岩崎みなみの憂鬱7
私は、叫んでいた。泣き叫んでいた。もう、言葉になんか、ならなかった。みなみ「・・・ゆた・・・違っ・・・わたっ・・・」ゆたか「み、みなみちゃ・・・っ・・・みなみちゃんっ」私は、ゆたかを抱き締めて。ぎゅっと抱き締めて。ゆたかも、最初は驚いたけど、でも、強く抱き締め返してくれた。何分か、それとも、何時間か。二人、ずっと抱き合って泣いていた。しばらくして、落ち着いて。最初に口を開いたのは、ゆたか。
ゆたか「みなみちゃん」みなみ「・・・何?ゆたか」ゆたか「ごめんね」みなみ「・・・私こそ、ゴメン」ゆたか「ううん、そうじゃないの」みなみ「・・・?」『ゴメン』に対して『そうじゃない』?何だろう。何が言いたいのかな。ゆたか「今、言ったこと。先輩を諦める、って」みなみ「・・・」もしかして。ゆたか「・・・やっぱり、無理かも。」みなみ「・・・」ああ、やっぱりゆたか「あっ、大丈夫!もう絶対、みなみちゃんを不安にさせるようなことはしないから。」
ゆたか「ただ、やっぱり、好きだから。今すぐ忘れるのは無理かも。」ゆたか「・・・舌の根も乾かないうちに、こんな調子良いこと言って、ごめんなさい。」みなみ「・・・ううん」不思議な、気分。みなみ「良いよ。ゆたか。」ゆたか「みなみちゃん・・・」こんなにも、優しい気持ち。みなみ「逆の立場なら、きっと私もそうだから。」ゆたか「・・・・・・」みなみ「それで、また、嫌な気持ちになるの」ゆたか「・・・いいの?」
たぶん、止められない。きっとまたゆたかに嫉妬する。でも、きっと、これが。人を、好きになると言うこと。みなみ「そうしたら、またこうして話そう。」みなみ「嫌な気持ち、嫌な自分、全部伝え合おう。」みなみ「だから、大丈夫」みなみ「だって」みなみ「だって、」みなみ「私たちは、友達だから。」ゆたか「・・・み・・・な・・・み・・・ちゃん」
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