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時を越えられなかった少年


ラプラスの魔「皆さん、こんばんは。」
ラ「世にも不明な物語、司会者のラプラスです。」
ラ「皆さんは『昔に戻れたら』などという空想をしたことはありますか?」
ラ「人は過ちを犯す生き物です。生きていれば、それだけ後悔する事とも増えるでしょう。」
ラ「戻ることができれば、今とは違った人生を歩める・・・・・・。」
ラ「多くの方は、そう考えると思います。」
ラ「ですが、それは決してできることではありません。」
ラ「だからこそ、人は生きる為に闘うのです。」
ラ「今日は『過去に戻れた』と思い込んだ少年の話をしましょう。」
ラ「それでは、ごゆっくりお聞きください。」

      時を越えられなかった少年  主演 JUM
僕の名前はJUM。薔薇学園に通う普通の高校生だ。
今日は修学旅行で○○県に来ている。
季節は夏真っ盛り。○○県は海と山を同時に堪能できる最高の環境だ。
○○県には特に観光地らしいものは無い。
薔薇学園は幼稚園から大学まで一貫性な為、
生徒は在り来りな観光地全てを網羅してしまっている。
そのため遊びを重視された○○県が、高等部の修学旅行に毎年選ばれるのだ。
?「JUM~。」 僕の姿を見つけた女の子がこちらに駆け寄ってくる。
彼女の名前は翠星石。僕の恋人だ。
翠「今日は何所に行くですか?」
JUM「そうだなぁ。」 答えが決まっているにも拘らず、僕は考え込む振りをする。
JUM「海に行こうか。」 たっぷりと間を空けて僕は言った。
この修学旅行は生徒自身で活動場所を決めることができる。
担任に行き先を伝えることが条件、という制約はあるのだが。
翠「また海ですか?」 翠星石が、がっかりした表情になる。
JUM「勿論だ。山は冬に行くものだからな。」適当な言い訳をしてみる。
翠「そういう問題じゃないです。昨日も海だったです。」翠星石が膨れて言う。
何度見ても愛らしい表情だ。
JUM「という訳で海に行くぞ。」 何が『という訳』なのかは知らないが、
ここで押し切られるわけには行かない。僕は翠星石の水着姿が見たいのだ。
翠「勝手です!」 翠星石がそっぽを向いた。この仕草もまた愛らしい。
?「翠星石~。」 声が聞こえる。声の主は蒼星石。この子も僕の恋人だ。
蒼「やっと見つけたよ。」 よほど探し回ったのか蒼星石は疲れている様だ。
翠「蒼星石。」蒼星石が落ち着くと翠星石が話しかける。
蒼「何だい?」問い返す蒼星石。
翠「蒼星石は海と山、どっちに行きたいですか?」 
どうやら蒼星石を味方に引き入れるつもりらしい。

蒼「もちろん山だよ。」 予想通りの回答をする蒼星石。
蒼「山には緑が一杯あるし、今日こそ鑑賞に行こうよ。」
翠「これで山が二票です!」 自慢気な翠星石がくるりと一回りする。
なびいた髪がとても愛らしい。
JUM「そうだな。」 とりあえず流し、翠星石を抱きしめる。
翠「いきなり何するですか。」 顔を赤らめ慌てる翠星石。
翠「そんなことしても誤魔化されないです! 多数決で山に決定です!」 
するりと抜け出す翠星石。事あるごとに抱きしめているので、
双子は両方とも腕から抜け慣れている。
翠「梅岡に報告しに行くです。」 手を繋いで歩き出す二人。
JUM「お達者で~。」 双子に向けて手を振る僕。
何としてもここで押し切られるわけには行かない。これが男の性なのだ。
蒼「JUM君は行かないの?」 蒼星石が振り返る。
翠「放って置けばいいです。JUMは女の子の体が見たいだけですよ。」呆れた、という表情の翠星石。
JUM「う・・・・・・。」翠星石の指摘は半分正解だ。 正確には女の子でなく双子の体、なのだが。
蒼「JUM君は、僕たちと一緒に居たくないの?」 蒼星石は不安げな表情になる。
翠「JUMは肉欲にまみれたサイテーな奴なのですぅ。」 翠星石が追い討ちをかける。
JUM「うう・・・・・・・。」 二人から軽蔑の視線を浴びてしまう。これはマズイ。
二人の水着姿は見たいが、信頼を失っては元も子もない。
JUM「分かったよ。」 ここが引き時だ、と感じた僕は観念することにした。
翠「最初から、そう素直に言えばいいです。」 得意げになる翠星石。
蒼「JUM君が来てくれて嬉しいよ。」 蒼星石は本当に嬉しそうな表情になる。
JUM「参りました。」 二人の表情に僕は素直に負けを認めた。

