あふたー あ すとーむ ☆ かむず あ かーむ/シーン3
―――それから、数日後。駅ビルのスイーツショップにて行われる、ケーキバイキングの席に、私たちはいた。「峰岸さん、かがみさん。今回は本当にありがとう。今日は俺が奢るからさ、好きなだけ食べてってよ」ゆうきくんが、今回のお礼ということで招待してくれたのだ。「好きなだけって…定額のバイキングで言われてもねぇ」と言いつつ、柊ちゃんはさっきから頬が緩みっぱなしだ。もちろん、かくいう私もだけれど。*「それでさ、それでさ。ゆうきがこーやってぎゅーってしてさ。『不安にさせて、ごめん。俺は、みさしか見えてないから』ってゆったんだっ。なんてゆーかさ、すげー嬉しくてっ、すげー暖かくってっ」 「はいはいわかったわかった。てゆーか日下部、あんたその話題これで10回目よ」とろけそうな笑顔で先日の一件を報告するみさちゃんに、あの日の悲痛な面影はカケラも見当たらない。その隣ではゆうきくんがはにかんだ、困ったような笑みを浮かべている。恥ずかしいけど、嬉しいって感じかしら。ふと足元をみると、みさちゃんの鞄に、私がプレゼントしたマスコットがぶら下がっている。ゆうきくんのとふたり分、仲良く手を繋いで。「雨降って地固まる…ね」「固まりすぎよ…まったく」渋い顔をしながらも、目元は笑ってる。柊ちゃんも、内心では嬉しいのだろう。親友である二人が、幸せである事が。「…あ、イチゴもーらいっ!」「ちょ、みさ! それ最後の楽しみに取っといたのに!!」「えー、端にやってるからいらないのかと思ったじゃん」…あ、あれ?「せめて聞こうとしろよ!」「あーもー、うっさいなー。大体最後の楽しみ~なんて女々しいじゃん。美味しいものは先に食うもんだろー?」「いーや、最後に取っとくべきだっ」…また、雲行きが…?「後で!」「先で!」「あーと!」「さーき!」…ああ、なんかにらみ合ってる……・・・「「………ぷっ」」…え?「「あははははははははっ」」二人して大笑い。「なんかバカみたいだな、これ」「はは…まったくだ」こいつぅ、とみさちゃんの頭をなでるゆうきくん。「…な、ゆうき」「ん?」「もっとケンカして、もっと仲直りしよーな」そのほうが、前よりもっと仲良くなれるから。そう言って、みさちゃんが笑う。「…できれば、あんまりしたくないけど」前より仲良くなれるんなら、それもいいかな。そういって、ゆうきくんも笑う。「…やれやれ、一生やってろバカップル」溜息混じりに柊ちゃんが呟く。そう、ね。みさちゃんとゆうきくんには、一生こんな風にいっしょにいて欲しいな。“親友”からの、ささやかな…お願いです。-fin-
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