突撃みなみの初デート
「さて、嫌な予感がぷんぷんするな…」今日の下校時のことだった。俺は恋人の岩崎さんとその親友の小早川さんと三人で下校していた。その時、小早川さんがゆたか「先輩はデートはどこに行ってるんですか?」なんて聞いてきた。「いや、まだ行ったことないかも」岩崎さんと付き合い始めて一月程経ったが、考えてみるとこうして一緒に登下校したり昼休みに会ったりはしても、デートらしいことをした覚えは無かった。ゆたか「ダメですよ~。恋人同士なんだしデートくらい行ってあげてくださいよ。みなみちゃんだって行きたいよね?」みなみ「で、でも先輩も忙しいし…//」確かに桜藤祭が終わってからはクラスも受験一色となり、俺も勉強に勤しんでいた。でも1日も休まずに勉強ができるほど俺は真面目な人間じゃない。デートだって出来ないわけではない。でも…「デートってどこに行けばいいのかな?」今まで恋人など居なかった俺には分からなかった。岩崎さんに行きたい場所を聞いてみようかとも考えたが遠慮がちな彼女に聞いても本音を言うとは思えなかったので聞かずに今に至っていた。ゆたか「う~ん…あ!お姉ちゃんに聞いてみよう」「ちょ、それだけは…」ゆたか「あ、先輩、私たち道こっちなので」俺が喋りきる前に別れの時間が来てしまったゆたか「それじゃあ先輩、さようなら。」みなみ「先輩、また明日」そう言って二人は行ってしまった。マズイ。デート自体は構わないが、そのことをよりにもよってこなたさんに聞くとは。劇のために俺と恋人に なろうとして俺におはようのキスをしようとした人がまともなデートプランを考えるとは思えない。何とか岩崎さんが阻止してくれると良いんだが…。考えても仕方ないと 自分に言い聞かせて、俺はさっさと寝た。そして翌日、教室に行くと
こなた「あやと君、あやと君、プラン考えてきたよ」どうやら岩崎さんは阻止できなかったようだ…「プランって何の事?」無駄と思いつつ知らんぷりをしてみる。こなた「もちろん、君とみなみちゃんのデートプランだよ~」やっぱりそうなのか・・・・こなた「さあさあお礼なんていいから受け取りたまへ。」そう言ってこなたさんはおれにそれぞれ1、2、3と書かれた三封の封筒を渡した。「何これ?」こなた「デートのプランだよ。開けてみて」そう言われてまず1と書かれた封を開ける。しかし、書いてあるのは日程と場所と次の封を開ける時間だけだった。「これってプランなの?」こなた「まぁまぁ、2を開ければ解るよ。あ、でも絶対指示の時間まで開けないでね。開けたら絶交しちゃうよ?」さらりと酷い事を言ってくれますね。別に帰ってからみれば分かりもしないのだが、ばか正直なのか、俺はそれを開けなかった。最初に開けた封に入った紙によると日程は 今週の土曜、場所はちょっと遠くの水族館だった。思ったよりマトモだったので少し意外だったが、せっかく考えてくれた様なので、素直に従った。幸い岩崎さんも用事が ないとの事なので俺たちの初デートが決まった。そして当日…俺は早めに起きて待ち合わせの駅へ向かった。駅に着くと、もう岩崎さんが着いていた。女の子待たすなんてダメだな俺はなんて思いつつ、岩崎さんに声をかける。「ごめん、待たせちゃった?」みなみ「いえ、私も今来た所ですし…」予想通りの返事を聞いて、電車で目的地に向かう。これといった会話は無いが不思議と寂しさや退屈感は無く、黙っていても心地よさすら感じていた。30分程電車に揺られて目的地に着く。みなみ「それで、泉先輩のプランはどんなものなのですか?」「ん?これから開ける。え~となになに?」2「着いたらテキトーに楽しみたまへ。あ、でも帰る前に外の観覧車に乗るのを忘れずに。観覧車に乗ったら3を開けてね」「テキトーにって…これをプランと呼んでいいのか?」そもそもそのテキトーがよくわからないからプランを考えたんじゃないのか?みなみ「どうしましょう…」少し不安そうに岩崎さんが言う。「まぁせっかく来たんだし行ってみようよ。それに、こなたさんのプランはともかく、俺が岩崎さんとその…デートしたいって気持ちはホントだし」みなみ「先輩…////」ちょっとした言葉で照れてしまうのは相変わらずみたいだが、そんな所が堪らなく可愛い。とりあえず最初にどこに行こうか話しながら歩く。???「さ~てどんなデートになるかな?」水族館なんて学校の社会科見学か何かでしか来たことなかったが、これが意外と楽しい。ただ珍しい魚やらペンギンやらを見るだけだと思ったが、デートというだけでこうも楽しいものなのかと不思議な感覚だった。そのため、思ったより長くいたせいでいつもより遅い昼食になった。昼食を終えると俺たちは外のテーマパークに来た。そこにはちょっとした遊園地に負けないくらいのアトラクションがある。しかし、水族館で時間を使いすぎたせいでもう時間が無かった。そのため、こなたさんに言われた 観覧車だけでも乗ろうという結論に至った。
