~ひよりの想い~
「どうしよう…。あぁ~、どうしたらいいの~」
ひよりんこと田村ひよりは、自室のベッドで頭を抱えて悩んでいた。明日はパティとこうちゃん先輩に加え、○○先輩も一緒に買い物ついでに遊びに行く約束をしている日なのだ。「せっかく○○先輩と(二人きりではないにしても)デートなのに…」「何で今日に限って可愛い服が全部ナフタレン臭いッスか~!」普段から同人活動まっしぐらなひよりは、部屋ではどてらやジャージを愛用している。平日はもっぱら制服なので、余所行き用の服は長い間タンスにしまわれていたのだ。そしてつい先日、なかなか着ないタンスの服に虫が付かないよう、母が防虫剤を入れ替えたばかりなのである。「なんてタイミングの悪さ…orz」このままでは制服で行くしかなくなる。(せめて休みの日ぐらい、○○先輩の前では可愛くいたかったのに…)ひよりは美人ではないかも知れないが、決して不細工と言われる程でもない。が、パティやみゆきといった、所謂トップクラスに囲まれているせいで、自分に対して自信が持てなくなっていたのだ。
おまけ
カランカランカラン…パティとこうは、○○が出て行った扉を眺めていた。「あとは先輩が上手くやるだけね」「…………」「…? パティ?」「オージョーギワガワルイネ…」「だからそれは用途が…」そこまで言って、こうは口をつむぐ。パティの目から大粒の涙が溢れていたからだ。「…パティ…」「…ひよりんハワタシノベストフレンドデス…」「ダカラ…ひよりん二ハ笑ッテイテ欲シカッタンデス…」「○○ナラキットひよりヲ幸セニスルッテワカッテル…」「ダケド…、ソウ想エバ想ウ程、胸ガ苦シクナッテ…」こうには何となく分かっていた。パティも○○に好意を寄せていた事。そして、ひよりんの為に一生懸命その想いを押さえていた事も。嗚咽を堪えるパティの頭を優しく抱え、落ち着かせるように頭をなでる。「うん…、辛かったね…、パティ…」その一言で押さえていたものが決壊したのか、一気に声を上げて泣き出した。「今は泣いちゃいなよ。無理しないで、全部出しな、ね?」「ウッ…ウゥ…、ウゥァァァァァァン!」(○○先輩…、可愛い後輩二人の苦悩と涙の分は、きっちりお返ししてもらいますからね!)(…ついでにアタシの分もね)こうは泣きじゃくるパティをなだめつつ、妖しく目を光らせるのだった。後日、こうとパティは顔面にシューズとビンタの跡をつけた○○に、ケーキバイキング5万円分奢ってもらう事になるのだが、それはまた別のお話。FIN
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