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国より彼女


なんか寒くなってきたな・・・ 血ぃ流しすぎたか・・・
そんなに泣くなよ・・・ 頼むから・・・ でも泣いてる顔もやっぱり可愛いな・・・
死にかけの割には我ながら呑気だな・・・ はは・・・


3時間前・・・

教師「じゃあ、薔薇水晶、32ページの9行目から読め」
薔薇水晶は教科書を持って立ち上がる。
薔「うふん くすぐったい だめよ もうすぐ ままがかえってくるんだからと
  まーがれっとは いったのだが ぼぶはごういんに・・・」
J「ちょっと待て! それはどこの仙人の教科書だ!」
薔「亀○人・・・」
J「言わんでいい!」
薔薇乙女がボケてJUMが突っ込みを入れる、いつも通りの授業風景。
教師「桜田、騒ぐな!」
声を上げると同時にJUMに向かってチョークを投げつける教師、お前は何時代の教師だ!
猛スピードでJUMに向かう白チョーク、しかし・・・
パシッ
「!!?」
クラス全員が驚きを隠せなかった。普段ツッコミ以外パッとしないJUMが、顔色一つ変えずに飛んできたチョークを捕ったからだ。
だが、捕るまでは涼しい顔をしていたJUMが突如焦った様な顔をし始めた。
J「(ヤベッ、やっちまった!)あはは、捕れ、ちゃった・・・」
教師「っ、桜田、笹塚、廊下に立ってろ!」
J「・・・はい」
笹「何で僕が・・・?」
おとなしく廊下に出るJUMと笹塚。

授業が終わり、休み時間。教室に戻ったJUMの元に薔薇乙女達が駆け寄る。
銀「すごかったわねぇ、さっきのジュン」
金「驚きかしら♪」
雛「ジュン凄いの~」
J「マグレ、たまたまだよ」
真「まぁ、そんなところでしょうね」
翠「そんなことだろうと思ったですぅ」
蒼「そんなこと無いんじゃない? もしかして反射神経がいいのかも」
薔「修行の成果・・・?」
J「いや、そんなこと無いって、修行とかしてないし(反射神経? そんなものいらないよ
  なんたって『止まって見えた』んだから・・・)」

そう、さっき猛スピードで飛んでいたチョークがJUMには止まって見えたのだ。
JUMは時折、総ての雑音が消え、意識がクリアになり、目に映るものが止まって見える、そんな状態に入る時がある。
JUMはこの状態のことを超集中と呼んでいた。
この超集中に入ったときのJUMはおそらく、飛んでいるハエを箸でつかむことすら可能だ。
この能力はきっと人間全員が持っている能力なのだろう、
だが、普通の人間は体験するとしても一生に一度ないし二度であろう、それだけ稀にしか起きない現象なのだ。
しかし、JUMは常人では考えられない程の確率でその状態に入れる、自分の意思とは関係なく。
もし自在に操れたならスポーツなどで高い成績を残せたであろう、だがJUMには超集中を操ることはできない。
ふとした瞬間に突如入るのだ、先ほどのように役に立つ時もあればまったく役に立たない時もある。
常時引き出せるわけではないその高い能力をJUMは周りに隠していた。
それは彼が周りに下手な期待を持たれるのを嫌ったためだった。

J「ほら、次の授業体育だろ、さっさと着替えようぜ」

今日の体育は体育男女ともに体育館、男子はバスケ、女子はバレーを行っていた。
金「カナの殺人レシーブを見るかしら!」
蒼「レシーブで人を殺してどうするのさ、ていうか殺しちゃダメだよ、っと」
金糸雀が変な方向に飛ばしたボールを蒼星石がキレイにトスする。
翠「ナイスです、蒼星石! くたばりやがれですぅ!!」
翠星石は力いっぱいスパイクを打った、だが翠星石のスパイクが相手のコートに突き刺さる寸前、
薔薇水晶の手が間に割こんだ。翠星石のスパイクに横っ飛びで反応していた薔薇水晶は、
ボールを打ち上げたあとクルッと回転し立ち上がる。
翠「か、回転レシーブですか!?」
薔「サインはV・・・」
雛「わ、わ、えいっ! なのー」
薔薇水晶が上げたボールを雛苺は懸命にトスした、が、高過ぎだ。
銀「問題ないわぁ」
常人では届かないであろうそのボールに、水銀燈はまるで羽が生えているかのような跳躍力で追いついた。
銀「乳! 酸! 菌!!」
上空から打ち下ろされる強烈なスパイク!
真紅はそのスパイクに反応できず立ち尽くすだけだった。
真「くっ!」
銀「これで私達の勝ちねぇ♪」
翠「何やってるですか真紅!」
真「しょうがないじゃない、あんなの捕れるわけ無いわ!」
翠「何いってるです! 苦しくたって、悲しくたって、コートの中ではへーきのへーざなのですぅ!!」
蒼「翠星石、意味がわかんないよ・・・ あっ、ほら、試合も終わったし、向こうでジュン君が試合してるから見に行こうよ」
翠「・・・仕方ないですねぇ、ちょっくらちび人間の無様な姿を拝んでやるとするですぅ」
そして彼女達はみんなでJUMの試合を観戦することになった。

