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受験勉強で苦しみぬいた冬を越え、今日は高校の入学式。

笹「やあジュン、こっちこっち」
同じ中学の同級生で、高校三年間をも共に過ごすことになった笹塚が人ごみの中から手を振る。
ジ「よう笹塚、おはよう」
笹「掲示板を見てきたけど、どうやらジュンと僕はクラス一緒になったみたいだね」
ジ「おっ、そうか」
ジュンはほっとした。知らない人びとの中に入っていくのが苦手な彼にとって、忌憚なく付き合える
笹塚の存在はありがたかった。その上クラスまで一緒、申し分ない。
の「まぁ笹岡くん、合格おめでとう!制服似合ってるわよぉ」
海外にいる両親の代わりに入学式にやってきたジュンの姉・桜田のりが笹岡に挨拶をする。
笹「あ、ありがとうございます」
その後のりは二人の頑張りを称えたり、高校生活の楽しさを実体験を元に語ったりと、マシンガンの
如く口を動かしていた。
『間もなく入学式を行いま~す。新入生の皆さんは掲示板に記されたクラス・出席番号に従って整列
 をお願いしま~す。保護者の皆さんは先に講堂へ入場されて下さ~い』
恐らく教師であろう声に、人ごみがわらわらと動き出す。
の「じゃあジュン君、笹岡君、お姉ちゃん先に行ってるわね」
しゃべるだけしゃべって行ってしまったのり。
ジュンは何だか疲れた様子で、笹岡もたじたじである。
笹「はは…お姉さん、相変わらず元気だね…」
ジ「まったく…あのおしゃべりめ…ついでにリア充め」
取りあえずクラス担任の梅岡とやらの指示で整列を終えた二人は、少しして動き出した新入生の列に
従い、ブラスバンドの『君こそスターだ』の演奏と教職員・保護者の拍手に囲まれて講堂に入場した。
それから先はただ座っているだけで事が勝手に進んでいくため、ジュンも笹岡も、いやほとんどの
新入生が暇を持て余してしまった。
校長のありがたいお話のさなか、思わず眠りの世界へ入りそうになってしまったジュンを、横に座って
いた笹塚がつついた。頭文字の関係で、彼らは出席番号まで連続していたのである。
笹「ねえねえジュン、この学年には…何ていうか、凄い人がいるんだってさ」
ジ「ふゎ…凄い人?」

 思わずあくびをするジュンに苦笑いしつつ、笹塚は小声で続ける。
笹「まず、この歳でMハゲの人がいるらしいんだ」
ジ「はぁ!?15歳で…そうか。苦労してるんだろうな」
 母方の祖父がハゲだと孫もハゲる、という話を思い出しつつ、ジュンは全く同情感のない哀れみを口にする。
笹「それと…これは信じられないかもしれないけど…」
ジ「?」
 一段と声を潜める笹塚。
笹「背中に黒い翼が生えている人もいるらしいんだ」
ジ「つ…ばさ?」
 笹塚よ、お前は受験前の追い込みのしすぎで頭がヒートアイランド現象に陥ってしまったのか。
笹「いっいや本当だって!僕も直に見たことは無いけど、どうも肩甲骨の異常でそうなってしまったらしいよ!
  世界にたった一人なんだってさ!」
ジ「ちょ…お前声でかいぞ」
笹「…と、とにかく、同じ学年だからいずれ目にすると思うよ。何なら後でクラスを回って探してみるかい?」
ジ「い、いや…別にいいよ」
 知らない人ばかりの他クラスを回るのは気が引ける。中学時代に引きこもっていたことのあるジュンには、
 そういった事はまったく出来なかった。身体がこわばって動かなくなるのだ。
 …何より、そうやって見世物にされる方の身になると、とても面白半分の野次馬になる気は起こらなかった。
 しかしその不快感を唯一の友人、笹塚に見せることはなく、ジュンは再びうつらうつらし始めたのである。

