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「だんしんぐ☆ほりでー」(2008/05/01 (木) 18:55:04) の最新版変更点
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<p>みさとの週末デートも、もう生活の一部になりつつあった。<br />
最初はお互い照れくさかったけど、今じゃ親友以上っていうかさ。<br /><br />
そりゃ、学生の身分でいける範囲なんてたかが知れてる。<br />
それでも、俺たちは。<br /><br />
一緒に遊んでる。その事実だけで、とても楽しくて…とても幸せなんだ。<br /><br />
「なーゆうき、今日はどこ行こっか?」<br /><br /><br /><br />
<strong>だんしんぐ☆ほりでー</strong><br /><br /><br /><br />
みさが商店街をぴこぴこと歩いていく。<br />
アメリカンドッグをパクつきながらのそれは、Tシャツとジーンズという組み合わせもあいまって、一瞬男の子に見えてしまいそうにもなる。<br />
…もちろん、俺はそんなへまはやらないけどね。<br /><br />
でも、たまには女の子っぽい格好もして欲しいな…なんて思ったりして。<br />
制服以外のスカート姿も、見るだけなら見てみたかったり。<br />
…なんか、わがままになってきたかも、俺。<br /><br />
「んお? …へー、ここゲーセンできたんだなー」<br />
ふと、みさが立ち止まり、俺もそれに倣う。<br />
「そういえば、みさってゲームとかするの?」<br />
「ん、たまにな。あんまウマくねーけど、楽しいから好きだゼ」<br />
考えてみれば、デートでゲーセンは行った事なかったな。<br />
…まぁ、デートスポットとしてはちょっと微妙だけど。<br />
「入ってみよっか?」<br />
「そだな。なんかおもしろそーだし♪」<br />
ほら、はやくいこーぜっ! なんて言いながら、みさが俺の手を取って引っ張っていった。<br /><br />
*<br /><br />
「へー、結構いろんなモンがあんだな」<br />
ひとくちにゲームといえど、そのジャンルは幅広い。<br />
いわゆるクレーンゲームに代表されるプライズゲームや、家庭用ゲーム機をグレードアップさせたようなビデオゲーム。大掛かりな体感ゲームなどなど。<br />
ものめずらしそうにあたりをキョロキョロしながら、自分のお眼鏡にかなうゲームを探すみさ。<br /><br />
…あ、あれとかいいかもな。<br /><br />
「みさ、こっちこっち」<br />
「ん?」<br />
俺が案内したのは、某有名メーカーのダンスゲームの筐体。<br />
「すっげーな…ゲーセンのゲームってレバーガチャガチャするもんばっかかと思ってたぜ」<br />
で、どーやって使うんだ? と首をかしげる。<br />
「画面に音楽と一緒に矢印流れてくるから、タイミング合わせて同じ矢印を、足で押すんだ」<br />
ま、百聞は一見にしかず。<br />
「まずは俺がやってみせるから、見ててよ」<br />
コインを放り込んで、プレイスタート。<br />
可もなく不可もなくな難易度を選んで、説明しながらこなしていく。<br />
うん、やるのはひさびさだけど、これくらいならなんとかなるかな。<br /><br />
「…どう?」<br />
「ん、おもしろそーだな。やってみる」<br />
俺に代わってステップに立ち、今度は彼女がスタート。<br />
試しに俺が選んだのと同じ曲で。<br /><br />
「…お?」<br />
2曲目は俺オススメの曲で。<br />
「…おお?」<br />
3曲目はみさの好みで。<br />
「おおお~♪」<br /><br />
「なんだこれー! すげーおもしれー!!」<br />
気が着くと、すっかりハマってた。<br />
やっぱり、身体を動かすのが性に合ってるようだ。<br /><br />
それからはずっとみさのターン!<br />
時折俺と交代しながら、ちょっと難易度の高いの選んで失敗したり、ダブルプレイで文字通りキリキリまいしたり…<br />
時間と懐の許す限り遊んでいるうちに、なんだかギャラリーも増えてきた。<br /><br /><br />
「はぁ、はぁ…み、みさ…そろそろ…終わりにしない?」<br />
「なんだよー、もうヘバったのか? じゃ、次二人でやろうぜ。それで終わりにするからさ」<br />
みさのお願いに、内心ジト汗かきながら頷く。<br /><br />
「そんじゃ、いくぜ!」<br /><br />
何度もプレイしているうちに、俺も以前のカンが戻ってくる。<br />
基本的に動かすのは足だけだけど、メロディやリズムに合わせて腕とかも一緒に動かす。<br />
たまーにすごい勢いでステップ踏みまくってる上級者がいるけど、あれは俺に言わせればちょっと邪道かな。<br />
せっかく踊るんなら、全身使わないと。<br /><br />
踊りながら俺がそう言うと、みさが「そうそう、そーだよな!」って。<br />
意見が合う。たったそれだけのことが、すごく嬉しい。<br /><br />
「なーなー、ゆうき」<br />
「んー?」<br />
不意にみさが俺の手を握る。<br />
「せーので、入れ替えするぞ。いいな?」<br />
「え? ええ?」<br />
ニュアンスでなんとなく意図は察したけど…<br />
できるのか?<br />
「できるかじゃねーよ。やるんだよ♪」<br />
…だそうな。<br /><br />
「んじゃいくぞ…せーのっ!」<br />
曲の途中、メロディが一瞬途切れる隙間をぬって、手を繋いだ俺たちの身体がくるりと回転して、立ち位置を切り替えた。<br />
おお~! と沸き立つギャラリー。ちょっと気分がいい。<br />
ちらりとみさを見ると。にかっと笑ってVサイン。<br /><br />
やがて、曲が終わる。<br />
最後のステップをスパっと決めた途端、ギャラリーの拍手が背中に降りかかって来た。<br />
ちょっと照れくさいけど、それに応えて二人してサムズアップする。<br /><br />
「やったな、ゆうき」<br />
「おう!」<br />
向かい合って、ハイタッチ。<br /><br /><br />
満足げなみさの笑顔が、スポットライトより眩しかった。</p>