JUMのチームは16対18で相手にリードされてしまっている、その上残り時間1分だ。
笹「ベジータ!」
パスを受け取ったベジータがドリブルで切り込む、と見せかけてJUMにパス。
パスを受け取ったJUMは3Pライン手前でシュート体制に入る。
J(ここで決めれば勝ちだ!)
だが、JUMの前に敵のブロックが立ちはだかった。
J(くそっ・・・!)

その瞬間、JUMの頭から総ての雑音が消え、意識がクリアになった。

J(ああ、良く見りゃ隙間があるじゃん・・・)
JUMはシュートを放った。JUMの手を離れたボールはブロックの隙間を通り、弧を描きながらゴールへと向かう。
JUMの意識が通常へと戻る。そして・・・
スパッ! JUMのシュートはゴールに吸い込まれキレイな音をたてた。

ピピーィィィィ!! 試合終了のホイッスルが鳴り響く。
笹「やったぜ!」
ベ「やったなジュン!」
J「はは、上手い事入ってくれたな(最近頻度が増えてるな・・・)」

翠「良くやったですぅ!」
雛「ジュンすごいのー!」
JUMは自分達の試合を見ていた薔薇乙女達に気付いて駆け寄った。
J「なんだ、見てたのか(蒼星石も・・・)」
蒼「格好良かったよ、ジュン君」
真「私の下僕としてはまあまあの働きね」
銀「さっきの授業といい、今日のジュンは一味違うわねぇ」
J「あはは、たまたまだよ、たまたま・・・(毎回こうやっていい所見せられるわけじゃないから
  変に期待されたくないんだよなぁ・・・)」
金「毎回できるように練習するかしら」
薔「シュート2万本です・・・」
J「遠慮しとくよ・・・(ま、それでも多少は感謝してるけどね・・・)」

好きな子にいい所を見せたい、そんな事を思っているJUMはやはり普通の少年なのだろう。

「行くぞ・・・」「ああ」

だが、そんな少年の日常を脅かす不穏な影がこっそり蠢いていた・・・

体育を終えて休み時間、着替え終えたJUM達は教室で談笑している。
ベ「たいしたもんだぜジュンは」
J「偶然だって」
笹「桜田って、たまにここぞって所で決めるよな」
J「はは、本当にたまにだけどな」
蒼「ジュンくんはきっといざって時はやる男なんだよ」
J「そう言ってくれると嬉しいね(特に蒼星石が言ってくれるとな・・・)」
翠「蒼星石はちび人間を過大評価しすぎです、こんな奴ただのマグレ大王ですぅ」
J「・・・(ぐっ、言い返したくても、半ば間違ってないだけに何も言えない・・・)」
そんな会話をしてる間にチャイムが鳴り、教室に教師が入ってくる。
教師「ほら授業を始めるぞ、席につけ」
JUM達も席につき授業が始まった。

