無題(ななこ)
「さっきのはちょっとドキドキしたな…先生とはいえ女の人なんだし」「ぶっちゃけ人手が足りひんねん!こんなとこで休んでのうて、キリキリ働かんかいっ!」「わかりましたよ。うう……人使い荒いなあ」「うっさい。ほら、とっとと行くで!」「ちょっ!?先生!腕、引っ張らないでくださいっ!ちょっ、先生」結局あのまま教室まで腕を引っ張られてつれてかれた。あんな近い距離で…なんか、いい匂いしたな…「って、こんなこと思ってるのがバレたら。またからかわれるな…」実際さっきは、こなたさんたちに勘づかれそうだった。「○○君なんかニヤニヤしてるねぇ、なんかいいことでもあった?」とか言われて…「あかんな、あんなんでドキドキしてまうなんて…」深いため息が出る。「あてられたんかな、あいつらホンマ頑張っとったさかい、それ見てて青春でも思い出したんやろか…」少しの沈黙のあとあかんあかん!しっかりせえ自分、生徒なんかにときめいてどないする!」
「明日は休みやさかい、今夜はがっつりネトゲでもするか」帰路につこうとした時に自販機のところにいる○○が見えた。「おぉ○○今帰りか?」「あっ、先生も今帰りですか」「ん、なんや自分ノド乾いてるん」先生が鞄の中からゴソゴソと何かを取り出し○○に投げて渡した。「せやったら、それ飲み」○○が渡されたものを怪訝そうに見る。「た、炭酸青汁……しかも飲みかけじゃないですか」「ああイマイチやったんや、なんや文句あるんか?うちの酒が飲めへんというんかぁ」「酒じゃないですし、ちゃんと自分で処理してくださいよ」「ええから文句言わんと飲みい!!」結局そのまま先生に押切られる型で渡されてしまった。そして先生が帰ったあと「これって間接キスだよな……って、またこんなこと考えてるよ」その味はなんとも言えなかった。「あかん、さっきのって間接キスとちゃうか、あんな押しつけるようにして意識してるとか思われてへんやろな……いやいや考えすぎや、そんなんあらへん」また深いため息が出る。「あかんな~、思春期真っただ中やあるまいし、うち何考えとんのや…」
桜藤祭から少しして俺は黒井先生に呼び止められた。「○○今度お前も遊び行かへんか?」急なことで要領を得ないままでいると「いやな、今度泉たちと遊びでも行こうてなってな、それやったらお前もどうかとな……ん、なんやその顔は?うちと2人きりのデートとでも思たんか?あかんでー自分、うちは先生でお前は生徒なんや、そんな禁じられた恋なんて…」 「あの先生、1人で突っ走んないでくださいよ」「おお、すまんすまん、ということでよろしくな、後で泉たちからも話あるやろ」そうして先生は去っていった。「うちが27で、○○が18、9歳の差なんやな、デートとかもありえへんこともないな……って、あかん自分何考えとんのや…」
それから俺は泉さん達や黒井先生と遊ぶようになった。そして、少しづつ先生のことが気になってきた。「なあ○○年上の女って、どう思う?」「なんですか、いきなり?」「べ、別に深い意味はあらへんね…なんとなくや」「そ、そうですか、ん~…年上の女の人ですか、そうですね……」「おーい2人とも、そろそろ帰るよー」俺が答えようとした時みんなが来た。そして帰り道では2人でいたことをからかわれ、先生はとんだ笑い話やな~と言って笑い飛ばしていた。
そういうことが続き12月になった頃だろうか、先生が俺のことを避けてるような感じがし始めた。「お前もうちなんかとあそんどらんと、あの4人の誰かでも誘わんかい」などと言われあしらわれてしまう
「なんや泉?」「先生は今年もクリスマスは1人ですか?」「いきなり失礼なやっちゃな、ふざけたことぬかしてると修正したるで」今にも殴られそうな雰囲気を遮るように「○○君とデートでもしないんですか?」「はあ~~~~~~」廊下に響く程の大声「いきなり何言うねん、うちと○○は」「ちょっ、先生声大きいって」先生が大きく深呼吸をする。「先生落ち着いた?」ふぅ~と一息ついた先生が「せやからな、うちと○○はなんもあらへんね…教師と生徒やし……」だんだん声が小さくなりボソボソと聞こえるようになっていく「ちょっと注意して見れば、わかりますよ、お互い意識してるの」黒井が押し黙る。そして意を決したように口を開く「あかんことはわかってんねん、せやけど、なんかときめいたんや、いっつも自分にあかんことやって言い聞かせてんやけど……」「なんで駄目なんですか!?」影から急に○○が現れて黒井に向き合った。「どういうことや泉?…って逃げるなー」泉さんが走り去っていく「俺が泉さんに頼んだんです。先生と2人きりになれるように」今度は○○が意を決したように口を開く「さっきの話聞いてて、嬉しかったです。先生が俺にときめいてくれたとか……」この時どんなことを言っていたか、はっきり言ってテンパってて覚えていない、教師と生徒だからってなんなんです。とか恥ずかしいことばっか言ってた気がする。
そしてクリスマスの日「すまん○○遅れてもうて」この言葉のとおり先生は遅刻してきた。まぁ、どうでもいいことだけど本当にいろいろと話をした。そして最後に2人で決めたことがある。「なあ、○○やっぱりケジメはちゃんとつけなあかんと思うんや。せやから、つきあうっちゅうことは卒業するまで我慢せなあかんと思うんや」そういう先生に俺も納得した。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。