「無題(かがみ)2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

無題(かがみ)2」(2008/04/15 (火) 03:16:26) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<div class="mes"> <p>「だから!ただ友達と遊んでただけだろ!」<br /> 「私より男友達の方が大切なの!?」<br /> 「比べられるわけないだろ!」<br /><br /> 放課後の廊下。俺とかがみは口論をしていた。<br /> 理由は簡単。休日にかがみの誘いを断って、男友達と遊んでいたのが原因だ。<br /> 説明し忘れたが、俺とかがみは付き合っている。<br /><br /> こなたさん、つかささん、みゆきさん、日下部さん、峰岸さんが俺たちを落ち着かせようとしている。<br /> しかし、かがみの黙ってて!という怒号に、5人は黙り込んでしまっていた。<br /><br /> 「もういい、勝手にすれば」<br /> そう言って、かがみは行ってしまった。5人は慌ててかがみを追いかけた。</p> <div class="mes"> <p>俺は教室に戻り、一人で考え込んでいた。<br /> 考えてみれば、原因は俺にある。かがみの誘いを断ってまで、友達と遊ぶ事もなかった。<br /> ・・・・・・俺から謝ろう。<br /><br /> 「あっ!見つけたぞ、このヤロー」<br /> 教室の扉が勢いよく開いたと思ったら、そこには日下部さんがいた。<br /> 「ど、どうしたの?」<br /> 「お前を捜してたんだってヴァ」<br /> 「俺を?俺にいったい何の様?」<br /><br /> つぎの言葉を聞いて、俺は耳を疑った。<br /> 「柊が・・・階段から・・・階段から落ちた!」<br /><br /> 俺の顔から血の気が引いていくのが、自分で分かる。<br /> 「今保健室で寝てるけど、早くお前も行ってやれよ」<br /><br /> 俺は全速力で廊下を走り、保健室へ急いだ。</p> <p> </p> <p>かがみは今、保健室のベッドで眠っている。<br /> こなたさんが状況を説明してくれた。階段を下る途中で、足を滑らしたそうだ。<br /> そしてみゆきさんが、かがみの容態を教えてくれた。<br /> 「天原先生が言うには怪我はたいした事ないんですが、頭を強く打っていて軽い脳震盪を起こしてるらしいですけど・・・」<br /><br /> 俺は一人、想う。<br /> (これって・・・俺のせいだよな。いくら頭に血が登ってたとはいえ、あんな風に言わなくても。<br /> 元々の原因は俺なわけだし・・・)<br /> そう考えていると、こなたさんが叫んだ。<br /> 「あっ!かがみ!!」</p> <div class="mes">みんなが目を覚ましたかがみに、みんなが喜びの声をあげる。<br /> 「あやのーー!柊が起きたよーーー!」<br /> 「心配したのよ、柊ちゃん」<br /> つかささんは、泣きながらかがみに抱きついている。<br /> 「かがみさん、大丈夫ですか?」<br /><br /> まだ状況を把握していないかがみは、こなたさんに問う。<br /> 「こなた。あたし・・・?」<br /> 「かがみ、階段から落ちたんだよ。心配したんだから」<br /> 「あたしが・・・階段から?」<br /> 「覚えてないの?」<br /> 「・・・・・うん」<br /> 「かがみ!」<br /><br /> こなたさんとの会話に割って入る形で、俺はかがみに話しかける。<br /> 「えっと・・・その・・・」<br /> うまく謝れない。俺が口を濁していると、かがみが再び、こなたさんに問う。<br /><br /> 「こなた・・・この人・・・誰?」</div> <p> </p> <div class="mes"> <p>かがみのその言葉に、その場の全員が凍りついた。<br /> かがみが見てるのは、俺。<br /><br /> 「かがみ、あたしの事分かる?」<br /> 「こなたでしょ?」<br /> こんな具合にこなたさんは、俺を除く全員の名前をかがみに問う。