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みさお☆愛してるぜ!」(2008/04/12 (土) 11:18:09) の最新版変更点

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<p>―――いた。<br /><br />  劇が終わって、大急ぎで着替えて。<br />  私は急ぐ。<br />  星桜の下へ。<br /><br />  それが、あいつと交わした“約束”だから。<br /><br /><br /> 「…よっ」<br />  ぼんやりと空を見上げてるあいつに声をかける。<br /> 「…よかった。憶えててくれたんだ」<br />  振り返って、にっこりと笑う。<br />  その笑顔に、妙にドキドキしちまう。<br />  あやのも、兄貴に告白とかしたとき、こんな感じだったのかな?<br /><br /> 「あ、当たり前だろ。約束…したんだからな」<br />  顔が熱くなる。あいつを見てらんなくて…でも見てたくて。<br />  あー、なんかヘンだ私。<br /><br /> 「…ごめん、随分待たせちゃった」<br />  不意に。<br />  目の前に、あいつの顔。<br />  気が着くと私は、腕の中にいた。<br /> 「ちょ…!」<br />  心臓が跳ね上がる。一瞬、止まるかと思った。<br /> 「教えてくれないかな。…“今”の…日下部さんの気持ちをさ」<br /> 「バカ。……く、空気読めよ」<br /> 「…読めなくはないけど。でも、折角だから日下部さんの口から聞きたいんだ。“あの時”みたいにさ」<br />  …ったく、恥ずかしいコト言いやがって。<br />  でも、悪い気はしないな。<br /><br /> 「…好きだから。私、ゆうきのこと、好きだから!」<br />  ちょっと見上げて、あいつの顔めがけて叫ぶ。あいつは照れくさそうに笑って―――まったく、私の方が照れるってんだ―――頷いた。<br /> 「…うん、俺も。俺も、日下部さんのこと、好きだよ」<br />  その言葉に、胸が締め付けられる。<br />  あやのなら、きっと『キュンとなる』っとでも言うんだろーな。<br />  苦しいような、でも気持ちいい。不思議な感覚。<br /><br />  “あの時”は…まだよくわかんなかったけど…<br /><br /> 「…今なら、わかる気がする」<br />  きっと、ずっとこーしていたいって気持ちが“答え”ってヤツなんだ。<br /><br /> 「改めて、これからよろしく。…今度こそ、長い付き合いにできりゃいいな」<br /> 「そうだね。…言っとくけど、浮気はしないからね」<br />  あ、先回りしやがったな。<br /> 「私だって」<br /> 「うん」<br />  互いに顔が近づく。あいつの目に私が映ってる。多分私の目にも、あいつが映ってる。<br /> 「…好き」<br /> 「俺も」<br />  目を閉じる。身体通り越して、心が重なってくような、そんな気がした。<br /><br /><br /><br /><br /><br />    らき☆すた~陵桜学園 桜藤祭~ After Episode<br />    想い出のつづき<br />    日下部みさおの場合~らんぶりんぐ☆えもーしょん~<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「柊~」<br /><br />  桜藤祭から3日経った。<br />  いつかあいつが言ったとおり、あいつが転校してきた日に戻ることはなかった。<br />  それは…まぁ、嬉しいんだけどな。<br /><br /> 「ん? どしたの、日下部」<br /> 「いや…その…」<br />  私が口を濁してると、チョココロネぱくつきながらちびっ子が声かけてきた。<br /> 「ゆうきくんならいないよー?」<br /> 「ちょっ、お前には聞いてねーよ!」<br /> 「でも彼に用事なんでしょ?」<br />  …うぅ、言い返せねー。<br />  顔、今ぜってー真っ赤だよ。くぁ、恥ずかし…。<br /> 「今、私たちの飲み物買ってきてくれてるの」<br />  柊妹が教えてくれた。<br />  ってか、私ほっぽって何やってんだよ。<br /> 「悪いとは思ったんですが、用事のついでと仰られたので…」<br />  高良が申し訳無さそーにうつむく。<br />  まぁ、人がいいのはあいつらしいけど。<br /> 「…にしても遅いわね。混んでるのかしら」<br /> 「たまに妙に混むんだよねー。ギャルゲーのイベントじゃあるまいし」<br />  時間を見る柊と、わけわかんねーこと言ってるちびっ子。<br />  …まぁ、いないんじゃしょーがないか。<br /> 「…って、どこ行くの?」<br /> 「教室戻んだよ」<br />  ゆうきがいないんじゃ、居ても意味ねーしな。<br /> 「いいじゃない。ここで待ってれば」<br /> 「ヤだよ、どーせゆうきとのことで私のことからかう気だろ?」<br />  この3日間でさんざん冷やかされたからな。特に柊とちびっ子から。