授業が始まって10分も経たない頃、教室に二人の男が入ってきた。かすかにざわめく教室。
教師「何だお前達は!」
教師は声を闖入者に向けて放つ。それを意に介することなく、男の一人は懐から拳銃を取り出し引き金を引いた!
銃にサイレンサーが付いていたため、銃声は響かなかった。放たれた弾丸は窓ガラスを破って彼方へと消える。
黙り込む生徒達、恐れおののく教師、銃を撃った男は静かに口を開く。
男1「静かにしていてもらおう、そうすれば手荒な真似はしない」
J(なんなんだよ! これは・・・)
男1「この中に放送委員はいるか? いるならば速やかに手を上げろ」
一人の生徒が恐る恐る手を上げる、笹塚だ。
男1「よし、お前ちょっとこっちに来い、妙な真似はするなよ」
ゆっくりと男達に近づく笹塚。
男1「コイツを放送室まで案内しろ、もう一度言うが妙な真似はするな、銃はコイツも持っているからな」
笹「は、はい・・・」
男2「さっさとしろ!」
男2は笹塚を連れて教室から出て行った。

J(ある意味チャンスだな、一人だけならみんなで飛び掛れば何とかなるかも・・・
  でも、もしコイツを抑えられても笹塚が・・・ それにコイツ等が二人だけとは限らない・・・
  交渉するにしても、とりあえずコイツ等の目的を聞き出さないと)
JUMはゆっくりと手を上げた。
男1「何だ?」
J「目的を教えてくれませんか・・・?」
真(ジュン!)
蒼(ジュン君!?)
翠(何やってるですか、あのバカは!)
男1「ふん、知りたいのか?」
J「・・・とても」
男1「いいだろう、お前達には協力してもらうことになるしな・・・
   俺達の目的はこの国を変えることだ!」
教室全体に驚きが走る。
J「・・・そのために人質をとって首脳と直接話をつける・・・ですか」
男1「ほう・・・ なかなか物分りがいいな」
J「それほどでも・・・」
伊達にツッコミ役をやっているわけではない、JUMの物事を的確に把握する能力は他の誰よりも高いのだ。
男はJUMの物分りのよさに気分を良くしたようだ。
男1「そう、俺達二人でこの国を変える! お前達にはそれに協力してもらう」
J(ふむ、コイツ等二人だけか・・・ 案外単純だな、さてあとは・・・)

ジリリリリリリリリリリリリリリ!! 火災報知器の音が学園中に鳴り響く。

ベ「なんだ、火事か!」
男1「騒ぐな! 予定通りだ・・・」

突然のことに学園中がざわめいていた。そして音が止むと同時に放送がかかる。

『教室一つを我々が占拠した! 校舎にいる教師生徒は速やかに校舎から退去しろ!
 もし10分以内に退去しない場合は生徒を一人射殺する!! 「た、助けてぇぇぇ!!」』

放送が終わる。
J(あの声は笹塚! クソッ)
男1「まぁ、こういうことだ・・・」
J「人質は少ない方が管理しやすい・・・ということですよね」
男1「そういうことだ」ニヤッ
J「・・・だったら、ここも女子だけでも解放しませんか・・・? 男子だけでも人質としては十分でしょうし・・・
 (頼む、乗ってくれ・・・)」
銀(ジュン・・・)
金(ジュンもなかなかの策士かしら・・・)
男1「なるほど、確かに俺達二人には少し多いな、いいだろう開放してやろう・・・
   だが、開放するのは男子だ」
J(ちぃ! さすがに鵜呑みにするほどバカじゃないか・・・)
男1「さて、それでは男子諸君には退去してもらおうか、あとそこの教師にもな」
言われてゆっくりと立ち上がる男子達、JUMも大人しくしたがった。
男1「おっと、お前は残れ、お前は何かと役に立ちそうだ」
そういって呼び止められたのはJUM。
J「・・・わかりました(・・・ありがたいね、みんなを、蒼星石を残して逃げるようなまねはしたくなかったからな・・・
  まだ交渉の余地はある・・・ 何か探せ、僕にできることを・・・)」
そうして教室には男とJUMと女子だけが残った。

