◆彼女の事情:めぐ◆
J「なあ、めぐ」
め「あいよ」
J「お前、バイトとかする気ないの?」
め「もちろん無いわ」ニコッ
J「でもさ、水銀燈に負担がかかってるじゃないか。あいつ一人でお前も養ってるんだろ?」
め「そうでもないわよ。割とナチュラルに寄生してるし」
J「ナチュラルとそうじゃない寄生の違いはなんだよ」
め「それにね、私のパパはお金持ちだから、ほら毎月お小遣いくれるの」ピラリ
J「……何これ、月にこんなにもらってんの?」
め「いえす」
J「毎日ゲームとネットしかしてないお前が金もらえるとか納得行かねええええ」
め「……私、病気でいつ死ぬか分からないしさ。せめてもの親の情けなのよ」
J「……あ……ごめん。……お前にはお前の事情があるよな」
め「気にすんなよ、貧乏人」ニッコリ
J「やっぱ納得行かねえええええええ」
◆彼女の事情:真紅◆
ピンポーンピンポーン
真「JUM!! JUM!!」
ガチャリ
J「何だよ朝っぱらk「かくまって頂戴!!」
J「……は?」
真「今日はあいつがやってくるの!! お願い!!」
J「あいつ?……だが断る」
真「ええ!? そこは話の流れ的に了承しなさいよ!!」
J「……なんか関わるとろくな目に合う気がしない」
真「い、いいから早く中に 「見つけたですよ!! 真紅先生!!」
真「げえっ、翠星石!?」
翠「ヒィッヒッヒッヒッヒ……おとなしく観念するです……締め切りはとっくに過ぎてるですよ……?」
真「ま、待って! 後一日だけ待って頂戴!!」
翠「ダーメですぅ……先生にはこれから格安ビジネスホテルのシングルルームに閉じこもって書いてもらうです……」
真「や、やめて、ひきずらないで、いやああああああぁぁぁぁぁ…………」
…………
……
J「……何だったんだ、結局?」
め「いつものことよ」
J「あ、めぐ」
め「原稿の締め切りに間に合わなかったら、ああやって編集者の人に連れていかれるの。
ホテルに缶詰め状態にされて、書き上げるまでは帰ってこないわ」
J「……なるほど。新規も新規の事情があるんだな」
め「そういうこと」
J「…………」
め「…………」
め「……本人の代わりに一応突っ込んでおくけど、新規じゃなくて真紅よ」
J「ああ、悪い」
◆彼女の事情:水銀燈◆
雪「エンジュ荘の大掃除をしようかと思います。皆さんも協力していただけますか?」
銀「えー、めんどくさい。私パスねぇ」
真「我がまま言わないの。いつもお世話になってるんだから」
J「そーだそーだ」
め「異議なーし」
銀「何よぉ、アンタ達まで。ぜーったい、イヤよ」
真「あら……いいのかしら、そんなこと言って」ニヤリ
め「おおっと、いつもよりも強気な真紅さんだ」
J「これは何かあるぞぉ」
銀「……はっ、何を企んでるんだか知らないけど、お断りよお断り」
真「仕方のない子ね。では……ここに、極秘に入手した一冊の卒業文集があります」スッ
銀「ふーん……!!??」
真「そう、お察しの通り水銀燈さんの出身中学、桃種中のものです」
J「ほほう」
雪「これはこれは」
真「そしてこれが彼女の所属していたクラスのページ。水銀燈さんの卒業作文がおさめられています」
銀「し、真紅!!それ以上言うと……」
真「タイトルは『私は水銀燈、呪われし逆十字を「わーっ!!わーっ!!」
雪「水銀燈さん、突然大声を出してどうされたのですか?」
め「彼女には彼女の事情があるのよ」
雪「……なるほど」
◆JUMと水銀燈◆
銀「ねえ、JUM」
J「何ですか? 水銀燈さん」
銀「貴方、私に何だかよそよそしくなぁい?」
J「? そうでもないと思いますが。」
銀「……そのしゃべり方よ。めぐにも真紅にもばらしーにもきらきーにもタメ聞いてるのに、私にだけ敬語使ってるじゃない」
J「え、だって水銀燈さんが一番としうえ「バキィ!!」
銀「もう一回言ってみなさぁい……」
J「……なんでもないです」ガクガクブルブル
銀「……ふん。貴方のせいで壁に穴があいちゃったじゃない」
J「あけたのは水銀燈の鉄拳だろ」
銀「元はと言えば貴方の……!!??」
J「何だよ。タメで話してほしかったんじゃないのか?」
銀「え、それは、その……」
J「あーはいはいツンデレツンデレ。めんどくさいねー、ツン:デレが9:1の女は」
銀「……JUM」
J「なんだ?」
銀「死ぬ前の懺悔はすんだかしら?」
J「ごめんなさい調子に乗ってマジでごめんなさい」
◆JUMと真紅その2◆
真「うーん……」
J「何を血迷ってるんだ、新規?」
真「『血』は余計。それに私の名前は真紅よ」
J「ああ、悪い。で、どうかしたのか?」
真「ええ、今とある超マイナー雑誌で連載中の小説なんだけどね……。元々短編として書いたから、私は来週で終わらせるつもりだったのよ」
真「……でも、読者からの評判がそれなりに良いみたいで、編集者からはもう少し続けろって言われてるの」
J「ふむふむ」
真「確かに、続ければ一定数の読者が私についてくれる……だけど、私の中の構想ではすでに来週で完結しているのよ」
J「読者は得たいし、編集者からも続けるよう催促されてるけど、無理に続けたくはない……そういうことか?」
真「そう。だって、無理やり続けたところでグダグダになるだけじゃない? そんな作品を私は書きたくないの」
J「ふーん……作家ってのも大変だな。でもさ、神秘」
真「私の名前は真紅だけど、何かしら?」
J「元からグダグダしてる作品は、どう終わらせればいいんだ?」
真「……さあ?」