無題(みなみ)4
俺は野上あきら。陵桜に転校してきた。ちなみに一人暮らしだ。「さぁて・・・行きますか・・・」ちゃんと迷わずに着くかなぁ・・・。地図は持った!これで大丈夫!!20分後、道に迷った・・・。ココはどこ?大丈夫!俺にはこの地図が・・・無い。落とした・・・。「最悪じゃねぇかぁ!!コンチクショー!!」「あの・・・どうかしましたか?」突然うしろから声を掛けられたので、少しビックリした。その子は、緑のショートカットに、ツリ目の女の子。「あぁ実は俺、転校生なんだ。でも、道に迷っちゃって・・・」「・・・なら・・・一緒に行きますか・・・?」「え、いいの?」「ハイ・・・こっちです・・・」いやぁ、助かった。学校に着いたのは、予鈴ギリギリだった。「ありがとう。助かったよ!」女の子は少し照れながら、頷いた。女の子にお礼を言って、俺は職員室へと急いだ。
担任の先生にあいさつを済ますと、早速教室に案内された。1-D組。ここが俺のクラスのようだ。先生と一緒に教室に入り、みんなの前で自己紹介をする。「神奈川から越してきました、野上あきらです。よろしく」みんなは温かく歓迎してくれた。「えぇと野上の席・・・岩崎の隣だな」指差された席の方を見ると、朝のあの女の子がいた。「あ!君は朝の・・・」「・・・あ・・・」「このクラスだったんだ!俺野上あきら、よろしく!」「岩崎・・みなみ・・・です・・・」転校初日から友達ができるなんて嬉しいなぁ。前の学校じゃ友達なんて居なかったもんな。帰り道。そんな事を考えていると、また道に迷ってしまった。途方に暮れていると、なにやら白い犬がこちらに近づいている・・・そして押し倒され、顔中を舐められた。「わっ!お、おい・・・ハハッ!」「・・・チェリー・・・」どこかで聞いたことのある声。声のする方を見ると、岩崎さんがいた。「ごめんなさい・・・怪我してない・・・ですか・・・?」「大丈夫だよ、かわいいねこの子。チェリーっていうんだ」「・・ハイ・・・でも、なんでここに・・・?」理由を説明すると、その場所までの行き方を教えてくれた。「・・・けっこう、忘れっぽいんですね・・」そう言って彼女は笑った。その笑顔が、とても綺麗だった。
転校して1週間が過ぎた。岩崎さんとも仲良くなった。小早川さんという、岩崎さんの親友とも仲良くなった。とても充実した学園生活をすごしていた。そんなある日、お昼を屋上で三人で食事をしていた。最初はたわいもない話をしながら食事をしていた。そんな時に、小早川さんが質問をしてきた。「野上君って、好きな人いるの?」「いや・・・いないかなぁ・・・」ちらっと岩崎さんを見れば、少し安心したような顔をしていた。その日の放課後、俺は買い物をする為スーパーへ向かっていた。スーパーの中へ入ると、調味料のところに見慣れた子が居る・・・。岩崎さんだ。なんか・・・似合うなぁ。ってこれじゃ俺変態だぞ・・・。「岩崎さん♪」「あ・・・野上くん。・・・なんで・・いるの?」「いや、おれ一応一人暮らしだし・・・」「一人暮らし・・・なんですか?」そう言うと、しばらく岩崎さんは考え込んでしまった。そして、口を開いた。「じゃあ・・・夕飯、作ろう・・か?」「え、いいの?」「うん。家に連絡入れるから、ちょっと・・・待ってて・・・」それから俺と岩崎さんは、俺のアパートへと向かう・・・。
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