無題(みなみ)5
桜藤祭。こなたさん達は歓喜に浸っていた。「みんなお疲れーーーー!」「なんとかうまくいったわね」「拍手すごかったよねぇ」「そうですね、とてもよかったですね」チアダンスが成功し、各々喜び浸っているところに俺が出向く。「みんな、お疲れ様。すごく良かったよ」みんながありがとう、とお礼を述べてくる。みんないい表情をしている。ふと、岩崎さんが俺に言う。「えっと・・先輩も、がんばって・・・ください」「あぁ。みんな、楽しみにしといてくれよ!」そう、俺もこの桜藤祭で出し物をするんだ。学校の友人を集めて、バンドをやるのだ。こなたさんがアニソンやるの?と聞いてくる。するか!そんなの!しかし俺は今日、ある決意を胸にこの桜藤祭を迎えているのだ。ある人に想いを伝える・・・。そして、出番がやってくる・・・。
出番10分前。やはり緊張はするんだなぁ・・・。1組に与えられた時間は20分。単純計算して、3曲はいける。ちなみに俺はヴォーカルである。出番5分前。メンバーの一人が、舞台のそでから客席を見てみる。「やっぱりいっぱい入ってるぞ」生徒の座っている席を、目を凝らして見ていく俺。・・・いた。想いを告げる人のいる場所を確認する。し終わると同時に、白石のアナウンスが響く。「え~みなさん。楽しかった生徒の出し物も、次が最後です」一気に緊張が高まる。幕を隔てて、もう向こうには何百人という生徒がいるのだ。「こなたさん達、こんな空気のなか踊ってたのか・・・」そう考えると、負けられない気持ちが湧いてきた・・・。「よっしゃ!楽しもうぜ、みんな!!」メンバーにそう声を掛けると、おぉ!という気合。「3年生男子4人組、BATTです、どうぞ!!」幕が上がっていく。同時に、歓声が耳に届く・・・。見渡せば、こなたさん達は手を振ってくれている。それに応える俺。ギターのチューニング音が、体育館に響く。そして、始まる・・・。
ドラムの激しいリズムに合わせて、ギターとベースが続く。客席を見れば、こなたさんと田村さんとパトリシアさんが目を輝かせている。そりゃそうだ。1曲目は、アニメの主題歌にもなった曲だ。アジカン、「リライト」みんな割とのりが良く、1曲目から盛り上がってくれた。演奏が終わると、一応リーダーである俺がメンバー紹介をしていく。一通り紹介も終わったところで、2曲目に入る。2曲目は、こなたさんからのリクエストに応えた感じになる。再びこなたさん達の目が輝く。2曲目もアニメの曲だ。涼宮ハルヒ(平野綾)、God Knows…元々俺もお気に入りの一曲だったので、なんの抵抗もなく歌えた。2曲目になると、もう生徒達もノリノリだ。手拍子も凄い音に聞こえた。2曲目も終わった・・・。ついにその時がきた・・・・
「え~、次が最後になります」そう言うと、会場からえぇーーー!という声。ちょっと嬉しかった。といっても、俺にはいま、やらねばならない事がある。それをやらないと、今回出た意味がないのだ!「最後の曲は、ある人に対する・・・俺の気持ちを唄います」メンバー達は?の顔。この事は、メンバーにも内緒にしておいたんだ。「今日俺は、この場でその人に・・・告白したいと思います」会場、一気にヒートアップ!!メンバーもヒートアップ!!見てみればこなたさんはニヤニヤしてる、かがみさんはビックリ顔、つかささんは紅くなってる、みゆきさんはオロオロしてる。男子生徒が大声で聞いてくる・・・。「その子のどこが好きなのーーーーー?」「わかんねぇ。でも、ひとつだけ言えるのは・・・世界中の誰よりも、その人を愛してるってことだけだ!」沸き返る会場。先生も慌てふためいている。でもそんなの関係ねぇ!「1年D組!」おぉーーーーー!と、再び沸く会場。そして、会場中の視線が、1年D組に注がれている。そして・・・その子の名前を叫んだ・・・「1年D組・・・・・岩崎みなみさん!」
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。