岩崎みなみの憂鬱8
―――週末、泉邸。ズキューン、バキューン、ティウンティウン「あっ、くそっ、またやられたっ!」こなた「ふふーん、精進が足らんよキミ~」「もう一回!今度こそ勝つ!」こなた「ふははは、何度でもかかってきたまへ~」かがみ「・・・飽きないわねーあんたら・・・」みゆき「ふふっ、いいですよねこういうの」つかさ「どんだけ~★」かがみ「・・・つかさも飽きないわね・・・」ガチャッゆたか「・・・みなさん、おやつにしませんか~」こなた「おぉっゆーちゃんナイス!とゆーわけで一旦休憩~」「くそー。負けっぱなしで休んでなんかられるか、修行だ修行!」ゆたか「ダメですー。休憩しましょう先輩っ」ギュッ「こ、小早川さん!?」
ゆたか「えへへっ///、こっちこっち」「え、あの、ちょっ」ゆたか「はい座って下さいっ。」「あの・・・」ゆたか「ぷぅ。早く座って下さいっ」「は、はい・・・」ゆたか「先輩は、飲み物何がいいですかぁ?」「あ、あの、小早川さん」ゆたか「コーラも、紅茶もオレンジジュースも有りますよ。」「いやだから小早川さ・・・」ゆたか「あ、先輩はコーヒー派ですか?だったらすぐに入れてきて・・・」みなみ「・・・・・・ゆたか」ゆたか「ぎくッ!!!」みなみ「・・・近すぎ、離れて」ゆたか「み、みなみちゃーん」みなみ「ゆたか?」ゆたか「は、はい~」
そう。私は今日、母の用事をキャンセルして、泉先輩の家にいる。母は悲しんではいたが。でも『好きな人と一緒にいるため』と言ったら目を輝かせていたから、気にしなくていいと思う。そんなわけで、私は先輩の隣に腰を下ろす。自然と、何の違和感もなく、先輩とくっついて、座る。周りの人たちも、もう何も言わない、今朝からの風景。ゆたか「う~、みなみちゃ~ん」みなみ「・・・聞こえない」ゆたか「ふえ~ん」みなみ「泣いても許さない」ゆたか「ぷぅ。みなみちゃんばっかりズルい」みなみ「恋人だもの」ゆたか「・・・うぅっ、告白はさせてくれたのにっ」みなみ「好きになるのは自由。でも先輩の恋人は私。」
・・・そう。あの後、泣き疲れて二人眠ってしまった後。実は、なんと、呼び出して、告白したのだ。ゆたかが。先輩に。私は、行かなかった。先輩を信じていたから。ゆたかを、信じていたから。結果は、聞いていない。聞く必要もない。こなた「いーねー。ラヴラヴだねぇ。両手に花だねぇ。」「あのね・・・こなたさん・・・」こなた「ついでに私たちも攻略してみる?ハーレムフラグは立ってると思うよん?」「やめて・・・」こなた「特にかがみんとk」ゴツッかがみ「・・・殴るぞ」こなた「だから殴ってから言わないでってばっ(泣」
かがみ「くだらないこと言ってるからよ。ほら、みなみちゃん怒ってるじゃない」みなみ「いえ・・・私は・・・」想像してみる。ソファに座っている先輩。ゆたかをひざにのせて。右側に私。左側にかがみ先輩。背中からみゆきさんがしなだれかかって。足元に泉先輩。つかさ先輩がお茶を入れて。・・・すごく、頭に来た。
「い、岩崎さん?なんかオーラが・・・」みなみ「駄目です」「はぃ?あの、何を・・・」みなみ「絶対駄目です」「いや、だから」みなみ「満足させますから」「は!?いわ、岩崎さんっ!?」みなみ「は、恥ずかしいですが、先輩が望むなら、何でもしますから」「はい!?」みなみ「だから、私だけを見て下さい」「お~~~い!岩崎さんっ!!何を言っちゃってくれますか!?」慌てる先輩。珍しく、私が主導権を握った瞬間。・・・だけど。みなみ「・・・先輩は、こんな私は、キライですか?」「えっ???」空気が止まる。ただのふざけあいだったはずが、私も先輩も、真剣な顔になる。
みなみ「私は、こんな嫉妬深い女です」みなみ「先輩が、私を好きだって言ってくれた頃の私なんて、消えて無くなってしまうくらい」みなみ「きっと、もっと嫉妬深くなります」みなみ「先輩を、困らせます」みなみ「先輩が、好きです」みなみ「たとえ嫌われても、好きです」みなみ「嫌いになんて、なりません」みなみ「・・・先輩は、こんな女、キライですか?」「岩崎さん。」
―――抱き締められた。強く、強く。そして、優しい、声。みなみ「・・・先輩」「俺は、岩崎さんが好きだ。」みなみ「・・・はい。」「これから、たぶん、もっと好きになるよ。」みなみ「・・・はいっ」「だから、俺のことも、もっと好きになって欲しいな。」みなみ「・・・はいっ!」少しだけお互いの体を離す。見つめ合う、私と先輩。だんだんと、顔が、近付いて。そして・・・みなみ「・・・んっ・・・」
こなた「・・・あー、ゴホン。お二人さんお二人さん?」「・・・はっ!!!」みなみ「!・・・あっ」驚いて、飛び退く。振り返ると、周りは皆食い入るように私たちを見つめていた。皆、顔は赤い。当たり前だ。目の前で、いわゆる『ラブシーン』を演じられたのだから。こなた「いやーアハハ///、滅多に見られないもの見せてくれたトコ、悪いんだけどねぇ」つかさ「///こ、こなちゃん、凄く良い雰囲気だったのにぃ///」かがみ「い、いや///・・・あれで正解でしょう、さすがに。」みゆき「・・・は、はぅ////・・・素敵でした」ゆたか「・・・うぅ~」「あ、アハハハハハハ、ハ」みなみ「//////」
私は、先輩が好き。ゆたかも、先輩が好き。きっと、他にも、先輩を好きな人が、できる。・・・選ぶのは、先輩。そして、先輩を選んだのは、私。私は、今まで通り先輩を好きでいればいい。先輩に、好きでいてもらえるように、努力すればいい。
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