※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

―あらすじ―
水銀燈にゲームで負けた僕(蒼星石)と真紅、金糸雀、薔薇水晶。
後日、彼女からいきなり飛騨高山に呼び出されたが……実態は罰ゲーム!
ルールは何が起こっても絶対に笑ってはダメ。
笑うとハエ叩きで尻を容赦なく叩かれる、キツイお仕置が!
本家、ガキの使いばりの罰ゲーム!!
行く先々には水銀燈が徹底的に仕掛けた笑いの罠や刺客が待ち受ける!
耐え切れるのか……本気で自身がないよ、まったく。

「む、無茶苦茶にも程があるわ……」
 先ほどまで繰り広げられていた、お下品極まりない光景にぼそりと呟く。
「お下劣全開……」
 薔薇水晶も一見表情を崩していないようだが、頬には一筋の汗が流れ落ち
ていた。
「あ、ありえなさすぎるかしら~!」
 金糸雀に至っては、顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうになっている。
 このテのお下劣なものに抗体が全くないのか、先ほどの光景に受けたショ
ックはとてつもなく大きかったようだ。
 僕自身も……絶対に思い出したくない。

「と……とにかく……先に行こう……。もう昼になるし……。
 急がないと……朝市が終わっちゃう……」
 顔は相変わらず仏頂面のままだが、声色はやや上ずっていた。
 この場から即刻離れようと言いたげなのが、よく分かる。

「その通りね」
 真紅もちらりと道端に捨て置かれたリヤカーを目にして、前へと進みだす。
 僕自身も当然賛成だ。
 すでに周囲の人の中には、僕らをさっきの連中と同類なのかと言いたげな
視線を向けてきていた。
 僕は即座に、いまだにショックから立ち直れそうにない金糸雀の手を引い
て、薔薇水晶と真紅の後に続く。
 それは、もう……人目をはばかるようにして。

 もっとも、のりさんはいまだに路上で気絶したままだけど……気にしちゃ
いられない。
 そのまま放置して、即座にその場を後にする。

 駅前の大通りからしばらく歩くと、宮川の河川敷にぶつかる。
 そこも多くの観光客で賑わっていた。
 周囲には土産物屋に喫茶店に出店が多くあり、丁度ランチタイムも近いと
あって、地元の人も多く見受けられる。
 近くの駐車場には、観光バスやタクシーが多く停まっており、そこから、
年配の観光客らがどっと降り出している光景を目にする。

 街中は近代化されてはいるものの、所々に古い建物が残っている。
 江戸時代の屋敷もあれば、明治時代に立てられたビルもあった。
 それらを見ていると、さすがに昔の時代にタイムスリップした、なんて気
にはならない。多くの観光客が楽しそうにしている脇を、車が絶え間なく走
っているこの喧騒の中でも、どこか静かで落ち着いて、のんびりとしている
といった雰囲気がする。
 僕の祖父と祖母を連れて来るのもいいかもしれない。

「恐らく、あれが朝市ね」
 真紅の指差す先を目にする。
 確かに、川の向こうの河川敷には数多くの露店が建ち並んでいた。
 終了間際の時間であるにもかかわらず、そこも結構賑わっている。

 橋を渡り、朝市の会場に入る。
 道の両側には露店が建ち並び、地元の農家と思える人たちが農作物や工芸
品を売っていた。すでに店じまいを始めている所もあったものの、各々の露
店の前には、売っている商品を物色している観光客も多数いた。
 そんな中、僕らは目的のものを探す。

 指定されたものの内、赤かぶ漬けはすぐに見つかった。
 売っていたのは、頭にタオルでほっかむりをして、割烹着を来た、年配の
女性だった。

「女の子4人で旅なんてうらやましいね。まあ、ゆっくりしていってちょう」
 話し好きな人なのか、地元の方言で喋りかけてくる。
 正直、時間がなかったので勘弁と言いたいところだが……こういうのも悪
くない。むしろ、地元の人と話に興じると、遠くに旅に来たという実感がす
る。僕らが罰ゲームで来たのをすっかり忘れそうな気分だった。

