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ピリピリピリと音がする……携帯のアラームか。
とっくにブラインド越しに朝日が差し込んでいる。今日は晴れみたいね。
冬眠あけのくまの様にむっくりと体を起こし、辺りを見わたす。

蒼「おはよう、真紅」
紅「あら、もう起きてたの。早いわね」
蒼「普段から朝型だからね……あはは」

最初に目が合った蒼星石は、もう起きており、既に身支度を始めていた。
私も簡単に髪を整えて、顔を洗いに行くために水銀燈のベッドを横切った。

銀「んん~~……もう朝?」

水銀燈が体を起こしながら言った。

紅「あら、ごめんなさい。起こしてしまったかしら」
銀「いや、貴女のせいじゃあないわぁ」

 

水銀燈も眠たげな顔だが、のそっと体を起こす。
やはり、寝起きは家での地が出るって本当らしいわね。
私も重たい体を引きずって、洗面所に行ってばしゃばしゃと顔を洗う。
顔をタオルで拭きながらベッドに戻ると、翠星石も寝ぼけ眼を擦りながら服を着替えていた。

翠「くあ~~……眠いですぅ」

欠伸をしながら大きく伸びをしている。
私はチラと時計を確認する。七時十五分……確か朝食は七時半だったから……あと十五分?
女の子の準備には……時間が短すぎるのだわ!

紅「大変。あと十五分で朝ごはんなのだわ」
翠「ほあぁーーっ!? 本当ですかぁ!?」

十分でテキパキと身支度を済ませていく。
するするとパジャマを脱ぎ、制服を身にまとう。
すっぴんの顔を見せるのはちょっと気が引けるから、軽くお化粧もしておくのだわ。
ついでに、口紅を薄く塗っておこうかしら。
ふぅ……何とか時間ギリギリで準備を終えることに成功したわよ。

 

 

 

 

 

部屋から出てエレベーターの前まで行くと、雪華綺晶達が立っていた。

雪「おはようございます」
紅「ええ、おはよう。よく眠れた?」
雪「いえ……結構夜更かししてたもので……」
苺「おまけに、金糸雀の寝言がうるさくて寝られなかったの」
薔「……突然、『フィニッシュアアアアーー!!』とか隣で叫ばれた」
金「ねっ、寝言だから仕方ないかしら……」

しばらくワイワイと話していると、エレベーターの扉が目の前で開いた。
幸い誰も乗っていないようだ。
八人全員でエレベーターに乗り込み、朝食会場の大ホールのあるフロア『2』を押した。
時間ギリギリでホールに入ると、既に殆どの生徒が席に座っている。
私達も急いで空いている席を探すことにした。

ベジータ「おーい! こっち空いてるから座りなよ」

ベジータがこっちに向かって手招きをしているのが見えた。
なるほど確かに八人分、ちょうど席が空いている。
ふむ、ここはお言葉に甘えようかしら。

銀「真紅はこっちにすわりなさい。ほら」

水銀燈が気を遣ってくれたのか、ジュンの隣に私を座らせてくれた。

紅「水銀燈、あり……」

 

前言撤回。水銀燈め、ニヤニヤしてたのだわ。
絶対楽しんでいるわね……。
少しすると、実行委員の挨拶と共にめいめいが朝食を食べ始めた。
テーブルの上にはソーセージやパン、スクランブルエッグが並んでいる。うーん、どれから食べようかしら。
しばらくぼーっとしていると、ジュンが私の顔を覗き込んできた。

ジュン「どうした? 具合でも悪いのか」

どうやら心配させてしまったようね。
彼氏に心配されるなんて、レディとして失格なのだわ。

紅「ふふ、何を食べようか迷っていただけよ」
ジュン「あ、そう」

急に空腹を感じた私は、パンとバターを手に取った。そして紅茶は……無い……だと……。全くサービスがなってないわ。
仕方なくコーヒーをカップに注ぐ。
反対側のテーブルでは金糸雀がスクランブルエッグを山盛りにしてむしゃむしゃ食べていた。
雛苺は翠星石の皿にまで手を出して、翠星石にぺしぺし叩かれてたわ。もう……餓鬼の如く食い意地が貼っているわね。
穏やかなクラシックの流れるホールで、私達は食事を楽しんだのだわ。

 

 

 

 

 

朝ごはんを終えた私達は部屋に戻って改めて身支度をする。
髪を丁寧に整えて、歯を磨く。そしてポーチの整理よ。
お財布やちいさいハンカチタオル、スプレーを入れていく。
今日も引き続きこのホテルに泊まるみたいだから、大きい荷物はそのままよ。
やっとのことで、全ての支度を整えた私達は、集合場所であるホール前に行く事にした。
ホール前にはたくさんの生徒が集まっていた。これから日本一のテーマパーク、『ネズミーランド』に行くとあってかみんなテンションが高いわ。
その場に立っていては邪魔なので、私達も自分のクラスの列に入っていく。

翠「これを私は待ってたですよ! 遊びつくしてやるですぅ!」
蒼「あんまり羽目外さないでよ。翠星石」
翠「そんなこと分かってるですぅ!」

拳を掲げ翠星石が意気込んでいる。苦笑する蒼星石は相変わらずのようだ。
雛苺や金糸雀も翠星石達の話に入り、みんなで盛り上がっている。

銀「ねぇ、真紅ぅ……」
紅「何かしら」

水銀燈が私の肩をトントンと叩く
一体何かしら?

 

銀「貴女、今日はジュンと二人で過ごしなさいね」

水銀燈が小悪魔のごとく笑みを浮かべている。

紅「……言われなくてもそのつもりだったわよ」
銀「あらぁ……つまんなぁい」

くっ……水銀燈には敵わないわね。
おどけた笑みを浮かべる親友のお腹に軽く拳を当てる。

銀「うふふ、まあ、頑張りなさいな。あそこで一日過ごしたカップルは永遠に別れないって言い伝えもあるらしいわぁ」

その言い伝え……噂はもちろん私も知っている。
今日は私の……私達の『これから』が決まる、勝負の日よ。
占いは五つ星、恋愛の勾玉とラッキーアイテムの真紅のハンカチも持った。奇しくも私の名前と同じ色のハンカチだ。
私は小さな拳を胸に当てる。何か大きな力が流れ込んでくる気がした。

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