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「無題(みなみ)2」(2008/04/23 (水) 18:59:07) の最新版変更点
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<p>陵桜を卒業してもう何年経つだろう・・・俺、秋山ゆうきは大学の卒業式を終えたところ<br />
講堂では、後輩との別れを惜しんで泣いてる奴もいる・・・<br />
友人との別れを惜しみながら、俺は大学を出る。そして、呼び止められる。<br />
「・・・先輩・・・」<br /><br />
俺の大好きな人、岩崎みなみ。世界でいちばん愛しい、俺の恋人。<br />
「卒業・・・おめでとうございます・・・」<br />
「ありがとうみなみ。ごめんな、長い時間、待たせて」<br />
「いえ、じゃあ・・・行きましょうか・・・」<br />
「ねぇ・・・本当に今日じゃなきゃダメ?」<br />
「ダメです。今日逃したら・・・また、いつになるか分からない・・・」<br /><br />
車を走らせる事30分。ついに着いてしまった・・・<br />
「やばい・・・緊張してきた・・・」<br />
「先輩・・・落ち着いてください・・・」<br />
「んなこと言われても・・・」<br />
いま俺がいるのは、みなみの家。</p>
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<p>実は今日は、みなみの両親へのあいさつに来たのだ。そう、ドラマでよく見るあれだ。<br />
さっきから左の胸の鼓動がうるさい。それほど緊張していた。<br />
「劇の本番より緊張してきた・・・・・・」<br /><br />
庭に入ると、勢いよく走ってきた犬に押し倒された。<br />
チェリーだ。押し倒されたあと、顔中を舐められた。<br />
「ちょっ、やめろって。ハハww」<br />
「フフ・・・先輩、やっと笑いましたね・・・」<br />
そこにはいつもの優しく、温かい笑顔があった。<br /><br />
気付くと、もう胸の鼓動は収まっていた。それほど緊張もしていないようだ。<br />
「チェリーのおかげかな。ありがとう」<br />
お礼を言うと、どういたしましてと言っているのかな?「ワン」と返事をしてくれた。<br /><br />
覚悟を決めて、俺はみなみの両親の待つ居間へ向かう・・・。</p>
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<p>「お父さん、お母さん・・・連れてきたよ・・・・・」<br />
そう言って、みなみが居間のドアを開ける。<br />
そこには椅子に腰掛けるみなみのお母さん。そして腕を組んで目をつむっているお父さん。<br />
実はみなみのお父さんに会うのは、今日が初めてだった・・・。<br /><br />
「いらっしゃい、ゆうき君。どうぞ腰掛けて」<br />
みなみのお母さんが、柔らかい言葉で言う。言葉の通り、俺とみなみは椅子に腰掛ける。<br /><br />
もうどれくらい時間が経っただろう。時計を見ると、まだ5分しか経ってない。<br />
我慢できず、俺は沈黙を破る・・・<br />
「お父さん!!」<br />
みなみのお父さんはゆっくりと目を開き、俺を見つめる。<br />
「初めまして。みなみさんとお付き合いさせていただいてます、秋山ゆうきと言います。<br />
今日は時間を作っていただき、ありがとうございます。単刀直入に申し上げます。<br />
みなみさんを・・・みなみさんを僕に下さい!必ず、必ず幸せにしてみせます!!」<br /><br />
自分の思いを、飾らず、率直に伝える・・・。</p>
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<p>「二つ、聞きたいことがある」<br />
少しハスキーな声で、みなみのお父さんが質問をしてくる。<br />
重みのある、一家の主を思わせる声だった・・・。<br /><br />
「この娘のどこが好きなんだ?」<br />
「正直、分かりません。でも、今のみなみさんからなにが欠けても、好きなんです」<br />
分かったと、お父さんは頷く。<br /><br />
「最後の質問だ」<br />
緊張して次の言葉を待つ。<br />