三人で梅岡に申請を済ませると、後ろ髪を引かれつつ山に向かう。
翠「そんなに水着姿が見たかったですか?」
蒼「JUM君ってその・・・・・エッチだね。」 蒼星石が俯きながら言う。
どこか態度に出ていたらしく、二人が気を回してくる。
JUM「ううう・・・・・・・。」 やり込められてばかりの僕は、自分が情けなくなってくる。
翠「そんなに見たいのなら、今度見せてやるです。」 翠星石がそっぽを向きながら言う。
JUM「え!?」 僕は思わず声をあげてしまった。
蒼「三人でプールか近場の海に行こうよ。」 
JUM「いいのか?」 我ながら現金な奴だと思うが、僕は声を大きくしてしまう。
蒼「JUM君だからだよ。」 蒼星石が腕を絡ませてくる。
翠「ありがたく思うですよ。」 そっぽを向きながら、翠星石も逆側から腕を絡ませてくる。
この体勢だと二人とも上目遣いになるのだ。こうなると逆らえるわけがない。
翠「何をぼーっとしているです?」翠星石が顔を覗き込んでくる。
蒼「JUM君、顔が真っ赤だよ。」蒼星石が茶化す。
JUM「なんでもないよ。」僕は慌ててはぐらかした。
こんな愛らしい双子に囲まれて、つくづく僕は幸せな奴だと思った。

翠「健やかに~。伸びやかに~。」 登山の最中だというのにも拘らず、
翠星石がいつもの台詞と共に水を撒く。
持参した如雨露に近くの川から水を汲み、それを撒いているのだ。
JUM「置いていくぞ。」 いつの間にか距離が開いた翠星石に注意をする。
JUM「蒼星石も程々にな。」 蒼星石の方を見やり、そちらにも注意を促す。 
蒼「分かったよ。JUM君。」 蒼星石はというと、
翠星石との距離が開く度に近くの草木の手入れをしていた。
二人とも園芸部としての血が騒ぐのだろう。
翠「チビ人間、待つです~。」慌てて翠星石が追いかけてくる。
翠「はぁはぁ・・・・・・。疲れたです~。」
翠星石は僕に追いつくと、息切れと疲労でへたり込んでしまった。
蒼「翠星石はだらしないなぁ。」 蒼星石の言葉に翠星石が膨れる。
翠「翠星石は水を汲まないといけないです。だから歩く距離が増えるのです。」
膨れたまま無用な言い訳をする翠星石。
JUM「翠星石がこの調子じゃ、登山はやめだな。」 翠星石の性格は登山に向かない。
そう思った僕は近くに立っていた案内板を見る。
JUM「コースを変えようか。」 ここから少し歩くと、
登山コースからハイキングコースへの分岐点があるらしい。
蒼「軽めのハイキングコースに変更だね。」 
蒼星石も案内板に気づいたらしく、それを指差して言う。
翠「翠星石は余裕です!」口では余裕というものの、傍目にはとてもそう見えない。
蒼「はいはい。」蒼星石が軽い返事で流した。
しかし、この選択が大きな間違いであることを知る者は今は誰も居なかった。

暫く歩くとコースの分岐点に差し掛かる。
僕たちは予定通りハイキングコースを選び、登山コースを離脱した。
翠「疲れたです~。」 登山道に比べ格段にゆるい道。
それでも翠星石はヘトヘトになっている。
JUM「大丈夫か?疲れているなら、僕の背に乗ってもいいんだぞ。」 
僕は翠星石に助け舟を出す。
翠「チビ人間にかけて貰う情けなんてねーですよ~。」
フラフラになりながら、尚も口の減らない翠星石。
JUM「どこか、休憩に適した場所があればなぁ。」 僕は周囲を見回す。
すると、またも都合良く立っていた案内板を発見できた。休憩所を探すべく注視する。
蒼「もう少し歩こう。そうすれば休憩地点みたいだよ。」
先に案内板を見終わった蒼星石が、道の先を指差して言う。
翠「そうですか!それなら、さっさと行くですよ!」
翠星石が意気揚々と先頭を歩き出す。急に元気を取り戻したようだ。
JUM「ああ見えて元気だったんだな。」 蒼星石は、僕に肩をすくめて見せた。
日が陰り始めていた。