「……そういえば……あとは特製ヤクルトだけど……朝市で本当に売ってる
のかな……」
 薔薇水晶がそんな一言を漏らすと、その婦人は親切にもそれが売っている
と思える店を教えてくれた。
 なんでも、今日いきなり出店してきたという。
 売られているのは農作物や民芸品なんかではなく……怪しげな発明品との
こと。ロボットや変な薬を並べているらしい。

 どう見たって……水銀燈が仕掛けた店だろうね、それ。
 僕らは婦人に礼を言うと、その怪しい出店に向かった。

 その店はすぐに分かった。
 周囲の店の中で明らかに浮いているから。
 ちなみに店の名前は……「ブラックマーケット BYミスター陳」……。
 うさんくささが全開だった。

「怪しすぎるのかしら~?」
 目の前に並べられている品物を見て、すっかり引いてしまう金糸雀。
 まあ、無理もないだろう。

 店頭に並べられているのは、一目見ただけでは何に使うのか全く不明な管
や、毒々しい色の薬品類、さらには布を掛けられて分からないが、等身大の
大きさの物が所狭しと並べられている。

「あいや~、ゆっくりしていくよろし!」
 チャイナ服を着た、赤毛の女性が、あやしげな日本語で話し掛けてきた。
 髪の後ろに黄色いリボンを付けて、それなりにかわいく、スタイルもよさ
そうなのだが……漫画にしか出てこないような怪しげな日本語が、すべてを
台無しにしてしまっているという感じだった。

 てか、女なのになぜ、ミスター?

「私、謎の中国人、ミスター陳あるね。女なのにミスターなのかなんて、気
にしちゃいけないある」

 思っていたことを僕は口にしてしまっていたらしい。
 しかし、謎の中国人って……明らかに日本人だよ。
 中国人はそんな喋り方はしないって。

「それはともかく……特製ヤクルトはあるのかしら?」
 恐る恐る真紅が、そのミスター陳とやらに尋ねる。

「これあるね」
 ミスター陳は前の棚の一角を指差す。確かにそこには目的のものはあった。

 1リットルはあろうかという、巨大なヤクルトだけど。
「これはすごいあるよ。市販のヤクルトの乳酸菌の濃度を5倍にしたやつあ
るね。そのまま飲んでも良し、薄めて飲めばなおお得あるね!」
 はあ、そうですか。
 とにかく購入することにする。
 まあ、喜ぶのだろうね……水銀燈なら。

「今なら購入特典として、これもついてくるあるよ!」
 そう言って差し出したのは……胸パッドだった。
「貴女には丁度いいものあるよ……そこのツインテールのお姉さん?」
 そう言って……この物件がもっとも必要であろう人物にいやらしい視線を
向けていた。

「な……そんな事ないのだわ……」
 言われた当の本人……真紅は顔を真っ赤にして胸を隠しながら、恥ずかし
そうに否定はしていたが。

「まあまあ、嫌よ嫌よも好きのうちあるね。つけるよろし!」
「な、何をするの?」
 ミスター陳は、嫌がる真紅の胸元に手を潜ませると、無理矢理その胸パッ
ドを装着させた。
 この光景はどう見てもセクハラだけど……いいのかな?

「…………」
 相変わらず顔を真っ赤にしているものの、胸元に出来た自然なふくらみを
じっと見つめている真紅だった。
「これはすごい品物あるよ。自動調整で胸元が大きくなるあるね」
 なんていうか確かに”すごい”物ではあるようだ。