 やがて入学式も終わり、これから一年間の大部分を過ごすこととなる教室に着いたジュンと笹塚。
 出席番号が連続しているために、廊下に張り出されていた座席表も前後連続していた。
 ジュンにとってこれほど心強いことは無い。
 見回すと、様々な中学校からやってきた生徒達が、そのほとんどが静かに自分の席に座っている。
 ジュンたちのように同じ中学・塾の友達を見つけてしゃべっている連中もいた。
 …今のうちはこんな静かな感じなんだろうけど、これから先はどんどん打ち解けて賑やかになっていくんだろう
 なぁ、とジュンが少し憂鬱になっていると、彼は視界の隅に気になるものを発見した。
 そのMハゲの男は、全く人見知りなどしない様子で、気軽に他の生徒…ジュンがリア充と呼ぶような生き物達の
 中に入っていっては溶け込んでいる。名前はベジータと言うらしい。あれが笹塚が言っていた奴か…
 一息ついたジュンが窓のほうに目をやったその時…彼は、一人の少女を見た。

 窓際の席に、俯きがちにぽつんと座っているその少女。
 ジュンは最初、かなり長髪な女の子だな…という印象を持った。
 が、良く見ると、それは誤りだとすぐに気づく。
 背中にまで伸びていると思われたそれは彼女の長髪ではなく…肩甲骨から生える、まさに「翼」だったのだ。
 黒い翼は、まるで人目にさらされるのを避けようとするかのように、彼女のセーラー服の背中にぴったりと
 張り付き、微動だにしていない。
 …思わず笹塚のほうを見ると、彼も同じ少女を見たまま固まっていた。
 いや、ジュンがよく観察すると、クラス中のほとんどの視線が、今やその少女の黒い翼…少女そのものに吸い込まれていた。
 それも好奇のそればかり…ジュンは途端にそれらの視線に嫌悪を抱く。
 俯いている少女は、明らかに自分が見世物になっていることに気づいているのだろう。
 それを、悪意が無いだろうとは言え無遠慮に眺め回すクラスメイト達…
 少女になぜ翼があるのか、とかそんな事はとにかく今のジュンにはどうでも良い。
 それよりも、ジュンは…少女に降り注ぐ好奇の目線の中に、先ほどまで自分のそれがあったことに…
 罪悪感を感じた。
 やがて担任の教師がやって来て、自己紹介が始まる。
 無難に自己紹介の時間を終えたジュンは、翼の少女の名が「水銀燈」であることを知った。
 彼女もまた、ジュンと同じように、消え入りそうな声で自分の名を告げていた。

 それからの日々は目まぐるしかった。
 学力テスト、身体測定…だが、そんな日々も落ち着き、やがて日常というものに取って代わるようになる。
 そんな日々に、いやクラスに適応できるのか気がかりだったジュンだが、それは杞憂に過ぎた。
 というのも、ある時、学力テストの結果が返却されたことがあったが、ベジータがジュンの結果が記された
 用紙を見せてくれと頼んだことがあった。
 ジュンは戸惑いつつも言われるままに用紙を渡すと、ベジータがいきなり騒ぎ出した。
ベ「ちょ、何だよこの成績!クラス2位、学年6位だと!?信じられねぇ!!」
 あまりの大声にジュンは驚いた。しかもそれを聞いたほかのクラスメイト達が彼らのところにわらわらと
 やって来てジュンの結果用紙を代わる代わる眺めては歓声を上げているのだ。
 進学校の生徒である彼らに、成績に関して無頓着な人間は一人も存在しない。
 …こうして、ジュンは予期しない形でクラスに溶け込むことが出来た。
 そして、それからの高校生活の大概の時間を、ジュンは笹塚に加えベジータと過ごすようになる。

