岩崎みなみの溜息1
・・・私は今、とても困っている。まさか。そんな。これは、一体?・・・私は、頭の中を駆け巡る頭痛とめまいとを振り払い、なんとか自分を保つ。落ち着くために、深呼吸を一つ。・・・無理だった。落ち着ける訳がない。心臓は高鳴り、冷や汗は止まらない。今、自分の目の前で起こったこと。どうしても、自分の中に受け入れることができない。いつか、先輩のことでゆたかと話し合った時の。・・・あの時と同じくらい、いや、ある意味、あれ以上の動揺と、混乱。
なんで、こんなことに?どうしたら良い?いや、どう・・・*「・・・答えて、くれるかな」みなみ「・・・っっ!!!」声が響く。私は、喉から心臓が飛び出しそうになるのをかろうじてこらえて、相手を見返した。*「・・・あぁよかった。無視されたのかと思った。」みなみ「・・・い、いえ、まさか・・・」その相手は、目線を外すことなく、私を真っ直ぐ見つめてくる。・・・私は、そんな相手に、どう接したら良いか分からずに、視線を泳がせた。*「そんな、他人行儀なしゃべり方しなくていいのに。同い年なんだから、タメ口でいいよ」みなみ「ぇ・・・ぁ・・・ぃぇ・・・」*「でさ、そろそろ、答えてくれる?」みなみ「・・・う・・・ぇ・・・その・・・」*「・・・・・・」言葉が続かない。・・・どうすれば良いのかは、実際はちゃんと分かっている。答えは一つしかない。
いますぐ答えればいい。それで全て終わり。でも、言葉が出てこない。それくらい、今の私は混乱している。*「・・・・・・ふぅ」相手が、溜息を一つ。・・・溜息をつきたいのは私の方だ。*「・・・まぁいいや、とりあえず、考えておいてくれるかな?」みなみ「・・・い、いえ・・・あの・・・ですから・・・」*「だからタメ口でいいって。岩崎さん」苦笑。私は笑えない。*「もう一度言うよ。答えはまた今度でいいから」
みなみ「・・・っ、あのっ・・・待っ・・・!!」*「・・・すぅ・・・」待って。やめて。言わないで。だから私には―――*「岩崎みなみさん。―――あなたが好きです。付き合ってください。」・・・そんな、ある日の出来事。
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