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気絶して、ジュンが階段から転がり落ちて、1日程たった後、ジュンは自分のベッドでうなされていた。
ジ「見るな・・・見るな・・・」
 その様子を、蒼星石と雪華結晶が見守っている。
 蒼星石は、色落ちした青ジーンズに紺のシャツ、薄い上着。
 雪華結晶は、白のロングスカートと、白のシャツ。どちらも、のりの借り物である。
 のりは、雪華結晶に渡されたお金を持って、巴、金糸雀、雛苺と共に、薔薇姉妹に必要な、生活物資の調達に出かけた。
蒼「昨日から、ずっとこれだね。」
雪「ジュン様は、大丈夫なのでしょうか・・・。」
 周りには、水の入った洗面器、タオル数枚、シップや包帯、薔薇姉妹達の食事の後が散らばっていた。 (治療には、ジュンの幼馴染の巴も手伝ってくれた。)
 のりのパジャマを借りている、翠星石、水銀燈は、蒼星石たちに毛布を掛けられ、部屋の端っこの方で寝ている。




蒼「大丈夫だよ。トラウマさえ残らなければね。」
 蒼星石はそう言って、はは、と笑った。
 雪華結晶不安そうな顔をしながら、はジュンの額に乗っているタオルを、新しく絞ったタオルに変えた。
雪「私のせいですわ・・・。私のおふざけが、過ぎたばっかりに・・・。」
 雪華結晶は泣きそうな顔をしていた。
 
自分のせいだ。
 
雪華結晶の頭の中には、そればかりが回っていた。
蒼「責任感じることはないよ。君だって、皆と話し合って、ちゃんとした薔薇姉妹と認められている。 一人の責任は、皆の責任。そう教えられてきたじゃないか。」
雪「分かっていますわ・・・でも・・・。」
 雪華結晶の手が、強く握られていく。
 
自分の責任の重さを、自分でさらに重くいていく―――。

蒼「もう寝なよ。君は昨日からずっと、ジュン君の看病をしているじゃないか。」
 雪華結晶は、半泣きの顔を蒼星石のほうに向けた。
雪「いいえ。私は、ジュン様が起きるまで、寝ません。」
 雪華結晶は蒼星石に、しっかりと自分の決意を伝えた。
蒼「わかったよ。頑固者だね、君は。」
 蒼星石は笑顔で雪華結晶をみた。



 徹夜により、少しやつれた顔。それでもなお、自分ではなく、ジュンの事を心配する。

 ―――それは、雪華結晶の決意の強さの現われ、自分が出来る、ジュンへの償い。

雪「あなたに言われたくないですわ。」
 ぷい、とそっぽを向く雪華結晶。
 蒼星石はクスリと笑った後、立ち上がった。
雪「何処へ行くのですか?」
蒼「ちょっと下にね。真紅の様子を見に行くだけだよ。」
 真紅は、素っ気無い態度をしているものの、やはりとても心配している。
それもそう、ジュンは気絶後、階段から落ち、あちこちぶつけたため、ジュンの全身は、シップだらけだった。
治療のときは、巴も顔を歪める程の有様だった。
 
 “一歩間違えれば、首が折れ、死んでいたかもしれない。”  

 雪華結晶は人一倍責任感が強いため、必要以上に責任を感じていた。
雪「そう・・・、いってらっしゃい。」
蒼「いってきます。」
 蒼星石はにっこりと微笑むと、寝ている二人を起こさないように、静かに部屋から出ていった。



 雪華結晶は、蒼星石を見届けると、ジュンのベッドに身を乗り出した。
 ジュンの寝顔を覗き込む。

―――ジュンの、少し汗ばんだ顔、苦しそうな寝顔。
  
 その二つが、雪華結晶の心を縛る。
  
―――ジュンの布団をめくると見える、あちこちにシップが張られた首、腕、足。
 
 それらが、雪華結晶の心を握りつぶす。
雪「ごめんなさい・・・、ごめんなさい・・・・。」

 雪華結晶は、謝り続けた。たとえ、ジュンが聞こえていなくても、許してくれなくても。

雪「私が、グスッ、私が、あんな・・・、行き過ぎた行為を止めていれば・・・、でも、       グスッ、あの二人に、あなたを、あなたを独り占めされるのが怖くて、自分でも、だめだって、いけないことだって分かっていましたのに・・・、傲慢な私は・・・。」

 雪華結晶の目から、涙が零れ落ち、ジュンの頬を伝う―――

雪「でも、私はたとえ、グスっ、あなたに嫌われようとも、グスッ、ずっと、あなたのそばに、ジュン様のお側に、ずっと・・・ずっと―――」
 
 ―――ジュンの頬を伝った涙は、ジュンの汗に混じっていく。
 
 雪華結晶は、ジュンの汗ばんだ手を、強く握り締め、宣言した―――



雪「ずっと一緒に・・・彼方と・・・ずっと、ずっと一緒に生きます・・・。それが、
こんな、傲慢な・・・私の、ジュン様にできる、せめてもの・・・償い・・・。」 

 ―――自分の願いを、自分の誓いを、宣言した。

たとえ、自分の声が、願いが、ジュンには届かなくても・・・。
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