岩崎みなみの溜息7
―――翌日、昼休み屋上。ゆたか「・・・で、あっさり断ってきちゃったんだ。」みなみ「うん。」・・・さっき、告白の返事をしてきた。返事は、ただ二言。『・・・好きになってくれてありがとう。でも、ごめんなさい。』・・・相手は、本当に、辛そうな、悲しそうな顔で、去っていった・・・ゆたか「・・・ええと、私と先輩との会話はどこにいっちゃったの?」みなみ「・・・それは、ゆたかだもの・・・。先輩だって、他の人ならちゃんと断ると思う」ゆたか「・・・優しさ、は?」みなみ「優しいから、断るの」ゆたか「・・・ぇええ・・・」・・・ちなみに、ゆうべのことも、ゆたかには話した。ゆたかも、あの日、先輩に話したのだし。ゆたか「・・・なんか、みなみちゃん、図太くなった?」みなみ「・・・そうかも・・・」いろいろな気持ちを知る度に、なんだか少しずつ変わっていってる。もちろん、一度には変われない。変わった気になってはいても、すぐに元に戻る。・・・でも、確実に。前には進んでいるはず―――
ひより「・・・あ、岩崎さーん!小早川さーん!」ゆたか「・・・あれ、田村さんだぁ」みなみ「・・・うん」田村さんが駆け寄ってくる。かなり走ってきたらしく、息が荒い。ひより「・・・っ、ハアハア、岩崎さん岩崎さんっ」みなみ「・・・お、落ち着いて・・・どうしたの?」田村さんが詰め寄ってきた。目には、怪しい光を携えて。そして。ひより「聞いたよ、聞いたっスよ~。告白されたんだって?」みなみ「・・・ぇ、えっ?誰から?」何故?私なんかの話題が、こんなに早く広まるの?ひより「もうクラス中のウワサだよー。岩崎さんが、一年のアイドルを振った、って」みなみ「・・・アイ、ドル・・・?」・・・何、それ。ひより「知らないの?相手の人、1年で一番カッコいいって、クラスでも有名なんだよ?」・・・いや、そんなこと知るわけが・・・たしかに、いい人だとは思ったけど・・・ひより「狙ってる子も多くて、平和協定なんかも結ばれてるくらい。学園の王子様だね。」ゆたか「お、王子様・・・?」
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