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「黒こなさん ハッピーエンド編」(2008/08/06 (水) 23:25:58) の最新版変更点
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本日は約束したデートの日だ。そして、本日の予定はというと、実はまだ白紙である。
というのも、以前のこなたさんと比べて、どういったところが変わっているかがわからないからだ。
だから、ブラブラしながら、こなたさんが興味を持ったところへ、自由に行こうという計画にしようかと考えている。
まあ、つまりは無計画という名の計画なのだ。
文学少女である今のこなたさんには、慣れないことも多いかもしれないけれど、俺はしっかりこなたさんの手を取るつもりだ。
「あ……、伊藤君。……えと、……おはよう」
待ち合わせにやってきたこなたさんは、やや恥ずかしそうに挨拶をする。
「おはよう、こなたさん。それじゃ、行こうか?」
「う、うん。……けど、今日はどこに行くの?」
不思議そうに尋ねるこなたさん。当日になっても予定がわからないのでは、当然だ。
「うーんとさ、今日は街をブラブラしようかと思ってるんだ」
「特に目的もなく歩くってこと……?」
「うん、大体そんな感じ。やっぱり嫌かな?」
一応、一般的なアミューズメント施設には、軽めに行こうと思っている。
なんというか、告白前提とは思えない予定だ。
「ううん、私……あまり外に出ないから、楽しみかな……」
「そっか、それなら良かった。嫌だって言われたら、どうしようかと思ったよ」
今日の予定は特に無しなんて言われたら、大抵嫌がられそうだ。こなたさんがそうでなくて良かった。
「そんなこと……思わないよ」
「ありがとう、こなたさん」
「お、お礼を言われるようなことじゃ……ないよ」
こなたさんは照れているようだ、その様子を見ていたら思わず笑顔になってしまう。
「いやいや、そんなことないよ。……それじゃ、そろそろ行こうか?」
「……うん」
俺はこなたさんの手を取り歩きだす、さて一体どんなデートになるのやら。
努力はするけれど、こなたさんが楽しめるといいな。
「えーと、こなたさん? この三十路岬って演歌?」
「……う、うん。歌ってる人が好きで……」
さすがにアニソンは歌わないようだ。それにしても、演歌か、しかもうまい……。凄いな。
「タ、ターキー? スコア150? 本当に初心者……?」
「え……たぶんビギナーズラックだよ……。次はそんなに良くない……と思う」
そんなことを言いつつ、慣れたのか次のゲームでは160を突破するこなたさん。
どうやら、運動神経は変わってないようだ。というか、俺のスコア……。
「ガンシューティングってさ、かなり難しいよね」
「うん、……それにホラー系は怖いよね」
ホラー苦手なのか、なんというかこれは可愛い欠点だぞ。
ってスコアが俺と雲泥の差なんだけど……、怖がりつつスコア出すってなんて器用な……。
「ふぅ、130キロって結構速いんだね。当たり前だけど、テレビで見るのとは全然違うよ」
「そうだね……、私……打てるかな?」
「まずはやってみなきゃ、こなたさんなら案外打てると思うよ」
「そ、そんなことないよ……」
そして、打席に立つこなたさん。響く快音。
わかってはいたけれど、スペック高すぎだろ、常識的に考えて。
「伊藤君……、この古本屋さんに寄ってもいい?」
「もちろんだよ、俺も何か探そうかな」
「…………」
「こ、こなたさん?」
「…………」
だ、だめだ、すでに本しか見えてない……。
慌しく楽しい時間が過ぎ、別れの時間が近づく。
「こなたさん、大丈夫? さすがに疲れたよね?」
「……確かに疲れたけど、大丈夫だよ。……その……楽しかったし」
「そっか、なら良かった」
「……勉強で忙しいのはずなのに……ありがとう」
「いや、いいんだよ。息抜きも必要だし、それに……こなたさんのこと、好きだしね」
やった、言えた! と思ったらムードも何もないじゃないか。ダメダメだな、俺。
「そう……なんだ。……って、ええ!?」
「な、何で驚くのさ? そんなに以外だったかな?」
「伊藤君は……柊さんのことが、好きなのかなって思ってたから……。よく話をしてたし……」
「ああー、あれはラノベを借りてたからだよ」
まあ、今週は今日のことで、冷かされたりもしてたけど。
「そうだったんだ……」
「うん。だからさ、俺が好きなのは……こなたさんなんだよ」
「え……で、でも何で私なの? 高良さんも柊さんたちも素敵なのに……」
「確かに素敵な人たちばかりだけど、誰に惹かれるかっていうのは人それぞれだろ? 俺がこなたさんの傍にいたいって思うようにさ」
「そう……だね。私も、伊藤君のことが、す……好きだよ、誰よりも……」
顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに答えてくれるこなたさん。こういうところが好きで、傍にいたいって思うんだよな。
俺もたぶん顔真っ赤だと思うけど……。
「それじゃ、改めて宜しくね、こなたさん」
「うん……、宜しくね、……………まこと君」
急に名前呼びという不意打ちを受けて、俺の顔は更に真っ赤になっただろう。
ただ、言った本人が例えようもないほど真っ赤なのだから、笑ってしまう。
「わ、笑うなんてひどいよ……。私……すごく勇気出して言ったのに……」
「ごめんね、こなたさんがあまりに可愛くてつい」
「え……!?」
恥ずかしかったからか、こなたさんは黙り込んでしまった。さっきの不意打ちのお返しは成功かな。
そうして、二人して顔を真っ赤にしながら、帰路に着く。
これから、色々なことがあると思うけれど、この手を繋いだままでいられるように、がんばらないとな。