・・・問題なし。<br /> 「じゃあ・・・この人は?」<br /> こなたさんが、俺を指差す。そしてかがみの口から、一言。<br /> 「こなたの・・・知り合い?」<br /><br /> 「おい、どういう事だよチビッ子!」<br /> 「まさかとは思うけど・・・」<br /> そのあとの言葉は続かず、こなたさんに代わり峰岸さんが言う。<br /> 「記憶・・・喪失?」<br /><br /> ウソだろ?記憶喪失?俺の事だけ?<br /> 「冗談じゃねえよ!かがみ!さっきの事なら・・・」<br /> そう言ってかがみの肩を掴む。<br /> 「いや!!」<br /> そう言って、俺の腕を払うかがみ。</p> <div class="mes"> <p>今まで恋人として接してくれたかがみが、俺を拒絶した。<br /> 落ち着いてと言うこなたさんの言葉も、頭まで回ってなかった。ただ信じられず、これが夢だと思うしかなかった。<br /><br /> みゆきさんの提案で、今日はもう帰ることにした。その際みゆきさんは一つだけ、約束をした。<br /> この事はこの場にいる人たちだけの秘密にすること。<br /> みんな承諾し、それぞれの帰路に着く。<br /><br /> 俺は一人だけ、教室に残っていた。まだこれが夢だと思い、現実を受け入れない俺。<br /> 「夢なんだよな、これは。夢だろ?早く覚めろ。夢なんだから・・・くそ!」<br /> そういって俺は教室の壁を殴る。何度も。何度も。<br /><br /> しかし俺の手に残っていたのは、滲んだ血と、確かな痛みだった。その痛みがまるで言っているようだった。<br /> これは現実なんだよ。・・・と</p> <p> </p> <div class="mes"> <p>あれから1週間が過ぎた。かがみの記憶はまだ戻らない。<br /> みんな色んな方法で思い出させようとしてくれた。しかし、やっぱり思い出してくれない。<br /> いつからか、俺はかがみを避けるようになっていた。昼休みになると、一人で屋上に行くようにしていた。<br /> 教室にいると、かがみが来るから。その場にいるのが、たまらなく嫌だった。<br /> 心のなかに、あの思いを抱いたまま、時は流れる。<br /><br /> そんなある日の授業中、俺のケータイにメールが届く。・・・こなたさんからだ。<br /> 「今日の放課後、屋上に来るベシ!来ないと・・・」<br /> 屋上?今日は予定もないしなぁ・・・。OKと返信する。<br /><br /> 放課後。屋上でこなたさんを待つ。・・・おかしいな、30分しても来ない。なんか嫌な予感がする。<br /> 「自分から呼び出しといて、なんだよ」<br /> 一人で文句を言っていても、いつまで経ってもこなたさんは来ない。<br /> 「・・・・・帰るか」<br /><br /> 屋上から校舎に通じる階段を下りると、声が聞こえた。<br /> 「ちょっと・・・」<br /> 聞きなれた、声。しばらく聞いてなかった、声。<br /><br /> 「・・・・・かがみ・・・」</p> <div class="mes"> <p>中庭まで来て、俺は止まった。目の前には星桜の木がある。二人の思い出の場所。<br /> なんで謝れない。素直になれない!考えなくても、その理由が俺にはわかっていた・・・。<br /> 俺は・・・怖いんだ。かがみが思い出して、俺を許してくれないんじゃないかって。<br /> 「もう、見つけた」<br /> かがみの声が、前から聞こえた。<br /><br /> 「あんたねぇ、なんで・・・あっ!」<br /> その時だった。かがみが躓いた。転びそうになるかがみを、俺は支えた。<br /> その光景は、あの時と同じだった。こなたさんと仲直りした後の、廊下での光景と同じだった。<br /><br /> 「あ、ありがとう・・・」<br /> お礼を言われたがその言葉も耳に入らず、溢れる感情を感じていた。そして<br /> 「・・・・・え?」<br /> かがみを抱きしめていた。戸惑うかがみを気にもせず、抱きしめる。<br /> 「ちょっ、なによあんた」<br /> 「・・・・・ごめん」</p> <div class="mes">もう我慢できなかった。