 学校生活で肩肘張る必要の無くなったジュンとは対照的に、水銀燈はずっと一人のままだった。

 それからもジュンは気が付けば水銀燈のことを目で追っていた。
 普通の授業では別に大したことは無い。
 だが、移動教室や体育(男女別)、昼休みの時間や掃除時間、彼女は一人でいる。
 始めのうちは、そんな彼女を見て、ジュンは自分のことと照らし合わせて胸が痛んでいた…が。
 どうして自分から人に話しかけて輪の中に入っていかないんだ、とジュンは苛立つようになった。
 そのうちジュンは、孤独な水銀燈を見るたびに嫌悪感を覚えるようにすらなっていた。
 いっその事、自分が水銀燈に話しかけてやろうかと思ったが…
 そうするとまるで自分もクラスで孤立するのでは、と思い、そうするのは憚られた。
 …こうなると、彼の心の中には罪悪感が芽生えてくるのである。
 僕は自分がクラスに溶け込めたばかりに、彼女に対して優越感に基く哀れみといったフィルターを
 重ねている。しかも結局、僕は保身に走ってる…。そんな僕は一体、何様なんだ…と。
 次第に、ジュンは水銀燈を目にするのが苦痛になってしまった。
  
 一度、ジュンはベジータに水銀燈のことについて聞いてみたことがある。
 女子にも顔が広かったベジータは、女子達の間では(男子も同じだが)、水銀燈の黒い翼の不気味さと
 彼女の暗さも手伝って、誰も彼女に関わろうとはしていないということだった。
 水銀燈自身、自分から人の輪に入ろうとしないのも手伝ってはいるが…という話らしい。
 特に自分の知っている以外のことが分からなかったジュンは、ふとベジータに異なる問いかけをした。
ジ「そういえばベジータ、お前学校中の女子をランク付けしてたよな?お前から見て…水銀燈はどんなだ?」
 何だ、お前水銀燈に気があるのか、と茶化しつつ、ベジータは珍しく真顔で答えた。
ベ「笑えば可愛い…と思うぜ。そうすればAランクだ。あの翼も、別に怖いもんじゃない」

 ある日の帰り道。
 笹塚・ベジータと分かれて駅へ向かっていたジュンだったが、ふとその日が、購読しているファッション雑誌の
 発売日であることを思い出し、いつもの道を外れて繁華街の方へ向かった。
 彼は裁縫が趣味であり、その腕は自分では気づいていないもののすでに「得ている」状態であった。
 …その趣味のことで、彼はかつて辛い思いをしたことがあるのだが。
 それはさておき、普段は通らない道路の歩道を歩いていたジュンは…

 向こう側の歩道に、見慣れた…というか、もう目に焼きついていた後姿を見た。
 水銀燈だ。
 驚いたことに、彼女は男と一緒に歩いている。
 無意識のうちに、ジュンは、二人の…その男の顔を見ようと足を速める。
 …水銀燈は孤独じゃあなかったんだ。
 なぜか胸がちりっとしたが、ジュンは意外なことを見たからだろう、と結論付けつつ二人を見ようと前を急ぐ。
 メガネをかけた私服姿の若い男性が、水銀燈と何かを話していた。
 ジュンは、水銀燈の笑顔…今まで見たことの無い彼女の表情を見た。
 …これで良かったんだ。
 結局ジュンは、その日は本屋には寄らずに帰った。

 高校の美術というのは、それまでよりもさすがにハイレベルなことをやるようだ。
 ある日、美術室に入ったジュン達のクラスは、二人組みになって互いの肖像画を描くよう指示された。
 しかも用いる画材はアクリル絵具だという。
 二人組みを作る、というのは中々勇気の要ることだが、今のジュンは別に心配する必要も無く、
 笹塚と向かい合い、キャンパスを挟み、パレットに色を作り始める。
 その作業の合間にも、ジュンは水銀燈のことが気になってしかなかった。
 …彼女は二人組みを作れたんだろうか。
 見ると、水銀燈は他の物静かそうな女子と向かい合ってキャンパスに向かっていた。
 思わずほっとするジュン。
 手先の器用な上に色彩センスも備わっていた彼は、笹塚の見事な肖像画を描き上げた。
 その出来に、またもやベジータ始めクラス中がどよめいたのが、ジュンには心地良い。
 どよめくクラスメイトの中に、ジュンは水銀燈の姿を探したが、騒いでいる女子達の傍らで
 ぽつんと立っている彼女は、やはり暗い表情で俯いていた。
 …案の定、肖像画の中の水銀燈の表情は曇っていて、しかも背中の羽は描かれていなかった。

