 今日は時間を作っていただき、ありがとうございます。単刀直入に申し上げます。
 みなみさんを・・・みなみさんを僕に下さい!必ず、必ず幸せにしてみせます!!」

自分の思いを、飾らず、率直に伝える・・・。

「二つ、聞きたいことがある」
少しハスキーな声で、みなみのお父さんが質問をしてくる。
重みのある、一家の主を思わせる声だった・・・。

「この娘のどこが好きなんだ?」
「正直、分かりません。でも、今のみなみさんからなにが欠けても、好きなんです」
分かったと、お父さんは頷く。

「最後の質問だ」
緊張して次の言葉を待つ。
「君の好きな動物は?」

あまりにも普通な質問に、呆気にとられてしまった。
「あ、はい。動物ならなんでも。強いて言えば・・・犬が好きです」
そうかそうか、と頷くお父さん。そして、みなみのお母さんとお父さんが見合って頷く。
そして、お父さんが口を開く。

「うん、合格!」

みなみが口を開く。
「・・・お父さん・・・ありがとう・・・」
「みなみ、いい男性(ひと)を見つけたな。もうなにも言わない、すきにしなさい」
ポロポロと、みなみの瞳から涙が溢れていた。自然にハンカチを渡した。

「気が利くねぇ君は」
笑顔のお義父さんが、俺に言う。
「いまから孫が楽しみね、お父さん」
「そうだな、母さん」
この言葉に俺とみなみは顔を紅くして、お互いを見合う。そして笑い合う。

それからはチェリーも加わり、みなみの家で夕飯をご馳走になった。
時折チェリーがテーブルにあごをのせて、俺にご飯をおねだりしてきたりもした。
食事中、急にお義父さんが思い切ったように俺に言う。

「ゆうき君。これはわたしのお願いなんだが・・・」
その内容に、お義母さん、みなみ、俺は驚愕した。
「「「え――――――――――――!!!!」」」

「お父さん、なに言ってるの・・・」
「そうよ、いくらなんでもそれは」
「だよな。いや、悪い。忘れてくれ、ゆうき君」

しかし、俺は決めた。
「分かりました」

岩崎家そろって・・・
「「「え―――――――――――――――!!!!」」」

2年後、俺とみなみは結婚した。結婚式には小早川さんを始め、たくさんの人たちが参加してくれた。
小さな教会で、俺とみなみは永遠の愛を誓う。

そして披露宴。
こなたさん、かがみさん、つかささん、みゆきさん、黒井先生、田村さん、小早川さん、日下部さん、峰岸さん。
みんなが俺とみなみに祝福の言葉をかけてくれる。小早川さんに至っては、もう泣いてばかりだ。

不意にこなたさんが言う。
「みなみちゃんはこれから、秋山みなみになるわけか」
「まぁ、そうね。普通はそうなるわね」
「私も、峰岸から日下部になったしね。慣れるまで大変よ、みなみちゃん」

「あ!その心配はないよ。いままで通り、岩崎みなみだよ」
つかささんが「?」という顔をしている。そしてかがみさんと、みゆきさんが気付く。
「もしかして・・・・・・」
「名字が変わるのは、俺」
「どういうこと?」
田村さんと、小早川さん、日下部さんが聞いてくる。だから俺は答えた。

「こういうこと。改めて、岩崎ゆうきです」

そう、2年前にお義父さんから提示された事とは、俺が婿養子に来る!という事だった。
これにはお義父さんが多忙で家に居ない為、男がいなくなってしまう。女性2人では心配だ。
そういう訳で、俺が居れば心配ない!という訳だ。


さらに2年後。俺とみなみには、念願の赤ちゃんが生まれた。
俺たち以上に喜んでいたのは、お義父さんとお義母さんだった。
元気な男の子。どっちかといえば・・・みなみ似だ。
さぁて守るものが増えて、大変だぞこれから。

「あなた、もう寝ないと・・・」
「うん、分かってるよ・・・なぁ、みなみ」
「・・・・・・なに?」
「愛してるよ」
「・・・・ハイ」