「もっと大きくしたければ、手でちょっと触れば大きくなるあるよ」
 さらにミスター陳はそんなことを言い出す。
 それに対して、真紅はというと……

「…………」
 何も言わないままであったが……恐る恐る胸元を触り出したのだった。
 すると、どんどん胸が膨れてきて……Dカップあたりの大きさにはなった。

「欲望に忠実すぎ……ぷぷぷ……」
 そんな光景に思わず吹いてしまう薔薇水晶。

 あっ、やっちゃったね。
「薔薇水晶、アウトぉ~!」
 何処からともなく響く水銀燈のお約束の宣告。
 そして、黒服の男達が薔薇水晶を組み敷いて、お尻にハエタタキのきつい
一撃を食らわせていた。

「……いたっ!」
 泣きそうになりながらもお尻をさすって立ち上がる薔薇水晶。
 男達は何事も無かったかのようにその場を立ち去った。

「これは……いいわ……。もっと……」
 胸が大きくなってくるのに、一種の快感を覚えたのだろうか。
 真紅の顔からは、先ほどの訝しげに思う感情は消え去り、恍惚だけが浮か
んでいた。さらに胸を触り出す。
 するとまた見る見るうちに胸が大きくなっていく。

 傍から見ていたら、いやらしい光景にしか見えないけど……。
 てか、疑問に思ったことがあった。

「そういえば、胸を小さくするにはどうすればいいのですか?」
 僕は思ったことを口にした。

 すると、ミスター陳はおでこを叩きながら、笑って答えた。

「あいや~、その設計はしていなかったあるね。ミスったあるよ」
 ちょっと!
 大きくなりすぎたら異様になってしまうじゃない!

「胸が小さく出来ないって……大きくしすぎてしまったわ!」
 現に真紅の胸は……Iカップの大きさを越えて、なお膨らみつづけていた。
 それに気付いて手を離すも……胸の膨張はなおも止まらない!

「ち、ちょっと!止めるのはどうすればいいの!?」
 目の前に繰り広げられる異様な光景に、動揺する真紅。
 あたふたしながらも、胸パッドを無理矢理外そうとする。

「注意事項を言い忘れたあるね。触りすぎたら自動で膨張するね。しかも、
一度つけたら膨らんでいるうちは、その胸パッドは外せないあるよ。
 一応、そうなった時のために緊急避難用の装置はあるね」
 ちょっと!そんな欠陥品売らないでよ!
 てか、膨らみつづけたら……緊急避難って何さ!?

 あたふたしているうちに真紅の胸は1M近くまで膨らみつづけ……

 ぼんっ!

 小気味の良い音とともに……弾けた。
 中からは……白煙がもうもうと立ち上がり、それとともに……

「はくしょん!」
「は、鼻がむずむずするわ……はくしょん!」
「……くちゅん!」
 中には胡椒が入っていたのか、盛大に周囲に舞い散っていた。
 おかげで、僕らも含めて周囲の人らはくしゃみをし続ける羽目になった。

「くちゅん!なんちゅう仕掛け……ふふふ……」
「無茶苦茶かしら……ぷぷぷ、はくしょん!」
 くしゃみをしながらも、目の前の光景に笑い出す薔薇水晶と金糸雀。

「金糸雀、薔薇水晶、アウトぉ~!」
 宣告とともに、お尻を叩かれる彼女ら。
「痛い!はくしょん!」
「ひりひりするかしら……はくしょん!」
 痛がりながらも、くしゃみが止まらない薔薇水晶と金糸雀。

 一方、真紅はというと……上着が先ほどのの爆発で弾け飛び、胸元を隠
して、露店の陰に逃げ込んでいた。

「蒼星石、私の鞄を持ってきて頂戴……」
 真紅は今にも泣きそうな目で見つめてくる。
 僕はすかさず、彼女の鞄を手渡した。

「あいや~、緊急避難モードが発動しちゃったあるね」
 ミスター陳は相変わらず陽気にそんなことを口にしていた。
 てか、なんちゅう緊急避難装置なの?
 傍迷惑なだけじゃない。

 僕は思わず鋏で突き刺そうと思った……さすがにそれは踏みとどまったが。

 -to be continiued-

(今回の特別出演)
 ミスター陳(こと、琥珀)@月姫(歌月十夜)

|