抑えていた何かが涙として溢れた。<br /> 「いままで避けてきてごめん!誘いを断ってごめん!悲しい思いさせてごめん!<br /> 今までのこと全部謝るから!もう悲しい思いさせないから!一生大切にするから!<br /> だから・・・だからいつもみたいに「けんじ」って呼んでくれよ!俺のこと・・・思い出してくれよぉ!!」<br /><br /> 初めて人前で泣いた。溢れる感情を、すべて言葉にした。<br /><br /> 「ごめん」<br /> 「違う!悪いのは全部・・・全部!」<br /> 「けんじ君・・・」<br /><br /> 確かに聞こえた、俺の名前。俺はかがみを見つめる。<br /> 「ごめんね、なんでだろう・・・どうして大切な人のこと、忘れてたんだろう・・・大好きな人なのに・・・」<br /> 見ると、かがみは泣いていた。その目は、しっかりと俺を捉えていた。<br /> 「ごめんね・・・けんじ君・・・」<br /> 「・・・かがみ・・・かがみ!」<br /> まるで子供のように、俺は泣いていた。そして何度も謝った。かがみは母親のように、俺の頭を優しく撫でながら許してくれた。<br /> 夕日が二人を包み込むような、優しい光のように感じた。</div> </div> </div> </div> </div> </div> </div>
<div class="mes"> <p>「だから!ただ友達と遊んでただけだろ!」<br /> 「私より男友達の方が大切なの!?」<br /> 「比べられるわけないだろ!」<br /><br /> 放課後の廊下。俺とかがみは口論をしていた。<br /> 理由は簡単。休日にかがみの誘いを断って、男友達と遊んでいたのが原因だ。<br /> 説明し忘れたが、俺とかがみは付き合っている。<br /><br /> こなたさん、つかささん、みゆきさん、日下部さん、峰岸さんが俺たちを落ち着かせようとしている。<br /> しかし、かがみの黙ってて!という怒号に、5人は黙り込んでしまっていた。<br /><br /> 「もういい、勝手にすれば」<br /> そう言って、かがみは行ってしまった。5人は慌ててかがみを追いかけた。</p> <div class="mes"> <p>俺は教室に戻り、一人で考え込んでいた。<br /> 考えてみれば、原因は俺にある。かがみの誘いを断ってまで、友達と遊ぶ事もなかった。<br /> ・・・・・・俺から謝ろう。<br /><br /> 「あっ!見つけたぞ、このヤロー」<br /> 教室の扉が勢いよく開いたと思ったら、そこには日下部さんがいた。<br /> 「ど、どうしたの?」<br /> 「お前を捜してたんだってヴァ」<br /> 「俺を?俺にいったい何の様?」<br /><br /> つぎの言葉を聞いて、俺は耳を疑った。<br /> 「柊が・・・階段から・・・階段から落ちた!」<br /><br /> 俺の顔から血の気が引いていくのが、自分で分かる。<br /> 「今保健室で寝てるけど、早くお前も行ってやれよ」<br /><br /> 俺は全速力で廊下を走り、保健室へ急いだ。</p> <p> </p> <p>かがみは今、保健室のベッドで眠っている。<br /> こなたさんが状況を説明してくれた。階段を下る途中で、足を滑らしたそうだ。<br /> そしてみゆきさんが、かがみの容態を教えてくれた。<br /> 「天原先生が言うには怪我はたいした事ないんですが、頭を強く打っていて軽い脳震盪を起こしてるらしいですけど・・・」<br /><br /> 俺は一人、想う。<br /> (これって・・・俺のせいだよな。いくら頭に血が登ってたとはいえ、あんな風に言わなくても。<br /> 元々の原因は俺なわけだし・・・)<br /> そう考えていると、こなたさんが叫んだ。<br /> 「あっ!かがみ!!」</p> <div class="mes">みんなが目を覚ましたかがみに、みんなが喜びの声をあげる。<br /> 「あやのーー!柊が起きたよーーー!」<br /> 「心配したのよ、柊ちゃん」<br /> つかささんは、泣きながらかがみに抱きついている。<br /> 「かがみさん、大丈夫ですか?」