他の教室にいた生徒や教師もすでに校舎を退去していた、状況を理解しているものはほとんどいなかったが、
それでも、大人しく従っていた。

しばらくしてもう一人の男と笹塚が帰ってきた。
男1「戻ったか、お前ももういい、とっとと校舎から退去しろ」
笹塚は少し戸惑いJUMの顔を見たが、JUMが頷いてやると大人しくその場から立ち去った。
男1「で、どうだ?」
男2「退去はほぼ完了したようだ」
男1「そうか、第一段階完了だな、次は・・・」
男はJUMを見る、何かを期待しているようだ。
J「・・・警察へ連絡・・・ですか・・・?」
その答えに男はニヤリと笑った、どうやら満足したらしい。
男1「その通りだ、さて、誰か携帯電話を貸してもらおうか・・・」
J「・・・すみません、うちの学校結構厳しくて携帯禁止なんですよ・・・」
もちろん嘘だ。
J「あっ、でも職員室に外部とも繋がる電話があるはずです、よければ案内しましょうか・・・?」
男2「なんだお前?」
J(うっ、さすがにでしゃばりすぎたか・・・?)
男1「・・・よし、案内してもらおうか」
男2「?!」
男1「そいつについていけ、警察に言うことはわかってるな」
男2「・・・ああ」
JUMは男を引き連れて教室を出た。

JUMがいなくなった後、薔薇乙女達は男に聞こえないような小声で話をした。
翠{ちび人間はあんな嘘をついて何を考えてるですぅ?}
蒼{ジュンくんには何かきっと考えがあるんだと思うよ}
真{どうかしら}
金{とりあえずここはジュンを信じるかしら}
銀{そうねぇ}
薔{ジュン、お前が勝利の鍵だ・・・!}

そして薔薇乙女達に少なからず期待されていたJUMは・・・
J(さて・・・ こうして一人連れ出したのはいいものの、どうしようか・・・?)
実は特に考えがあったわけではなかった。
男を連れ職員室へと向かいながらJUMは思案をめぐらす。
J(うーん、コイツを仮に倒せてももう一人は教室、人質を狙われたら手も足も出せない・・・
  やっぱ下手なことはせずに何とか交渉しつつ警察に任せた方がいいかな・・・)
そう考えていたJUMの前に一つの人影が現れる、それは・・・
J「笹塚?!」
退去したはずの笹塚がそこにいた、彼は教室に残されたJUM達が心配でまだ校舎の中にいたのだった。
男2「あーあ、言ったはずだけどな、退去しなきゃ殺すって・・・」
男は銃を取り出しゆっくり笹塚に向けた・・・
J(ちょっ! くそったれ!!)
JUMは男に体当たりをした。男は虚をつかれたため大きく吹っ飛ぶ。
男2「っ!! クソガキが!!」
男はその銃口を今度はJUMに向けた。
J(くそっ!! ジ・エンドか・・・!?)

その瞬間、JUMの頭から雑音が消え、意識がクリアになる、そして目の前にいる男の動きが止まって見えた。

J(見える・・・ あいつの動きが・・・)
いくら超集中状態でも、人間の動きで放たれた銃弾をかわす事はできない。だが、今のJUMには銃口がどこを狙っているのか、
引き金をいつ引くのか、それが手に捕るように見えていた。結論を言えば、JUMは男が銃弾を放つ前にそれをかわしていた。
男2「なっ!!」
再度引き金を引く男、JUMは軽快なステップで銃弾を掻い潜りつつ、男に接近して思いっ切りぶん殴った!!
ドガァ!!
JUMの意識が通常へと戻る。
JUMのパンチを顔面に受けた男はその場に崩れ落ちる。

JUMは倒れた男を覗き込んだ。
J(うわ、白目剥いてるよ・・・ 今まで気付かなかったけど超集中の時って力も強くなってるのか・・・)
JUMは男から銃を奪い取って笹塚に向き直る。
J「笹塚、大丈夫か?」
笹「あ、ああ、大丈夫だけど・・・ 桜田ってこんなに強かったのな・・・」
J「火事場の馬鹿力って奴だよ、それより笹塚、ベルト貸してくれ」
笹「ベルト?」
J「とりあえずコイツをふんじばる」
JUMは自分と笹塚のベルトで男の手足を縛った後、男をトイレに転がしておいた。
J「さて・・・(一人やっちゃったから、もう後には引けないな・・・)」
笹「桜田、どうするんだ・・・?」
J「何とかしてみんなを助け出す、笹塚は今のうちに携帯で警察に連絡してくれ」
笹「わかった。でも、助けるってどうやって」
J「それを今から考える・・・(いくら銃を持ってたって、訓練もしたことの無い僕がまともに当てられるわけが無い・・・
  当てられるとすれば、超集中か・・・)」
JUMはさっきのことを思い出す。
J(最近入る頻度が増えてるだけじゃなく、時間も長くなってるか?
  確かに超集中に入ればアイツを倒すこともできるだろうけど、
  さっきだって入ったのは偶然だ、そんな不確かなものに賭けてみんなを危険にさらすわけにはいかない
  何か策を考えないと・・・ でもあまり時間は無い・・・
  ・・・サイレンサーが付いてたのが幸いだな、無かったら銃声で一発でばれてた・・・
  ・・・銃声か、使えるかも・・・)
JUMは思案をまとめて口を開いたのは、笹塚が警察に連絡を終えたのと同時だった。
J「笹塚、今から言うことよーく聞けよ、僕達二人でみんなを助け出す!」
笹「わ、わかった」

