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世間で言うところのゴールデンウィークだ。
でも、僕は、いつも通りのバイト以外は、
特に予定を入れていない。
帰ろうかなとも思ったんだけど、バイトを休めないしな。
別にコレといって、欲しいものもないから、
いつも通りのバイトで十分お金は間に合う。
それに折角の休み。家でじっくり休んでいたいもんだろ?
それでなくても、引越しやら、なれない環境やらで疲れてるしな。
TVで渋滞50kmとか見るたびに思うよ。
何が楽しくてそんなのやってるんだろ?ってね。
水銀燈は、……いっぱい予定はいってそうだな。
いろんな人から誘われそうだし。
コンコンとノックの音がする。
誰だよ、こんな休み中に真面目に働いてるバカなセールスは?
そう思って、扉を開けてみると、水銀燈が立っていた。
たぶん、僕は、すごいマヌケな顔をしていたんだと思う。
銀「あらぁ、何その顔?私、変かしら?」
ジ「いや、まさかGW中に尋ねてくるとは思わなかったから。」
銀「ふぅん。予定がギッシリ詰まってるように見えたわけね。」
ジ「うん。水銀燈、もてるだろうし。」
水銀燈は、少し嬉しそうに見えた。
銀「おあいにく様、予定らしい予定はないわよぉ。
  紅茶淹れてくれない?」
ジ「うん。」
僕は、ヤカンの火をかける。
ふと、水銀燈に目を向けると、
僕を眺めていた。
ジ「なんだよ?コッチ見て?」
銀「ねぇ、あなた服飾の勉強してるわりには、
  自分の服に無頓着じゃなぁい?」
ジ「そうかな?こんなものかなと思ってるんだけど。」
僕自身、服装には、気をつけれているつもりだ。
そうでないと、勉強しているものとして、まずいだろ?
まぁ、服装につぎ込むお金はないから、安物ばっかりなのは認めるけど。
ジ「はい。紅茶をどうぞ。」
銀「ありがと。」
水銀燈は、おいしそうに、紅茶を飲む。
やっぱり、おいしそうに飲んでくれると、嬉しいもんだな。
銀「それで、さっきの話の続きだけどね、
  私が服、見立ててあげてもいいわよぉ?」
ジ「……でも、お金もないし。」
頼んでもみたいけれど、お金の余裕がないことは事実だ。
銀「じゃぁ、私の買い物に付き合ってくれないかしらぁ?」
ジ「……ようするに、荷物持ちが欲しいだけか?」
銀「……まぁ、そんなところね。
  いつものお礼もかねて、ご飯くらい食べさせてあげるわよ?」
ジ「……わかったよ。どうせ暇だし。」
銀「じゃあ、ちょっと待っててねぇ?準備してくるから。
  あなたも、もう少しマシな服でも選んでなさい。」
そういって、水銀燈は、僕の部屋を後にした。
ジ「……もう少し、マシな服ったってなぁ。」
とりあえず、服を漁ってみて、
もう少し、マシそうな服にしてみる。
あんまり、変わらないような気もするけど。
銀「おまたせぇ」
彼女は、かわいい大きめのフードつきの服に着替えていた。
もうちょっと、カッコイイって感じの服装をイメージしていたので、
ちょっと意外だった。
銀「あらぁ、おかしいかしらぁ?」
ジ「や、良く似合ってる。かわいい。」
銀「ふふっ、ありがと。」
少し顔を赤らめて、そう答えた。
銀「あなたの服装は……まぁ、許してあげようかしら。」
まぁ、許してもらえるのなら、マシになってるのかな。
銀「それじゃぁ、行きましょうかぁ?」
ジ「どこに、行くんだ?
  あんまり人が多いところはイヤだぞ。」
銀「私も、そんなところ嫌よぉ。
  人は少ないけど、いいお店よ。」
ジ「穴場ってことか?」
銀「まぁ、そんなとこねぇ。
  ほら、行きましょう?」
そういいながら、腕を組んでくる。
ジ「おわっ!」
思わず、声を上げて驚いてしまった。
水銀燈はおかしそうに笑いながらいった。
銀「ふふっ、もしかして、こういう風にされるのはじめてぇ?」
ジ「悪いかよ?とりあえず、放してくれ?」
銀「あらぁ……こういうのキライ?」
少し残念そうに聞いてきた?
上目遣いと、服装があいまって、かなりかわいい。
ジ「う、別にキライじゃないけど、恥ずかしい……」
銀「大丈夫、誰も見やしないわよぉ。さ。行くわよぉ」
ふふっ、と笑いながら、僕の腕を引っ張って外に出て行く。
ふいに、視線を感じて後ろを見てみる。
けれども、誰もいなかった。
銀「どうしたのぉ?」
ジ「や、なんか視線を感じて。」
銀「やぁねぇ、腕組んでるからって意識しすぎよぉ」
水銀燈は、おもしろいオモチャ見つけたように、嬉しそうに笑う。
くそ、もう、どうとでもしてくれ。
彼女は、件の店に向かった。
たしかに、質のいい服が安値で売っていて、
それでいて、人はまばらだ。
ほんと、水銀燈はいい店を知ってるよな。
ちなみに、そこで買い物した量は、袋一つ分。
その後、いくつかの店にいき、
少々荷物は増えたものの、
荷物持ちいらないんじゃないって量だ。
ご飯は、全部屋個室の雰囲気のいいお店で
おごってもらった。
味は、文句なく、おいしかった。
その後、アパートに戻った。
ちなみに、ずっと、腕を組んだままだ。
そうとう、僕の反応がおもしろかったのか
「また、付き合ってねぇ」という始末。
ご飯つきなら喜んでいくが、
腕組みだけは、勘弁していただきたい。
アレは恥ずかしい。
………まぁ、ちょっとは嬉しかったけど。
 
今日、ジュンに会いに行ったわ。
迷惑かしら、けれど、彼は喜んでくれる。
そう、思って、彼のアパートに向かったの。
けれども、彼は、知らない女と、腕組みしながら、出て行ったわ。
うれしそうな、彼の顔。
私は、逃げ出したの。
これ以上見ていられなかった。
もう、ジュンには必要にされていないんだという現実。
ジュンは、目立つような人ではないし、
素直ではないし、鈍感だけれども、
とても、やさしい人だから、
東京に行ったら、きっと誰かに取られることをわかっていた。
でも、私がジュンに必要とされなくなっても、
私はジュンを必要としてるわ。
けれども、もう、ジュンには、私が呼ぶ声が聞こえない。
声が抑えられない。涙が止まらない。
私は……どうすればいいの?
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