 5月も半ばになると、久々に暑さというものが蘇ってくる。
 水銀燈を除いてほぼアットホームな様子になったこの教室も、外からの風を入れようと窓が開けられるようになった。
 そんなある日の放課後のこと。
 その日、ジュンは日直だったのだが、折しも笹塚は風邪で休んでいていなかった。

 放課後の掃除で使った雑巾の水を捨てて教室に入ろうとしたジュンは、そこに一人だけ残っている人影を見た。
 彼女…水銀燈は、慌てた様子で床に落ちた何かを拾っている。
 それは…彼女の翼の羽だった。恐らく、窓から入ってきた風に吹かれ、飛んでいってしまったのだろう。
 ジュンは教室に入ろうにも入れず、ただ廊下からその様子を見ているだけ。
 彼は、前に教室の掃除当番だった時に、ちりとりでゴミを集めていた女子が、床に落ちていた水銀燈の羽を
 汚いものでも扱うかのようにしていたのを思い出してはいたが…
 …そこまで、自分自身の存在を希薄なものにしてしまいたいのか。
 思わず彼は水銀燈に対する苛立ちが沸きあがってくるのを感じる。
 見られているとも知らず、羽を拾う水銀燈の目に涙が滲んでいるのを見て…胸の痛みも感じたが、それはすぐに
 新たな苛立ちへと変わってしまった。
 その日はむしゃくしゃして家に帰ったジュン。
 先に家に帰っていた姉に八つ当たりしようとした彼だったが…。
の「ねえジュン君、学校で『人買い』の話を聞かなかった?」
ジ「…あ?人買い?」
の「それがね…どうも、この辺りにその一味が来ているらしいのよぉ。もうお姉ちゃん失禁ものよぉ」
ジ「だれがお前なんかターゲットにするかよ。て言うかそんな事してどうすんだよ」
の「子供を国内外のサーカスか何かに見世物として売り払っちゃうらしいわ。酷い話よねぇ…」
 見世物、という言葉にぎくりとしたジュンだった。
ジ「…ふん。だからって何だよ…」
 そのままテーブルの上に通学鞄を置こうとした彼は、そこに一枚の人相書きがあるのに気づく。
 そこには、『この顔見たら110番!人身売買ブローカー・白崎』という文字と…見覚えのある顔が描かれていた。

の「ジュン君!」
 思わずジュンは制服のまま家を飛び出し、先日あの二人を見かけた辺りに急いだ。
 …どうりで、あの男は水銀燈に近づいたわけだ。仲良くなっておいて、その後に見世物として売り飛ばす…
 そこまで思って、ジュンは自己嫌悪に襲われる。彼女のことを見世物だと思っている時点で、僕もあの男も
 本質的に変わらないじゃないか!!
 …ええい、今は考えるのはなしだ!とにかく走るんだ!

 やがて、彼の前を二人並んで歩く水銀燈と…白崎という人でなしが目に入る。
 …なんでそんな奴に笑顔を向けるんだよ、水銀燈!さっきまで泣いていたからって、犯罪者に笑顔なんて!
 そう思いながら、ジュンは後ろから白崎の背中に飛び蹴りを食らわす。
 突然の襲撃によろけつつ身を立て直した白崎が、自分に奇襲をかけた少年に凄んだ。
白「…最近の子供は随分と無礼だね。君は誰だ?一体何の真似だ!?」
 ついぞやったことのない運動をして息の上がったジュン。
 水銀燈は、事の成り行きを、身を縮めて見ている。
ジ「…黙れ!白崎!
 白崎は、見ず知らずの少年が自分の名を口にしたことに動揺していた。
白「…どうして俺の名をっ!!」
 平静を失ったこの犯罪者はポケットからダガーナイフを取り出し、ジュンに向ける。
 思わず身をすくめるジュン。…だが、彼は信じられないものを見た。
 横にいた水銀燈の翼が、一瞬にして大きく広がった。
 その翼はまともに白崎の顔に…叩きつけられたのだ。
白「ぐおっ!!」
 今自分が何をしたのかに気づいて驚いている水銀燈の傍で、視界を奪われて狼狽している
 白崎の手首を蹴り上げたジュンが、恐るべきダガーナイフを奪取する。
 歩道にへたり込んだ白崎に、ジュンが最後通告を突きつけた。
ジ「二度と彼女に近寄るな。そう約束するなら、警察には通報しないでおいてやる」
 苦渋に顔をゆがめた犯罪者だったが、すぐに立ち上がって逃げ去っていった。