教室ではなかなか帰ってこないJUM達に男がいらつき始めていた。
男1(ちっ、遅いな、何してやがる・・・)
蒼(ジュン君大丈夫かな・・・)
その時銃声が響き渡った。
男1「なんだっ!?」
男は驚き廊下へ飛び出す、そこで彼が見たのは廊下に銃を持って立つJUMの姿。
男1「っ! お前・・・!」
J「ご機嫌はいかがですか・・・?(っ痛、手が痺れた・・・)」
男1「・・・もう少し賢い奴だと思ってたぜ、まさかこんなことをするとはな・・・」
J「すみません、僕もこんなことをするつもりは無かったんですけど、不測の事態がありまして・・・」
男1「ふん、なら今からでも遅くない、その銃を返して教室で大人しくしてな」
J「・・・お断りします、さすがにこんなことをした僕を許してくれるとは思っていないので・・・」
男1「ならどうする気だ、そいつで俺とやり合うか?」
J「それも勘弁したいですね、あなたに勝てるとは思えませんから・・・」
男1「じゃあどうする気だ?」
J「自首してくれませんか・・・? 僕にはあなたが悪い人には思えない・・・」
男はJUMに銃を向ける。JUMは臆することなく男の眼を見つめながら言葉を続けた。
J「あなたは言いましたよね、この国を変えるって・・・ 何があなたをそこまで駆り立てたんですか・・・?」
男1「・・・ あれは俺がまだお前ぐらいの頃だったよ・・・」
男は銃をJUMに向けたまま語り始めた。
J(よし、乗ってきた☆ うまくやってくれよ笹塚・・・)
その頃教室。
銀{さっきの音はなんなのぉ?}
翠{そんなのわかるわけないです!}
雛{うゆぅ~}
蒼{ジュン君無事だといいけど・・・}
笹{おーい、みんなー}
金{笹塚かしら!?}
笹{シー!}

5分ほど前。
J「僕はこっち側で男を引きつける、お前は逆側の階段に隠れて隙を見てみんなを連れて逃げろ」
笹「引きつけるって本当にそんなことできるのか・・・?」
J「・・・何とかやってみるさ」

笹{というわけさ、桜田が引きつけてくれてるうちに逃げるよ}
真{わかったわ、みんな行くわよ}
真紅が先陣を切り、ゆっくり静かに教室を出て行く。男はJUMとの話に夢中で気付かない。
それを見て笹塚が誘導し、ゆっくりとみんなを逃がしていく。
もう教室に残っているのは笹塚と蒼星石だけだった。
笹{ほら君で最後だ}
蒼{ねぇ、笹塚君・・・}
笹{何? 話なら後で}
蒼{僕達を逃がした後、ジュン君はどうするの・・・?}
笹{え・・・?}
蒼{何か聞いてる・・・?}
笹{・・・いや、何も・・・ でも、桜田のことだからきっと何か考えがあるはずだよ}
蒼{そう・・・だよね・・・}
笹{・・・先に行くよ}