<br /><br /> まだ状況を把握していないかがみは、こなたさんに問う。<br /> 「こなた。あたし・・・?」<br /> 「かがみ、階段から落ちたんだよ。心配したんだから」<br /> 「あたしが・・・階段から?」<br /> 「覚えてないの?」<br /> 「・・・・・うん」<br /> 「かがみ!」<br /><br /> こなたさんとの会話に割って入る形で、俺はかがみに話しかける。<br /> 「えっと・・・その・・・」<br /> うまく謝れない。俺が口を濁していると、かがみが再び、こなたさんに問う。<br /><br /> 「こなた・・・この人・・・誰?」</div> <p> </p> <div class="mes"> <p>かがみのその言葉に、その場の全員が凍りついた。<br /> かがみが見てるのは、俺。<br /><br /> 「かがみ、あたしの事分かる?」<br /> 「こなたでしょ?」<br /> こんな具合にこなたさんは、俺を除く全員の名前をかがみに問う。・・・問題なし。<br /> 「じゃあ・・・この人は?」<br /> こなたさんが、俺を指差す。そしてかがみの口から、一言。<br /> 「こなたの・・・知り合い?」<br /><br /> 「おい、どういう事だよチビッ子!」<br /> 「まさかとは思うけど・・・」<br /> そのあとの言葉は続かず、こなたさんに代わり峰岸さんが言う。<br /> 「記憶・・・喪失?」<br /><br /> ウソだろ?記憶喪失?俺の事だけ?<br /> 「冗談じゃねえよ!かがみ!さっきの事なら・・・」<br /> そう言ってかがみの肩を掴む。<br /> 「いや!!」<br /> そう言って、俺の腕を払うかがみ。</p> <div class="mes"> <p>今まで恋人として接してくれたかがみが、俺を拒絶した。<br /> 落ち着いてと言うこなたさんの言葉も、頭まで回ってなかった。ただ信じられず、これが夢だと思うしかなかった。<br /><br /> みゆきさんの提案で、今日はもう帰ることにした。その際みゆきさんは一つだけ、約束をした。<br /> この事はこの場にいる人たちだけの秘密にすること。<br /> みんな承諾し、それぞれの帰路に着く。<br /><br /> 俺は一人だけ、教室に残っていた。まだこれが夢だと思い、現実を受け入れない俺。<br /> 「夢なんだよな、これは。夢だろ?早く覚めろ。夢なんだから・・・くそ!」<br /> そういって俺は教室の壁を殴る。何度も。何度も。<br /><br /> しかし俺の手に残っていたのは、滲んだ血と、確かな痛みだった。その痛みがまるで言っているようだった。<br /> これは現実なんだよ。・・・と</p> <p> </p> <div class="mes"> <p>あれから1週間が過ぎた。かがみの記憶はまだ戻らない。<br /> みんな色んな方法で思い出させようとしてくれた。しかし、やっぱり思い出してくれない。<br /> いつからか、俺はかがみを避けるようになっていた。昼休みになると、一人で屋上に行くようにしていた。<br /> 教室にいると、かがみが来るから。その場にいるのが、たまらなく嫌だった。<br /> 心のなかに、あの思いを抱いたまま、時は流れる。<br /><br /> そんなある日の授業中、俺のケータイにメールが届く。・・・こなたさんからだ。<br /> 「今日の放課後、屋上に来るベシ!来ないと・・・」<br /> 屋上?今日は予定もないしなぁ・・・。OKと返信する。<br /><br /> 放課後。屋上でこなたさんを待つ。・・・おかしいな、30分しても来ない。なんか嫌な予感がする。<br /> 「自分から呼び出しといて、なんだよ」<br /> 一人で文句を言っていても、いつまで経ってもこなたさんは来ない。<br /> 「・・・・・帰るか」<br /><br /> 屋上から校舎に通じる階段を下りると、声が聞こえた。<br /> 「ちょっと・・・」</p> <p>聞きなれた、声。しばらく聞いてなかった、声。<br /> 「・・・・・かがみ・・・」</p> <div class="mes">そこには確かにかがみがいた。