15分程待ち、俺たちは観覧車に乗った。???「お、乗ったみたいだよ」???「ねぇ、やっぱりやめない?何か悪いよ」???「まぁまぁ、幸せな二人を見守ろうと言うことで」???「どう考えても余計なお世話だろ…」観覧車に乗ったはいいが、沈黙が続く。無理もない。狭い密室に二人きりという状況が十数分続くわけだから。最初に沈黙を破ったのは岩崎さんだったみなみ「…あ、あの…泉先輩の最後のプランは何て書いてあるんですか?」「あ、うん今開ける。え~と…」3「観覧車がてっぺんまでいったらキッスだよ(^з^)-☆Chu!!」……何ですと!?油断していた。ちょっと考えれば予想できそうなのになぜ気がつかなかった。「えっと…どうしよう?」みなみ「えっ…////」気まずい。何とも気まずい。つーかどこぞのハニカミデートだなどと考えているとみなみ「あ、あの…」岩崎さんが先に考えが決まったようだみなみ「あ、あの…先輩がよければ…泉先輩の指示に従っても…////」そう言って岩崎さんは俺の方を向いて目を閉じた。そして俺は……………チュ………みなみ「え?」岩崎さんは少し困惑していた。確かにキスをした。しかし、アメリカ人の挨拶のキスよりも簡素なものだったと思う。
みなみ「あ、あの…」「俺は…」岩崎さんが話し終わる前に俺が話す。「俺は今こなたさんの指示でキスをした。でも、今からもう一度、今度は自分の意思で岩崎さんとキスがしたい。いいかな?」恥ずかしかったが、確かな自分の思いを告げる。みなみ「……はい……////」そう言って岩崎さんはまた目を閉じる。俺は彼女の唇にそっと近づき・・・・みなみ「んっ………」しばらくの間心地よい沈黙が俺たちを包んだ。みなみ「あっ……」キスを終えた岩崎さんを俺は抱き締めていた。「大好きだよ、岩崎さん…」みなみ「先輩……////」そのまま何分経っただろうか。気がついた時にはもう観覧車が終わりに近づいていた。「残念、もう時間か」みなみ「そうですね…でも…」「ん?」みなみ「今日は楽しかったです。それに、キスも……できましたし……////」そう言っている間に終わりがきた。観覧車からでてすぐに、???「wwwwwwww」電話がなった。こなたさんからだったこなた「もしもし~?デートは楽しめたかな?」「あんな手抜きのプランでよく言うな」こなた「まぁまぁ、ホントに好きな人といればどんな時間も楽しくなるのさ~」それは否定しないが…おかしい。観覧車からでてすぐ電話なんてできすぎている「……まさか」
俺は適当にこなたさんと会話を続けながらみなみと観覧車周辺を見て回った。すると…「やっぱり!」こなた「ふおっ!?」俺の予想通りにこなたさんが、いや、こなたさんたちがいた。かがみさんつかささんみゆきさんのいつもの四人に、さらに小早川さんと田村さん、パティさんまでいた。 「何でここにいるのかな?」こなた「皆で遊びに来たって言ったら信じる?」「双眼鏡持って?」こなた「うぅ…手厳しいね」「で、何でここにいるのかな?」こなた「なんていうかいうか心配で」「はぁ?」こなた「いやぁキスシーンの妄想だけで興奮して眠れなかった君がちゃんとデートできるか心配で。」ひどい・・・つーかあの事はもう忘れてほしい(泣)「かがみさんやみゆきさんなら止めると思ったのに」かがみ「いやぁその////」みゆき「つい気になってしまって////」みなみ「……ゆたかも?」ゆたか「いや、そのぉ//」ひより「私は好奇心と創作意欲向上のためということで…」パティ「それにしても、熱々でしたネwww」あやと&みなみ「!?」「……どこまで見てたのかな?」パ「あの観覧車でのアツいKissは見てましたヨ」あやと&みなみ「///////」つかさ「あ~真っ赤になってる~」つかささん、あなたの天然ぶりが今はスゴくツラい。こなた「で、これからどうするの?」「もう帰るとこだよ。なんだかどっと疲れたし」こなた「じゃあ皆で帰る?」「俺はいいけど。岩崎さんは?」みなみ「はい。かまいません」こなた「そんじゃあ駅にレッツゴ~」こうしておれと岩崎さんの初デートは皆に茶化されるという形で終わった。・・・・駅での別れ際にみなみがそっと話しかけてきたみなみ「あの…また…デートに連れていってくれますか?」「……断る理由があると思う?」みなみ「先輩……////」こなた「いや~あんな目にあってもおアツいねぇ。また見に行こうかなぁ」綾&みなみ「それはやめて下さい……」おしまい
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