J(うん、思った以上に語りたがり屋だな・・・ 視線を縛るのもそろそろ限界、欠伸が出そうだ・・・)
JUMは真剣な顔で男の眼を見つめながら、話を右から左へ聞き流していた。
J(そろそろみんな、逃げ終えた頃かな・・・ さて問題は時間が無かったとはいえ、
  引きつけた後、自分が逃げる方法を考えてなかったことだな、正に迂闊・・・)
そう、JUMは切羽詰った状況下でみんなを助け出す方法を考えたのはいいが、
助け出した後、自分が逃げる方法にまで頭がまわらなかったのだ。
J(こうして話してる間に超集中に入ってくれれば・・・と思ったけど、やっぱりそう都合よくいかないか
  くそっ、やっぱり当てにならない力だ・・・!)
心で毒付きながらも、JUMは真剣な眼差しで男の視線を縛り続けた。だがここでそれが仇となる。
男1「わかるか! 俺の想いが!!」
そういって男はJUMから眼をそ背けた、JUMの視線に耐えられなくなったのだ。
J(やべっ!!)
男1「!!」
男は気付いた、背けた眼の端に映る教室から出てくる影に。そして彼はそれに銃を向けた。
蒼(!!)
その影は蒼星石だった、彼女はJUMのことを心配していたため逃げるのが遅れたのだ。
J(っ! 蒼星石!! クソッ、ダメだ、銃じゃ下手したら蒼星石に当たる!)
瞬時にそう判断したJUMは、手に持っていた銃を男に投げつけ、走り出す。
男は銃に寸前で気付き避ける。JUMは避けた男に体当たりして押さえ込んだ。
男1「っ!! ふざけっ!!」
J「蒼星石!! 逃げろ!!」
蒼「っ! ジュンくん!!」

その時JUMの身体を衝撃が貫いた。

J「えっ・・・?」
JUMはゆっくりと倒れた。
蒼「ジュンくん!!?」
JUMは撃たれたのだ、貫かれた左肩から溢れ出す血が床を赤く染める。
数瞬意識が飛んでいたJUMは、意識を取り戻すと同時に顔を歪める。
J(なんだよこれ・・・!? 痛いなんてもんじゃねえぞ!!? つかもう意味がわかんねえ!!!?)
男1「・・・おとなしくしてれば、そんな痛い目みなくてすんだのになぁ」
蒼「ジュンくん!!」
JUMに駆け寄ろうとする蒼星石に男は銃を向ける、そしてJUMは歪んだ視界でそれを見ていた。
J(まて・・・やめろ・・・! 蒼星石・・・には・・・手を・・・出す・・・な・・・!!)

その瞬間、JUMの頭から雑音が消え、意識がクリアになる、そして痛みすら消えていた。

ゆらりと立ち上がるJUM。
男1「なっ! しぶといっ!!」
男は蒼星石に向けていた銃口をJUMに向け直し、引き金を引いた。
蒼「ジュンくん!!」
放たれる弾丸、だがそれはJUMには当たらなかった。
男1「バカな!!」
男は再度引き金を引く、だがやはりJUMには当たらない。
J(超集中の時って痛みも消えるのな・・・ 初めて知った・・・
  ありがたいね・・・ これであの野郎をぶっ飛ばすのに何の支障も無い・・・)
JUMは男に向かって突っ込んだ。何発撃っても弾が当たらないJUMに男は驚愕した。
男1「来るな! 来るなぁ!! 俺は、俺はこの国を―――――」
JUMの拳が男の顔面にめり込んだ。男は壁に吹っ飛ばされ失神する。
J「変えたきゃ勝手に変えろ、僕達を巻き込むな・・・」

JUMは意識が元に戻ると同時に眼を閉じて仰向けに倒れこんだ・・・

J(うぅー、なんかもう痛みって言うより傷口が熱くてしょうがねぇ・・・ これってやばいかもな、力入んねぇし・・・
  ん・・・? なんだろ、顔になんか熱いモンが・・・)
JUMはそっと眼を開けた。JUMの眼に映ったのは蒼星石の泣いている顔、JUMの顔に彼女の涙がとめどなく零れ落ちる。
J「よう、蒼星石・・・(なんか寒くなってきたな・・・ 血ぃ流しすぎたか・・・)」  
蒼「ジュンくん! 何で、何で僕なんかを庇ったの!!」
J「そんなに泣くなよ・・・ 頼むから・・・(でも泣いてる顔もやっぱり可愛いな・・・
  死にかけの割には我ながら呑気だな・・・ はは・・・)」
蒼「だって、だって僕のせいでジュンくんが! なんで、なんでそこまでして僕を助けたのさ・・・!!」
J「お前のいない世界に、生きてたってしょうがないからな・・・」
蒼「えっ・・・!」
J「僕はお前が・・・ 蒼星石が好きだ・・・ へへ、マジでベタ惚れなんだ・・・
  だから・・・ お前のためなら僕は、命だって賭ける・・・」
蒼「そんな、そんなのズルイよ! 僕だって、僕だってジュンくんのいない世界なんて考えられない!!
  だって、僕もジュンくんの事が好きだから・・・!」
それはJUMがずっと聞きたかった言葉・・・
J「はは、これで両想いだな・・・」
蒼「そうだよ、僕はジュンくんが好き、だからこれからも僕のそばにいて・・・」
J「・・・」
蒼「答えてよ・・・! そばにいるって、言ってよ・・・!」
J「・・・蒼星石、僕の頼み聞いてくれるか・・・?」
蒼「何・・・?」
J「キス、してくれ・・・」
蒼「・・・うん」
蒼星石はJUMの顔に自分の顔を近づけ、JUMの唇に自分の唇を重ねた・・・
J(あっ、あったかくてやわらけ・・・ なんかすげーしあわせだな・・・
  なんか・・・もう・・・しんでも・・・いい・・・や・・・・・・・・・・・・)
蒼星石は顔を離して眼を開ける。
蒼「ねえ、ジュンくん・・・ ジュンくん・・・? ジュンくん! ジュンくん! 返事して!
  目を開けて! 返事してよ! ジュンくん!! じゅんくん!! じゅん・・・くん!!」
JUMが返事をすることは無かった・・・