ジ「お、終わった…」
 思わず息を吐き出して胸をなでおろすジュン。
 んな彼に、水銀燈が恐る恐る声をかけた。
水「あの…」
 震える声と勇気を振り絞って自分に話しかけている水銀燈に、ジュンはまず自分から名乗る。
ジ「あ、僕は桜田…ジュン。君…と同じクラスなんだけど…」
水「そ、そう…でも、今のは…?」
 一瞬目が合い、慌てて目を逸らす水銀燈。
ジ「…君が話していたあの男、警察に指名手配されてたんだよ。だから…追い払ったんだ」

水「…あの人、この間帰ろうとする私に声をかけて…仲良くなってくれたんだけど…」
ジ「…」
水「白崎さん…あの人、何をしたの…?」
 見世物狙いの人買い、と言おうとして、ジュンは言葉を詰まらせた。これを言ったら確実に水銀燈は傷つく。
 何も言えず戸惑っているジュンの様子を見た水銀燈は…悲しげに、そして諦めたように口を開く。
水「この翼…せめて白ければ良かったのに…」
 翼に触れつつそう言う水銀燈の哀しい笑顔に…ジュンは胸を掻きむしられるような痛みを覚えた。
 ただ、悲しい。それだけだった。
 だが、彼には水銀燈にかけてやる気の利いた言葉が見つからない…
ジ「そんなこと…言うなよ…」
 水銀燈の顔を見つめてそう言うのが、精一杯だった。
 そんなジュンの視線に気づいた水銀燈が、不器用そうな…けれど暖かい笑顔を返す。
水「でも…あのね、本当にありがとう…」
ジ「…!」
 その笑顔にあてられたジュンは、自分が恋に落ちるのが分かった。
 同時に、どうしてここまで慌ててやって来たのかという理由、自分の抱いていた気持ちに気づいた。
 思わず赤くなった彼は、水銀燈の翼に助けてもらったことの礼も忘れ…しばらく呆けていた。

 …しばらくして、人身売買ブローカーの一味が逮捕されたという報道が全国を駆け巡った。

 あくる日、また美術の時間に、前と同じ二人組みの課題が訪れた。
 ジュンはある決意をしていた。
ジ「なあ、笹塚。悪いけど今日はベジータと組んでくれないか?」
笹「いいけど…?」
 怪訝そうな顔をする笹塚を残し、ジュンは…水銀燈のところへ向かった。
ジ「…なぁ、良かったら僕と組まないか?」
水「!!」
 水銀燈は、いやクラス中が驚いた。
 しかしジュンは、自分の発言を引っ込める気など毛等ない。
 ポカンとしているクラスメイトの中で、ベジータと笹塚は笑顔でグーに親指を立てていた。

 次の言葉をその場にいた全員が待っている中、水銀燈は顔を赤らめ…
水「えぇ、私で良かったら…」
ジ「いや、君じゃないと困るんだ」
 ジュンの決然とした言葉に、水銀燈はややあって嬉しそうに頷いた。

…その後、美術教師の決定で、美術室の壁の一番目立つところに掛けられたジュンの描いた水銀燈は、
 黒い翼を携えて、あの不器用な、しかし可愛い笑顔を浮かべていた。

おわり

ED:ttp://jp.youtube.com/watch?v=NvKuKrBdO74

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