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「無題(みなみ)4」(2008/05/01 (木) 18:23:35) の最新版変更点
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<p>俺は野上あきら。陵桜に転校してきた。ちなみに一人暮らしだ。<br />
「さぁて・・・行きますか・・・」<br />
ちゃんと迷わずに着くかなぁ・・・。地図は持った!これで大丈夫!!<br /><br />
20分後、道に迷った・・・。ココはどこ?<br />
大丈夫!俺にはこの地図が・・・無い。落とした・・・。<br />
「最悪じゃねぇかぁ!!コンチクショー!!」<br /><br />
「あの・・・どうかしましたか?」<br />
突然うしろから声を掛けられたので、少しビックリした。<br />
その子は、緑のショートカットに、ツリ目の女の子。<br /><br />
「あぁ実は俺、転校生なんだ。でも、道に迷っちゃって・・・」<br />
「・・・なら・・・一緒に行きますか・・・?」<br />
「え、いいの?」<br />
「ハイ・・・こっちです・・・」<br /><br />
いやぁ、助かった。学校に着いたのは、予鈴ギリギリだった。<br />
「ありがとう。助かったよ!」<br />
女の子は少し照れながら、頷いた。<br /><br />
女の子にお礼を言って、俺は職員室へと急いだ。</p>
<div class="mes">
<p>担任の先生にあいさつを済ますと、早速教室に案内された。<br />
1-D組。ここが俺のクラスのようだ。先生と一緒に教室に入り、みんなの前で自己紹介をする。<br />
「神奈川から越してきました、野上あきらです。よろしく」<br /><br />
みんなは温かく歓迎してくれた。<br />
「えぇと野上の席・・・岩崎の隣だな」<br />
指差された席の方を見ると、朝のあの女の子がいた。<br /><br />
「あ!君は朝の・・・」<br />
「・・・あ・・・」<br />
「このクラスだったんだ!俺野上あきら、よろしく!」<br />
「岩崎・・みなみ・・・です・・・」<br /><br />
転校初日から友達ができるなんて嬉しいなぁ。前の学校じゃ友達なんて居なかったもんな。<br />
帰り道。そんな事を考えていると、また道に迷ってしまった。<br />
途方に暮れていると、なにやら白い犬がこちらに近づいている・・・そして押し倒され、顔中を舐められた。<br />
「わっ!お、おい・・・ハハッ!」<br /><br />
「・・・チェリー・・・」<br />
どこかで聞いたことのある声。声のする方を見ると、岩崎さんがいた。<br />
「ごめんなさい・・・怪我してない・・・ですか・・・?」<br />
「大丈夫だよ、かわいいねこの子。チェリーっていうんだ」<br />
「・・ハイ・・・でも、なんでここに・・・?」<br /><br />
理由を説明すると、その場所までの行き方を教えてくれた。<br />
「・・・けっこう、忘れっぽいんですね・・」<br />
そう言って彼女は笑った。その笑顔が、とても綺麗だった。</p>
<div class="mes">
<p>転校して1週間が過ぎた。岩崎さんとも仲良くなった。小早川さんという、岩崎さんの親友とも仲良くなった。<br />
とても充実した学園生活をすごしていた。<br /><br />
そんなある日、お昼を屋上で三人で食事をしていた。<br />
最初はたわいもない話をしながら食事をしていた。そんな時に、小早川さんが質問をしてきた。<br />
「野上君って、好きな人いるの?」<br />
「いや・・・いないかなぁ・・・」<br />
ちらっと岩崎さんを見れば、少し安心したような顔をしていた。<br /><br />
その日の放課後、俺は買い物をする為スーパーへ向かっていた。<br />
スーパーの中へ入ると、調味料のところに見慣れた子が居る・・・。岩崎さんだ。<br />
なんか・・・似合うなぁ。ってこれじゃ俺変態だぞ・・・。<br /><br />
「岩崎さん♪」<br />
「あ・・・野上くん。・・・なんで・・いるの?」<br />
「いや、おれ一応一人暮らしだし・・・」<br />
「一人暮らし・・・なんですか?」<br />
