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翠星石はジュンの部屋を出た後、のりの部屋へ向かった。
翠「ジュンなんて・・・ジュンなんて・・・。」
 翠星石は、乱暴にのりの部屋のドアを開け、押入れからコートを一枚乱暴に引っ張り出すと、それを着て階段を一目散に駆け下りた。
翠「翠星石の気持ちも知らないくせに・・・、ひどいです・・・。」
 
心は完全に潰れ、目からは涙が止まるところを知らない―――

翠「ジュンの、ジュンの馬鹿・・・。」
 袖で涙をぬぐい、ブーツを履くと、玄関を開けて外に出る。

   翠星石はとにかく離れたかった。愛する人から。
 
 翠星石は、行く所もなく、ただただ走った。
翠「ぐす、ひっく、もうジュンなんて知らないです・・・」
 道行く人の視線を感じるが、今はそれころではない。
 
   ただ離れたい。それだけの思いで、翠星石は走った。


ジュンの部屋

蒼「ジュン君・・・。」
 蒼星石は、小声でジュンに話しかける。
 他の薔薇姉妹達を起こさないためだ。
ジ「何だよ・・・お前もさっさと出てけよ・・・。」
 ジュンはベッドの中から面倒くさそうに、適当に返事を返す。
 蒼星石は少し傷つくが、踏みとどまる。
蒼「君は・・・翠星石にひどいことをしたって、自覚してるのかい?」
ジ「んん?あんまり感じないよ・・・。お前らのせいで、僕は死にかけたんだ。」
 ジュンは気だるそうに、もごもごと喋る。
蒼「そうかも知れない。けど、翠星石が君のためにどれだか尽くしたのか、
  君は寝ていたから知っているわけないけど、僕は知っている。」
 蒼星石は、真剣な眼差しで、ジュンの方をじっと見つめている。
ジ「あいつが僕に何をしてくれたって言うんだよ!・・・いてて、」
 大声で、蒼星石を威嚇する。
 それでも蒼星石は、退かない。
蒼「君が怪我をしたとき、翠星石がどれだけ涙を流して悲しんだと思う?他のみんなも、どれだけ心配したと思う?」

ジ「怪我をしてから心配するなんて、偽善だな。都合がいいんだな。」
 ジュンの言葉はきつくなっていったが、口調は弱々しくなっていた。
蒼「皆付きっ切りで看病してくれたんだよ?翠星石と、雪華結晶なんて、徹夜で君についてたんだよ?そんな彼女に、あんな悪態をつくなんて・・・。」
ジ「そんなの僕が知るわけないだろ・・・。」
 蒼星石は構わず続ける。
蒼「それに、翠星石は、君のことが・・・。」
 
    ジュンにはできるだけ伝えたくない想い―――

ジ「なんだよ?早く言えよ・・・。」
 
   ―――しかし、双子の姉の傷ついた心をジュンに癒させるためには―――

蒼「翠星石は君のことが、好きなんだ。」

    ―――伝えるしかない、蒼星石は悟った。

ジ「!!!!・・・そんなわけ・・・。」
 ジュンはいきなりの宣言に、困惑する。
蒼「僕が嘘つくと思うかい?」
 数秒の沈黙。
ジ「・・・一人にしてくれ、寝たい。」
 ジュンの静かな声。
蒼「うん・・・。」
 蒼星石は返事をすると、部屋から静かに出て行った。

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