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「相談編」(2008/06/17 (火) 23:53:10) の最新版変更点
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<div class="mes"> ドアにノックをする。考えてもみれば、とても久しぶりに会う気がする。<br />
忙しいようで、同窓会にはあまり来なかった。そう考えると、理由はともかく、この再会は素直に嬉しい。<br />
「どうぞ~」<br />
ノックの返事が返ってくる。<br />
ドアの向こうには、陵桜に転校してきて、一番最初にできた友人がいる。<br /><br />
「久しぶり、こなたさん」<br />
「久しぶりだねぇ、ロリコン閣下」<br />
なんというか、漠然と変わっていないことを実感する。</div>
<p>「……こなたさん、それはさすがに酷くない……?」<br />
「酷くなんてないっスよ、伊藤先輩。ガチでなくても、その気はあるってことは、証明されてるっス」<br />
「そうそう、ゆーちゃんにベタ惚れだもんね~、まこと君」<br />
話しかけられて、ようやくいることに気付いた。<br />
「それはそうなんだけど……、田村さん、いたんだね」<br />
「ちょっ、先輩の方がよっぽど酷いっスよ!」<br />
「ごめん、ちょうど死角にいたから、気付かなかったよ」<br />
どうせ私は背景っスよー。そんなことを言って、拗ねてしまった。悪いことをした……。<br />
「それで、相談したいことって何?」<br />
田村さんへのフォローはないようだ。<br />
「えと、実は――」</p>
<div class="mes">「――というわけで、ちょっとしたアドバイスでも、もらえないかなあと」<br />
「それを私に聞くの?」<br />
「ゲームやアニメや漫画を、たくさん見てたりするから、色々アドバイスをもらえるんじゃないかと思ったんだけど」<br />
「確かに、物によっては、結婚まで書かれてるものもあるっスよね」<br />
田村さんが復活した。<br />
「でも、そーいうの見ても、大して意味ないでしょ」<br />
「えっ? どうして?」<br />
「そーいう大事な事は、自分の言葉で、自分の気持ちを伝えないとダメってこと」<br />
「……やっぱり、そうだよね。アドバイスを、なんて考えてたのが、間違いだったのかな」<br />
「いやー、人生の中でも、特に大切なイベントだからね~。不安になるのも当然だよ」<br />
こなたさんの言葉で、自分の決意を思い出す。<br />
「うん。でも、不安には負けない、自分の気持ちをちゃんと伝えるよ。きっと、ゆたかを待たせてる」<br />
「おおぅ! ヘタレの覚醒だ! ベタだけど熱い展開だねぇ、ネタにしよっかなー」<br />
「泉先輩、私もネタにしたいっス!」<br />
「おぉ、じゃあ次回は、合作シナリオ!?」<br />
「ええ!? 泉先輩とっスか!? オラワクワクしてきたぞ!!」<br />
二人の勢いに置いてかれる俺。盛り上がってるなー。</div>
<div class="mes">「あー、そう言えば、今月は早い方と遅い方、二度の絶好のチャンスがあるけど、どっちでプロポーズするの?」<br />
「それなら、早い方に決めてるよ」<br />
「早い方っていうと、ゆーちゃんの誕生日ってことっスよね?」<br />
「うん、クリスマスは、婚約の後がいいかなって思って」<br />
「ハッピークリスマスになりそうですね、良かったっス。私らはデッドラインギリギリっスよ~」<br />
「そんなにギリギリなの? 俺と話なんかしてて、間に合う?」<br />
「あははー、息抜きは必要なのだよ」<br />
なぜ田村さんがいるのか、何となく見えてきた。<br />
「あははー、じゃないっス! 早く最終シナリオを書き終えるっスよ! せめて、プロットだけでも! じゃないと、イベントCGのイメージが湧かないっスよー!」<br />
これは……、本当に間に合うのだろうか? 次回の話なんて、してる場合じゃないだろうに……。<br />
編集も担当してる八坂さんが見たら、説教じゃ済まないぞ、間違いなく。</div>
<div class="mes"> こなたさんは、田村さんや八坂さんたちと組んで、ゲームを作っている。<br />
そうじろうさんから、書き方のノウハウをしっかり学び、シナリオライターになったのだ。<br />
最初の作品は、全く知名度が無かったけれど、言伝てにジワジワと売れ出し、最終的には小ブームにまでなったらしい。<br />
しかも、日本に帰ってきたパティさんが、こなたさんたちと協力し、ゲームを翻訳。アメリカで少し販売してみたところ、向こうでも割と好評だとか。<br />
二つ目の作品も、順調に売れたそうだ。遺伝かは知らないけれど、こなたさんには文才があったようだ。<br />
だから、知名度が確実に上がってきている今、作品の発売が遅れるということは、避けたいだろう。<br />
邪魔をしないように、俺は帰るべきだ。あまり遅いと、ゆたかも心配するだろう。</div>
<p>「それじゃ、俺は邪魔しないように帰るよ。アドバイス、ありがとう」<br />
「あいよー、結婚式の招待よろ~」<br />
「お幸せにっス、吉報待ってますね」<br />
「うん、二人もがんばってね」<br /><br />
泉家を後にする。<br />
ゆたかの誕生日まで、あと少しだ。色々な事を考えるよりも、まず行動。</p>