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ひよりん☆レボリューション」(2008/05/01 (木) 19:35:06) の最新版変更点

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<div class="mes"> 「ううう」<br />  だめっス。このままじゃ…<br />  <br />  「むううううう…」<br />  唸ってみても、問題が解決しないのは分かってる。分かってるっス!無理矢理に左手を動かそうとして、でもどうしても動かない。動かないっス。<br />  なんでこういう時は、私の頭は完全に沈黙しちゃうんスか!いらない時には頭の中覗かれたら逮捕されるイキオイな百合薔薇の園が繰り広げられてるというのに。<br />  ええい、立て!立てよひより!このままでは締め切りに間に合わんぞ。来たる冬コミの原稿を落としたくなければ、立つのだひよりー!<br />  お願い、左手よ動け!動けえ!って初めて初号機に乗ったシンジ君の気分を味わっていたところで、目の前の原稿は真っ白なまま。<br />  かちり、と下書き用のシャープペンシルが、力の抜けた左手から落ちて。<br /><br />  「う、う、うがー!」<br /><br />  狂ったように頭をわしゃわしゃと掻き毟りながら、私は叫んでしまったっス。朝6時から早起きして机に向かっていながら、下書き、俗に言うネームさえ全く書けていないんだから、叫びたくもなるっスよ。<br />  ふと机の上の卓上電波時計を見ると、もうすぐ10時になるところで、なるほど道理でカーテンが明るく透けているなあと思ったら、もうこんな時間だったっスね。<br />  <br />  ん?10時?<br />  そういえば、今日は何か約束してたような。あれ、明日だっけ。<br />  <br />  頭に何かひっかかるものを感じた私は、壁にかけてある放映が始まったばかりのロボットアニメのカレンダー(イベント限定品っスよ、限定品!)に視線を移した。ちなみに今月のイラストは、黒い機体とハムの人っス。<br /><div class="mes"> <p> </p> <p>一瞬、自分の目を疑いました。ええ。<br /><br />  今日の日付の欄に「まこと先輩と初デートvAM9:30駅集合」なんていうハートマーク付きのマジック書きなんてあるわけないと。<br />  いやいや、きっと原稿に向かいっぱなしで、目が疲れてるんスね。二度ほどまばたきしてからもう一度カレンダーを見て、私はようやく現実を知った。<br /><br />  血の気が引いていく「さあああっ」という音を、私は聞いた気がした。瞬間、体中が変にぞくっとして、原稿に夢中で忘れていた全てを私は思い出した。<br />  <br />  一昨日、まこと先輩と街へ出かける約束をした事。昨日の夜そのまこと先輩とメールした後、妙に気分が浮いてなかなか寝付けず、なら冬コミ用の原稿にでも取り掛かろうかと思い立って机に向かっていた事。そのまま夢中になりすぎて、今に至る事。<br />  <br />  「も、もしかして…」<br />  机の上で冷静に時を刻み続ける先ほどの電波時計を引っ掴んだ私は、全てを悟ったっス。<br /> ええ、全てを。<br />  <br />  ──9時59分。<br />  どうみても遅刻です。本当にありがとうございました。<br />  <br />  「た、大変っスー!」<br />  と、とにかく先輩に連絡入れなきゃ!携帯、携帯はどこに…何で携帯のアラームが鳴らないんスか!一昨日先輩と約束した時点ですでにアラームを登録していた筈なのに。<br /> ちゃんと鳴ってくれたらいくら原稿に夢中な私でも気付くっス!と携帯の不甲斐なさに腹を立てながら、先輩に電話をかけるべくベットの枕元に置いてある携帯電話を掴んで、<br /> 私は全てを知りました。</p> <p>電池切れで、携帯は完全に沈黙していましたよ、ええ。アンビリカルケーブル…<br /> じゃなかった、充電器のケーブルに繋ぐのも忘れていたなんて、どんだけ浮かれてるんスか私。<br />  <br />  とにかく携帯は少しでも充電しておかないと!あと着替えて、外出用の小物もかき集めて、そうだ、シャワーも浴びてないしっ!ああっ、やる事多すぎて頭がメダパニ<br /> っス!ひより は こんらん している!<br />  <br />  どてらとパジャマを乱暴に脱ぎ去り、Tシャツとショーツ姿になった時点で。<br /> あ、お化粧してないや…。と気付いて、さらに絶望する私。<br />  <br />  さ、さすがにすっぴんのままでは出られないっスよね…。普段女を捨てているような生活をしているとは言え、その、えーと、恋人というか、彼氏というか、とにかく!<br /> 大好きな先輩との初めてのデートで、メイクの一つもしないのはありえないくらい、分かるっス!<br />  とはいうものの、時間が無いどころか、言い訳の余地もないくらい大遅刻なわけで…<br /> うう、先輩お怒りだろうな…<br />  <br />  軽くファンデ叩いて、ルージュ引くくらいにしよう。マスカラとかマニキュアとかいろいろ用意したのにぃ…私のバカ。バカバカバカ。</p> </div> </div>
