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―――夕方、岩崎邸。



みなみ「・・・・・・」

準備はできた。
先程、告白してきた彼の机に、明日昼休みに待っている旨を綴った手紙を入れてきた。
話す言葉も、ゆたかと二人で徹底的に固めた。

・・・すべては、万端。

・・・・・・でも。

みなみ「・・・先輩は・・・あの時、・・・どんな気持ち・・・だったのかな」

・・・ふと、考えていた。
あの時。ゆたかが、先輩に告白しに行った時。

先輩は、どんな気持ちだったんだろうか。

嬉しい気持ち?

舞い上がる気持ち?

どうだろう。

思いを向けてくれるのは、嬉しい。
自分を、好きになってくれた。
一目惚れ、って言ってたけれど、それでも。

・・・でも、それに応えることは、できない。

私は、先輩が好きだから。

今、恋人同士だから、ってことだけではなく、ずっと・・・どんどん好きになってるから。

みなみ「・・・・・・先輩・・・・・・」

聞きたい。

先輩は。

いったい。

どんな。

気持ちで。

―――トゥルルル・・・

「(ピッ)・・・はい、もしもし、岩崎さん?」
みなみ「・・・先輩・・・」

良いのだろうか。

みなみ「・・・すみません・・・先輩・・・その・・・」

これは、裏切り?

みなみ「・・・あの・・・ぇと・・・」
「・・・どうしたの?言い辛いこと?」
みなみ「・・・・・・」

信じていたクセに。先輩を、ゆたかを。

みなみ「・・・いえ・・・その・・・実は・・・」
「・・・・・・・・・」

アレは、二人にとってはとっくに終わったこと。今更、どんな。

みなみ「・・・すみません、やっぱりなんでもないんです。」
「・・・岩崎さん?」

・・・やっぱり駄目。これは、先輩にも、ゆたかにも失礼。

みなみ「・・・ちょっと・・・声が聴きたくなっただけです。すみませんでした。」
「・・・・・・・・・」

・・・終わろう。

明日、きっぱりと断って、それで終わり。

みなみ「・・・切りますね。先輩、おやすみなさい。」
「・・・・・・・・・・・・うん、またね・・・岩崎さん」

―――プツッ

みなみ「・・・ハァ・・・」

携帯を閉じる。溜息を、ひとつ。
自分が、情けなくてたまらない。
たったこれだけのことで、動揺して、悩んで。
知らないことも、知らない気持ちも、まだまだ多すぎる。

少しは、成長したはずだったのに。

やっぱり、私は子供だ。

みなみ「・・・ハァ・・・」
また、溜息。もう何度目か。
気がつけば、もうすぐ9時。
みなみ「・・・・・・ねよう。」
早く寝て、明日の心構えをしておこう。

みなみ「・・・その前に・・・お風呂・・・」

ピンポーン

みなみ「・・・・・・お客?こんな時間に・・・」

何か急な用事だろうか。

まぁ母が応対するだろう。それより、早く風呂に・・・

母「みなみーっ、お客様よー」
みなみ「・・・・・・・・・?私に?」

誰だろう。ゆたか・・・なわけはない。こんな時間に。
じゃあ、一体―――
みなみ「・・・お客って、誰・・・・・・っ!!!」

一瞬、目を疑う。

幻?
違う。
では何故?
わからない。

でも。
その人は確かに、今、私の目の前にいる。

私の・・・・・・一番大切な、人。



「やっ、岩崎さん。遊びに来たよ」
みなみ「・・・せっ、先輩!?」