程なくして、休憩所と思わしき場所にたどり着いた。
翠「綺麗な場所ですぅ~~!」 疲労困憊の翠星石でさえ、感嘆の声を上げる。
遠くの山々を一望できる場所で一面草地に花、休憩するには充分な面積がある。
その美しさに、人が踏み込んだことがあるとは到底思えない場所だ。
翠「ここが休憩場所ですか~~?」 もう歩けない、といった感じの翠星石が尋ねる。
JUM「そうじゃないか?」この景色、この場所なら間違いはないだろう。
翠「誰も入ったことがなさそうですね。」 翠星石も僕と同じ印象を持ったらしい。
蒼「おかしいな。」 蒼星石は辺りを見回すとそう呟いた。
JUM「どうした?」 蒼星石の様子が気になり、その原因を尋ねてみる。
蒼「ここが休憩所なら、山の歴史を記した石碑やベンチがあるはずなんだ。」
僕は辺りを見回してみる。蒼星石の言うような石碑、ベンチは影も形もない。
JUM「とにかく、ここで休もう。翠星石はもう限界のはずだ。」
蒼「そうだね。天気も悪くなってきたみたいだし。」 蒼星石は頷くと、荷物からシートを広げ始める。
翠「今日のお弁当は翠星石が作ったですよ。」 翠星石はリュクサックからバスケットを取り出す。
蒼「翠星石。頑張ったんだよ。」 まるで自分のことの様に言う蒼星石。
翠「ありがたく食べるといいです!チビ人間。」バスケットの中は溶けかけの保冷剤で一杯だった。
この重みで疲れたのかも知れない。 三人でお弁当を囲む。
翠「チビ人間。あ~んするです。」 翠星石が食べ物を口に運んでくる。
蒼「JUM君。あ~んして。」 蒼星石も負けじと食べ物を口に運んでくる。
翠「チビ人間。次はどれを食べるですか?」
蒼「JUM君。次はどれが食べたい?」二人が同時に話し掛けてくる。
こうして楽しい食事の時間は夢のように過ぎ去った。  蒼「霧が出てきたね。」 不意に蒼星石が呟く。
指摘され、辺りが霧に包まれていることに気がついた。次いで雨が降り始める。
JUM「余り良い傾向じゃないな。」 焦っても仕方がないので、取り敢えず冷静になるよう勤める。
翠「これって遭難ってやつですか?」翠星石が身を寄せてくる。
蒼「大丈夫だよ。余り遠くでもないし、霧が晴れるのを待って引き返そう。」さすが蒼星石。頼れる奴だ。
JUM「蒼星石も、こう言っているから大丈夫だよ。」 僕は翠星石を抱き寄せてやる。
翠星石も軽く抱き返してきた。少しは落ち着いたらしく、これで大丈夫だろう。
その時、不意に風が吹いた。 

