「ただいまななのー」
「ただいまなのかしらー」
満面の笑顔で帰ってきた雛苺と金糸雀。
二人とも両手には苺大福が入った箱を両手に抱えている。
「やあおかえり。どうしたんだい?その苺大福」
「金糸雀にパチンコに連れて行ってもらったのー。
んで、お魚さんがいっぱい出るパチンコで勝ったのー」
「ヒナなんか25箱も出してすごかったのかしらー。
でも、カナなんか30箱だしたのかしらー!!」
なんでも二人は出掛けた帰りにふらりとパチンコに行って大海物語を打って大勝ちしたそうだ。
んで、買った金で買いきれないほどの苺大福を買ったという。
でも、確か今日は彼女らは翠星石と真紅、水銀燈、雪華綺晶、薔薇水晶と一緒に出掛けたはず。
他の彼女らはどうしたのと訊くと、二人は急にそわそわとし出す。
「なんか、もっととことんねばるからまだいるって行ってたのー」
「翠星石らも一緒に言ってたんだ」
「そうなのー。でもまだ帰りそうになかったからヒナたち先に帰ってきたの」
雛苺のあとに金糸雀も言葉を続ける。
「そうそう、あの人たちまだ帰りたくないって言ってたのかしらー」
彼女ら結構楽しんでるのかね。
まあ、雛苺と金糸雀はともかく、他はパチスロ重症患者だからね……。
「それより、蒼星石も一緒にうにゅー食べるの!」
「おなかペコペコなのかしらー」
「そうだね。じゃあお茶の準備でもしようか」
僕は彼女らが抱えていた苺大福の入った箱を持つのを手伝って、居間に運ぶ。
その後は三人で苺大福を食べながらテレビを見て楽しんだ。
――その頃、雛苺らが勝ったというパチンコ店では――
「ありえねぇです!何が設定5ですか!いい加減にしやがれですぅ!」
吉宗ですでに1900ゲームはまっているのはブチ切れの翠星石。
それ以前にも1000ゲーム以上のハマりを2回くらっている。
1921ゲームに到達。天井発動。
でも、レギュラー単発。それ以降ボーナス発動せず。合掌。
「何なのかしらぁ?6なんてガセなのかしらねぇ?」
北斗の拳ですでに1985ゲームはまって怒り心頭の水銀燈。
モード移行契機の役のチェリーやスイカは結構そろうものの、ボーナスは発動せず。
やはり2度1000ゲーム以上のハマリを食らっている。
2031ゲームに到達。天井発動。
揃ったのは赤7虹オーラ。でも単発。合掌。
「ありえないのだわ!また天井なの?」
キングパルサーですでに1回目の天井を食らってもなお、ねばっているのは真紅。
現在1265ゲーム。頭上には『設定4以上』の札が刺さっている。
ボーナス中の子役の揃い方などで設定の札は正しいのは分かっているのだが。
1280ゲームに到達。天井……発動せず。ストック切れ確定。合掌。
「今度こそは蝶の舞を見せて欲しいものですわ……。さもなければ……ふふふ……」
南国育ちでやはり3回天井を食らって、なお今度も978ゲームまで回しているのは雪華綺晶。
やはり頭上には『設定5or6』なんて札が刺さっていたりする。
しかし、ボーナスが来ても単発ばかり。しかもレギュラーが圧倒的に多かったりする。
当然、連荘の証である蝶が舞う演出なんか一度も出てきていない。
999ゲームに到達。天井……発動せず。ストック切れか天井6000ゲームのモードへの滞在が確定。合掌。
ともかく、もはや怒りを露にしているか、壊れた笑みを見せながらもひたすらサンドに1000円を突っ込み続ける4人であった。
そういえば、あと一人いたはずだが?
その当の本人の姿はパチスロコーナーにはいなく、なぜか羽根物コーナーにいたりする。
「……本官さん最高……」
レレレにおまかせにて時折不気味な笑みを浮かべながらも大当りを引き続けているのは薔薇水晶。
足元にはドル箱12箱。
大当りが終わっても10回転以内には玉がVゾーンに乗って次の大当りを引き続ける。
しかも引くのは15ラウンドの大当りが圧倒的に多かったりする。勝ち組確定。
「……このままいても……ご飯をおごらされるだけ……」
そして、夕方には例の4人がまだ1000円をサンドに突っ込むのを横目にして、悠々と玉を交換して家に帰る薔薇水晶であった。
当然、帰りにお土産のシュウマイを買い込んでいたりする。
なお、例の4人は一人平均15万負けだったのは別の話。