岩崎みなみの憂鬱5
―――最初は、ただの、普通の、優しいセンパイだった。でも、いつのまにか。その、声が。その、笑顔が。その、手のひらが。その、背中が。その、ぜんぶが。私の中に住み着いて、離れなくなって。・・・でも、そのことに、私自身が、気付いた時には。その人の隣には、もう、私の一番大切な友達が、いて。だから、諦めたの。諦められると、思ってた。みなみちゃんとなら、許せる、って。みなみちゃんを好きになったなら、しょうがないや、って。そうして、胸の中にしまいこんで。いつか、二人を素直に祝福できるようになる、って。
そんな、胸の痛みと戦い続けている間に、ふと、気づいてしまった。・・・醜い、自分。許せる?しょうがない?素直に祝福?なんて、汚い自分。何様のつもりだろう。やっぱり、こんな自分を、先輩が好きになってくれるわけが、ない。・・・みなみちゃんに、勝てるわけがない。こんな私、消えてなくなっちゃえばいいんだ。
・・・でも、そんな私にも、先輩は笑いかけてくれて。やっぱり、想いを捨てることはできなくて。だから、私はここにいる。先輩の隣に。想いを伝えるつもりはないけど。ただ、横にいるだけだから。だから。いいよね?みなみちゃん―――
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