「君の好きな動物は?」<br /><br />
あまりにも普通な質問に、呆気にとられてしまった。<br />
「あ、はい。動物ならなんでも。強いて言えば・・・犬が好きです」<br />
そうかそうか、と頷くお父さん。そして、みなみのお母さんとお父さんが見合って頷く。<br />
そして、お父さんが口を開く。<br /><br />
「うん、合格!」</p>
<div class="mes">
<p>みなみが口を開く。<br />
「・・・お父さん・・・ありがとう・・・」<br />
「みなみ、いい男性(ひと)を見つけたな。もうなにも言わない、すきにしなさい」<br />
ポロポロと、みなみの瞳から涙が溢れていた。自然にハンカチを渡した。<br /><br />
「気が利くねぇ君は」<br />
笑顔のお義父さんが、俺に言う。<br />
「いまから孫が楽しみね、お父さん」<br />
「そうだな、母さん」<br />
この言葉に俺とみなみは顔を紅くして、お互いを見合う。そして笑い合う。<br /><br />
それからはチェリーも加わり、みなみの家で夕飯をご馳走になった。<br />
時折チェリーがテーブルにあごをのせて、俺にご飯をおねだりしてきたりもした。<br />
食事中、急にお義父さんが思い切ったように俺に言う。<br /><br />
「ゆうき君。これはわたしのお願いなんだが・・・」<br />
その内容に、お義母さん、みなみ、俺は驚愕した。<br />
「「「え――――――――――――!!!!」」」<br /><br />
「お父さん、なに言ってるの・・・」<br />
「そうよ、いくらなんでもそれは」<br />
「だよな。いや、悪い。忘れてくれ、ゆうき君」<br /><br />
しかし、俺は決めた。<br />
「分かりました」<br /><br />
岩崎家そろって・・・<br />
「「「え―――――――――――――――!!!!」」」</p>
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<p>2年後、俺とみなみは結婚した。結婚式には小早川さんを始め、たくさんの人たちが参加してくれた。<br />
小さな教会で、俺とみなみは永遠の愛を誓う。<br /><br />
そして披露宴。<br />
こなたさん、かがみさん、つかささん、みゆきさん、黒井先生、田村さん、小早川さん、日下部さん、峰岸さん。<br />
みんなが俺とみなみに祝福の言葉をかけてくれる。小早川さんに至っては、もう泣いてばかりだ。<br /><br />
不意にこなたさんが言う。<br />
「みなみちゃんはこれから、秋山みなみになるわけか」<br />
「まぁ、そうね。普通はそうなるわね」<br />
「私も、峰岸から日下部になったしね。慣れるまで大変よ、みなみちゃん」<br /><br />
「あ!その心配はないよ。いままで通り、岩崎みなみだよ」<br />
つかささんが「?」という顔をしている。そしてかがみさんと、みゆきさんが気付く。<br />
「もしかして・・・・・・」<br />
「名字が変わるのは、俺」<br />
「どういうこと?」<br />
田村さんと、小早川さん、日下部さんが聞いてくる。だから俺は答えた。<br /><br />
「こういうこと。改めて、岩崎ゆうきです」</p>
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<p>そう、2年前にお義父さんから提示された事とは、俺が婿養子に来る!という事だった。<br />
これにはお義父さんが多忙で家に居ない為、男がいなくなってしまう。女性2人では心配だ。<br />
そういう訳で、俺が居れば心配ない!という訳だ。<br /><br /><br />
さらに2年後。俺とみなみには、念願の赤ちゃんが生まれた。<br />
俺たち以上に喜んでいたのは、お義父さんとお義母さんだった。<br />
元気な男の子。どっちかといえば・・・みなみ似だ。<br />
さぁて守るものが増えて、大変だぞこれから。<br /><br />
「あなた、もう寝ないと・・・」<br />
「うん、分かってるよ・・・なぁ、みなみ」<br />
「・・・・・・なに?」<br />
「愛してるよ」<br />
「・・・・ハイ」</p>
<p> </p>
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