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修学旅行を明後日に控えたこの日は、友達と町に繰り出す事にした。
水銀燈が買い物に付き合ってくれって……まったく、もう。
私と水銀燈、それに金糸雀と雪華綺晶という組み合わせなのだわ。
薔薇水晶はしおりの製本を仗助君と一緒に居残ってやってるみたいね。本来なら今日は私たちと一緒に来ていたはずなのに……ご愁傷様。
蒼星石と翠星石は翠星石がまだ準備を一つもしてないからと、焦って帰ってしまった。蒼星石は翠星石のお手伝い。
雛苺は苺大福(うにゅー)の買い溜めをしたいからと言ってさっさと帰ってしまったわ。

 

 

 

 


私たちは喫茶店にいた。
水銀燈はお目当てのモノが買えたみたいでご満悦の表情だ。
雪華綺晶と金糸雀はケーキにがっついている。もう少し優雅に食べる事はできないのかしら。
そして、私も紅茶をゆったりと啜る。口の中に紅茶の風味がふんわりと広がった。

 

紅「ここの紅茶はいつもおいしいのだわ」
金「紅茶だけじゃないかしら、ケーキも美味しいかしら」

 

そう言ってケーキにぱくつく金糸雀。

金「そういえば、ジュンとはどうなのかしら、上手く行ってるの?」
雪「それは私も聞きたかったですね。どうなんですか?」
紅「ええ、今のところはいい関係ね。喧嘩とかは特に無いわ」

 

それを聞くと、三人はほっとした表情になった。

 

銀「付き合って三ヶ月も経つのに、何もしてないなんて、遅すぎなんじゃなぁい?」
雪「焦りすぎるのは良くないですけど……ここまでオクテなのも珍しいですね」

 

全くこの……

 

金「この修学旅行はいいきっかけになるんじゃないかしら?」
紅「……そうね」

 

私は口の中を潤そうと紅茶のカップに手を伸ばした。

 

 

 

 


(side ジュン)

僕たちは放課後、教室で仗助と薔薇水晶の手伝いをしていた。
真紅と離れるのは随分と久しぶりの事だ。
現在、教室には、部活が休みのベジータとウルージ、それにしおりの製本をしている仗助と薔薇水晶が居る。
普段は笹塚も一緒につるんでいるんだけど、実行委員長の仕事はとても忙しいらしく、毎日本部にこもりっきりみたいだ。

 

仗助「いやー おめーらが手伝ってくれて 大助かりだぜ」
薔「……ありがとう」
ウルージ「おーおー 困った時は助け合うのが当然だろう」
ベジータ「だな」

 

しおりをホッチキスで纏めながらあっさりと言う二人。
僕も、黙々としおりを冊子にして行く。
すると、薔薇水晶が心配げな表情をして僕の顔を覗き込んだ。

 

薔「どうしたの……? 具合悪い?」

 

どうやら、喋らない僕を心配してくれたみたいだ。

 

ジュン「いや、何でもないよ」
ベジータ「大方、紅嬢のことでも考えてたんだろうぜ。ははっ」

 

ベジータが僕を茶化す。
昔からこう……その……五月蝿いやつだ。


ジュン「そんなわけないだろ アホか」
仗助「だろーな おめーはノロケるタイプには見えねーしよ」

 

仗助が手を止めずに言った。
コイツとの付き合いは二年生になってからだけど、かなり頼もしいやつだ。
もやし(裏声)の様な僕の体と違ってガタイも良いしな……羨ましいよ。

 

ウルージ「ん?どうしなさった、黙りこんで……」

 

ニヤニヤ顔のウルージが僕の方を向いている。
コイツとも二年生からの付き合いだが、優しい奴だ。
けれど本気になれば恐ろしいほど強い……とベジータが言ってたな。

 ……おっと、また黙りこんでしまったようだ。
僕は笑みを浮かべ、『大丈夫』の合図をした。

 それから、しおりを冊子に纏める作業をみんなで黙々とやった。
五人で作業をするとかなりはかどり、一時間後には全ての作業を終わらせる事に成功したぞ。

仗助「んっん~~~ 終わったぜ~~~っ」
薔「……やったね」
ベジータ「ああ~~!! 肩こってるぜ!」
ウルージ「意外と短かったな」

 

四人とも大きく伸びをしている。
爽快感と達成感がすばらしい。

 

ジュン「もう終わったし、帰るか?」

 

僕は鞄を背負って、みんなの方を向く。

 

ウルージ「ああ、そうしようか。もう暗い」
ベジータ「みんなで一緒に帰ろうぜー。……と、思ったけど、薔薇嬢は帰り道逆なんだよな」

 

ベジータががっくりとうな垂れる。

 

薔「ありがと。でも大丈b」
仗助「いや、薔薇水晶はおれが送っていくから 心配しなくてもいいぜ」
薔「!?」

 

仗助!?
薔薇水晶が驚いた表情をしている。

ベジータ「さては仗助! 薔薇嬢のハートを射止めようとしているんだな!」
仗助「相変わらずおめーはうるせーなぁ~~~! んなわけねーだろッ!」

 

仗助が、シッシッ!と蠅を振り払う動作をした。


そんな感じでgdgdやっている内に、校門の前までやってきた。

 

仗助「じゃあ、行こうぜ 薔薇水晶」
薔「……そんな、逆方向なのに……悪いよ」
仗助「暗い時間に女の子が一人でいるのは よくねーぞ、気にすんなよ」
ベジータ「うおお!! 俺も付いていk……何をしやがる!ウルージ!」
ウルージ「お主は少しは空気を呼んだほうが良かろう」

 

そう言いながらベジータの首根っこを掴んで、引きずっていくウルージ。
それを見て三人でケラケラと笑う。


仗助「あいかわらずうるせぇー奴だな 」
ジュン「はははは!そうだな!」
薔「……ふふふ」
仗助「んじゃ おれ達は行くぜ。そんなに遅くなってもいけねーしよぉ」
ジュン「また明日な、薔薇水晶に仗助」
ベジータ「うおおおお!! 仗助に襲われたらいつでも言えよ薔薇嬢!」
仗助「襲うわけねーだろーがよぉ おれって結構純愛タイプなんだぜ」
ウルージ「M字の人、お主とは違うから心配する必要は無かろう」
薔「……ばいばい」

 

二人が、僕たちに手を振りながら逆方向の道へと歩いていった。
チラリと見えた薔薇水晶の横顔が、笑顔だったのには驚いた。
……結構いい雰囲気だったな。案外お似合いだったりして。

 

 

 

 


僕たちは三人で夜道を歩いていた。
蛍光灯に蛾や蚊が集っている。
一番右がベジータで、真ん中が僕、左端がウルージの並びだ。

 

ベジータ「っとそういえば……桜田」
ジュン「何だよ」
ベジータ「紅嬢とは……まだなんだよな?」

 

ああ、コイツマジでしつこい。
三日前にも同じ質問したの忘れたのかよ。

 

ジュン「……まだだよ」

 

ふ~んという顔をする二人。
こいつら何を期待しているんだ……

 

ウルージ「今回の修学旅行は、いいきっかけかもしれんな」
ベジータ「かーっ! お前ホントになんつーか、もどかしいな。けっ!」

 

二人で僕の肩をぽんと叩く……ウルージに叩かれた左肩はミシリと不安げな音を立てたが……
僕はその手を軽く振り払った。

 

ジュン「うるっさいなぁ、じゃあな!」
ベジータ「おう!」
ウルージ「不摂生はしなさんなよ」

 

僕は二人に向かって手を振り、自分の家に向かって駆け出した。

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