あたり一面の白、どこを見渡してもその白しか見えない。

J(あれ、ここどこだ・・・? もしかして天国って奴かな・・・)
?「いいえ、ここは天国ではありませんよ、はたまた地獄でもありません」
そこにいたのは燕尾服らしきものを着た兎の顔をした人のような物体だった。
J(だれだお前、死神って奴か?)
?「いえいえ、死神ではありませんよ、もし呼称が必要ならば、ラプラスの魔とでもお呼び下さい」
J(いや、別にいいよ。んで、お前は僕になんの用だ?)
ラ「あなたに預けていたものを返して頂きに来たのです」
J(あん? 覚えがないぞ、会ったこともないのに)
ラ「そうですか、あなたはお忘れのようですね、昔、一度ここで私と会っていたことを」
J(は? だからこんなとこ来た事ないし、お前みたいな奴、一度観たら忘れられるか)
ラ「記憶を辿ってみて下さい、あるはずです、今のように死に掛けたことが・・・」
J(・・・そういや僕が生まれて間もない頃、肺炎にかかって死に掛けたって
  てか、そんな赤ん坊の頃のことなら覚えてるわけないだろ! 大体なんなんだ、僕に預けたものって)
ラ「私の力の一部ですよ、あなたはそれを超集中と呼んでいましたか」
J(!! あれがお前の力の一部だってのか!? ・・・むちゃくちゃな話だな)
ラ「信じられませんか?」
J(いや、どうでもいいよ。返すよ、どうせ死んだ人間には必要ないからな・・・)
ラ「そうですか、では」
ラプラスはJUMの身体に手を突っ込み、ガラス玉の欠片のようなものを取り出した。
J(っ気持ちわる・・・ これで用済みだろさっさと消えろよ)
ラ「そうさせて貰いましょうか、ですがその前にお礼をさせて頂きましょうか」
J(礼? 何の礼だよ)
ラ「今まで色々楽しませて頂きましたから」
ラプラスはそう言うと指をパチンと鳴らす、JUMの真上の空間に黒い穴が開く。
J(うぇっ!)
ラ「お帰りなさい、あなたの帰るべき場所へ・・・」
JUMは真上にできた穴にどこまでも落下していった・・・