<div class="mes"> 「ううう」<br />  だめっス。このままじゃ…<br />  <br />  「むううううう…」<br />  唸ってみても、問題が解決しないのは分かってる。分かってるっス!無理矢理に左手を動かそうとして、でもどうしても動かない。動かないっス。<br />  なんでこういう時は、私の頭は完全に沈黙しちゃうんスか!いらない時には頭の中覗かれたら逮捕されるイキオイな百合薔薇の園が繰り広げられてるというのに。<br />  ええい、立て!立てよひより!このままでは締め切りに間に合わんぞ。来たる冬コミの原稿を落としたくなければ、立つのだひよりー!<br />  お願い、左手よ動け!動けえ!って初めて初号機に乗ったシンジ君の気分を味わっていたところで、目の前の原稿は真っ白なまま。<br />  かちり、と下書き用のシャープペンシルが、力の抜けた左手から落ちて。<br /><br />  「う、う、うがー!」<br /><br />  狂ったように頭をわしゃわしゃと掻き毟りながら、私は叫んでしまったっス。朝6時から早起きして机に向かっていながら、下書き、俗に言うネームさえ全く書けていないんだから、叫びたくもなるっスよ。<br />  ふと机の上の卓上電波時計を見ると、もうすぐ10時になるところで、なるほど道理でカーテンが明るく透けているなあと思ったら、もうこんな時間だったっスね。<br />  <br />  ん?10時?<br />  そういえば、今日は何か約束してたような。あれ、明日だっけ。<br />  <br />  頭に何かひっかかるものを感じた私は、壁にかけてある放映が始まったばかりのロボットアニメのカレンダー(イベント限定品っスよ、限定品!)に視線を移した。ちなみに今月のイラストは、黒い機体とハムの人っス。<br /><div class="mes"> <p> </p> <p>一瞬、自分の目を疑いました。ええ。<br /><br />  今日の日付の欄に「まこと先輩と初デートvAM9:30駅集合」なんていうハートマーク付きのマジック書きなんてあるわけないと。<br />  いやいや、きっと原稿に向かいっぱなしで、目が疲れてるんスね。二度ほどまばたきしてからもう一度カレンダーを見て、私はようやく現実を知った。<br /><br />  血の気が引いていく「さあああっ」という音を、私は聞いた気がした。瞬間、体中が変にぞくっとして、原稿に夢中で忘れていた全てを私は思い出した。<br />  <br />  一昨日、まこと先輩と街へ出かける約束をした事。昨日の夜そのまこと先輩とメールした後、妙に気分が浮いてなかなか寝付けず、なら冬コミ用の原稿にでも取り掛かろうかと思い立って机に向かっていた事。そのまま夢中になりすぎて、今に至る事。<br />  <br />  「も、もしかして…」<br />  机の上で冷静に時を刻み続ける先ほどの電波時計を引っ掴んだ私は、全てを悟ったっス。<br /> ええ、全てを。<br />  <br />  ──9時59分。<br />  どうみても遅刻です。本当にありがとうございました。<br />  <br />  「た、大変っスー!」<br />  と、とにかく先輩に連絡入れなきゃ!携帯、携帯はどこに…何で携帯のアラームが鳴らないんスか!一昨日先輩と約束した時点ですでにアラームを登録していた筈なのに。<br /> ちゃんと鳴ってくれたらいくら原稿に夢中な私でも気付くっス!と携帯の不甲斐なさに腹を立てながら、先輩に電話をかけるべくベットの枕元に置いてある携帯電話を掴んで、私は全てを知りました。</p> <p> 電池切れで、携帯は完全に沈黙していましたよ、ええ。アンビリカルケーブル…じゃなかった、充電器のケーブルに繋ぐのも忘れていたなんて、どんだけ浮かれてるんスか私。<br />  <br />  とにかく携帯は少しでも充電しておかないと!あと着替えて、外出用の小物もかき集めて、そうだ、シャワーも浴びてないしっ!ああっ、やる事多すぎて頭がメダパニっス!ひより は こんらん している!<br />  <br />  どてらとパジャマを乱暴に脱ぎ去り、Tシャツとショーツ姿になった時点で。<br /> あ、お化粧してないや…。と気付いて、さらに絶望する私。<br />  <br />  さ、さすがにすっぴんのままでは出られないっスよね…。普段女を捨てているような生活をしているとは言え、その、えーと、恋人というか、彼氏というか、とにかく!<br /> 大好きな先輩との初めてのデートで、メイクの一つもしないのはありえないくらい、分かるっス!<br />  とはいうものの、時間が無いどころか、言い訳の余地もないくらい大遅刻なわけで…<br /> うう、先輩お怒りだろうな…<br />  <br />  軽くファンデ叩いて、ルージュ引くくらいにしよう。マスカラとかマニキュアとかいろいろ用意したのにぃ…私のバカ。バカバカバカ。</p> </div> </div>

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