<br /> 「しないしない」<br />  ウソだ。ぜってーウソだ。目が笑ってやがる。<br /><br />  …まぁ、いいか。<br />  あやのも「ゆっくりしてったら?」って言ってたし…。<br /><br /> 「…ちょっとだけ、だぞ」<br /> 「それはゆうきくん戻ってきたらソッコーで二人きりになりに行くってことでおk?」<br /> 「あのなー!」<br /><br />   *<br /><br /> 「…にしてもびっくりだよねー」<br /> 「あにがだよ?」<br />  垂れたチョコを指ですくいながら、ちびっ子が呟く。<br /> 「いや、みさきちとゆうきくん。最初の嫌いっぷり見てたら、今の状況、冗談に見えるもん」<br /> 「…む、そりゃ…まぁな」<br /><br />  私だって、そう思うことがちょっとだけある。<br />  ふつー、ああまで嫌ってたヤツのこと、好きになるか?<br />  やっぱ、あいつヘンだよ。<br /><br /> 「…まぁ、それがゆうきくんのいいところなんだよ、きっと」<br />  そう言った柊が『だから…かな』と小声で呟いたように聴こえた。<br /> 「柊?」<br /> 「…ん、なんでもない」<br /><br /><br /> 「ごめん、お待たせ!」<br />  教室の扉が勢いよく開いて、聞きなれた声が響く。<br />  腕にいくつか缶をかかえて、あいつが飛び込んでくる。<br /> 「おそいよー、もー」<br /> 「ごめんこなたさん。なんか今日妙に人多くてさ…」<br /> 「それもだけど…ほら、待ちぼうけ喰らって拗ねてるコがいるんだよ」<br />  は? と間抜けな顔のあいつ。ちびっこが指してるのは…私。<br /> 「って、誰が拗ねてるって!?」<br /> 「あ…ごめん、遅くなって」<br />  缶ジュースを机に置くのもそこそこに、ゆうきが駆け寄って頭を下げる。<br /> 「いや…その…いいよ。約束、忘れてたわけじゃないんだろ?」<br /> 「うん。…でも、遅くなったのは事実だからさ」<br />  だから、ごめん。<br />  そう言って、俯く。<br /> 「謝んなって! …あーもー…うりゃ!」<br />  申し訳無さそうな顔のままのゆうきに抱きつく。<br />  周りで柊たちが見てるけど、知るもんか。<br /> 「…拗ねてないけど、寂しかったのはホント」<br />  クラス違うから、朝と昼と放課後っきゃ会えないし。<br /> 「つーか、遅くなるならなるでメールよこせ」<br /> 「…あ、そうだね。ごめん」<br /> 「だからあやまんなってば。ちゃんと今ここにいるから、いい」<br />  と、ゆうきの腕が私の背中に回る。<br /> 「…うん。ありがと」<br />  いつか私にやってくれたみたいに、背中を撫でてくれる。<br />  それが、すげー心地よくって。時間を忘れそうになっちまう。<br /> 「好きだ。大好き」<br /> 「うん。俺もな」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「…仲良き事は美しき哉…なんて言うと思うか!!!」<br /><br /><br /> 「「あてっ!」」<br />  乾いた音が跳ねて、同時に頭に鈍痛が走る。<br /> 「…く、黒井先生…?」<br />  …え!? え!?<br /> 「ま、まさか本鈴…」<br /> 「おー、当の昔に鳴っとったで。つか自分ら、それすら聞こえンくらい二人の世界におったんかいな。…見せつけとンんか、見せつけとるんか!? 彼氏おらんウチへのあてつけかー!!?」<br />  出席簿で容赦なく頭を叩いてくる。<br /> 「いてっ、いてて! ちょ、頭悪くなったらどーすんですか!」<br /> 「安心せい、そんな色ボケ頭、とっくに悪くなっとるわい」<br />  …教師にあるまじきセリフだよな、それ。<br /> 「日下部もとっとと自分のクラス戻らんかい。ほれ駆け足!」<br /> 「は、はいぃ!」<br />  うー、顔から火ぃ出そうだゼ…<br /><br /> 「あ、みさ!」<br />  廊下に出た私に、ゆうきが声をかける。<br />  付き合うようになってから、そう呼ばれるようになったけど、やっぱ慣れねーな。照れる。<br /> 「放課後、部活終わるまで待ってるから。一緒に帰ろ!」<br /> 「あ…」<br />  笑顔で、そう言う。<br />  …やっぱ、かなわねーな。<br />  すげー惚れてる。私、あいつに。<br />  <br />  だから、私も応える。<br />  今できる、精一杯の笑顔で。<br /><br /> 「…おう!」<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「この状況でまだ口説きに入れるか…ええ度胸やな赤津!」<br /> 「あでっ! ちょ、角は危険! 危険ですってば!!」<br /><br />  …ちょっと頼りないヤツかもだけど…。<br /><br />  大好きだゼ、ゆうき!</p>

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