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「屋上」(2008/05/16 (金) 20:41:44) の最新版変更点
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<div class="mes">ちょこん、てさ。立ってるんだよ。教室の入り口で。<br />
つかささん達とメシ喰う時は、当り前みたく入ってくるくせに。<br />
こっち見ないようにしてさ。顔とか、ちょっと赤くなってんの。<br />
早く見つけてこっち来なさいよ、ってか?癪だから、軽く焦らしてやるんだ。<br /><br />
つかささん、テストどうだった?<br />
みゆきさん、そのうち勉強教えてよ。<br />
こなたさん、いいかげん起きたら?<br /><br />
ほらほら、機嫌わるくなってきた。あれは、さっさと気付きなさいよって顔。<br />
可愛いな。<br />
気付いてないとでも思ってんの?<br />
遠くから、ほんの少しだけ不安そうな顔で俺のこと見てさ。<br />
放っといたら、泣いちゃうんじゃない?それも、すごく見てみたい。<br />
でも、このくらいにしとくかな。なぜって、俺が我慢できないから。<br />
ふたりで、弁当食べるんだよな。屋上いって、人のいないところ探して。<br />
立ち上がって、呼んでやるんだ。もう、呼び捨てでいいよね?<br />
ほら笑った。で、すぐに怒ったフリするんだろ。俺も、謝るフリ。<br />
こなたさんに茶化されないうちに、さっさと歩き出すのな。<br /><br />
階段昇って。…え?<br />
下からって、スカートなんか覗いてないよ。でも、その手があったか。<br />
いつものドアを開けて、屋上へ。<br />
あ、けっこう風があんね。そろそろ、メシ喰うには寒いかも。<br />
いい加減、生徒も少ないみたい。<br /><div class="mes">今、好都合だって思っただろ。<br />
俺も。<br />
あの辺り、誰もいないんじゃない?<br />
正確に言うと、誰からも見えない。<br />
タオルケットを敷いて、と<br /><br />
座ると、すぐにくっついてくる。<br />
寒いから、とか言ってさ。なにかしら理由つけて、毎回こうするクセに。<br />
食べてる間は、無言。お互いにいろいろ意識してんの。笑っちゃうよ。<br />
え、卵焼きくれんの?ありがと。うん、こないだより、うまいよ。<br />
これだけで、真っ赤。早く食べなって。<br />
ん、終わった?お茶飲みなよ。<br /><br />
で、また沈黙。<br />
しょうがないんだよな。<br />
受験が終わるまで、ふたりきりになるのはここだけ、って決めてるし。<br />
その反動でさ。この時間は、ものすごく大事なわけで。<br />
それがお互いに照れくさくて。だから、きっかけ作んのはいつも俺から。<br />
手ぇ握ると、こっち向くの。<br />
でも、いきなり眼は見てこない。俺の肩の辺りを、ちらちらって。<br />
なにやってんだか。そんなキャラかよ。死ぬほど可愛いよ。<br />
名前呼ぶと、やっと眼を合せてくる。<br />
そしたら、もう全力で見つめてやるの。はぐらかそうとしても、無視。<br />
ずっと、見つめる。ほら、潤んできた。<br /><div class="mes">俺も、ここが限界。<br />
これ以上切なくなったら、たぶん死ぬ。<br />
空いてる手で、肩を掴む。むこうも、俺の胸の辺りを掴む。<br />
同じことしたら、どうせ殴るくせに。<br />
でも、ひょっとしてそろそろセーフなのかな。<br />
それは、今度でいいや。もう、お互いの唇しか見てない。<br />
今日は、ちょっと乾いてんだね。<br />
じゃ、するよ。<br /><br />
ん。<br />
ああ、これだよ。すげえ、幸せ。<br />
なんか。なんだろ。わかんない。<br />
だめだ。ごめん。好きだ。<br />
肩とかじゃなくて、抱きすくめる。<br />
足りない。座ってるから、ひっつけないんだよ。<br />
だからさ。寝ちゃえよ。下、敷いてんだし。俺が、上な。<br />
ほら。これなら、くっついてられる。<br />
すごい。熱い。ごめん。止まんないかも。<br />
腕から、伝わってくる。求めてる。でも、躊躇してる。<br />
そんなの、俺が。いまから、破ってやる。<br /><br />
待てって。俺、馬鹿かよ。こんなところで、なにも出来ないだろ。<br />
ごめん。離れるよごめんな。<br />
また、見つめあう。<br /><div class="mes">やめろって。<br />
なんで泣くんだよ。<br />
そんなに、怖かった?<br /><br />
首振ってる。そんなことない、って。<br />
違うだろ。突き放せよ。普段みたいに。<br />
そんな顔するなよ。<br />
そんなもの見たら、俺。<br />
ずっと一緒にいないと、駄目になっちゃうだろ。<br /><br />
なんか、聞こえる。<br />
予鈴だ。ほら、起きなよ。<br />
ティッシュしかないけど、顔ふいて。<br />
制服、崩れたね。髪も乱れてる。あと十分で、直せるかな。<br />
無理しないでいいよ。ふたりして、遅刻しよう。<br /><br />
え?<br />
出来るわけないって、まあ普通はそうだろうけど。<br />
なんか。急に元気になったね。<br />
でも、やっぱりその方がらしいよ。<br />
待ってよ。そんなに先行くなって。<br />
明日は、みんなと食べるんだろ。じゃあ、また来週か。<br />
間違いなく、いるからさ。間違いなく、立ってろよな。<br />
教室の前で、ちょこん、てさ。<br />
すぐに見つけるって、約束するから。</div>
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