そう言うと、しばらく岩崎さんは考え込んでしまった。そして、口を開いた。<br /><br />
「じゃあ・・・夕飯、作ろう・・か?」<br />
「え、いいの?」<br />
「うん。家に連絡入れるから、ちょっと・・・待ってて・・・」<br /><br />
それから俺と岩崎さんは、俺のアパートへと向かう・・・。</p>
<p> </p>
<div class="mes">「じゃあ・・・作るね・・・」<br />
1時間後、俺のアパートのキッチンに岩崎さんが立っている。<br />
女の子の手料理なんて生まれて初めて食べるなぁ・・・。<br /><br />
「今日のメニューはなんですか?」<br />
「カレー・・・です」<br />
「ふ~ん・・・俺も手伝うよ」<br />
「え・・・いいですよ・・・座ってて・・」<br />
「じっとしてるのは苦手でね♪で、なにをすればいいの?」<br />
「じゃあ・・・にんじんを切ってください・・」<br /><br />
こうして二人いっしょに夕飯を作りはじめた。まるで夫婦みたいだな。<br />
夫婦・・・この言葉にはあまりいい思い出はない。父と母・・・か・・・。<br />
「・・・ん、上君・・・野上君!!」<br />
「え・・・痛っ!!」<br />
岩崎さんに呼ばれるまで、気が付かなかった。ボーっとしてた俺は、包丁で自分の指を切ってしまった。<br /><br />
「・・・大丈夫ですか?」<br />
「うん、これくらいはね。かっこ悪いとこ見せちゃったなぁ」<br />
「いえ・・・そんな・・」<br /><br />
すると、岩崎さんが質問をしてきた。<br />
「なんで・・・一人暮らしなんですか?」</div>
<a name="475"></a>
<div class="header"><span class="no"><font color="#000000">「・・・捨てられたんだ、俺。親に・・・。」<br />
「・・・え・・・」<br />
あまり人に話したくなかった事。でも、岩崎さんには聞いて欲しかった。俺は話を続けた。<br /><br />
「俺の親、かなり借金があったらしくてさ・・・。そんな時に俺が生まれて・・・。<br />
育てる自信がなかったんだろうな。夜逃げするときに、俺を捨てていったんだ・・・。<br />
警察に保護された俺は、行くあてもなくて施設に預けられたんだ・・・。」<br /><br />
その時の岩崎さんは、俺を瞬きせずに見ていた。かまわず、俺は話を続けた・・・。<br /></font></span>
<div class="mes"><span class="no"><font color="#000000">「施設も転々としてた俺は、中学生の時には一人暮らししてたんだ」<br />
「学費は・・?」<br />
「いろんなバイトを掛け持ちして稼いでたんだ。今日はたまたま全部休みで暇だったんだ」<br />
「・・・すごい・・・」<br />
「もう慣れたけどね」<br /><br />
しばらく沈黙が続いたが、岩崎さんが沈黙を破った。<br /><br />
「・・・寂しくなかったの・・・?」<br />
「寂しかったよ。小学生の参観日はすごく寂しかった・・・。でも、それでも笑ってた。苦しかった・・。」<br /><br />
知らず知らずのうちに、俺の声は震えていた。俯いて、拳を震わせて・・・。<br />
その時、俺の体が引っ張られた。そして、抱きしめられた。岩崎さんに。<br /><br />
「我慢・・・しなくていいですよ・・・。これから私が・・・私が傍にいますから」<br />
「それって・・告白みたいだぞ・・・」<br />
「告白・・・です。あなたが・・・好きです。あなたはの返事を、聞かせてください」<br />
返事はもちろん・・・<br /><br />
「好きです。岩崎さん、いや・・・みなみが大好きです!」<br /><br />
初めて、人が温かいと知った。みなみに抱きしめられて、初めて知った。<br />
十数年、ずっと耐えてきたものが一気に溢れた。涙が止まらなかった。まるで子供のように泣いた。<br />
その間みなみは、背中と頭を撫でていてくれた。まるでみなみが、俺の知らない母親のように感じた。</font></span></div>
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