この1週間、ずっと避けていたかがみが、そこにいる。<br /> 気まずい空気。ながい沈黙がこの場を包み込む。<br /> 「なんで?」<br /> かがみが、沈黙を破る。<br /><br /> 「なんであんた、教室に居ないの?それに、あたしに話し掛けてもくれない」<br /> 「こなたから聞いたわ。あんたとあたし、ものすごく仲よかったって。・・・なんで?」<br /> かがみの言葉が、凄く痛い。心に突き刺さる。<br /> 「思い出さないから?」<br /><br /> その言葉に、俺は言葉を失った。そうじゃないと言いたかったが、言葉が出ない。<br /> 「そう、なんだ・・・」<br /> 俺が違うと言いかけた時、かがみが一言。<br /> 「ごめんね」<br /><br /> その時、俺のなかでなにかが壊れた。音をたてて、なにかが崩れた。<br /> 「あたしがちゃんと、あんたの事を」<br /> 「・・・おい」<br /><br /> かがみの言葉をさえぎり、俺が言葉を続ける。<br /> 「なんでかがみが謝るんだよ・・・」<br /> 「だって悪いのはあたし」<br /> 「違う!!」<br /><br /> いままで溜めてきた思いが、一気に溢れてくる。<br /> 「かがみは何も悪くない!謝るな!」<br /> 「でも、結局あんたの事を思い出せなくて・・・それであんたに迷惑かけて」<br /> 「だから違う!本当に・・・本当に謝るのは・・・・・!」<br /><br /> 言いかけて、俺は走りだした。正確に言えば、逃げた。</div> <p> </p> <div class="mes"> <p>中庭まで来て、俺は止まった。目の前には星桜の木がある。二人の思い出の場所。<br /> なんで謝れない。素直になれない!考えなくても、その理由が俺にはわかっていた・・・。<br /> 俺は・・・怖いんだ。かがみが思い出して、俺を許してくれないんじゃないかって。<br /> 「もう、見つけた」<br /> かがみの声が、前から聞こえた。<br /><br /> 「あんたねぇ、なんで・・・あっ!」<br /> その時だった。かがみが躓いた。転びそうになるかがみを、俺は支えた。<br /> その光景は、あの時と同じだった。こなたさんと仲直りした後の、廊下での光景と同じだった。<br /><br /> 「あ、ありがとう・・・」<br /> お礼を言われたがその言葉も耳に入らず、溢れる感情を感じていた。そして<br /> 「・・・・・え?」<br /> かがみを抱きしめていた。戸惑うかがみを気にもせず、抱きしめる。<br /> 「ちょっ、なによあんた」<br /> 「・・・・・ごめん」</p> <div class="mes">もう我慢できなかった。抑えていた何かが涙として溢れた。<br /> 「いままで避けてきてごめん!誘いを断ってごめん!悲しい思いさせてごめん!<br /> 今までのこと全部謝るから!もう悲しい思いさせないから!一生大切にするから!<br /> だから・・・だからいつもみたいに「けんじ」って呼んでくれよ!俺のこと・・・思い出してくれよぉ!!」<br /><br /> 初めて人前で泣いた。溢れる感情を、すべて言葉にした。<br /><br /> 「ごめん」<br /> 「違う!悪いのは全部・・・全部!」<br /> 「けんじ君・・・」<br /><br /> 確かに聞こえた、俺の名前。俺はかがみを見つめる。<br /> 「ごめんね、なんでだろう・・・どうして大切な人のこと、忘れてたんだろう・・・大好きな人なのに・・・」<br /> 見ると、かがみは泣いていた。その目は、しっかりと俺を捉えていた。<br /> 「ごめんね・・・けんじ君・・・」<br /> 「・・・かがみ・・・かがみ!」<br /> まるで子供のように、俺は泣いていた。そして何度も謝った。かがみは母親のように、俺の頭を優しく撫でながら許してくれた。<br /> 夕日が二人を包み込むような、優しい光のように感じた。</div> </div> </div> </div> </div> </div> </div>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: