「そんじゃあ話を戻していいですか?」
ひかる「何がだ?」
「とぼけないで下さいよ。付き合ってくださいってやつです。」
ふゆき「本当のところ桜庭先生もマンザラじゃないんじゃないですか?」
ひかる「な、何を言っているふゆき!?」
ふゆき「だってここ最近いつも彼の事を話しましてたし」
「そうなんですか?」
ひかる「いや、生徒に告白なんかされたらお前に相談するくらいしか無いだろ?」
ふゆき「でもただ断るならわざわざ私に話す必要も無いじゃないですか?」
ひかる「いや、それはそうだが…」
ふゆき「ホントは好きだけど教師と生徒の間柄だから素直に好きと言えない、とか?」
ひかる「な、何を言っている!?」
ふゆき「ふふふ。顔が赤いですよ?」
天原先生の言う通り、桜庭先生は真っ赤になっていた。
ふゆき「ふふっ、どうやら図星ですか?」
ひかる「いや、それは、その…」
「wwwwww」
桜庭先生が言葉を濁していると、電話がなった。
ふゆき「はいもしもし。はい、ええ、分かりました。」
そう言って天原先生は電話を切る。
ふゆき「すみませんがちょっと用事ができたので、職員室に行ってきますね。」
ひかる「お、おい待ってくれふゆき。置いていかないでくれ~。」
ふゆき「子供じゃないんですから。わがまま言わないで下さい。それじゃあまた後ほど。」そう言って天原先生は保健室を後にする。
ひかる「………」
しばらく沈黙が続いた。
あやと「あの…」
ひかる「ふゆきが…」何か話そうとすると、桜庭先生が話し出した。
ひかる「ふゆきが言ったことも間違いじゃないかもしれない。お前に告白されてから変にお前を意識している。だがな…」
少しシリアスに桜庭先生は話を続けた。
ひかる「何と言うか、この気持ちが本物なのかよく分からないんだ。好きだと言われてそのままお前を意識して…なんだか自分が軽い人間に思えて仕方ないんだ。」
「桜庭先生…」
ひかる「だってそれまで特別に意識なんかもしてなかったのにただ好きだと言われて好きになったなんて…」
「……俺はそれでもいいですよ。」
ひかる「なに?」
「俺も実は、何で桜庭先生が好きなのかよく解らないんです。でも好きなんです。おかしいと思うだろうけど、それだけは確かなんです。」
ひかる「神谷…」
「だから…付き合って下さい。お互いに本当の気持ちがわかるまで。」
ひかる「……その結果お前を傷つけることになるかもしれないぞ?」
「傷つかない恋愛なんてそうそうないですよ。」
ひかる「ふん、知ったような口を…」そう言って顔をそむけた。
ひかる「本当に…本当に私でいいのか?」
小さくか細い声で桜庭先生が言った。
「先生でいいんじゃなくて、先生がいいんです。」
俺は桜庭先生を抱き締めた。抱き締めて改めて思った。この人がこんなに小さくか弱い人だったのかと。
ひかる「…仮にも恋人になるのに桜庭先生はないんじゃないか?」
「じゃあ…」
ひかる「な、何度も言わせるな//」
そう言ったこの人の頬は少し赤かった
「……ひかる……」
ひかる「神谷…」
互いに見つめ合い、徐々にその距離を縮める。そして……
ひかる「んっ……」
しばらくひかるの唇の感触を味わった。
ひかる「んっ……ふっ……あっ…」
唇を離した時のひかるは、少し息を切らしていた。
ひかる「はぁ…はぁ…」
ヤバい……スゴく可愛い……。いつものひかるからは想像もつかない姿だ。
「ひかる!」
俺はひかるをベッドに押し倒した
ひかる「お、おい!?ここは学校だぞ!?」
「ごめん…でも、もう一回…」
もう一度キスを迫ったまさにその時だった。
ふゆき「お待たせしまし…」
天原先生が戻ってきた。それはもう、漫画のようなタイミングに。
ふゆき「すみません…お邪魔でしたね。」
ひかる「ちょ、まてふゆき!勘違いするな!」
ふゆき「私だから良かったですけど、もし他の人だったらクビになりますよ?」
ひかる「だから違う!」
ふゆき「とりあえず鍵くらいはしてくださいね。」
ひかる「人の話を聞け~!」
ふゆき「ふふふ。それじゃあごゆっくり。」おっとりと笑ってまた天原先生は保健室を出ていってしまった。
ひかる「最悪だ…」
「まさかあのタイミングで来るとは予想外でしたね~。」
ひかる「呑気に言ってる場合か!?」
「まあ天原先生だから黙っててくれますよ」
ひかる「まあそうだが…」
「だ・か・ら」
ひかる「???」
「さっきの続きを~」
ひかる「少しは自重しろ!」
おしまい