J(ん、なんなんだ、あのクソ兎・・・!)
JUMはゆっくり眼を開ける。そこに広がっていたのは白いベッドと白い部屋。
J(・・・ びょう、しつ? 僕もしかして生きてるのか・・・? なんか右手があったかい・・・)
JUMは右手の方に顔を向ける、JUMの眼に映ったのは俯いて自分の手を握り締める蒼星石の姿。
J「そう、せいせき・・・?」
蒼「!! じゅん・・・くん・・・?」
次の瞬間、蒼星石はJUMに抱きついた。
J「そ、蒼星石?」
蒼「ジュンくん! ジュンくん! ばか、ばかぁ! 本当に死んじゃったかと思ったじゃないかぁ!!」
JUMは蒼星石の頭を右手でそっと撫でた。
J「ごめんよ、蒼星石・・・」
蒼「ばか、ばかぁ! ジュンくんのばかぁ! ヒック、グスッ、本当に良かった・・・」
JUMは少し傷が痛んだが、気にならなかった、そんなことより蒼星石を感じていたかった。
J「ずっと手を握っててくれたのか・・・?」
蒼「うん、ジュンくんを放したくなかったから・・・」
J「そっか、ありがとう・・・」
そうしているうちJUMの頭が冷静さを取り戻してきた。
J「(あっ!/////)な、なぁ蒼星石、聞きたいんだけど/////」
蒼「うん・・・」
J「あの時、僕・・・ お前に好きだって言ったよな・・・?/////」
蒼「うん」
J「その後お前・・・」
蒼「僕も好きだって言ったよ・・・」
J「夢じゃ、無いんだよな?/////」
蒼「うんっ/////」
JUMは右手で蒼星石を強く抱きしめた。蒼星石も抱きしめる力を強める。
J「蒼星石、好きだ! 大好きだ!」
蒼「僕も好き・・・ ジュンくんが大好き・・・」
二人は顔を離して見つめ合う、そして二人の顔が近づいて・・・

真「蒼星石、ジュンの様子はど―――――」
J・蒼「!!」
銀「どうしたの真―――――」
病室に入ってきた薔薇乙女達は、二人の姿を見て絶句する。
翠「・・・人が心配してれば何いちゃついてるですか!」
蒼「いや、あの違うんだ、これは・・・////////」
J「・・・」
蒼「だから、ジュンくんも何か言って―――んっ!」
JUMは蒼星石を引き寄せてその口を自分の口でふさいだ。
薔薇乙女達「なっ!////////」
蒼「んっ、むぅ、んむっ、んん//////////」
JUMはしばらくの間、蒼星石の唇を貪っていた。
蒼「ぷはっ、じゅ、じゅんくん・・・!//////////」
J「ああ、生きてるって素晴らしいなぁ、こうやって蒼星石と触れ合えるんだから」スリスリ
蒼星石を片腕で抱きしめるJUM。
蒼「もう・・・/////////」
その様子を見ていた薔薇乙女達は・・・
真「付き合ってられないわ・・・」
銀「同感ねぇ・・・」
金「げ、元気そうだからお見舞いはいらないかしら~」
雛「二人は仲良しなの~」
翠「蒼星石も程々にするですよ~」
薔「ヨロシクやんな、お二人さん・・・」グッ
呆れて外へ出て行ってしまった。
蒼「・・・もう、ジュンくんのせいだよ!」
J「いいじゃん、みんなには悪いけど、今は蒼星石と二人でいたい、ダメかな・・・?」
蒼「・・・ダメじゃ、ないよ///////」
そして再び二人は唇を重ねた・・・

後から聞いた話になるが僕は丸一日生死の境を彷徨っていたらしい。
その間ずっと蒼星石が手を握っていてくれたかと思うと嬉しくてたまらない。
あと、あの男二人は・・・ 聞いたはずだけど興味がないから忘れた。
とりあえず僕は二日後に退院できた。


今日は三日ぶりの登校、蒼星石が家まで迎えに来てくれた。
蒼「おはよう」
J「おはよ」
二人で学校へ歩いていく、僕の片腕は固定されて動かせないので少し窮屈だ。
蒼「久しぶりの登校はどう?」
J「蒼星石がいてくれるから最高だよ」
蒼(/////)
J(・・・あれから二日、一度も超集中に入らなかった。やっぱりあれは夢じゃなかったということだろうか・・・
  ラプラスの魔、だっけ・・・ ありがとな、お前の力のおかげで蒼星石を守れた)
僕は蒼星石を見つめる。
J(いや、超集中なんか無くても僕は蒼星石を守る。そのためなら戦士にだってなってやるさ・・・!)
蒼「どうしたの、ジュン君?」
J「いや、手をつなぎたいなぁ~と思ったんだけど、左手は使えないし右手はカバン持ってるしどうしようかなと・・・」
それを聞いた蒼星石は少し笑って、JUMの右手を上から握る。
J(うわ、やわらかw//////)
蒼「・・・これでいい?//////」
J「うん。・・・蒼星石」
蒼「何・・・?」
J「ずっと、そばにいるからな・・・」
蒼「/////// うんっ♪」

/終わり 『EDテーマ♪ 週末のソルジャー』

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