岩崎みなみの溜息2
放課後、教室にて。ゆたか「・・・・・・」みなみ「・・・・・・」ゆたか「・・・・・・」みなみ「・・・・・・」ゆたか「・・・・・・」みなみ「・・・・・・(汗)」ゆたか「・・・みなみちゃん・・・それって・・・ちょっとまずくない?」みなみ「・・・ぅ・・・やっぱり・・・?」昼休みの後、私の様子がおかしいことを察知して訊ねてきたゆたかに、先ほどのことを相談することにした。簡潔に言えば、告白、されたのだ。私が。相手は他のクラスの一年生で・・・、一目惚れ・・・らしい。ゆたか「・・・なんで、すぐ断らなかったの?」みなみ「・・・ぅ・・・だから、その、なにがなんだか分からなくて混乱してる内に、行っちゃって・・・」ゆたか「・・・みなみちゃん・・・」みなみ「・・・ぅぅ・・・」他に誰もいない教室で二人、頭を抱える。ちなみに、先輩は今日用事があるらしく、先に帰るとメールが来た。・・・今日はその方が助かる、なんて考えた自分が、情けない。
みなみ「・・・ど、どうしよう・・・」ゆたか「どうって・・・断らないの?」みなみ「そ、それはもちろん。でも、どう言えば・・・」ゆたか「・・・うーん・・・」ゆたかが、視線を宙に漂わせる。私は、逆に視線を地に伏せる。少し考えた後、ゆたかが、一言。ゆたか「やっぱり、正直に『恋人がいるからゴメンナサイ』って言うのが一番じゃないかな」一番無難で、一番簡潔な答えをくれる。私も、それが一番だとは思う。でも。みなみ「・・・やっぱり・・・そうかな・・・」ゆたか「でも・・・『じゃあなんであの時言わなかったのさ?』って・・・怒られるかな?」みなみ「・・・う」そう。それが問題。あの時、あの場で言ったのならともかく。一度時間を置いてしまうと、言いにくい答えでもある。ゆたか「相手の人、凄く期待してるだろうし、凄く勇気のいることだったろうし」みなみ「・・・ぁ・・・ぅ・・・」ゆたか「それでしばらく待たされて、答えが『実は彼氏がいるからダメ』ってのも・・・」みなみ「・・・うぅぅ・・・」自己嫌悪。やっぱり、情けない。少しは成長したつもりだったのに。
ゆたか「大丈夫だよみなみちゃん」みなみ「・・・ゆたか・・・」ゆたかの、笑顔。それは、最近良く見せてくれるようになった、・・・優しい、微笑み。ゆたか「・・・先輩が、みなみちゃんを嫌いになることなんてないから」ゆたか「だから、大丈夫」ゆたか「今は、どうやって断るか」ゆたか「それだけ、考えよう?」ゆたかの、優しい声。私の中に染み込むような、ゆたかの優しさ。最近、こんな場面が増えた気がする。私が慌てて、ゆたかが笑いながら私を落ち着かせてくれる。あいかわらず、体調を崩しやすいのは変わらないけれど。・・・きっと、もう、私なんかよりずっと大人。
みなみ「ううん、大丈夫。言えるよ」ゆたか「みなみちゃん・・・」みなみ「それに、側にいなくても、ゆたかは一緒だから。だから、大丈夫」ゆたか「・・・うんっ」今度は、二人共、笑顔。大丈夫。ゆたかが、いてくれるから。勝負は、明日。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。