・・・私は今、とても困っている。
まさか。
そんな。
これは、
一体?
・・・私は、頭の中を駆け巡る頭痛とめまいとを振り払い、なんとか自分を保つ。
落ち着くために、深呼吸を一つ。
・・・無理だった。落ち着ける訳がない。
心臓は高鳴り、冷や汗は止まらない。
今、自分の目の前で起こったこと。
どうしても、自分の中に受け入れることができない。
いつか、先輩のことでゆたかと話し合った時の。
・・・あの時と同じくらい、いや、ある意味、あれ以上の動揺と、混乱。
なんで、こんなことに?
どうしたら良い?
いや、どう・・・
*「・・・答えて、くれるかな」
みなみ「・・・っっ!!!」
声が響く。
私は、喉から心臓が飛び出しそうになるのをかろうじてこらえて、相手を見返した。
*「・・・あぁよかった。無視されたのかと思った。」
みなみ「・・・い、いえ、まさか・・・」
その相手は、目線を外すことなく、私を真っ直ぐ見つめてくる。
・・・私は、そんな相手に、どう接したら良いか分からずに、視線を泳がせた。
*「そんな、他人行儀なしゃべり方しなくていいのに。同い年なんだから、タメ口でいいよ」
みなみ「ぇ・・・ぁ・・・ぃぇ・・・」
*「でさ、そろそろ、答えてくれる?」
みなみ「・・・う・・・ぇ・・・その・・・」
*「・・・・・・」
言葉が続かない。
・・・どうすれば良いのかは、実際はちゃんと分かっている。
答えは一つしかない。
いますぐ答えればいい。それで全て終わり。
でも、言葉が出てこない。
それくらい、今の私は混乱している。
*「・・・・・・ふぅ」
相手が、溜息を一つ。
・・・溜息をつきたいのは私の方だ。
*「・・・まぁいいや、とりあえず、考えておいてくれるかな?」
みなみ「・・・い、いえ・・・あの・・・ですから・・・」
*「だからタメ口でいいって。岩崎さん」
苦笑。
私は笑えない。
*「もう一度言うよ。答えはまた今度でいいから」
みなみ「・・・っ、あのっ・・・待っ・・・!!」
*「・・・すぅ・・・」
待って。
やめて。
言わないで。
だから私には―――
*「岩崎みなみさん。
―――あなたが好きです。付き合ってください。」
・・・そんな、ある日の出来事。