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第二話

+++桜田ジュン(7/9PM5:30桜田宅玄関前)+++
J「水銀燈……」
銀「うふふ♪ジュン、私に会えなくて寂しくなかったぁ?」
J「な、なんでお前が……」
僕は目の前の光景が信じられなかった。水銀燈がここにいるはずがない。だって水銀燈はもう……。
僕と水銀燈は物心がついた頃からの知り合いだ。いわゆる幼馴染ってやつだ。
家が近いこともあって僕たちはいつも一緒に遊んでいた。そのせいでたまに冷やかされる
こともあったけど、それでも僕たちはいつでも一緒だった。
僕たちは小学校から高校までずっと同じ学校で、小学生のときは一年から六年までずっと同じクラスだった。
そのせいか、中学二年のときに初めてクラスが別々になったときはひどく落ち込んでいた。
そのときは僕が「学校が一緒なのは変わらない」と慰めたこともあってすぐにいつもの調子を取り戻した。
いま思い出すと、水銀燈はいつも僕の隣にいた。楽しいときも、泣きたいときも僕の側にいてくれた。
いつにまにか僕たちは一緒にいるのが当たり前になっていた。彼女の笑顔に何度助けられただろうか。
だけど、そんな彼女を傷つけたのも僕だった…。




+++桜田ジュン(6/15PM5:50薔薇学園三階)+++
J「ったく、なんなんだよ一体」
その日、僕は水銀燈に呼び出されて屋上に向かっていた。
高校に入ってからも僕たちは仲が良く、休日の何日かを一緒に過ごす親友のような関係だった。
そのせいか周りからよく恋人同士に間違えられた。一度水銀党と名乗る連中に
「銀様を一人占めした罰じゃーーーー!!」と襲撃を受けたこともある。
そういえばあいつらあれから姿が見えないがどうしたんだろう?
そんなことを考えているうちに屋上についた。
屋上は生徒が入れないようにいつもは鍵がかかっているが、今は開いているようだった。
僕は屋上に出るためにドアを開けた。夕焼けの茜色に染まった空が僕の視界に広がった。
そしてその空の下に水銀燈はいた。
銀「来てくれたのねぇ」
J「どうしたんだよ?こんなところに呼び出して」
水銀燈は様子がおかしかった。頬を赤く染め、しきりに目を泳がせ、1回深呼吸をし、僕の目を見てこう言った。
銀「私はジュンのことが好きなの。幼馴染としてじゃなくて、一人の女として愛してるの。
  お願い、私の恋人になって……」
これは告白というやつだろう。たしかに水銀燈はとてもきれいでかわいく、この学園での人気もとても高い。
告白すれば百人中九十九人がOKするだろう。(百人男が集まれば一人はウホな人がいるものだ)
だけど僕は……
J「……ゴメン水銀燈、その思いには答えられない」
そう答えると水銀燈はとても驚いた様子で僕に詰め寄った。
銀「ど、どうしてぇ……どうしてなの……ねえどうして!!
  なんで私じゃダメなの!!わ、私のどこがいけないの!!
  教えてよ!!今すぐ直すからぁ!!」
J「違う……そうじゃないんだ」
銀「だったらなんでなのぉ!」
さらに食い下がる水銀燈。その目には涙がたまっていた。




J「水銀燈の気持ちはうれしい、でも僕は水銀燈をそういう風には見れないんだ。
  水銀燈のことは好きだ。でもそれは幼馴染としてで、女の子としてじゃないんだよ」
僕にとって水銀燈はとても大切な人だ。でも僕たちは一緒にいすぎた。十年以上も一緒にいたせいで、
僕は水銀燈を恋愛の対象としては見れなくなっていた。
J「それに僕には他に好きな人がいるんだ。だから水銀燈の恋人にはなれない」
そう、僕には好きな人がいたのだ。恋人として側にいてあげたい人が。
銀「そんな……そんなのって……」
それを聞いた水銀燈はとてもショックを受けたようだった。
銀「あ……あはは……そっかぁ……他に好きな人が……かぁ……
  なんだぁ……だったら…もっと早く言ってくれればいいのにぃ……」
水銀燈は笑ってそう言った。けどその目には涙が溢れていて無理をしているのが一目でわかった。
銀「それじゃあ…明日からも…い…ヒック…いつも通り…幼馴染として…な…グスッ…
  仲良く…しましょうねぇ……」
J「……ゴメンな」
銀「グスッ…あやまらないでよぉ…私が余計にみじめになっちゃうでしょぉ」
そう言うと水銀燈は僕に背を向けた。
銀「ごめんねぇ、ジュンは先に帰っててぇ……私なら……大丈夫だから」
僕は水銀燈に掛ける言葉が見つからず、そのまま屋上を後にした。
僕は気付いていた……水銀燈はずっと口にしなかったけどお互いに幼い頃から一緒にいたから、
相手の気持ちなんてすぐに分かってしまう。
そう……気付いていた、水銀燈の気持ちに。
けれどその思いに答えられない僕は、ずっと鈍感な男を演じつづけてきた。この関係を壊したくなかったから……
僕は、最低なのかもしれない。

続く

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