翠「あっ。」 風に翠星石の帽子がさらわれる。するりと翠星石が僕の腕を抜け、帽子を追いかける。
翠星石の走る先は霧に包まれている。そこは少し前まで遠くの山々が見えた場所。
JUM「翠星石!」 もしや、と思った僕は翠星石を追いかける。
翠「きゃあああ!」 案の定、翠星石の悲鳴が聞こえた。とっさに翠星石の腕を掴む。
思った通りこの先は崖で、僕は崖下に落ちかけた翠星石の腕を掴む体勢になる。
翠「手を離すです!」 崖下の翠星石が叫ぶ。
JUM「そんなことできるかよ!」 翠星石を両手で持ち上げる。
体勢が良かったのか、僕の力でも何とかなりそうだった。
蒼「JUM君!翠星石!」蒼星石がこちらに向かってくる。その時、僕の目線が少し下がった。
JUM「来るなぁぁぁぁ!」 とっさの判断で僕は叫ぶ。僕の剣幕に蒼星石が怯んだ。
足元を見ると崖が少し沈んでいた。雨で緩んだ崖が二人分の重みに耐えかね、崩れかかっているのだ。
もし三人分の重さが掛かれば、崖は間違いなく崩壊する。
そうでなくても崩壊は時間の問題だろうが、近寄らせなければ蒼星石だけは助かる。
翠「チビ人間じゃ無理です!」 ガクンと崖がまた少し崩れ落ちる。
翠「崖が崩れるです!このままじゃJUMも落ちてしまうですよ!」 
翠「JUMだけでも逃げる!ですぅ!!」 翠星石が僕の腕を振り解こうとし、片手が解かれてしまう。
JUM「だからといって見殺しにはできない!」 残った腕に力を込める。
蒼「JUM君!翠星石!」振り返ると蒼星石が、再びこちらに向かっている。
JUM「来るなぁぁぁぁ!」再度大声を上げる。しかし蒼星石は応じない。
蒼星石が目前まで近づいたとき。重みに耐えかねた崖が、二人と一人を裂いた。
翠「きゃあああ!」 翠星石が悲鳴を上げる。空中に投げ出される僕と翠星石。
僕は渾身の力で翠星石を抱きかかえる。翠星石の体を上に自分の体を下にし、僕は目を閉じた。
大きな音と共に背中が熱くなる。目を開くと翠星石を掴んだ時に見た崖の下だった。
不思議なことに痛みはなかった。崖の上に蒼星石が見える。どうやら蒼星石は落ちずに済んだようだ。
折り重なっている翠星石を見る。下敷きの僕が無事なんだ。翠星石は絶対に無事なはず。
何とか動いた片腕で様子を見る。
翠星石に意識は無かった。僕が翠星石を助けなければ、無事である自分が何とかしなければ。
僕は立ち上がろうとする。しかし次第に意識が朦朧とし、僕は闇に飲まれてしまった。

翠「何をぼーっとしているです?」翠星石が僕の顔を覗き込んでくる。
蒼「JUM君、顔が真っ赤だよ。」蒼星石が茶化す。
気がつくと、僕は双子に腕を組まれていた。何故か軽い既視感を覚えた。
双子が上目遣いで僕を見つめている。
僕は二人と付き合っているのだ。これは何度となく見た光景なのだ。そう自分に言い聞かせる。
JUM「なんでもないよ。」僕は慌ててはぐらかすと、登山道へ向かった。
翠「健やかに~。伸びやかに~。」 登山の最中だというのにも拘らず、
翠星石がいつもの台詞と共に水を撒く。
持参した如雨露に近くの川から水を汲み、それを撒いているのだ。
JUM「置いていくぞ。」 いつの間にか距離が開いてしまった翠星石に注意をする。
JUM「蒼星石も程々にな。」 蒼星石の方を見やり、そちらにも注意を促す。 
この場面、どこかで見た気がする。不意に僕はそう感じた。
軽い既視感を引きずりつつも、僕はそれを持て余す。
事態に流されるように、僕は双子と共にコースを変えハイキングコースを進む。
その後、疲れた翠星石を休ませる為に休憩所を探し、そこへ向かった。
そして・・・・・・・・・。

翠「綺麗な場所ですぅ!」 翠星石が感嘆の声をあげる。
一面草地に花、遠くの山々を一望できる見晴らしの良い場所。
JUM「そうじゃないか?」 この場に着いて、更に強くなった既視感が僕を襲う。
翠「誰も入ったことがなさそうですね。」 違う・・・・・・。そう思った。
僕はここに来たことがある。それを言葉にしようにも何故か声が出ない。
蒼「おかしいな。」 蒼星石は辺りを見回すとそう呟いた。
JUM「どうした?」 代わりに僕の口から出たのは、どこか記憶の片隅に残る言葉だった。
蒼「ここが休憩所なら、ベンチやこの場所の歴史を記した石碑がある筈なんだ。」
ある訳がないのだ。ここは休憩場所ではないのだ。
何故そう思うのか、それが分からない。僕は苛立った。
JUM「とにかく、ここで休もう。翠星石は、もう限界のはずだ。」 
苛立つ思いとは裏腹に、冷静な自分がいる。
蒼「そうだね。天気も悪くなってきたみたいだし。」 
蒼星石は頷くと、荷物からシートを広げ始める。
三人でお弁当を食べ終わると。
蒼「霧が出てきたね。」蒼星石が呟く。
やがて雨が降り始め、あの風が吹く。

翠「あっ。」風に翠星石の帽子がさらわれる。その瞬間、またも強烈な既視感が僕を襲う。
記憶に残るその場面、ようやく僕は既視感の正体を掴めた。
双子に見つめられて意識が戻ったとき、それから後のこと、これから起こること。
僕は、それらを全て知っていた。僕はどういう訳か過去に戻ったのだ。
そして、翠星石はこの後、僕の手を離れ・・・・・・・・・・・・・・・。
全身に力を込める。翠星石を離すわけにはいかない。しかし、何故か力が入らない。
翠星石が僕の腕を抜けて帽子を追いかける。
JUM「翠星石!」 僕は駆け出した。この先は崖なんだ!僕は叫んだ・・・・・はずだった。
翠星石はこちらの叫びに全く反応せず、走り続ける。
翠「きゃあああ!」 あの時と同じ悲鳴を上げる。僕はとっさに翠星石の腕を掴んだ。
翠「手を離すです!」 崖下の翠星石が叫ぶ。
JUM「そんなことできるかよ!」 必死に持ち上げようとする。
蒼「JUM君!翠星石!」 蒼星石がこちらに向かってきた。
蒼星石をこれ以上近づけてはならない。重みで崖が崩れるのだ。
来るな!そう叫んだつもりでいた。 しかし、蒼星石も全く反応しない。
JUM「来るなぁぁぁぁ!」 少し遅れて僕が叫んだ。何故だ?僕は今叫んだつもりなんかない。
そして、あの時と同じように僕の剣幕に蒼星石が怯む。
翠「チビ人間じゃ無理です!」 
翠「崖が崩れるです!このままじゃJUMも死んじゃうですよ!」 
翠「JUMだけでも逃げる!ですぅ!!」 僕は、この後翠星石に腕を振り解かれる。
翠星石の抵抗を防ごうとするが、重さのせいなのか腕が自由にならない。
結局、翠星石に片手が解かれてしまう。僕は残った腕に力を込める。
蒼「JUM君!翠星石!」振り返ると蒼星石が、再びこちらに向かっている。
JUM「来るなぁぁぁぁ!」 不意に僕が大声を上げる。声など出したつもりはなかった。
翠「きゃあああ!」 翠星石が悲鳴を上げ、空中に投げ出される僕と翠星石。
過去に戻っておきながら、結局僕は何もできなかった。
もし、もう一度戻れるのなら今度こそ・・・・・・・・。
奇跡よ、起きてくれ!僕は心の中でそう叫んだ。

翠「きゃあああ!」 気がつくと翠星石が悲鳴を上げている。
僕は翠星石を追いかけて走っていた。どうやら、また過去に戻れたらしい。
今度こそ助けなければ・・・・・・・未来を変えなければ。 僕は翠星石に手を伸ばした。
そして、その手が触れようかという時、僕は・・・・・・・・・・。



翠「・・・・・・・・・蒼星石?」
蒼「翠星石・・・・・・・良かった。目が覚めたんだね。」
翠「・・・・・・・ここはどこですか?」
蒼「病院だよ・・・・・。翠星石は・・・・・・崖から落ちたんだ。」
翠「そうでした・・・・・・JUMと一緒に。」
翠「・・・・・・・JUMは?JUMはどうしたですか!?」
蒼「JUM君は・・・・・・さっき・・・・・・・・死んだよ・・・・・・。」
翠「そんな・・・・・・・。」
蒼「JUM君は・・・・・・最期まで翠星石の名を呼んでいたよ。」
翠「・・・・・・翠星石のせいで・・・・・・JUMが・・・・。」
病室に双子のむせびいる声が響いた。

ラプラスの魔「いかかでしたか?」
ラ「少年は、何度も過去の出来事の遭遇しながら、何一つ変えることができませんでした。」
ラ「皆さんは『走馬灯』という言葉をご存知ですか?」
ラ「死ぬ間際、人の脳裏に駆け巡る思い出や過去の映像というものです。」
ラ「それを見る人は、きっと過去への想いが強いのでしょう。」
ラ「時々、妙な既視感を感じる。心当たりのある方は居りますでしょうか?」
ラ「そんな貴方の今は、走馬灯の一部を見ているだけなのかも知れません。」
ラ「では今日のところはこの辺で失礼します。」
ラ「さようなら。」

fin

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